職場の年末大掃除を安全に進める|脚立の使い方、洗剤の「まぜるな危険」、重い物の移動と書類・不用品の処分
年末の大掃除は、ふだん慣れない高所作業や薬剤の使用、重い物の移動が重なり、けがが起きやすい作業です。厚生労働省の「脚立を使う前に」のチェック項目、塩素系と酸性タイプの洗剤を混ぜない注意、作業分担と服装の決め方、機密書類・不用品の処分ルール、けがをしたときの労災の扱いを整理します。
- 対象読者
- 年末の大掃除を取りまとめる従業員30〜300名の企業の総務担当者
- 難易度
- 基本
- 所要時間
- 読了7分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 脚立は開き止めを確実にロックし、天板に乗らない・天板をまたがない。作業は天板から数えて2段目以下(3段目以下がよりよい)の踏みさんで行う。脚と水平面の角度は75度以下(労働安全衛生規則第528条)
- 塩素系洗浄剤は単独で使い、酸性タイプの洗剤と同時に使わない。換気し、使用後は十分に水で流してから別の洗剤を使う
- 大掃除は業務として行う作業。担当範囲・使用する道具・服装を事前に決め、けがをしたら労災として扱う。機密書類や不用品は通常のごみと分けて処分する
年末の大掃除は、多くの職場で全員参加の行事です。ふだん事務作業をしている人が、脚立に乗って照明やエアコンを拭いたり、強い洗剤を使ったり、重いキャビネットを動かしたりします。慣れない作業が一度に重なるため、転落・転倒、腰の痛み、洗剤による体調不良が起きやすい時期です。
この記事では、総務担当者が事前に決めておくべきことと、当日の安全のポイントを整理します。年末年始の総務業務の全体は年末年始の総務業務を参照してください。
事前に決めておくこと
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 日時と時間 | 所定労働時間内に行う。終業後や休日に行う場合は労働時間として扱う |
| 担当範囲 | 部署ごとの担当エリアと、共用部(給湯室、トイレ、倉庫、会議室)の担当 |
| 高所作業 | 照明・換気扇・エアコンなどの高所は、担当者を決める。業者に任せる範囲も決める |
| 道具 | 脚立・踏み台の数と点検、洗剤の種類、手袋・マスク・ゴーグル |
| 服装 | 動きやすく汚れてよい服、滑りにくい靴。スカート・サンダルは避ける |
| ごみの分別 | 機密書類、一般ごみ、資源ごみ、粗大ごみ・不用品の置き場と回収方法 |
大掃除は会社の指示で行う業務です。参加を求める以上、その時間は労働時間です。掃除中のけがは業務上の災害として労災保険の対象になり得ます。けがをしたときの手続は労災が起きたときの対応を参照してください。
脚立・踏み台の安全
厚生労働省は、はしごや脚立からの墜落・転落災害を防ぐため、「脚立を使う前に」という作業前チェックリストを示しています。主な項目は次のとおりです。
- □ 脚立は安定した場所に設置している
- □ 開き止めに確実にロックをかけた
- □ ねじ・ピンの緩みや脱落、踏みさんの明らかな傷みはない
- □ 靴は脱げにくく、滑りにくいものを履いている
- □ 身体を天板や踏みさんに当て、身体を安定させる
- □ 天板の上や、天板をまたいで作業をしない
- □ 作業は天板から数えて2段目以下の踏みさんを使用する(3段目以下がよりよい)
- □ 作業は頭の真上でしない
- □ 荷物を持って昇降しない
労働安全衛生規則第528条は、脚立について、丈夫な構造であること、著しい損傷・腐食がないこと、脚と水平面との角度を75度以下とし、折りたたみ式は角度を保つ金具等を備えること、踏み面が必要な面積を持つことを求めています。古い脚立は大掃除の前に点検し、傷んでいれば使わないようにします。
事務所で起きやすい危険な行動
| 行動 | 危険 | 代わりの方法 |
|---|---|---|
