計画年休の労使協定案と年間の付与日をAIで下書きする:来年のカレンダーから候補日を出し、5日を超える部分か・協定事項の漏れを人が確かめる
年次有給休暇の計画的付与(計画年休)は、年5日の取得義務への対応にも使えます。生成AIで来年の休日カレンダーから付与日の候補を出し、一斉・班別・個人別の方式ごとに労使協定案と社員への案内文を下書きする手順と、5日を超える部分の確認や協定事項の漏れを人が確かめるポイントを解説します。
- 対象読者
- 来年度の休日カレンダーと合わせて年次有給休暇の計画的付与を検討している、従業員30〜300名の企業の人事・労務担当者
- 難易度
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- 最終確認日
この記事のポイント
- AIには、来年の休日カレンダーと業務の繁閑をもとに、連休をつくる付与日の候補と、方式ごとの労使協定案・社員への案内文を下書きさせる
- 計画的付与できるのは年次有給休暇のうち5日を超える部分。就業規則の規定と過半数組合または過半数代表者との書面の協定が必要で、協定の届出は不要。年休が少ない人の扱いと付与日の変更手続きも協定で決めておく
- 社員ごとの年休の残日数や氏名、休職・育休の予定などはAIに入力しない。対象者の確認は人が年休管理簿で行う
来年の会社カレンダーを作る時期は、年次有給休暇の計画的付与(計画年休:労使協定で年休の取得日をあらかじめ決める制度)を見直すよい機会です。夏季休暇や年末年始に計画年休を組み合わせれば連休をつくれ、年5日の取得義務の達成にもつながります。
この記事では、来年のカレンダーから計画年休の候補日を出し、労使協定案と社員への案内文を生成AIで下書きする手順を解説します。制度の詳しい説明は年次有給休暇の計画的付与(計画年休)の導入、年5日の取得義務は年5日の年次有給休暇の取得義務を参考にしてください。
AIに任せること・任せないこと
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| AIに任せる | カレンダーからの候補日の洗い出し、方式ごとの比較表、労使協定案・就業規則の規定例・社員への案内文の下書き |
| 人が確認する | 5日を超える部分に収まるか、対象から外す人、年休が少ない人の扱い、協定の締結手続き、業務への影響 |
| AIに入力しない | 社員ごとの年休の残日数・付与日、氏名・社員番号、休職・育休・退職の予定、病気などの事情 |
前提:計画年休のルールを確認しておく
厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」は、計画年休の導入に必要な手続きを次のように説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象にできる日数 | 年次有給休暇の付与日数のうち5日を超える部分。少なくとも5日は本人が自由に取得できるよう残す |
| 必要な手続き | 就業規則に計画的付与の規定を置き、過半数労働組合または過半数代表者と書面で協定を結ぶ |
| 協定の届出 | 労働基準監督署への届出は不要 |
| 年5日との関係 | 計画的付与で取得した年休も、年5日の取得義務の5日に数えられる |
労使協定で定める項目は、①対象者、②対象となる年休の日数、③具体的な付与の方法、④年休の付与日数が少ない者の扱い、⑤付与日の変更の手続きです。一斉付与の場合、5日を超える年休がない新入社員などには、休業日を有給の特別休暇にするか、平均賃金の60%以上の休業手当を払うなどの措置が必要です。
手順1:来年のカレンダーから候補日を出す
来年(2027年)の会社カレンダーについて、年次有給休暇の計画的付与の候補日を考えてください。
・所定休日:土日・祝日、年末年始は12月29日〜1月3日、夏季休暇は会社休日として8月13日〜15日
・業務が落ち着く時期:2月、8月
・候補の考え方:飛び石連休の間(ブリッジホリデー)、夏季・年末年始の前後、閑散期
・計画的付与は1人あたり年3日まで
候補日ごとに「つながる連休の日数」「理由」を表にしてください。
曜日は必ず暦で確認できるよう、日付と曜日を並べて書いてください。
AIは日付と曜日を取り違えることがあります。候補日は、実際のカレンダーで曜日と祝日を必ず確かめます。祝日は法改正で変わることもあるため、内閣府が公表する国民の祝日で確認します。
手順2:方式を比べる
| 方式 | 向いている職場 | AIに作らせる資料 |
|---|---|---|
| 一斉付与 | 工場や事務所全体を休みにできる | 付与日を入れたカレンダー、協定案 |
| 班・グループ別の交替制 | 店舗や窓口など、全員は休めない | 班ごとの付与日の表、協定案 |
| 個人別(計画表による) | 職種がばらばらで、一斉に休めない | 計画表の様式、作成時期と手続きの案、協定案 |
AIに「当社は〇〇の業務があり、問い合わせ窓口は毎日2名以上必要」などの条件を伝えて、方式ごとの長所と注意点を表にさせると、社内の検討資料になります。
手順3:労使協定案と就業規則の規定を下書きする
次の条件で、年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定案を作ってください。
・方式:一斉付与(本社勤務の社員)
・付与日:2027年5月6日、8月12日、12月28日
・協定に入れる項目:対象者、対象日数、付与日、年休が5日を超えない者の扱い(有給の特別休暇とする)、
付与日の変更手続き(業務上やむを得ない場合は〇日前までに過半数代表者と協議して変更)、有効期間
・対象から外す者:計画的付与の時季に育児休業・産前産後休業に入ることが分かっている者、
付与日より前に退職することが分かっている者
協定の各条の後ろに、根拠となる考え方を1行で注記してください(注記は最終版では削除します)。
