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深夜業がある職場の健康診断|特定業務従事者健診の6か月ごとの実施と自発的健康診断の受け方

22時〜5時の深夜業を含む業務に常時従事する人には、配置替えの際と6か月以内ごとに1回の健康診断(特定業務従事者の健康診断)が必要です。対象者の考え方、胸部エックス線を年1回にできるルール、省略できる項目、深夜業従事者が自ら受けた健診結果を提出できる「自発的健康診断」と、結果を受けた後の措置を整理します。

対象読者
夜勤・交替制勤務がある従業員30〜300名の企業の労務担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 深夜業を含む業務に常時従事する人には、配置替えの際と6か月以内ごとに1回、定期健診と同じ項目の健康診断を行う。胸部エックス線検査などは1年以内ごとに1回でよい(労働安全衛生規則第45条)
  • 前回受けた項目のうち貧血・肝機能・血中脂質・血糖・心電図は、医師が必要でないと認めれば省略できる。結果は健康診断個人票で5年間保存する
  • 6か月を平均して月4回以上深夜業に従事した人は、自ら受けた健診の結果を受診から3か月以内に会社へ提出でき、会社は医師の意見を聴いて必要な措置を検討する

夜勤や交替制勤務がある会社では、年1回の定期健康診断だけでは足りない場合があります。深夜業を含む業務に常時従事する人は「特定業務従事者」として、6か月以内ごとに1回の健康診断が必要です。

年1回で済ませてしまっている、パートの夜勤者が対象から漏れている、といった点検漏れは珍しくありません。この記事では、深夜業がある職場で必要な健康診断のルールを整理します。一般的な定期健診の基本は定期健康診断の実施義務と事後措置を参照してください。

特定業務従事者の健康診断とは

労働安全衛生規則第45条は、同規則第13条第1項第3号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、次の時期に健康診断を行うよう定めています。

項目 内容
実施時期 当該業務への配置替えの際、および6か月以内ごとに1回、定期に
健診項目 定期健康診断(第44条)と同じ11項目
胸部エックス線検査・喀痰検査 1年以内ごとに1回でよい
結果の記録 健康診断個人票を作成し5年間保存(第51条)

第13条第1項第3号には、暑熱・寒冷な場所での業務、重量物の取扱いなど重激な業務、強烈な騒音を発する場所での業務などと並んで、**「深夜業を含む業務」**が挙げられています。一般の事務所で問題になるのは、ほとんどがこの深夜業です。

深夜業とは

労働安全衛生法第66条の2は、深夜業を「午後10時から午前5時まで」の間における業務としています。労働基準法の深夜割増賃金の時間帯と同じです(→深夜・休日の割増賃金)。

「常時従事する」の考え方

規則そのものには「何回以上なら常時」という数字の定めはありません。行政解釈(昭和23年10月1日基発第1456号)では、深夜業を1週に1回以上、または1か月に4回以上行う場合を「常時従事」の目安としています(6か月を平均してみる考え方です)。夜勤がシフトに組み込まれ、継続的に深夜時間帯に働く人は対象と考えるのが安全です。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署や産業医に確認しましょう。

パート・アルバイトの夜勤者も対象になり得ます。短時間労働者が健診の対象になるかの目安(通達)では、使用期間の要件が、特定業務従事者健診については「6か月以上使用されることが予定され、又は更新により6か月以上使用されている者」とされています(労働時間の要件は通常の労働者の週所定労働時間の4分の3以上)。夜勤専従のパートを健診の対象から外していないか確認してください。

実施のスケジュールの組み方

6か月以内ごとに1回なので、年2回の実施になります。よく使われるのは次の組み方です。

時期 対象 内容
例:5月 全員 定期健康診断(深夜業従事者は特定業務従事者健診として実施)
例:11月 深夜業従事者のみ 2回目の特定業務従事者健診

2回目は、胸部エックス線検査を省略できるほか、次の省略も認められています。

  • 前回の健診で貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図検査を受けた人は、医師が必要でないと認めるとき、その項目の全部または一部を省略できる(第45条第2項)
  • 聴力検査は、前回受けた人や45歳未満(35歳・40歳を除く)の人について、医師が適当と認める方法に代えられる(第45条第4項)

