次世代育成支援対策推進法の行動計画とは|101人以上の策定・届出と300人超の育休取得率の公表
常時雇用する労働者101人以上の企業は、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出・周知・公表が義務です。2025年4月から義務になった育休取得状況・労働時間の把握と数値目標の設定、300人超の企業に広がった男性の育休取得率の公表、くるみん認定の新基準を整理します。
- 対象読者
- 常時雇用する労働者101〜300名超の企業で、次世代法・育児介護休業法の対応を担当する人事担当者
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この記事のポイント
- 常時雇用する労働者101人以上の企業は、次世代法の行動計画を策定し、労働局への届出・社内周知・外部公表を行う義務がある。100人以下は努力義務
- 2025年4月以降に策定・変更する行動計画では、101人以上の企業に、男性の育休等取得率と時間外・休日労働時間の状況把握と、それぞれの数値目標の設定が義務になった
- 育児・介護休業法により、2025年4月から常時雇用する労働者300人超の企業は、男性の育休等取得率を年1回公表する義務がある
次世代育成支援対策推進法(次世代法)は、従業員が仕事と子育てを両立できる環境づくりを企業に求める法律です。常時雇用する労働者が101人以上の企業には、一般事業主行動計画の策定と届出が義務づけられています。2025年4月からは、行動計画に育児休業の取得状況や労働時間の数値目標を入れることも義務になりました。
あわせて、育児・介護休業法により、300人超の企業には男性の育児休業取得率の公表義務があります。この記事では、2つの義務を整理します。
企業規模ごとの義務
| 常時雇用する労働者数 | 次世代法の行動計画 | 男性の育休等取得率の公表(育児・介護休業法) |
|---|---|---|
| 300人超 | 義務(数値目標の設定も義務) | 義務(年1回) |
| 101〜300人 | 義務(数値目標の設定も義務) | 義務の対象外(任意で公表できる) |
| 100人以下 | 努力義務 | 義務の対象外 |
「常時雇用する労働者」には、正社員のほか、過去1年以上引き続き雇用されている、または雇入れ時から1年以上雇用される見込みのあるパート・有期契約社員も含みます。
次世代法の有効期限は、改正により2035年3月31日まで延長されています。
次世代法の一般事業主行動計画
行動計画に盛り込むこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画期間 | 法律上の決まりはない。自社の状況に合わせて2〜5年程度で設定するのが一般的 |
| 目標 | 2025年4月以降、101人以上の企業は育休等取得状況・労働時間の状況に関する数値目標が必須 |
| 取組内容と実施時期 | 目標を達成するための対策と、いつ実施するか |
2025年4月からの義務:状況把握と数値目標
2025年4月1日以降に行動計画を策定・変更する場合、101人以上の企業は次のことが義務になりました。
- 育児休業等の取得状況の把握:男性労働者の「育児休業等取得率」、または「育児休業等及び育児目的休暇の取得率」
- 労働時間の状況の把握:フルタイム労働者1人あたりの、各月ごとの法定時間外労働と法定休日労働の合計時間数など
- 改善すべき事情の分析
- 上記1・2それぞれについての数値目標の設定
数値目標は、実数・割合・倍数など数値を用いるものであれば形式は問いません。
| 目標の例 | |
|---|---|
| 育休等の取得状況 | 計画期間内に、男性労働者の育児休業等取得率を30%以上にする |
| 労働時間の状況 | フルタイム労働者1人あたりの月平均の時間外・休日労働を20時間未満にする |
すでに2025年3月以前に策定した計画が続いている場合は、次に策定・変更するときから義務の対象になります。時間外・休日労働時間の集計は、36協定の管理と同じデータで行えます。
策定から届出までの流れ
- 現状を把握する:育休の取得状況、時間外・休日労働の状況、出産を機に退職した人の有無などを確認し、従業員の要望も聞く
- 行動計画を策定する:課題に優先順位をつけ、計画期間・数値目標・取組内容と実施時期を決める
- 外部に公表する:策定後おおむね3か月以内に、厚生労働省の「両立支援のひろば」や自社のウェブサイトなどで公表する
- 社内に周知する:策定後おおむね3か月以内に、掲示・書面配布・メール・イントラネットなどで周知する
- 労働局に届け出る:策定後おおむね3か月以内に、「一般事業主行動計画策定・変更届」を都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ。電子申請・郵送・持参のいずれも可。計画そのものの添付は不要
- 取組を実施し、効果を測定する
女性活躍推進法の行動計画と一体的に策定・届出することもできます。女性活躍推進法の行動計画は女性活躍推進法の一般事業主行動計画と情報公表で解説しています。
取組内容の例
- 男性社員とその上司を対象に、育児休業制度の説明会を開く
- 配偶者の出産を申し出た男性社員に、個別に制度を周知し、取得の意向を確認する(育児・介護休業法の義務)
- 育休中の業務の引継ぎ手順書を作る
- ノー残業デーを設定し、管理職が月次で残業時間を確認する
- 子の看護等休暇を時間単位で取れるようにする
育休の申出書は育児休業申出書を使えます。給付の手続きは育児休業給付の手続きを参照してください。
300人超の企業:男性の育休等取得率の公表
公表の内容
育児・介護休業法により、常時雇用する労働者が300人を超える企業は、公表前事業年度の次のいずれかの割合を、年1回公表します。
| 公表する割合 | 計算式 |
|---|---|
| ①育児休業等の取得割合 | 育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数 |
| ②育児休業等と育児目的休暇の取得割合 | (育児休業等をした男性労働者の数+小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数)÷配偶者が出産した男性労働者の数 |
計算時の注意点は次のとおりです。
- 産後パパ育休(出生時育児休業)は、育児休業と分けずに計算する
- 同じ子について分割取得した場合や、育休と育児目的休暇の両方を取った場合は1人と数える
- 事業年度をまたいで取得した場合は、育児休業を開始した日を含む事業年度の取得として数える
- 「育児目的休暇」は、就業規則などで育児を目的とすることが明らかな休暇制度。子の看護等休暇など法定の制度は除く
公表の時期と方法
公表前事業年度の終了後、おおむね3か月以内に公表します。インターネットなど一般の人が閲覧できる方法で行い、厚生労働省の「両立支援のひろば」での公表が勧められています。3月決算の企業なら、毎年6月末までが目安です。
従業員が300人前後の企業は、パート・有期契約社員を含めて人数を数え直し、対象になる年度を確認しておきましょう。
くるみん認定の新基準
行動計画の目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、厚生労働大臣の認定(くるみん、プラチナくるみん、トライくるみん)を受けられます。2025年4月から基準が引き上げられ、くるみん認定では男性の育児休業等取得率が30%以上(育児目的休暇を含む場合は50%以上)、フルタイム労働者の各月の時間外・休日労働の合計が30時間未満などの基準になりました。採用広報でのアピールにも使えます。
まとめ
- 常時雇用する労働者101人以上の企業は、次世代法の行動計画の策定・届出・周知・公表が義務
- 2025年4月以降に策定・変更する計画では、男性の育休等取得率と時間外・休日労働の状況を把握し、それぞれ数値目標を設定する
- 届出・公表・周知は、策定後おおむね3か月以内に行う
- 300人超の企業は、男性の育休等取得率を年1回、事業年度終了後おおむね3か月以内に公表する