収入印紙を貼り間違えたときの還付と交換|印紙税過誤納確認申請の対象・5年の期限、郵便局での交換、手元の印紙の管理
不要な文書に収入印紙を貼った、金額を多く貼った、印紙を貼った契約書が使われなくなった。こうしたときは、印紙税法第14条に基づき税務署で過誤納の確認を受けると還付されます。国税庁の案内をもとに、対象になる場合とならない場合、5年の期限、申請書と原本の提示、郵便局での印紙の交換(1枚5円)、手元の印紙の管理ルールを整理します。
- 対象読者
- 契約書や領収書の印紙を管理している、従業員30〜300名の企業の総務担当者
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- 基本
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この記事のポイント
- 課税文書に必要額を超える印紙を貼った、課税文書でない文書に貼った、印紙を貼った課税文書の用紙を使う見込みがなくなった、といった場合は、納税地の所轄税務署長の確認を受けて還付を受けられる(印紙税法第14条)
- 「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を出し、印紙を貼った文書の原本を提示する。郵送での提出が推奨され、請求できる日から5年を過ぎると還付されない。相手に交付済みの文書や印紙を切り取ったものは対象外
- 汚れていない印紙は、郵便局で別の額面の印紙に交換できる(1枚5円の手数料、現金化は不可)。登録免許税などの手数料の納付に使った印紙は印紙税の還付の対象にならない
契約書の製本を終えてから契約条件が変わり、印紙を貼った契約書が使えなくなった。委任状に「念のため」と印紙を貼ってしまった。200円で足りる領収書に4,000円の印紙を貼っていた。印紙は少額でも、貼り間違えたまま放置すると会社の損失になります。
印紙税は、貼り間違えても自動的には戻ってきませんが、税務署に申請すれば還付を受けられる場合があります。この記事では、還付の手続と郵便局での交換、手元の印紙の管理を整理します。どの文書に印紙が必要かは契約書と印紙税の基本で解説しています。
還付の対象になる場合
印紙税法第14条は、印紙税の過誤納金の還付を受けようとする人は、納税地の所轄税務署長の確認を受けなければならないと定めています。国税庁のタックスアンサーNo.7130は、次のような場合を挙げています。
| 場合 | 例 |
|---|---|
| 必要な額を超える印紙を貼った | 請負契約書・領収書などに、税額より多い印紙を貼った |
| 課税文書でない文書に、課税文書と誤認して貼った | 委任契約書(委任状)など、課税されない文書に貼った |
| 印紙を貼った課税文書の用紙を、使う見込みがなくなった | 契約書を作り直すことになり、印紙を貼った用紙が不要になった |
国税庁の質疑応答事例は、印紙税は課税文書を「作成」したときに納付義務が生じ、作成とは相手方に交付するなど文書の目的に従って使うときをいうとしています。印紙を貼っただけで、文書として使われなかったものは過誤納になります。
還付の対象にならない場合
国税庁の案内では、次のようなものは対象になりません。
- 印紙を切り取ったもの(文書と一体になっていない印紙)
- 相手方にすでに交付した領収書や、いったん成立した契約書を後で解除した場合など、課税文書として作成済みのもの
- 登録免許税や特許の手数料など、印紙税以外の国の手数料の納付に誤って使った印紙(印紙税法の還付の対象外)
- 文書を作成した日などから5年を過ぎたもの(還付金の請求権は、請求できる日から5年で消滅する)
ポイントは、文書を相手に渡す前に気づくことと、印紙を剥がさずに文書ごと保管することです。間違いに気づいたら、印紙を剥がしたり捨てたりせず、総務に回すよう社内で周知します。
申請の手順
| いつ | 誰が | どこに | 何を |
|---|---|---|---|
| 過誤納に気づいたら(5年以内) | 文書の作成者(会社) | 納税地の所轄税務署 | 印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書と、印紙を貼った文書の原本 |
- 対象の文書を集め、印紙の額面と枚数、過誤納の理由を一覧にする
- 国税庁のホームページの入力用様式などで「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を作る。e-Taxで作成・提出することもできる
- 印紙を貼った文書の原本を提示する。国税庁は可能な限り郵送での提出を求めており、内部事務を業務センターで集約している税務署は、業務センターあてに送る
- 還付は振込などで行われるため、入金まで時間がかかる。税務署から、還付する場合は「国税還付金振込通知書」が、確認しない場合は「印紙税の過誤納の事実の確認をしないことの通知書」が届く
