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自社ビル・自社工場の法定点検の一覧|建築基準法12条の定期報告、受水槽(簡易専用水道)の年1回検査、自家用電気工作物

建物を自社で所有している会社は、消防用設備の点検のほかにも、建築基準法12条の定期調査・検査報告、エレベーターの定期検査、受水槽の清掃と年1回の検査(水道法)、高圧受電設備の保安規程と電気主任技術者(電気事業法)など、所有者として負う点検の義務があります。対象の決まり方、周期、誰に頼むか、総務が作る年間スケジュールを法令に沿って整理します。

対象読者
自社ビルや自社工場を所有し、建物・設備の点検業者との契約や報告を担当している、従業員30〜300名の企業の総務担当者
難易度
実務
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この記事のポイント

  • 建築基準法12条の定期報告は、建築物・建築設備・防火設備・昇降機の4種類。対象は政令と特定行政庁(都道府県や市)の指定で決まり、事務所ビルが対象かは所在地の自治体の基準で確認する。報告しないと100万円以下の罰金の対象
  • 報告の周期は、建築物がおおむね6か月〜3年、建築設備・防火設備がおおむね6か月〜1年の間隔で特定行政庁が定める。エレベーターは政令で全国一律に対象。調査・検査は建築士や登録資格者に依頼する
  • 受水槽の有効容量が10㎥を超えると簡易専用水道となり、水槽の清掃を毎年1回以上と、登録検査機関による検査を毎年1回以上受ける義務がある。高圧で受電していれば自家用電気工作物として保安規程の届出と電気主任技術者の選任が必要

本社ビルや工場を自社で所有している会社では、建物と設備の点検も総務の仕事になりがちです。消防用設備の点検はよく知られていますが、そのほかにも建物の所有者として負う点検・報告の義務がいくつもあります。前任者から引き継いだ業者任せの点検が、どの法律に基づくものか分からないまま続いていることも少なくありません。

この記事では、自社ビル・自社工場で確認しておきたい法定点検を、法律ごとに整理します。消防用設備は消防用設備等の点検と報告、業務用エアコンは業務用エアコンのフロン点検で解説しています。

法定点検の全体像

法律 対象 主な義務 周期の目安
建築基準法第12条 特定建築物、建築設備、防火設備、昇降機 資格者に調査・検査させ、特定行政庁に報告 建築物はおおむね6か月〜3年、設備はおおむね6か月〜1年(特定行政庁が定める)
水道法第34条の2 有効容量10㎥超の受水槽(簡易専用水道) 管理基準に従った管理と、登録検査機関の検査 清掃・検査とも毎年1回以上
電気事業法第42条・第43条 高圧・特別高圧で受電する設備など(自家用電気工作物) 保安規程の届出、電気主任技術者の選任 保安規程で定める
消防法第17条の3の3 消防用設備等 点検と消防署への報告 (→消防用設備等の点検)
フロン排出抑制法 業務用エアコン・冷凍冷蔵機器 簡易点検・定期点検 (→業務用エアコンのフロン点検)

建築基準法の定期報告の義務を負うのは、建物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)です(第12条第1項)。賃貸オフィスに入居しているテナントは、通常は報告の当事者ではありませんが、点検のための立入りや指摘事項への協力を求められることがあります(→オフィスの賃貸借契約)。

建築基準法の定期報告

4つの報告

定期報告制度は、建物の損傷や腐食などの劣化の状況を定期的に点検し、結果を行政に報告する制度です。国土交通省は、次の4種類に整理しています。

種類 内容 調査・検査できる人
特定建築物の定期調査 敷地・構造の劣化(外壁、屋上、避難経路など) 一級建築士、二級建築士、建築物調査員
建築設備の定期検査 換気設備、排煙設備、非常用照明、給排水設備など 一級建築士、二級建築士、建築設備等検査員
防火設備の定期検査 随時閉鎖式の防火扉・防火シャッターなど 同上
昇降機等の定期検査 エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機 同上

調査・検査は、法令に基づく資格者でなければ実施できません。結果は、所在地の特定行政庁(建築主事を置く都道府県や市)に報告します。

自社の建物が対象かを確かめる

対象の決まり方は2段階です(第12条第1項・第3項)。

  1. 政令で全国一律に対象:劇場・病院・ホテル・物販店舗など不特定多数が利用する一定規模以上の建築物と、その防火設備。エレベーター・エスカレーターなどの昇降機(一部を除く)(建築基準法施行令第16条)
  2. 特定行政庁が指定:上記以外の建築物や設備で、各自治体が規則で指定するもの

一般の事務所ビルや工場は、政令による全国一律の対象には入っていません。そのため、所在地の特定行政庁が指定しているかどうかで決まります。

たとえば東京都都市整備局の一覧では、事務所について、5階建て以上で延べ面積が2,000㎡を超える建築物のうち、3階以上の階にある事務所の用途の床面積などが一定の規模を超えるものを、3年ごとの報告の対象としています。換気設備・排煙設備・非常用照明・給排水設備(給水タンク等を設けるもの)は、対象の特定建築物に設けられたものが毎年の報告の対象とされています。基準は自治体ごとに違うので、必ず所在地の特定行政庁の一覧で確認してください。

