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中退共(中小企業退職金共済)の加入と運用|加入させる従業員、掛金の決め方・変更、退職時の手続きと減額の申出

中退共(中小企業退職金共済)は、加入できる会社の規模が決まっており、加入させる従業員は原則全員です。除外できる人、掛金月額の選び方と変更・減額の条件、国の掛金助成、新しく入社した人の追加、退職時の被共済者退職届と手帳の交付、懲戒解雇時の減額の申出、請求の時効と通算制度を、法律と中退共の案内に沿って整理します。

対象読者
中退共への加入を検討している、または加入済みで入退社のたびに手続きをしている従業員30〜300名の企業の人事・総務担当者
難易度
実務
所要時間
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最終確認日

この記事のポイント

  • 中退共に加入した会社は、期間を定めて雇用される人、試用期間中の人、短時間労働者などを除き、原則としてすべての従業員を加入させる(中小企業退職金共済法第3条第3項)。従業員の意に反して申し込むことはできない
  • 掛金月額は5,000円〜30,000円(短時間労働者は2,000円〜)から従業員ごとに選ぶ。増額はいつでもできるが、減額には従業員の同意か厚生労働大臣の認定が必要。初めて加入する会社には国の掛金助成がある
  • 退職時は被共済者退職届を中退共に送り、退職金共済手帳を本人に渡す。退職金は中退共から本人に直接支払われ、懲戒解雇などでの減額は退職日の翌日から20日以内の申出と厚生労働大臣の認定が必要

中退共(中小企業退職金共済)は、中小企業退職金共済法に基づく国の制度として独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する退職金の積立制度です。会社が毎月掛金を納め、従業員が辞めたときに中退共から本人へ退職金が支払われます。自社で退職金を積み立てる手間が省ける一方、加入させる従業員の範囲や、退職時の手続きには法律上の決まりがあります。

この記事では、加入後の運用で人事・総務担当者が迷いやすい点を中心に整理します。中退共・企業型DC・自社制度の比較は退職金制度の選択肢で解説しています。

加入できる会社と、加入させる従業員

加入できるのは中小企業者だけ

中退共に加入できるのは、業種ごとに常用従業員数または資本金・出資金のどちらかが一定以下の会社です(法第2条・第3条第1項)。一般業種は300人以下または3億円以下、卸売業は100人以下または1億円以下、サービス業は100人以下または5,000万円以下、小売業は50人以下または5,000万円以下です。

原則は全員加入

法律は、加入した会社に対し、次の人を除くすべての従業員について契約を結ぶよう求めています(法第3条第3項、施行規則第2条)。

加入させなくてもよい人 根拠
期間を定めて雇用される人 法第3条第3項第1号
季節的業務に雇用される人 同第2号
試用期間中の人 同第3号
短時間労働者(通常の従業員より週の所定労働時間が短く、厚生労働大臣が定める時間数未満の人) 施行規則第2条第1号
休職期間中の人など 同第2号
定年などで相当の期間内に雇用関係が終わることが明らかな人 同第3号
被共済者になることに反対の意思を表明した人 同第4号

「正社員のうち管理職だけ加入させる」といった選び方は、法律の想定とは異なります。また、会社は従業員の意に反して加入の申込みをしてはいけません(法第6条第1項)。

役員と同居の親族

法人の役員は原則として加入できません。ただし、部長や工場長などの職制上の地位にあって常時その職務に従事し、賃金を受けているなど、労働者としての実態がある使用人兼務役員は加入できるとされています。代表取締役・専務・常務などは対象外です。事業主と同居する親族も、使用従属関係を示す書類を出せば加入できます。従業員を取締役に登用するときの扱いは従業員を取締役に昇格させるときの手続きも参照してください。

加入手続きと、入社した人の追加

手続き 提出先・書類 ポイント
新規加入 金融機関(ゆうちょ銀行・農協・漁協・ネット銀行・外資系銀行を除く)または委託事業主団体の窓口に、退職金共済契約申込書と預金口座振替依頼書 窓口に出した日が契約成立日。審査後、従業員ごとの退職金共済手帳が会社に届く
契約成立の通知 会社 → 従業員 契約が成立したら、遅滞なく本人に知らせる(法第7条第2項)
入社した人の追加 加入済みの会社向けの所定の申込書で中退共に申し込む 試用期間が終わる時点など、加入させる時期を社内で決めて入社手続きに組み込む

入社のたびに追加を忘れると「全員加入」の原則から外れてしまいます。入社手続きのチェックリストに「中退共の追加(試用期間満了時)」の行を入れておくと漏れが防げます。

掛金月額の決め方と変更

選べる額

掛金月額は従業員ごとに、5,000円以上30,000円以下で定めます(法第4条、中退共「制度の特色」)。10,000円までは1,000円刻み、10,000円を超えると2,000円刻みで、全部で16種類です。短時間労働者は、特例として2,000円・3,000円・4,000円も選べます。

増額と減額

変更 条件 手続き
増額 いつでもできる(中退共Q&A) 掛金月額変更申込書を、変更月の前月15日までに中退共本部へ
減額 従業員の同意、または「現在の掛金月額の継続が著しく困難」との厚生労働大臣の認定 同上(同意がない場合は認定書を添付)