省略は「医師が必要でないと認めるとき」に限られます。健診機関との契約時に、2回目の項目を医師の判断で決める形にしておきましょう。

配置替えの際の健診

日勤から夜勤のあるシフトへ移る人には、配置替えの際に健康診断を行います。夜勤者の採用時は、雇入れ時の健康診断と兼ねる形で計画すると漏れを防げます。

結果の報告

常時50人以上の労働者を使用する事業場は、定期の健康診断(第44条・第45条)を行ったとき、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に結果を報告します(第52条)。報告事項には、深夜業などの特定業務に常時従事する労働者の数も含まれます。報告は電子申請で行います(→e-Gov電子申請)。

自発的健康診断

深夜業に従事する人が、会社の健診を待たずに自分で健康診断を受け、その結果を会社に提出できる制度です(労働安全衛生法第66条の2)。

項目 内容(労働安全衛生規則第50条の2・第50条の3)
提出できる人 常時使用され、受診日前6か月間を平均して1か月当たり4回以上深夜業に従事した人
提出できる結果 定期健康診断の項目の全部または一部について、自ら受けた医師による健康診断の結果を証明する書面
提出期限 受診した日から3か月以内

会社は、提出された結果に異常の所見がある場合、医師の意見を聴き(法第66条の4)、必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの措置を講じます(法第66条の5)。結果は健康診断個人票に記録して5年間保存します。

夜勤者には、制度の存在を就業規則や社内掲示で知らせておくとよいでしょう。

結果を受け取った後の対応

深夜業は睡眠や生活リズムへの影響が大きく、事後措置が重要です。

  1. 異常所見のある人を抽出する:特定業務従事者健診・自発的健診の両方
  2. 医師の意見を聴く:産業医がいれば産業医に。夜勤を続けてよいか、回数を減らすべきかを具体的に聞く
  3. 本人の意見を聴いて措置を決める:夜勤回数の調整、日勤への一時的な変更など
  4. 再検査・精密検査を勧める:受診勧奨通知を使って記録を残す
  5. シフトに反映する:シフト作成者と措置内容を共有する(→シフト勤務の管理)

長時間労働が重なっている人は、長時間労働者への医師の面接指導の対象にもなっていないか確認します。

担当者のチェックリスト

  • □ 深夜業に常時従事する人の名簿を作り、健診の対象者リストと照合した
  • □ 6か月以内ごとに1回の実施日程を、健診機関と年間で確保した
  • □ 2回目の健診の省略項目を、医師の判断で決める運用にした
  • □ 日勤から夜勤へ配置替えする人の健診を、異動の手続に組み込んだ
  • □ 自発的健康診断の制度を夜勤者に周知した
  • □ 結果を健康診断個人票で5年間保存している(健康診断管理表)

まとめ

  • 深夜業(22時〜5時)を含む業務に常時従事する人は、配置替えの際と6か月以内ごとに1回の健康診断が必要
  • 胸部エックス線検査などは年1回でよく、2回目は医師の判断で一部項目を省略できる
  • 6か月平均で月4回以上深夜業に従事した人は、自ら受けた健診結果を3か月以内に提出できる
  • 異常所見があれば医師の意見を聴き、深夜業の回数の減少などの措置を検討する

この記事で使えるテンプレート

CSV 労務 健康診断 受診管理表 従業員ごとの健康診断の受診予定・受診日・結果判定・再検査・医師の意見聴取・就業上の措置までを一覧で管理する表です。未受診者のフォローや、労働基準監督署への結果報告の準備に使えます。 DOCX 労務 健康診断 受診勧奨通知(未受診者・要再検査者) 定期健康診断の未受診者への受診のお願いと、「要再検査」「要精密検査」となった従業員への受診勧奨・結果提出のお願いを、1つのファイルにまとめた通知文です。健康情報の取扱い、費用・勤務時間の扱い、提出先、回答欄まで入れています。

この記事に出てくる用語

産業医
労働者の健康管理について専門的な立場から指導・助言を行う医師です。常時50人以上の労働者を使用する事業場は選任が義務づけられています。
就業規則
労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
所定労働時間
就業規則や労働契約で会社が決めた、始業から終業までの時間から休憩時間を除いた労働時間です。法定労働時間の範囲内で定めます。
深夜業
午後10時から午前5時までの間の労働です。25%以上の割増賃金が必要で、深夜業に常時従事する人には6か月ごとの健康診断が義務づけられています。
定期健康診断
常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、医師による健康診断を行うことです。労働安全衛生法で会社に実施が義務づけられています。
労働基準監督署
労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。
割増賃金
時間外労働・休日労働・深夜労働をさせたときに、通常の賃金に上乗せして支払う賃金です。率は労働基準法と政令で定められています。

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出典・参考資料

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