慶弔休暇・特別休暇の決め方|有給か無給か、日数の決め方、パート・有期社員への付与と就業規則の書き方
慶弔休暇やリフレッシュ休暇などの特別休暇は、法律で義務づけられた休暇ではなく、会社が任意に設けるものです。ただし設けた休暇は就業規則に必ず書く必要があり、パート・有期社員にも正社員と同じ慶弔休暇を与えることが同一労働同一賃金ガイドラインで求められています。有給・無給の決め方、日数の考え方、規定例を整理します。
- 対象読者
- 慶弔休暇などの特別休暇を新しく設ける、または既存の規定を見直したい従業員30〜300名の企業の人事・労務担当者
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この記事のポイント
- 特別休暇は法定外の休暇で、設けるかどうか、日数、有給か無給かは会社が決める。ただし「休暇」は就業規則の絶対的必要記載事項なので、設けた休暇は就業規則に書く(労働基準法89条1号)
- 同一労働同一賃金ガイドラインは、パート・有期社員にも正社員と同一の慶弔休暇を与えるよう求めている。2026年10月の改正で夏季冬季休暇も正社員と同一に付与すべき待遇として明記された
- 特別休暇を取った日は、年5日の年次有給休暇の取得義務には数えられない。年休とは別の休暇として、取得単位、取得期限、申請方法、賃金の扱いまで規定に書いておく
「社員の祖母が亡くなったが、慶弔休暇は何日あげればいいのか」「パートさんにも慶弔休暇はあるのか」。慶弔休暇は日常的に問い合わせが来る制度ですが、規定があいまいなまま運用している会社も少なくありません。
この記事では、慶弔休暇をはじめとする特別休暇(法定外の休暇)について、法律上のルールを確認したうえで、有給・無給、日数、対象者の決め方と、就業規則への書き方を整理します。慶弔見舞金(お金の給付)の規程は慶弔見舞金規程の作り方で扱っています。
特別休暇は「任意」だが、設けたら就業規則に書く
年次有給休暇、産前産後休業、生理休暇、育児・介護休業などは法律で義務づけられた休暇です。これに対し、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、病気休暇、ボランティア休暇などは、会社が任意に設ける特別休暇です。厚生労働省のモデル就業規則も、慶弔休暇や病気休暇は「労基法上必ず定めなければならないものではありません」としています。
ただし、労働基準法89条1号は「休暇」を就業規則の絶対的必要記載事項としています。モデル就業規則の解説でも、法定の休暇だけでなく、会社で設けている休暇は就業規則に必ず定める必要があるとされています。
| 区分 | 例 | 設けるか | 就業規則への記載 |
|---|---|---|---|
| 法定の休暇・休業 | 年次有給休暇、産前産後休業、育児・介護休業、子の看護等休暇、生理休暇 | 義務 | 必要 |
| 特別休暇(法定外) | 慶弔休暇、夏季休暇、リフレッシュ休暇、病気休暇、ボランティア休暇 | 任意 | 設けたら必要 |
「慣例で忌引を3日あげている」という運用だけで規定がない場合は、就業規則に書き起こして労働基準監督署に届け出ます(就業規則の作成・変更と届出の手順)。
決めておくべき項目
特別休暇は、規定に書いていないことが問い合わせの原因になります。次の項目を一つずつ決めます。
| 項目 | 決めること | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 事由 | 本人の結婚、配偶者の出産、親族の死亡など | 親族の範囲を「〇親等」または続柄で明示する |
| 日数 | 事由ごとの日数 | 続柄の近さで差をつけるのが一般的 |
| 数え方 | 休日を含めて数えるか、労働日だけ数えるか | 連続取得の途中に休日がある場合の扱いを書く |
| 取得期限 | 事由発生日から何日以内に取得するか | 結婚休暇は「入籍日または挙式日から6か月以内」など |
| 取得単位 | 1日単位か、半日単位も可か | 分割取得を認めるか |
| 賃金 | 有給か無給か | 有給の場合「通常の賃金」を払うと書く |