東京都の一覧では、労働安全衛生法の性能検査を受けているエレベーター(工場の荷物用エレベーターなど)は、建築基準法の定期検査の対象から除かれています。工場に昇降機がある場合は、どちらの法律の検査を受けているかを確認しておきます。

周期と報告しなかった場合

種類 報告の間隔(施行規則)
建築物 用途・構造・延べ面積などに応じ、おおむね6か月から3年までの間隔で特定行政庁が定める時期(第5条)
建築設備・防火設備・昇降機 種類・用途・構造などに応じ、おおむね6か月から1年まで(国土交通大臣が定める項目は1年から3年まで)の間隔で特定行政庁が定める時期(第6条)

新築・改築して検査済証の交付を受けた直後の時期は、報告が免除される規定があります。報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりした場合は、100万円以下の罰金の対象です(第101条)。

エレベーターについては、国土交通省が「昇降機の適切な維持管理に関する指針」と標準的な保守点検契約書を公表しています。定期検査とは別に、保守点検の契約内容も確認しておきます。

受水槽(簡易専用水道)

ビルや工場で、水道水をいったん受水槽にためてから給水している場合は、水道法の確認が必要です。

項目 内容 根拠
対象 水道水のみを水源とし、受水槽の有効容量の合計が10㎥を超えるもの 水道法第3条第7項、施行令第2条
水槽の清掃 毎年1回以上、定期に行う 施行規則第55条第1号
汚染の防止 水槽の点検など、有害物や汚水で水が汚染されないよう措置を講ずる 施行規則第55条第2号
異常時 水の色・濁り・臭い・味などに異常を認めたら、必要な水質検査を行う。健康を害するおそれを知ったら直ちに給水を停止し、関係者に周知する 施行規則第55条第3号・第4号
検査 登録検査機関による管理の検査を毎年1回以上受ける 水道法第34条の2第2項、施行規則第56条

東京都保健医療局は、水槽の清掃記録・点検記録・水質検査記録などを5年間保存し、施設の図面を常に備えておくよう案内しています。有効容量10㎥以下の受水槽は簡易専用水道に当たりませんが、自治体によっては条例で管理を求めていることがあるので、所在地の保健所に確認します。

ビル管理法の対象になる大きなビル

事務所や店舗などの用途の延べ面積が3,000㎡以上の建物は、建築物衛生法(ビル管理法)の「特定建築物」に当たります(同法施行令第1条)。空気環境の測定や貯水槽の清掃などの建築物環境衛生管理基準が適用されるため、該当する建物を所有している場合は、ビル管理会社との契約内容とあわせて確認します。空気環境の基準は事務所衛生基準規則のポイントも参照してください。

高圧受電設備(自家用電気工作物)

ビルや工場の敷地内にキュービクル(高圧受電設備)があり、高圧で受電している場合は、電気事業法の自家用電気工作物に当たります。経済産業省の産業保安監督部は、高圧・特別高圧で受電する電気設備を自家用電気工作物の例として説明しています。

設置者には、主に次の義務があります。

  • 保安規程を定め、使用開始前に国(産業保安監督部)に届け出る(電気事業法第42条)
  • 電気主任技術者を選任し、届け出る(同法第43条)。一定の設備では、主任技術者を選任せず保安管理業務を外部に委託する方法もある

多くの中小企業では、電気保安の委託契約で点検を外部に任せています。総務としては、委託契約の相手先と契約期間、保安規程の写しの保管場所、月次・年次点検の日程を把握しておけば十分です。年次点検では停電を伴うことがあるので、社内への周知とサーバーの停止計画が必要になります(→オフィスのサーバー・UPSの管理)。

総務の年間スケジュールを作る

  1. 建物・設備の棚卸し:延べ面積、階数、用途、エレベーターの台数、受水槽の容量、受電方式を一覧にする
  2. 対象の法令を確定する:特定行政庁の一覧、保健所、産業保安監督部の資料で、どの点検が義務かを確認する
  3. 業者と契約を一覧にする:点検業者、契約期間、点検月、報告書の提出先を表にまとめる
  4. 年間の点検月を並べる:消防設備点検、フロン点検、受水槽清掃、定期報告をカレンダーに入れる(→消防用設備等の点検)
  5. 指摘事項を管理する:不良の指摘と改修の予定・予算を記録し、次の報告までに是正する

まとめ

  • 自社ビル・自社工場の所有者には、消防設備やフロン点検のほかにも法定点検の義務がある
  • 建築基準法の定期報告は、建築物・建築設備・防火設備・昇降機の4種類。事務所ビルが対象かは所在地の特定行政庁の指定で決まる。報告しないと100万円以下の罰金の対象
  • エレベーターは政令で全国一律に定期検査の対象。保守点検契約もあわせて確認する
  • 有効容量10㎥超の受水槽は簡易専用水道。毎年1回以上の清掃と登録検査機関の検査が必要
  • 高圧受電なら自家用電気工作物。保安規程と電気主任技術者(または外部委託)を確認し、点検日程を年間スケジュールに組み込む

この記事に出てくる用語

消防用設備等
消火器、自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラーなど、消防法で建物に設置が義務づけられている設備です。定期的な点検と、消防署への結果の報告が必要です。

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