総務 #登記#会社法#リスク管理

休眠会社のみなし解散とは|最後の登記から12年、2026年度は12月15日までに届出か登記、役員の任期管理で防ぐ

最後の登記から12年を経過した株式会社は「休眠会社」として法務大臣の官報公告の対象になり、2か月以内に登記か「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしないと解散したものとみなされます。2026年度は10月15日に公告され、期限は12月15日です。通知書が届いたときの対応、届出だけでは翌年も対象になる点、過料、みなし解散後の継続、役員任期の管理を整理します。

対象読者
自社やグループ会社の登記を管理する、従業員30〜300名の企業の総務担当者
難易度
実務
所要時間
読了7分
最終確認日

この記事のポイント

  • 株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過すると休眠会社とされる。2026年度(令和8年度)は10月15日に官報公告され、12月15日までに登記申請か届出をしないと、期限(12月15日)の満了時に解散したものとみなされる(会社法472条1項)
  • 「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしても、役員変更などの必要な登記をしない限り翌年度も対象になる。登記を怠っていた事実は消えず、100万円以下の過料の対象になり得る
  • 任期を10年にしている非公開会社で、役員の重任登記を忘れていると対象になりやすい。みなし解散後も3年以内なら株主総会の特別決議で会社を継続できる

10月中旬、法務局から「休眠会社」についての通知書が届いた。事業は普通に続けているのに、なぜ自社が休眠会社なのか。原因の多くは、役員の任期が来たのに変更の登記をしていなかったことです。対応しないと、会社が解散したものとみなされてしまいます。

この記事では、休眠会社の整理作業の仕組みと、通知が届いたときの対応、再発を防ぐ任期管理を整理します。登記変更全般は役員変更・本店移転など登記変更の期限も参照してください。

休眠会社とみなし解散の仕組み

会社法第472条は、次のように定めています。

休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したもの)は、法務大臣が、2か月以内に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2か月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。

公告があると、登記所は休眠会社に通知を出します(同条第2項)。法務省は、この「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」を毎年行っています。

2026年度(令和8年度)の日程

法務省の案内によると、2026年度は次の日程です。

項目 内容
官報公告と通知書の発送 2026年10月15日(木)
対象 最後の登記から12年を経過している株式会社(一般社団法人・一般財団法人は5年)
期限 **2026年12月15日(火)**までに、必要な登記の申請、または「まだ事業を廃止していない」旨の届出
期限までに対応しない場合 期限(12月15日)の満了時に解散したものとみなされ(会社法472条1項)、登記官が職権で解散の登記をする

法務省は、何らかの理由で通知書が届かない場合でも、期限までに届出が必要としています。本店移転後に住所の登記を怠っていて通知が届かない、というケースもあるため、通知の有無ではなく自社の最後の登記日で判断します。

なぜ事業中の会社が対象になるのか

株式会社の取締役の任期は原則2年ですが、公開会社でない会社(株式の譲渡に会社の承認が必要な会社)は、定款で10年まで伸ばせます(会社法第332条)。任期を10年にして、その後の役員改選の登記をしないまま2年以上たつと、最後の登記から12年が経過してしまいます。

法務省は、役員が再任された場合でも役員変更の登記が必要と注意を呼びかけています。同じ社長が続投していても、任期満了のたびに「重任」の登記をしなければなりません。

よくある原因 内容
重任登記の失念 任期10年の役員が全員そのまま続投し、登記をしていない
子会社・関連会社の管理漏れ 本体の登記は管理しているが、ほとんど動きのない子会社の任期を誰も見ていない
定款の任期の誤解 任期が10年だと思っていたが、定款は2年のままだった

通知書が届いたときの対応

  1. 登記事項証明書を取得し、最後の登記日と役員の就任日を確認する(登記事項証明書の取り方)
  2. 定款で役員の任期を確認し、いつ任期が満了していたかを特定する
  3. 必要な登記を準備する:任期満了時の株主総会で再任(または新任)の決議をしていればその議事録で、していなければ改めて株主総会で選任し、役員変更の登記を申請する
  4. 期限までに間に合わない場合は届出を出す:通知書の用紙を使って管轄の登記所に「まだ事業を廃止していない」旨の届出ができる

届出だけでは終わらない

法務省の案内では、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合でも、役員変更などの必要な登記を申請しない限り、翌年度も整理作業の対象になります。届出は解散を避けるための緊急の手段と考え、必ず登記まで済ませます。

さらに、届出や登記をしても、本来登記すべき時期に登記を怠っていた事実は解消されないため、裁判所から100万円以下の過料に処せられることがあるとされています(会社法第976条)。過料を避けるには、日頃の任期管理しかありません。

登記の申請手続は法務局の「商業・法人登記申請手続」の案内を参照し、自社での対応が難しければ司法書士に依頼します。

みなし解散されてしまったら

期限を過ぎて解散したものとみなされても、すぐに会社が消えるわけではありません。会社法第473条により、みなし解散後3年以内に限り、株主総会の決議(特別決議)で株式会社を継続できます。法務省の案内では、継続の決議をしたら2週間以内に継続の登記を申請する必要があるとされています。

ただし、解散の登記がされている間は、取引先や金融機関の登記確認で「解散」と表示されます。信用への影響が大きいため、期限内の対応が何より大切です。

再発を防ぐ任期管理

やること 方法
任期の一覧を作る 会社ごと(子会社を含む)に、役員名、就任日、定款の任期、次の満了時期(定時株主総会の時期)を一覧にする
満了年の定時株主総会で決議する 招集通知の議題に役員選任を入れる(定時株主総会の段取り)
2週間以内に登記する 変更の登記は変更から2週間以内(会社法第915条)
任期を見直す 10年の任期は登記の手間が少ない反面、忘れやすい。管理しやすい年数に定款を変更することも検討する(定款変更の手続き)
引継ぎに入れる 担当者が変わっても分かるよう、年間業務の引継書に記載する(一人総務の引き継ぎ書)

議事録の作り方は取締役会・株主総会議事録の作り方にまとめています。

まとめ

  • 最後の登記から12年を経過した株式会社は休眠会社として整理作業の対象になる。2026年度は12月15日までに登記か届出をしないと、期限の満了時にみなし解散
  • 届出だけでは翌年度も対象になり、登記を怠った事実による過料(100万円以下)の可能性も残る。必ず役員変更などの登記まで行う
  • 主な原因は任期10年の役員の重任登記の失念。子会社も含めて任期の一覧を作り、満了年の総会と2週間以内の登記を年間業務に入れる
  • みなし解散後も3年以内なら株主総会の特別決議で継続できるが、解散の登記による信用への影響は避けられない

この記事に出てくる用語

株主総会
株式会社の最高意思決定機関で、株主が集まって計算書類の承認、役員の選任、定款変更などを決議する会議です。毎事業年度の終了後に開く「定時株主総会」と、必要に応じて開く臨時株主総会があります。
休眠会社
株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過した会社のことです。法務大臣の公告後、期限までに届出か登記をしないと、解散したものとみなされます(みなし解散)。
定款
会社の目的・商号・本店所在地・機関設計・役員の任期など、会社の基本ルールを定めた文書です。会社の「憲法」とも呼ばれ、変更には株主総会の特別決議が必要です。
登記事項証明書
法務局が発行する、会社の登記内容を証明する書面です。いわゆる「登記簿謄本」にあたり、銀行口座の開設や入札、許認可の申請などで提出を求められます。

用語集の一覧を見る →

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