掛金は会社(共済契約者)が納め、法人の場合は全額損金、個人事業の場合は必要経費になります。

国の掛金助成

助成 内容
新規加入助成 初めて加入する会社に、加入後4か月目から1年間、掛金月額の2分の1(従業員ごとに上限5,000円)
短時間労働者の上乗せ 特例掛金月額(2,000円・3,000円・4,000円)の場合、上記に300円・400円・500円を上乗せ
月額変更助成 18,000円以下の掛金月額を増額した場合、増額分の3分の1を1年間(20,000円以上からの増額は対象外)

同居の親族のみを雇う会社などは助成の対象外です。自治体が独自に掛金を助成していることもあるので、所在地の自治体の案内も確認してください。

従業員が退職したとき

会社がやること

  1. 退職金共済手帳の2枚目「被共済者退職届」に記入し、速やかに中退共本部へ郵送する(退職日が確定していれば1〜2か月前から提出できる)
  2. 手帳3枚目の「退職金(解約手当金)請求書」の事業主欄に記入する
  3. 手帳を本人に渡す

法律も、従業員が退職したときは遅滞なく手帳を本人に交付するよう求めています(法第35条第2項)。退職届が遅れると、退職月より後の掛金が引き落とされることがあります(後で返還されます)。退職手続き全体は退職手続きの流れにまとめています。

本人がやること

本人が請求書にマイナンバー入りの住民票などを添えて中退共に請求し、退職金は本人の口座に直接振り込まれます。会社を通して受け取る仕組みではありません。請求できるのは退職日から5年間で、過ぎると時効で消滅します(法第33条)。

加入期間が短い人への説明

掛金納付月数 退職金
11か月以下 支給されない
12〜23か月 掛金の合計を下回る
24〜42か月 掛金の合計と同額
43か月以上 掛金に運用利回り等が加わる

支給されなかった掛金や差額は、会社には戻りません。1年未満で辞める人でも、転職先が中退共に加入していれば通算できる場合があるので、手帳を渡すときに伝えておきましょう。

懲戒解雇などで減額したい場合

従業員が自分の責めに帰すべき事由で退職し、会社が申し出て厚生労働大臣が相当と認めた場合に限り、退職金を減額できます(法第10条第5項)。

  • 退職日の翌日から20日以内(必着)に、退職理由書を添えて厚生労働省に減額認定を申請する
  • 被共済者退職届にも減額申出の旨を書いて中退共へ送る
  • 認定書を受け取ったら10日以内に、写しを添えて中退共へ減額の申出をする
  • 全額を減額することはできず、減額分も会社には戻らない

期限が短いので、懲戒解雇を検討する段階で中退共加入者かどうかを確認しておきます。就業規則の定め方は懲戒解雇と退職金の不支給・減額を参照してください。

通算制度と税金

  • 企業間通算:前の会社で12か月以上掛金を納め、退職後3年以内に新しい会社で中退共に加入し、退職金を請求していなければ、本人の申出で期間を通算できる
  • 他制度との通算:特定退職金共済(商工会議所など)や特定業種退職金共済(建退共など)との間でも、一定の要件で通算できる
  • 税金:中退共の退職金は退職所得として扱われ、支払者は中退共になる。同じ年に会社からも退職金を払う場合は退職金の源泉徴収の扱いに注意する

まとめ

  • 加入できるのは中小企業者だけ。加入したら、有期雇用・試用期間中・短時間労働者などを除き原則全員を加入させる
  • 掛金月額は5,000〜30,000円(短時間労働者は2,000円〜)。減額には本人の同意か厚生労働大臣の認定が必要
  • 入社時の追加、退職時の被共済者退職届と手帳の交付をチェックリストに組み込む
  • 退職金は中退共から本人に直接支払われ、請求の時効は5年。懲戒解雇などでの減額は退職日の翌日から20日以内の申請が前提

この記事で使えるテンプレート

DOCX 人事 退職手続きチェックリスト 社会保険の資格喪失届、雇用保険の資格喪失届・離職証明書、源泉徴収票、住民税の異動届、貸与品の回収、アカウント停止まで、退職手続きを期限つきで確認できるチェックリストです。 DOCX 人事 入社手続きチェックリスト 雇用契約、社会保険・雇用保険の資格取得届、マイナンバー、扶養控除等申告書、PC・アカウント・備品・名刺の準備まで、人事・労務・総務の入社手続きを時系列で確認できるチェックリストです。

この記事に出てくる用語

休職
病気やけがなどで働けない社員について、労働契約を続けたまま一定期間、労働義務を免除する制度です。法律上の義務ではなく、会社が就業規則で内容を決めます。
就業規則
労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
所定労働時間
就業規則や労働契約で会社が決めた、始業から終業までの時間から休憩時間を除いた労働時間です。法定労働時間の範囲内で定めます。
試用期間
入社後の一定期間、本人の適性や能力を見て本採用するかを判断する期間です。法律上は「解約権留保付の労働契約」と考えられ、本採用の見送りは解雇にあたります。
退職届
社員が退職の意思を会社に伝える書面です。一般に、会社の承諾を求める「退職願」と、一方的に退職を通知する「退職届」とに分けて扱われます。
懲戒解雇
重大な規律違反をした社員に対して、懲戒処分として行う解雇です。懲戒処分の中で最も重く、有効性は厳しく判断されます。
定年
一定の年齢に達したことを理由に労働契約が終了する制度です。定年を定める場合は60歳以上にしなければなりません。
マイナンバー
住民票を持つすべての人に1人1つ指定される12桁の番号です。会社は社会保障・税・災害対策の法定の手続に限って従業員などのマイナンバーを取り扱えます。

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