| 対象者 | 正社員だけか、パート・有期社員も含むか | 次章の同一労働同一賃金の考え方を確認 |
| 手続き | 申請方法、証明書類の要否 | 会葬礼状などの提出を求めるか |
日数の例
日数に法律上の基準はありません。モデル就業規則も日数を空欄にしており、各事業場で決めることになります。たとえば、次のような決め方があります(あくまで一例です)。
| 事由 | 日数の例 |
|---|---|
| 本人の結婚 | 5日 |
| 配偶者の出産 | 2日 |
| 配偶者・子・父母の死亡 | 5日 |
| 祖父母・兄弟姉妹・配偶者の父母の死亡 | 3日 |
| 上記以外の2親等以内の親族の死亡 | 1日 |
喪主を務める場合や遠隔地での葬儀の場合に日数を加算する定めを置く会社もあります。配偶者の出産に伴う休暇は、産後パパ育休(出生時育児休業)とは別の制度です。両方を案内するときは混同しないように説明します。
有給にするか無給にするか
賃金の扱いも会社が決めます。モデル就業規則は「休暇又は休業の期間は、無給/通常の賃金を支払うこと」と選択式にしています。無給とする場合は、欠勤控除と同じ計算で差し引くことになるため、遅刻・早退・欠勤の控除のルールとそろえておきます。
有給の特別休暇を、皆勤手当や賞与の出勤率でどう扱うか(出勤扱いにするか)も決めておきます。規定がないと、手当の支給判断で迷うことになります。
パート・有期社員にも同じ慶弔休暇が必要
パートタイム・有期雇用労働法8条は、正社員とパート・有期社員の待遇差のうち、不合理なものを禁じています。その解釈を示した同一労働同一賃金ガイドラインは、慶弔休暇について、短時間・有期雇用労働者にも通常の労働者と同一の慶弔休暇を付与しなければならないとしています。
ガイドラインは「問題とならない例」として、正社員と同様の出勤日がある短時間労働者には同様に慶弔休暇を付与し、週2日勤務の短時間労働者には勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与するケースを挙げています。
2026年10月1日から適用された改正ガイドラインでは、次の点も明記されました。
| 待遇 | 改正後のガイドラインの考え方 |
|---|---|
| 夏季冬季休暇 | 短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない(繁忙期に限った短期間の勤務でない有期社員に与えないのは「問題となる例」) |
| 勤続に応じた法定外の休暇(リフレッシュ休暇など) | 同一の勤続期間であれば同一に付与する。有期契約を更新している場合は当初の契約開始時から通算して勤続期間を評価する。所定労働時間に比例した日数とすることは「問題とならない例」 |
| 病気休職・病気休暇 | 継続的な勤務が見込まれる人には、正社員と同一の給与の保障 |
「正社員だけ」と書いた特別休暇規定が残っていないか、パート就業規則とあわせて点検してください。待遇差の説明の求めへの対応はパート・有期社員から待遇差の説明を求められたとき、改正の全体像はパート・有期雇用の労働条件明示事項の追加と同一労働同一賃金ガイドライン改正を参照してください。
年次有給休暇とは別に管理する
特別休暇は年次有給休暇とは別の休暇です。厚生労働省の解説では、法定の年休とは別に設けた特別休暇を取得した日数は、年5日の年休取得義務の5日から控除できないとされています(年5日の有給休暇取得義務)。
- 勤怠システムで「特別休暇(慶弔)」と「年休」を別の区分にする
- 特別休暇を廃止して年休で代替させる変更は、労働条件の不利益変更にあたるため、合理性と周知が必要になる
- 夏季休暇・年末年始休暇を特別休暇とするか会社の休日とするかの違いは、夏季休暇・年末年始休暇の決め方で整理しています
裁判員休暇や病気休暇など、他の特別休暇の設計は裁判員休暇と公民権行使の時間、病気休暇(私傷病休暇)の作り方もあわせて確認してください。
規定例
