高年齢者雇用状況等報告の書き方|6月1日現在・7月15日期限、記入項目と「常用労働者」の数え方、令和8年の様式変更
高年齢者雇用状況等報告は、毎年6月1日現在の定年・継続雇用制度などの状況を、7月15日までに本社管轄のハローワークへ出す報告です。高年齢者がいない会社も報告が必要です。記入項目の全体像、常用労働者と従業員の数え方、令和8年の様式変更、来年に向けて今から整えておく資料を整理します。
- 対象読者
- 毎年の高年齢者雇用状況等報告を担当する、または来年から担当する従業員30〜300名の企業の人事担当者
- 難易度
- 実務
- 所要時間
- 読了7分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 事業主は毎年6月1日現在の定年・継続雇用制度・創業支援等措置などの状況を、翌月15日までに本社を管轄するハローワークを経由して報告する(高年齢者雇用安定法第52条、施行規則第33条)。高年齢者がいなくても報告が必要
- 記入は実態や慣行ではなく就業規則等に定める制度に基づく。「常用労働者」は1年以上の雇用見込みで週20時間以上の人、「従業員」は週20時間未満の人も含む
- 令和8年の報告から様式が変わり、旧様式は使えない。報告内容は65歳までの雇用確保措置の指導に使われるため、就業規則と制度の整合を確認しておく
毎年6月になると、ハローワークから「高年齢者雇用状況等報告」の案内が届きます。障害者雇用状況報告とあわせて「ロクイチ報告」と呼ばれる、年1回の報告です。年に一度しか触らないため、前年の担当者のメモがないと、どの欄に何を書くのか毎回調べ直すことになりがちです。
今年の報告期限(7月15日)はすでに過ぎていますが、来年の報告をスムーズに出すには、就業規則の確認や人数の集計方法を今のうちに整えておくのが効果的です。この記事では、報告のしくみと記入項目、数え方の注意点を整理します。障害者雇用状況報告については障害者雇用の始め方を参照してください。
報告のしくみ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 高年齢者雇用安定法第52条第1項、施行規則第33条 |
| 報告する人 | 事業主(従業員に高年齢者がいない場合も報告が必要) |
| 基準日 | 毎年6月1日現在 |
| 期限 | 翌月15日まで(令和8年は7月15日(水)まで) |
| 提出先 | 本社(主たる事務所)を管轄するハローワーク。支社・支店の分は本社がとりまとめる |
| 様式 | 高年齢者雇用状況等報告書(様式第2号) |
| 提出方法 | 電子申請(GビズIDまたは電子署名付きのe-Govアカウント)、郵送、持参 |
ハローワークは一定規模以上の事業所に報告書の用紙を郵送しています。用紙が届かなかった場合でも、報告義務がなくなるわけではありません。様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
電子申請の準備
電子申請には、GビズIDまたは有料の電子署名が必要です。GビズIDプライムは取得に2週間程度かかるため、まだ持っていない会社は早めに申請しておきましょう。社会保険の電子申請と同じIDを使えます(→社会保険・労働保険の電子申請を始める手順)。
紙で提出する場合、報告書は3枚複写で、正・副の2枚を提出し、事業主控えを手元に残します。記入要領は、事業主控えを提出から3年間保存することが望ましいとしています。電子申請の場合は申請書控えを印刷して保管します。
記入項目の全体像
報告書は、就業規則等に定める制度を中心に、次の項目で構成されています。
| 欄 | 内容 |
|---|---|
| ①〜⑦ | 事業主情報(名称、代表者、所在地、法人番号、産業分類、労働組合の有無、雇用保険適用事業所番号) |
| ⑧⑨ | 定年制の状況(定年の有無・年齢、改定予定) |
| ⑩⑪ | 継続雇用制度の状況(継続雇用先、対象者、上限年齢、導入・改定予定) |
| ⑫⑬ | 創業支援等措置の状況(70歳までの業務委託・社会貢献事業の制度) |
| ⑭ | 65歳を超えて働ける制度等の状況(⑧⑩⑫以外のもの) |
| ⑮ | 常用労働者数 |
| ⑯ | 過去1年間の離職者の状況 |
| ⑰⑱ | 過去1年間の定年到達者等の状況(65歳まで/65歳を超えて働ける制度の適用状況) |
| ⑲ | 65歳を超えて働ける制度の対象者に係る基準の過去1年間の適用状況 |
各欄には「うち女性」の内訳を書くものがあります。人数の集計は、人事データから年齢・性別・雇用形態別に抽出できるようにしておくと楽になります(→人事データの管理)。
記入は「制度」に基づく
記入要領は、現在の実態や慣行ではなく、就業規則等に定める制度に基づいて記入するよう求めています。「実際には65歳を超えても希望者は雇っている」という運用があっても、就業規則に定めがなければ制度としては書けません。報告の準備は、就業規則の定年・継続雇用の条文を読み直す機会にもなります。
定年が職種や雇用形態で異なる場合は、最も低い年齢を書きます。選択定年制がある場合は、選択できる最も高い年齢を書きます。
「常用労働者」と「従業員」の違い
報告書では、欄によって数える人の範囲が違います。
| 用語 | 使う欄 | 範囲 |
|---|---|---|
| 常用労働者 | ⑮欄 | 1年以上継続して雇用される人(見込みを含む)のうち、週の所定労働時間が20時間以上の人。正社員のほか、契約社員・パートなども含む。昼間学生など雇用保険の適用除外の人は計上しない |
