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業務用エアコンのフロン点検|管理者は誰か、3か月ごとの簡易点検、定期点検と記録の保存、廃棄時の回収

オフィスのパッケージエアコンやビル用マルチエアコン、業務用冷蔵庫は、フロン排出抑制法の対象です。機器の管理者には、3か月に1回以上の簡易点検、一定規模以上の機器の定期点検、点検・整備の記録の保存、廃棄時のフロン回収の委託が義務づけられています。賃貸オフィスで誰が管理者になるかも含めて整理します。

対象読者
オフィスや店舗の空調設備の管理を任されている従業員30〜300名の企業の総務担当者
難易度
実務
所要時間
読了7分
最終確認日

この記事のポイント

  • 業務用として製造されたエアコン・冷凍冷蔵機器は、使い方にかかわらずフロン排出抑制法の対象。管理者は原則として機器の所有者で、テナントが所有する機器はテナントが管理者になる
  • すべての対象機器で3か月に1回以上の簡易点検が必要。圧縮機の電動機の定格出力が7.5kW以上の機器は、専門業者等による定期点検(1年または3年に1回以上)も必要
  • 点検・整備の記録は機器ごとに作り、廃棄後も冷媒の引渡し完了から3年間保存する。廃棄するときは登録を受けた充塡回収業者にフロンの回収を委託し、書類を保存する

オフィスの天井に埋め込まれたエアコンや、給湯室の業務用冷蔵庫。普段は意識しない設備ですが、多くの機器には冷媒としてフロン類が使われています。フロン類はオゾン層の破壊や地球温暖化の原因になるため、**フロン排出抑制法**により、業務用の機器を管理する事業者には点検や記録の義務があります。

「エアコンの点検はビルの管理会社がやっているはず」と思っていても、機器を所有しているのが自社であれば、義務を負うのは自社です。この記事では、総務担当者が押さえるべき管理者の範囲、点検、記録、廃棄の流れを整理します。自社ビルで必要なそのほかの法定点検は自社ビル・自社工場の法定点検の一覧にまとめています。

対象になる機器

フロン排出抑制法の対象は、業務用のエアコンディショナーや冷凍冷蔵機器(第一種特定製品)です。

  • 店舗用・オフィス用のパッケージエアコン、ビル用マルチエアコン
  • 業務用冷凍冷蔵庫、冷凍冷蔵ショーケース など

環境省は、業務用として製造されたものであれば、実際の使い方が家庭用と同じでも対象になるとしています。逆に、家庭用として製造されたエアコンや冷蔵庫は対象外です。2002年4月以降に販売された機器には、第一種特定製品であることが表示されています。表示が見当たらなければ、メーカーや販売店に問い合わせましょう。

管理者は誰か

義務を負う「管理者」は、原則として機器の所有者です。環境省のFAQは、次のように整理しています。

ケース 管理者
自社で購入した機器 自社
ビルのテナントスペースにある機器 原則として所有者。テナントが所有する機器はテナント
リース契約 契約書で保守・修繕の責務を負う者。リースでは使用者側にあるとされることが多く、使用者が管理者に当たる場合が多い
レンタル契約 保守・修繕の責務は一般に所有者側にあり、所有者が管理者に当たる場合が多い
室外機と室内機の所有者が違う 契約等で保守・修繕の責務を負う者

賃貸オフィスでは、入居時に設置されていたビル側の設備なのか、自社が入居後に増設した機器なのかで扱いが変わります。賃貸借契約書や設備の区分表で確認し、分からなければビルの管理会社に問い合わせましょう(→オフィスの賃貸借契約)。

使用中の義務

簡易点検(すべての対象機器)

項目 内容
頻度 3か月に1回以上
実施者 具体的な限定なし。総務担当者が行ってもよい
点検項目の例 室外機・室内機の異音・異常振動、製品外観の損傷、腐食・錆び、油にじみ、熱交換器の霜付き(冷凍冷蔵機器は庫内温度も)

使っていない期間でも、冷媒が封入されていれば3か月に1回以上の簡易点検が必要です。漏えいを検知するシステムで常時監視している場合は、簡易点検に代えることができます。

定期点検(一定規模以上の機器)