就業規則に計画的付与の規定がない場合は、規定の追加も必要です。社内の規程の書きぶりに合わせて、条文案をAIに作らせ、モデル就業規則や厚生労働省の規定例と見比べます。協定の相手となる過半数代表者の選び方は過半数代表者の選出で確認します。
手順4:対象者と日数を人が確かめる
AIが作った協定案をもとに、対象者ごとの日数を年休管理簿で確かめます。
- 付与日数が少ない人(入社1年目、所定労働日数の少ないパートタイマー)が、5日を超える部分に収まるかを見る
- 5日を超える年休がない人に、特別休暇か休業手当のどちらで対応するかを決める
- 育児休業や退職の予定がある人を対象から外す扱いが、協定の書き方と合っているかを見る
- 個人別方式なら、計画表の作成時期と、本人の希望の聞き方を決める
手順5:社員への案内文を作る
手順3の労使協定の内容を、社員向けの案内文にしてください。
・冒頭に、2027年の計画年休の日付と、つながる連休を表で示す
・計画年休は年次有給休暇の一部を使うこと、残りの年休は今までどおり自由に取れることを書く
・年休の日数が少ない人の扱いは「人事から個別に連絡します」とする
・です・ます調、500字以内
案内文には、自分の年休が何日減るのかを気にする社員の質問が集まります。「計画年休の日を除いた残りの日数は給与明細(または勤怠システム)で確認できます」などと確認方法を添えると問い合わせが減ります。
導入後の運用で確認すること
計画年休は、協定を結んだあとの運用で問題が起きやすい制度です。次の点を年休管理簿とあわせて確認します。
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 中途入社者 | 入社時期によって5日を超える年休がない場合の扱い(特別休暇か休業手当か) |
| 付与日に休職中・育休中の人 | 協定で対象から外しているか、外していない場合の扱い |
| 業務の都合で付与日を変えたい | 協定で定めた変更の手続きに沿っているか |
| 年5日の取得状況 | 計画年休の日数を含めて、基準日から1年以内に5日に届くか |
AIには、協定の条文と上の表を渡して「運用で迷いそうな場面と、協定のどの条文で判断するか」を表にさせると、社内のQ&Aの下書きになります。個別の社員の状況は入力せず、判断は人が協定の原文で行います。
まとめ
- AIには、来年のカレンダーから計画年休の候補日を出させ、方式ごとの比較表、労使協定案、案内文を下書きさせる
- 計画的付与できるのは5日を超える部分。就業規則の規定と書面の労使協定が必要で、協定の届出は不要
- 年休が少ない人の扱い、付与日の変更手続き、対象から外す人は協定で決め、人が年休管理簿で確かめる
- 社員ごとの年休の残日数や休職・育休の予定はAIに入力しない
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この記事で使えるテンプレート
労務 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定書 労働基準法39条6項の計画的付与(計画年休)の労使協定書です。一斉付与・班別交替・個人別付与の3方式から選べ、対象者、計画付与の日数、付与日、日数が足りない人の扱い、付与日の変更手続きまで記入できます。 労務 年次有給休暇管理簿 法律で作成・保存が義務づけられている年次有給休暇管理簿のひな形です。基準日・付与日数・取得日・残日数に加え、年5日の取得義務の達成状況と時季指定の有無を従業員ごとに管理できます。この記事に出てくる用語
- 育児休業
- 子を養育するために、原則として子が1歳になるまで取得できる休業です。育児・介護休業法にもとづき、保育所に入れないなどの場合は最長2歳まで延長できます。
- 過半数代表者
- 労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場で、労使協定の締結や就業規則の意見聴取の相手方になる、労働者の過半数を代表する人です。
- 休業手当
- 会社の都合(使用者の責に帰すべき事由)で労働者を休ませたときに支払う手当で、平均賃金の60%以上が必要です。
- 休職
- 病気やけがなどで働けない社員について、労働契約を続けたまま一定期間、労働義務を免除する制度です。法律上の義務ではなく、会社が就業規則で内容を決めます。
- 計画的付与
- 労使協定を結び、年次有給休暇のうち5日を超える部分について、会社があらかじめ取得日を決めて与える制度です。
- 就業規則
- 労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
- 年5日の取得義務
- 年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、会社が時季を指定して年5日を確実に取得させる義務です。2019年4月から始まりました。
- 年次有給休暇
- 一定期間働いた労働者に与えられる、賃金が支払われる休暇です。6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すると10日付与され、勤続に応じて最大20日まで増えます。
- 平均賃金
- 解雇予告手当や休業手当などを計算するときの基準になる1日あたりの賃金です。原則として直前3か月の賃金総額をその期間の総日数で割って求めます。
- 労使協定
- 会社と、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数代表者)との間で結ぶ書面の協定です。法律の原則を例外的に変える効果があります。
- 労働基準監督署
- 労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。
出典・参考資料
この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。
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