(慶弔休暇) 第〇条 従業員が次の各号のいずれかに該当し、申請したときは、慶弔休暇を与える。 一 本人が結婚するとき 入籍日または挙式日から6か月以内に連続または分割して5日 二 配偶者が出産するとき 出産予定日の前後2週間以内に2日 三 配偶者、子または父母が死亡したとき 死亡日の翌日から起算して7日以内に連続して5日 四 祖父母、兄弟姉妹または配偶者の父母が死亡したとき 死亡日の翌日から起算して7日以内に連続して3日 2 前項の日数には、休日を含まない。 3 慶弔休暇の期間は、通常の賃金を支払う。 4 会社は、必要に応じて事実を確認できる書類の提出を求めることがある。
申請は休暇届で受け付けます。テンプレートの休暇届や慶弔見舞金規程も利用してください。
まとめ
- 慶弔休暇などの特別休暇は任意の制度だが、設けたら就業規則に書く(労働基準法89条)
- 事由・親族の範囲・日数・数え方・取得期限・賃金・対象者・手続きを規定に明記する
- パート・有期社員にも正社員と同一の慶弔休暇が必要。2026年10月の改正ガイドラインで夏季冬季休暇も同一付与の対象と明記された
- 特別休暇は年5日の年休取得義務に数えられない。年休とは別の区分で管理する
この記事で使えるテンプレート
総務 慶弔見舞金規程(ひな形) 結婚・出産の祝金、本人・家族の死亡時の弔慰金と供花、傷病・災害の見舞金について、支給対象、金額、申請期限、必要書類を定めた慶弔見舞金規程のひな形です。従業員が提出する慶弔見舞金申請書もセットにしています。 労務 休暇届(年休・特別休暇・時間単位年休) 年次有給休暇(全日・半日・時間単位)、慶弔休暇などの特別休暇、子の看護等休暇・介護休暇を1枚で申請できる休暇届です。取得後の残日数と、年5日の取得義務の進み具合も記録できます。この記事に出てくる用語
- 育児休業
- 子を養育するために、原則として子が1歳になるまで取得できる休業です。育児・介護休業法にもとづき、保育所に入れないなどの場合は最長2歳まで延長できます。
- 介護休業
- 要介護状態にある家族を介護するための休業で、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できます。
- 休職
- 病気やけがなどで働けない社員について、労働契約を続けたまま一定期間、労働義務を免除する制度です。法律上の義務ではなく、会社が就業規則で内容を決めます。
- 子の看護等休暇
- 小学校3年生修了までの子の看護、予防接種、学級閉鎖、入園式などの行事参加のために、年5日(子が2人以上なら年10日)まで取得できる休暇です。
- 産後パパ育休
- 子の出生後8週間以内に、4週間(28日)まで取得できる育児休業です。法律上の名称は「出生時育児休業」で、通常の育児休業とは別に取得できます。
- 産前産後休業
- 出産予定日の6週間前(多胎は14週間前)から請求により休める産前休業と、出産の翌日から8週間の産後休業のことです。期間中は社会保険料が免除されます。
- 就業規則
- 労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
- 所定労働時間
- 就業規則や労働契約で会社が決めた、始業から終業までの時間から休憩時間を除いた労働時間です。法定労働時間の範囲内で定めます。
- 同一労働同一賃金
- 同じ会社の中で、正社員とパートタイム・有期雇用・派遣の労働者との間の不合理な待遇差をなくすためのルールです。基本給・賞与・手当・福利厚生など、すべての待遇が対象です。
- 年次有給休暇
- 一定期間働いた労働者に与えられる、賃金が支払われる休暇です。6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すると10日付与され、勤続に応じて最大20日まで増えます。
- パートタイム・有期雇用労働法
- パートタイム労働者と有期雇用労働者の公正な待遇を確保するための法律です。正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」です。
- 労働基準監督署
- 労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。