圧縮機の電動機の定格出力が7.5kW以上の機器は、簡易点検に加えて、専門業者等による定期点検が必要です。頻度は機器の種類と規模に応じて1年または3年に1回以上です。定格出力は機器の銘板や仕様書で確認でき、分からなければメーカーや保守業者に確認します。ビル用マルチエアコンなど大型の機器は対象になりやすいため、保守契約に定期点検が含まれているか確認しましょう。

漏えいが見つかったら

漏えいが見つかった場合は、できるだけ速やかに漏えい箇所を特定し、修理をしてから充塡を依頼します。修理をしないままフロンを充塡することは原則として禁止されています。充塡は、都道府県の登録を受けた充塡回収業者に委託します。

記録の作成と保存

管理者は、機器ごとに点検・修理・フロンの充塡や回収の履歴を記録し、保存しなければなりません。

項目 内容
記録の単位 機器ごと(点検整備記録簿)
主な記録事項 管理者の名称、実際に管理する人の氏名、機器の所在と型式、冷媒の種類と初期充塡量、簡易点検・定期点検の実施日と結果、修理・充塡・回収の実施日と量
形式 紙でも電子でもよい。必要な項目があれば様式は自由
保存期間 機器を廃棄した後、冷媒の引渡しを完了した日から3年を経過するまで

環境省のポータルサイトに参考様式があります。備品管理台帳に「フロン対象機器」の列を設け、機器番号と点検記録簿をひもづけておくと、点検の漏れを防げます(→備品管理台帳、備品・IT機器の管理台帳のつくり方)。

また、1年間に一定量以上のフロンを漏えいさせた場合は、国への報告が必要です。中小規模のオフィスで該当することは多くありませんが、大きな漏えいがあった年は保守業者と確認しましょう。

機器を廃棄するとき

エアコンを入れ替えるとき、オフィスを移転して機器を撤去するときは、フロンの回収が必要です。

  1. 都道府県の登録を受けた第一種フロン類充塡回収業者に、フロンの回収を依頼する(費用は廃棄する側が負担)
  2. 回収依頼書(または委託確認書)を交付し、その写しを3年間保存する
  3. 回収業者から引取証明書を受け取り、3年間保存する
  4. 引取証明書が一定期間内に届かないときは、都道府県知事に報告する

入替え工事を業者に任せる場合も、回収の手続きが誰の名義でどう進むのかを確認し、書類を受け取ります。フロンを回収しないまま機器を廃棄した場合は、罰則(50万円以下の罰金)の対象になります。オフィス移転時の原状回復と合わせて計画しましょう(→オフィス移転の進め方)。

総務の年間スケジュールに組み込む

  • □ 対象機器の一覧を作り、所有者(管理者)を確認した
  • □ 3か月ごとの簡易点検の担当者と実施月を決めた(例:1・4・7・10月)
  • □ 7.5kW以上の機器を特定し、定期点検の時期を保守契約で確認した
  • □ 機器ごとの点検整備記録簿を作り、保存場所を決めた
  • □ 漏えい時の連絡先(保守業者・充塡回収業者)を控えた
  • □ 機器の更新・廃棄時のフロン回収と書類の保存を、手順書に入れた

オフィスの温度・湿度の管理基準は事務所衛生基準規則のポイント、環境配慮の取り組み全体は総務が進めるサステナビリティを参照してください。

まとめ

  • 業務用として製造されたエアコン・冷凍冷蔵機器はフロン排出抑制法の対象。管理者は原則として所有者
  • すべての対象機器で3か月に1回以上の簡易点検、7.5kW以上の機器は定期点検も必要
  • 点検・整備の記録は機器ごとに作り、廃棄後も冷媒の引渡し完了から3年間保存する
  • 廃棄・入替え時は登録業者にフロンの回収を委託し、回収依頼書と引取証明書を保存する

この記事で使えるテンプレート

CSV 総務 備品管理台帳 パソコン・スマートフォン・机・複合機などの備品を1点ずつ管理する台帳です。管理番号、取得日・取得価額、会計処理区分、設置場所・使用者、貸与日・返却日、棚卸しの確認日まで記録できます。

出典・参考資料

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