障害者雇用納付金の申告と調整金の申請|100人超の企業の4月1日〜5月15日の手続き、月ごとの人数の数え方、延納と追徴金
常用労働者が100人を超える企業は、法定雇用率を満たしているかどうかにかかわらず、毎年度、障害者雇用納付金の申告(達成企業は調整金の申請)を行います。障害者雇用促進法と施行令・施行規則に基づき、申告期限(翌年度4月1日から45日以内)、月ごとの労働者数・障害者数の数え方、納付金と調整金の金額、延納、未申告時の追徴金、日頃からの記録の整え方を整理します。
- 対象読者
- 常用労働者が100人を超えた、または超えそうな従業員100〜300名の企業の人事・労務担当者
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- 実務
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この記事のポイント
- 納付金は年度(4月〜翌3月)単位。各月の初日の労働者数に基準雇用率を掛けた人数と、実際に雇用した障害者の人数を月ごとに比べ、不足1人につき月額5万円(調整基礎額)で計算する
- 申告書は翌年度の初日から45日以内(通常は4月1日〜5月15日)に高齢・障害・求職者雇用支援機構に提出し、同じ期限までに納付する。法定雇用率を達成した企業も申告が必要で、超過分は調整金(1人月額2万9,000円、年120人月を超える部分は2万3,000円)を申請する
- 申告しないと機構が額を決定し、納付額の10%の追徴金がかかる。毎月初日時点の常用労働者数と障害者数(週の所定労働時間、障害の種類・程度、手帳の確認記録)を月次で記録しておく
従業員が100人を超えると、障害者雇用で新しく発生する手続きがあります。毎年度の障害者雇用納付金の申告です。法定雇用率を下回っていれば納付金を納め、上回っていれば調整金を申請します。「雇用率を達成しているから関係ない」と思われがちですが、達成している企業も申告は必要です。
この記事では、納付金制度の仕組みと、毎年4月〜5月の申告に向けて日頃から準備しておくことを整理します。法定雇用率と雇用義務の人数の計算は障害者雇用の始め方、毎年6月1日現在の雇用状況報告は高年齢者・障害者雇用状況報告を参照してください。
制度の仕組み
障害者雇用納付金制度は、障害者を雇用する事業主の経済的な負担を調整し、全体の雇用水準を引き上げるための制度です。厚生労働省は、法定雇用率を達成していない常用労働者100人超の企業から納付金を徴収し、達成している企業に調整金・報奨金を支給すると説明しています。事務は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が行います。
| 区分 | 対象 | 金額 |
|---|---|---|
| 障害者雇用納付金 | 100人超で法定雇用率未達成 | 不足1人につき月額5万円(調整基礎額、施行令第17条) |
| 障害者雇用調整金 | 100人超で法定雇用率を超えて雇用 | 超過1人につき月額2万9,000円(施行令第15条)。年度の超過人数の合計が120人を超える部分は1人2万3,000円(施行令第14条・施行規則第25条の7) |
| 報奨金 | 100人以下で一定数を超えて雇用 | 超過1人につき月額2万1,000円など(施行規則附則で定める) |
基準となる雇用率は2.7%です(施行令第18条)。2026年度(令和8年度)は、6月までの各月が2.5%、7月以降の各月が2.7%と、月によって適用される率が異なる点に注意してください(→障害者の法定雇用率2.7%へ引上げ)。
納付金の計算方法
納付金の額は、年度(4月1日〜翌年3月31日)の各月ごとに計算して合計します(障害者雇用促進法第54条・第55条)。
- 各月の初日の常用労働者数に基準雇用率2.7%を掛ける(1人未満の端数は切り捨て)→ その月の法定雇用障害者数
- 各月の初日に実際に雇用している障害者数を数える
- 12か月分の「法定雇用障害者数の合計」と「実雇用障害者数の合計」を比べる
- 不足する人数(人月)× 5万円 が納付金額
例えば、毎月の法定雇用障害者数が3人で、実際の雇用が2人の月が12か月続けば、不足は12人月、納付金は60万円です。年度の途中で人を増やした月から不足が解消されるため、採用の時期も影響します。
人数の数え方の基本