| 事務用の椅子(キャスター付き)に乗る | 椅子が動いて転落 | 踏み台・脚立を使う |
| 机の上に乗る | 不安定、天板の破損 | 脚立を使う |
| 脚立の天板に立つ | バランスを崩して転落 | 1段低い位置で作業する、高い脚立を使う |
| 濡れた床を歩く | 転倒 | 「清掃中」の表示、拭き取りを先に |
高さが2メートル以上の箇所で墜落の危険がある作業は、作業床を設けるなどの措置が必要になります(同規則第518条)。吹き抜けの窓や高い照明の清掃は、無理をせず清掃業者やビル管理会社に任せましょう。
洗剤の「まぜるな危険」
塩素系の洗浄剤(カビ取り剤、漂白剤など)と、酸性タイプの洗剤(トイレ用の一部など)を同時に使うと、有害な塩素ガスが発生します。国民生活センターは、次の点を呼びかけています。
- 塩素系洗浄剤は単独で使い、他の洗剤と併用しない
- 使用中は十分に換気し、保護具を着用する
- 排水口などに以前の洗剤が残っていることがあるため、使用後は十分に水で流し、続けて別の洗剤を使わない
- 塩素ガスが発生したらその場を離れ、吸い込んでしまったら医師に相談する
給湯室やトイレの担当者には、使う洗剤をあらかじめ決めて渡すと、混用を防げます。洗剤は容器に表示された使用方法を守り、詰め替えて別の容器に入れないようにします。
重い物の移動
キャビネットや複合機、書類の箱の移動は、腰を痛めやすい作業です。
- 重い物は2人以上で持つ。台車を使う
- 中身を出してから動かす。キャビネットは引き出しを空にする
- 膝を曲げて腰を落とし、体に近い位置で持ち上げる
- 転倒防止の固定器具を外したら、元の場所に戻した後に必ず付け直す(→中小企業の防災・BCP)
書類と不用品の処分
大掃除では、書類や備品をまとめて処分することが多くなります。
| 対象 | 処分の方法 |
|---|---|
| 保存期間を過ぎた書類 | 廃棄リストを作り、承認を得てから溶解処理・シュレッダーで処分する(→機密書類の廃棄方法) |
| 個人情報を含むメモ・名簿 | 通常のごみに混ぜない。機密書類として扱う |
| 古いPC・USBメモリ | データを消去してから処分する(→社用PCの返却・廃棄とデータ消去) |
| 備品・家具 | 備品台帳から削除する(備品管理台帳)。事業ごみとして処分する(→オフィスのごみの出し方) |
| 蛍光灯・乾電池など | 自治体や処理業者の区分に従う |
保存期間が残っている書類を誤って捨てないよう、捨てる前に文書管理と保存期間の一覧で確認します。
当日の進め方
- 開始前に5分の注意喚起:脚立の使い方、洗剤の混用禁止、けがをしたら報告すること
- 担当エリアごとに作業:高所作業は2人1組で、1人が脚立を支える
- 途中で休憩を入れる:換気もかねて窓を開ける
- 終了時に確認:転倒防止器具の付け直し、消火器・避難通路の前に物が置かれていないか
- ヒヤリハットを集める:危なかった場面を共有し、翌年の手順に反映する(→AIでヒヤリハット報告を整理する)
よくある質問
パート・アルバイトにも大掃除をしてもらってよいか
所定の勤務時間内に、業務として指示するのであれば問題ありません。勤務日でない人に参加を求める場合は、その時間の賃金を支払います。雇入れ時の安全衛生教育で、脚立の使い方などを伝えておくと安心です(→雇入れ時の安全衛生教育)。
外部の清掃業者に任せるべき作業は
高所の窓や照明、エアコン内部の洗浄、カーペットの洗浄などは、専用の道具と技術が必要です。無理に社員で行わず、業者に任せる範囲を年間の予算に入れておきましょう(→総務の年間予算)。
まとめ
- 大掃除は業務。所定労働時間内に行い、担当範囲・道具・服装を事前に決める
- 脚立は開き止めをロックし、天板に乗らず、2段目以下で作業する。椅子や机には乗らない
- 塩素系洗浄剤は単独で使い、換気し、使用後は水で十分流す
- 書類・PC・備品は通常のごみと分け、保存期間とデータ消去を確認してから処分する