納税地は文書の種類や内容で変わることがあります。どの税務署に出すか迷う場合は、本店所在地の税務署に確認します。
社内で起きやすい場面
総務に持ち込まれやすいケースを、還付の対象になるかで整理すると次のとおりです。最終的な判断は税務署が行います。
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| 製本・押印前に契約金額が変わり、印紙を貼った契約書を作り直した | 相手に渡していなければ、使わなくなった用紙として対象になり得る |
| 2通作成した契約書の1通に、誤って高い額面の印紙を貼った | 必要額を超える部分が対象になり得る |
| 印紙が不要な覚書・委任状に貼ってしまった | 課税文書でない文書に貼った場合として対象になり得る |
| 領収書を相手に渡した後で、印紙が多すぎたと気づいた | 交付済みの文書は原本を提示できないため、対象外になる可能性が高い |
| 署名・押印後に契約を合意解除した | 契約書はすでに作成されているため対象外 |
申請前に社内でそろえるもの
- 印紙を貼った文書の原本(コピーは不可)
- 文書ごとの作成予定日、使わなくなった理由のメモ(契約担当者から聞き取る)
- 会社の納税地・法人番号、還付金の振込先口座
複数の部署から少しずつ持ち込まれる場合は、総務で一定期間まとめてから1回で申請すると手間を減らせます。ただし、5年の期限があるため、年に1回は保管分を確認します。
郵便局で印紙を交換する
買いすぎた印紙や、使わない額面の印紙は、税務署ではなく郵便局で別の額面の印紙に交換できます。タックスアンサーNo.7130は、次のように案内しています。
- 汚れたり損傷したりしていない印紙が対象
- 交換手数料は1枚につき5円
- 現金との交換はできない
文書に貼ってしまった印紙は交換ではなく、過誤納の確認(還付)の手続になります。
手元の印紙の管理ルール
印紙は換金性が高く、紛失や私的流用のリスクがあります。小口現金と同じように管理します。
- 保管は施錠できる金庫・引き出しで、管理者を決める
- 購入・使用の記録(日付・額面・枚数・使った文書)を残す。印章管理簿と同じ帳簿で管理してもよい
- 使用前に、文書の種類と記載金額から必要な税額をもう一度確認する
- 消印(文書と印紙の彩紋にかけて押印・署名すること)を忘れない。方法は契約書と印紙税の基本を参照
- 契約書の作成・送付の記録は契約書管理台帳に残し、不要になった文書が出たら還付の対象かを確認する
印紙を貼り忘れた場合は、逆に過怠税がかかります(印紙税法第20条)。貼り忘れと貼り間違いの両方を防ぐため、契約書のチェックリストに印紙の欄を入れておきます。電子契約にすると印紙税はかからないため、取引の多い契約は電子化も検討します(→電子契約サービスの選び方)。
まとめ
- 必要額を超えて貼った、課税文書でない文書に貼った、使わなくなった、という印紙は税務署の確認を受けて還付される
- 申請書を出し、印紙を貼った文書の原本を提示する。期限は5年。剥がした印紙や交付済みの文書は対象外
- 文書に貼っていない印紙は、郵便局で1枚5円の手数料で別の額面に交換できる
- 印紙は換金性が高いため、保管者と使用記録を決めて管理する
この記事で使えるテンプレート
総務 契約書管理台帳 取引先との契約書を一覧で管理する台帳です。契約期間・自動更新の有無・解約予告期限・保管場所(紙/電子)・印紙の有無・担当部署を記録し、更新や解約の判断漏れを防ぎます。 総務 印章管理簿・押印申請簿 代表者印・銀行印・角印などの会社印の押印を、申請・承認・押印・持出し・返却まで1行で記録する押印申請簿です。誰が・いつ・何の文書に・どの印を押したかを残し、不正使用を防ぎます。この記事に出てくる用語
- 印紙税
- 契約書や領収書など、印紙税法で定められた文書(課税文書)を作成したときにかかる国税です。通常は収入印紙を貼って消印することで納めます。
- 課税文書
- 印紙税法の課税物件表に掲げられた20種類の文書のうち、非課税文書にあたらないもので、印紙税がかかる文書です。請負契約書、継続的取引の基本契約書、領収書などが代表例です。
- 過怠税
- 課税文書に必要な収入印紙を貼らなかったり、消印をしなかったりしたときに課される税金です。貼らなかった場合は原則として本来の印紙税額の3倍になります。
- 電子契約
- 紙の契約書に署名・押印する代わりに、PDFなどの電子データに電子署名などを付けて契約を結ぶ方法です。印紙税がかからず、締結までの時間と郵送コストを減らせます。
- 登録免許税
- 登記や登録、免許などを受けるときに国に納める税金です。会社の設立・役員変更・本店移転・増資などの商業登記を申請するときに納めます。
- 法人番号
- 国税庁が会社などの法人に1つずつ指定する13桁の番号です。個人のマイナンバーと違って公表されており、誰でも自由に利用できます。