消防用設備等の点検と報告|機器点検6か月・総合点検1年、事務所は3年ごとの報告、テナント企業の役割
消火器や自動火災報知設備などの消防用設備等は、消防法第17条の3の3により定期的な点検と消防署への報告が必要です。機器点検(6か月ごと)と総合点検(1年ごと)の違い、事務所などは3年に1回・飲食店などが入る建物は1年に1回という報告周期、有資格者が点検する建物、テナント企業が協力すべきことを整理します。
- 対象読者
- 自社ビルまたはテナントの防災・設備管理を担当する従業員30〜300名の企業の総務担当者
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この記事のポイント
- 消防用設備等の点検は、外観や簡易な操作で確認する機器点検が6か月に1回、実際に作動させる総合点検が1年に1回。結果を維持台帳に記録し、消防長または消防署長に報告する
- 報告の周期は、物品販売店舗・飲食店・ホテルなどの特定防火対象物が1年に1回、事務所・工場などそれ以外が3年に1回。複合用途ビルは用途によって1年に1回になることがある
- テナントは、ビル側の点検日程の周知、専有部への立入りの調整、自社で設置した設備の把握を担う。報告をしない場合は罰則もある
ビルの管理会社から「消防設備点検のため、専有部に立ち入ります」と案内が来る。この点検は、消防法で定められた義務です。自社ビルなら会社自身が点検と報告をする立場になり、テナントでも協力が欠かせません。
この記事では、消防用設備等の点検・報告制度の基本と、総務担当者がやることを整理します。防火管理者や消防計画は防火管理者の選任と消防計画・消防訓練を、建築基準法の定期報告や受水槽の検査など自社ビルのほかの法定点検は自社ビル・自社工場の法定点検の一覧を参照してください。
点検・報告の義務
消防法第17条の3の3は、防火対象物の関係者に、消防用設備等を定期に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告することを義務づけています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の設備 | 消火器、屋内消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備、誘導灯、非常警報設備、避難器具など |
| 義務を負う人 | 防火対象物の関係者(所有者・管理者・占有者) |
| 記録 | 点検結果を維持台帳に記録する(消防法施行規則第31条の6第3項) |
点検の種類と周期
東京消防庁は、点検の種類と周期を次のように示しています。
| 点検の種類 | 内容 | 周期 |
|---|---|---|
| 機器点検 | 外観または簡易な操作により確認する点検 | 6か月に1回 |
| 総合点検 | 消防用設備等を実際に作動させ、全般的な機能を確認する点検 | 1年に1回 |
実務では、6か月ごとの点検のうち1回を総合点検とする「年2回」の組み方にすると分かりやすくなります。
報告の周期
報告の周期は、建物の用途によって分かれます(消防法施行規則第31条の6第3項)。
| 区分 | 主な用途 | 報告の周期 |
|---|---|---|
| 特定防火対象物 | 物品販売店舗、飲食店、ホテル、病院など、不特定多数の人が出入りする建物 | 1年に1回 |
| 非特定防火対象物 | 事務所、工場、共同住宅、学校、駐車場など | 3年に1回 |
事務所だけが入るビルなら3年に1回ですが、1階に飲食店や物販店が入っている複合用途のビルは、特定用途を含む複合用途防火対象物として1年に1回の報告になることがあります。自社のビルがどちらに当たるかは、管理会社か所轄の消防署で確認しましょう。
誰が点検するか
東京消防庁は、次のような建物では、消防設備士または消防設備点検資格者が点検しなければならないとしています。
- 一定規模(延べ面積1,000㎡以上など)の建物
- 特定用途の部分が地階または3階以上にあり、屋内階段が1か所だけの建物
- 全域放出方式の二酸化炭素消火設備がある建物
それ以外の建物は、関係者が自ら点検することもできます。消防庁は、小規模な建物の関係者向けに、消火器などを自ら点検・報告するためのパンフレットを公開しています。対象になる建物の詳しい基準は、所轄の消防署に確認してください。
自社ビルとテナントの役割
| 立場 | 主にやること |
|---|---|
| 自社ビル(所有者) | 点検業者との契約、点検日程の調整、報告書の提出、不良箇所の改修、維持台帳の保管 |
| テナント | ビル側の点検日程の社内周知、専有部への立入りの調整、自社で設置・移設した設備の把握、不良指摘への対応 |
テナント企業がやること
- 点検日を社内に周知する:非常ベルが鳴ること、執務室に業者が入ることを事前に知らせる
- 立入りを調整する:会議室、サーバールーム、役員室、倉庫など施錠された場所の鍵を準備する
- 設備の前をふさがない:消火器・消火栓・避難器具の前に物を置かない。点検で指摘されやすい項目
- 自社で設置した設備を把握する:間仕切りの工事で増設した感知器や誘導灯は、ビルの設備台帳に載っているか確認する(→会議室・オフィスレイアウトの見直し)
- 指摘事項の対応を決める:不良の原因がテナント側の工事や使い方であれば、改修の負担を賃貸借契約に沿って協議する(→オフィスの賃貸借契約)
点検日は、消防訓練や防災備蓄の点検と同じ時期にまとめると、年間の防災業務が整理しやすくなります(→中小企業の防災・BCP)。
報告しないとどうなるか
東京消防庁は、点検結果を報告しない場合、消防法第44条第11号により30万円以下の罰金または拘留に処せられることがあるとしています。罰則以上に、いざ火災が起きたときに設備が作動しないことが最大のリスクです。
年間の進め方(自社ビルの例)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 4月 | 点検業者と年間契約、点検日の決定 |
| 6月ごろ | 機器点検 |
| 12月ごろ | 総合点検(機器点検を含む) |
| 報告年 | 点検結果報告書を消防署へ提出 |
| 随時 | 不良箇所の改修、維持台帳への記録 |
点検項目の確認には防災チェックリスト、備蓄品の点検には防災備蓄管理表も使えます。
よくある質問
テナントで、点検の報告書は誰が出すのか
報告の義務を負うのは防火対象物の「関係者」(所有者・管理者・占有者)です。多くのビルでは、所有者や管理会社が建物全体の点検をまとめて業者に依頼し、報告書を提出しています。テナントが自ら報告書を出す必要があるかどうかは、賃貸借契約や管理規約、ビル側の運用によります。入居時に管理会社へ確認し、自社の役割を防火管理者の業務と合わせて整理しておきましょう。
自社で買った消火器も点検の対象になるか
消防法で設置が義務づけられた消防用設備等が点検・報告の対象です。自主的に追加で置いた消火器も、いざというときに使えるよう、使用期限や圧力計を日常的に確認しておくと安心です。備蓄品と一緒に点検表で管理すると漏れません。
点検日に在宅勤務の人が多い場合は
専有部の点検では、非常ベルの鳴動や感知器の作動確認のため、執務スペースや会議室に業者が入ります。点検日が決まったら、出社する人、鍵を開ける人、立ち会う人を事前に決めておきます。
まとめ
- 消防用設備等は、機器点検を6か月に1回、総合点検を1年に1回行い、維持台帳に記録する
- 報告は、事務所などの非特定防火対象物が3年に1回、飲食店などの特定防火対象物が1年に1回。複合用途ビルは要確認
- 一定規模以上の建物は、消防設備士・消防設備点検資格者による点検が必要
- テナントは点検日の周知、立入りの調整、設備前の物の撤去、自社工事分の把握を担う