| 従業員 | ⑯〜⑲欄 | 就業規則等で定める雇用制度が適用される人。週20時間未満の人や雇用保険の適用除外の人も含む |
障害者雇用状況報告の「常用労働者」の数え方とは別の定義なので、同じ数字を流用しないよう注意してください。
令和8年の様式変更
令和8年の報告から、高年齢者雇用状況等報告書の様式が変わりました。記入要領によると、⑩欄(継続雇用制度の状況)と⑲欄(基準の適用状況)が変更されています。旧様式は使えないため、来年も必ずその年の6月1日以降に厚生労働省のホームページから最新の様式をダウンロードしてください。入力内容をチェックできるExcelのエラーチェックツールも用意されています。
報告内容はどう使われるか
報告は、65歳までの高年齢者雇用確保措置と、70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況を把握し、ハローワーク等が助言・指導をするための基本情報として使われます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 65歳までの雇用確保(義務) | 定年を65歳未満としている場合は、65歳までの定年引上げ・定年制の廃止・65歳までの継続雇用制度のいずれか |
| 70歳までの就業確保(努力義務) | 70歳までの定年引上げ、定年制の廃止、70歳までの継続雇用制度、業務委託契約の制度、社会貢献事業に従事できる制度のいずれか |
65歳までの雇用確保措置について指導・助言に従わず、勧告にも従わない場合は、企業名の公表の対象になり得ます。報告書の記入中に「継続雇用の対象者を基準で限定している」など、制度上の問題に気づいた場合は、就業規則の見直しを検討しましょう(→定年・継続雇用の実務)。
来年に向けて今から整えておくこと
- □ 今年提出した報告書の控え(または電子申請の控え)を、来年の担当者が見られる場所に保存した
- □ 就業規則の定年・継続雇用・65歳超の制度の条文と、報告書の記入内容が一致しているか確認した
- □ 6月1日時点の常用労働者数・従業員数を、年齢・性別別に抽出できる集計表を作った
- □ 過去1年間の離職者・定年到達者・継続雇用者の人数を記録する仕組みを作った
- □ GビズIDの有無と管理者を確認した
- □ 6月の業務予定に、障害者雇用状況報告とあわせて組み込んだ(→6月にやること、7月にやること)
高年齢者の活躍の場づくりや処遇の考え方はシニア社員の活躍、65歳以上の雇用保険は65歳以上の雇用保険を参照してください。
まとめ
- 高年齢者雇用状況等報告は、毎年6月1日現在の状況を7月15日までに本社管轄のハローワークへ出す。高年齢者がいなくても必要
- 記入は就業規則等に定める制度に基づく。常用労働者と従業員で数える範囲が違う
- 令和8年から様式が変わった。来年も最新様式をその年にダウンロードして使う
- 報告は65歳までの雇用確保措置の指導に使われる。就業規則と制度の整合を確認しておく
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- 継続雇用制度
- 定年に達した社員を、本人が希望すれば引き続き雇用する制度です。定年でいったん退職して新たに契約を結ぶ「再雇用制度」と、退職せずに雇用を続ける「勤務延長制度」があります。
- 高年齢者雇用確保措置
- 65歳未満の定年を定めている会社が、65歳までの雇用を確保するために講じなければならない措置です。定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを選びます。
- 高年齢者就業確保措置
- 65歳から70歳までの就業機会を確保するために、事業主が講じるよう努めなければならない措置です。2021年4月から努力義務になりました。
- 雇用保険
- 労働者が失業したときや、育児・介護で休業したときなどに給付を行う公的保険です。週20時間以上働き、31日以上雇用見込みがある人が原則として加入します。
- 就業規則
- 労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
- 所定労働時間
- 就業規則や労働契約で会社が決めた、始業から終業までの時間から休憩時間を除いた労働時間です。法定労働時間の範囲内で定めます。
- GビズID
- 1つのIDとパスワードで、社会保険・労働保険の電子申請や補助金の申請など、複数の行政サービスにログインできる法人・個人事業主向けの共通認証の仕組みです。
- 定年
- 一定の年齢に達したことを理由に労働契約が終了する制度です。定年を定める場合は60歳以上にしなければなりません。
- 適用事業所
- 健康保険・厚生年金保険の加入が義務づけられた事業所です。法人は従業員が1人でも、社長1人でも適用事業所になります。
- 電子署名
- 電子文書について、誰が作成したか(本人性)と、作成後に改ざんされていないか(完全性)を確認できるようにする技術・措置です。紙の文書の署名・押印にあたります。
- ハローワーク
- 厚生労働省の公共職業安定所の愛称です。職業紹介や求人の受付のほか、雇用保険の加入・喪失や給付の手続きの窓口になっています。
- 法人番号
- 国税庁が会社などの法人に1つずつ指定する13桁の番号です。個人のマイナンバーと違って公表されており、誰でも自由に利用できます。