| 区分 | 週の所定労働時間30時間以上 | 20時間以上30時間未満 | 10時間以上20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体障害者・知的障害者 | 1人 | 0.5人 | — |
| 重度身体障害者・重度知的障害者 | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 精神障害者 | 1人 | 1人(当分の間の特例) | 0.5人 |
常用労働者数も、週20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人として数えます。カウント方法の細部(精神障害者の特例の条件など)は、厚生労働省・機構の最新の手引で確認してください。
調整金の計算例
常用労働者が毎月150人の会社では、各月の法定雇用障害者数は150×2.7%=4.05→4人です。毎月6人を雇用していれば、超過は月2人、年24人月で、調整金は24×2万9,000円=69万6,000円になります(年120人月以下のため全額が2万9,000円の単価)。
申告と納付のスケジュール
| いつ | 何を | 根拠 |
|---|---|---|
| 翌年度の初日から45日以内(通常は4月1日〜5月15日) | 納付金申告書(調整金を受ける場合は調整金の支給申請書)を機構に提出 | 法第56条第1項、施行令第13条 |
| 申告書の提出期限まで | 申告した納付金を納付 | 法第56条第2項 |
| 年度の途中で事業を廃止したとき | 廃止した日から45日以内に申告 | 法第56条第1項 |
申告書には、各月初日の事業所ごとの労働者数と障害者数などを記載した書類を添付します(法第56条第3項)。機構の電子申告システムを利用できます。
延納
申告する納付金の額が100万円以上の場合は、申告書の提出時に延納を申請すると、3期(4月1日〜7月31日、8月1日〜11月30日、12月1日〜翌年3月31日)に分けて納付できます(施行規則第29条)。
申告しない・誤った場合
期限までに申告しない場合や記載に誤りがある場合は、機構が納付金の額を決定して納入を告知します(法第56条第4項)。この場合、納付すべき額の10%の追徴金がかかります(法第58条、1,000円未満は不徴収)。さらに滞納すると督促・延滞金の対象になります。
100人を超えたかどうかの判断
納付金の対象は、常時雇用する労働者が100人を超える事業主です。年度の途中で100人を超えた・下回ったといった場合に申告の対象になるかは、月ごとの人数で判定されます。判定方法は機構の申告の手引に示されているので、100人前後で推移している会社は、毎月初日の人数を記録したうえで手引に当てはめて確認してください。初めて対象になった年度は申告漏れが起きやすいので注意が必要です。
日頃からの準備
申告は年1回ですが、必要なのは12か月分の毎月初日のデータです。年度末にまとめて集めようとすると、退職者や短時間労働者の時間変更を追い切れなくなります。
- 毎月初日時点の常用労働者数(週30時間以上・20〜30時間未満の内訳)を記録する
- 障害のある従業員ごとに、障害の種類・程度(重度かどうか)、週の所定労働時間、雇入れ・退職日を一覧にする
- 障害者手帳などで確認した記録(確認日、確認した書類)を残す。確認の方法とプライバシーへの配慮は障害者である従業員の把握・確認を参照
- 所定労働時間を変えたときは、その月から区分が変わることを反映する
- 6月1日現在の雇用状況報告の数字と、納付金申告の数字の整合を確認する
調整金・報奨金以外の支援
納付金を財源として、障害者の雇入れや職場環境の整備に対する助成金も設けられています。雇入れ時の特定求職者雇用開発助成金(→特定求職者雇用開発助成金)や、中小企業向けの認定制度(→もにす認定)もあわせて検討してください。障害者職業生活相談員の選任は障害者職業生活相談員にまとめています。
まとめ
- 常用労働者100人超の企業は、雇用率の達成・未達成にかかわらず毎年度申告する
- 納付金は月ごとの不足人数×5万円の合計。達成企業は調整金(月額2万9,000円、120人月超の部分は2万3,000円)を申請する
- 期限は翌年度の初日から45日以内。100万円以上は3期の延納ができる。未申告は10%の追徴金
- 毎月初日の労働者数と障害者数を月次で記録しておくことが、申告を楽にする一番の準備