休日労働・深夜労働の割増賃金|法定休日の特定、35%・25%・60%の組み合わせと振替休日・代休
休日出勤の割増率は、その日が法定休日か所定休日かで35%と25%に分かれます。法定休日の考え方と就業規則での特定、特定していない場合の判定、深夜労働との組み合わせ、振替休日と代休の違い、月60時間の算定との関係を厚生労働省の資料をもとに整理します。
- 対象読者
- 従業員30〜300名の企業で、休日出勤や夜間勤務の給与計算を担当する労務担当者
- 難易度
- 実務
- 所要時間
- 読了9分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 法定休日(週1日または4週4日)の労働は35%以上、午後10時〜午前5時の深夜労働は25%以上。法定休日の深夜は60%以上になる
- 土曜・日曜が休みの会社では、どちらが法定休日かで割増率が変わる。特定する義務はないが、就業規則で「毎週日曜日」などと定めておくのが望ましい
- 事前に休日を入れ替える振替休日なら休日労働にならない。事後に休みを与える代休では、休日労働の割増は消えない
休日出勤の給与計算で迷いやすいのが、「この日は35%か、25%か」という判断です。答えは、その日が法定休日か、会社が独自に定めた所定休日かで決まります。
この記事では、休日労働と深夜労働の割増のルールを、法定休日の特定という観点から整理します。割増賃金の基本的な計算方法は残業代(割増賃金)の正しい計算方法で解説しています。
法定休日と所定休日
労働基準法35条は、毎週少なくとも1日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えるよう定めています。これが法定休日です。それ以外に会社が定める休日は所定休日(法定外休日)と呼ばれます。
| 区分 | 内容 | 働かせた場合の扱い |
|---|---|---|
| 法定休日 | 週1日(または4週4日)の休日 | 休日労働。35%以上の割増。36協定で休日労働の定めが必要 |
| 所定休日 | 法定休日以外の会社の休日(週休2日の残り1日、祝日など) | 休日労働ではない。週40時間を超えた部分が時間外労働として25%以上 |
週休2日制の会社では、2日の休日のうち1日が法定休日、もう1日は所定休日です。祝日や年末年始の休みも、法定休日として定めていなければ所定休日です。
割増率の組み合わせ
| 労働の種類 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働(1日8時間・週40時間超) | 25%以上(月60時間超は50%以上) |
| 法定休日労働 | 35%以上 |
| 深夜労働(午後10時〜午前5時) | 25%以上 |
| 時間外労働+深夜労働 | 50%以上 |
| 法定休日労働+深夜労働 | 60%以上 |
法定休日労働に「時間外」はない
法定休日に8時間を超えて働かせても、休日労働の35%のままです。法定休日には所定労働時間がないため、時間外労働の25%は上乗せしません。ただし、午後10時以降にかかれば深夜の25%を加えて60%になります。
計算例
1時間あたりの賃金が2,000円の人が、法定休日に9時〜23時(休憩1時間)働いた場合です。
| 時間帯 | 時間数 | 割増率 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 9時〜22時(休憩除く) | 12時間 | 1.35 | 32,400円 |
| 22時〜23時 | 1時間 | 1.60 | 3,200円 |
| 合計 | 13時間 | — | 35,600円 |
深夜労働は管理監督者にも必要
深夜の割増は、労働時間・休日の規定が適用されない管理監督者にも必要です。詳しくは管理監督者の範囲と「名ばかり管理職」を参照してください。
法定休日を特定する
特定する義務はないが、定めておくのが望ましい
労働基準法には、法定休日を特定する義務はありません。しかし、特定していないと「土曜と日曜のどちらに働いたら35%なのか」があいまいになります。労働局の資料でも、法定休日と所定休日を区別して就業規則に定めることが望ましいとされています。
就業規則の規定例は次のとおりです。
休日は、土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)とする。このうち法定休日は日曜日とする。
特定していない場合の判定
厚生労働省の質疑応答では、法定休日が特定されていない場合に、暦週(日曜〜土曜)の日曜日と土曜日の両方に働いたときは、暦週で後に位置する土曜日の労働が法定休日労働になるとされています。どちらか一方だけ働いた場合は、もう一方の休日が確保されているため、法定休日労働にはなりません。
4週4日の休日制では、ある休日に働かせたことで以後4週4日の休日が確保できなくなるときに、その休日以後の休日労働が法定休日労働になります。4週4日制をとる場合は、就業規則で4週間の起算日を定めておく必要があります。
「休日はすべて35%」と定めている場合
就業規則や賃金規程で「休日に勤務した場合は35%増し」と書いていると、所定休日の勤務にも35%を払う必要が生じることがあります。法律より有利な定めは有効だからです。規程の文言と給与システムの設定が合っているか確認しましょう。
振替休日と代休の違い
| 項目 | 振替休日 | 代休 |
|---|---|---|
| 意味 | 事前に休日と労働日を入れ替える | 休日に働かせた後で、代わりの休みを与える |
| 働いた日の扱い | 労働日になるため、休日労働にならない | 休日労働のまま |
| 割増賃金 | 休日の割増は不要。ただし振替で週40時間を超えた部分は25%以上 | 法定休日なら35%以上、所定休日なら週40時間超部分に25%以上が必要 |
| 必要な手続き | 就業規則の振替規定、事前の振替日の特定 | 就業規則の代休規定。休日労働には36協定が必要 |
振替休日は、同じ週の中で入れ替えると週40時間を超えにくくなります。代休を与えた場合、休んだ日の賃金(1.00分)を差し引くことはできても、割増部分(0.35分など)は支払う必要があります。
月60時間の算定との関係
月60時間を超える時間外労働には50%以上の割増が必要です。この60時間には、法定休日の労働時間は含めません。一方、所定休日に働いて週40時間を超えた時間は、時間外労働として含めます。法定休日を特定しておくことは、60時間の判定を正しく行うためにも大切です。時間外・休日労働の上限は36協定の基本と残業時間の上限規制を参照してください。
よくある質問
夜勤専従で、所定労働時間内の深夜勤務にも割増が必要?
必要です。深夜の割増は時間外労働かどうかに関係なく、午後10時〜午前5時に働いた時間に対して25%以上が必要です。所定労働時間内であれば、1時間あたりの賃金に0.25を加算した額(深夜手当)を支払います。夜勤手当を定額で払っている場合は、深夜割増分を上回っているか確認しましょう。
祝日に出勤させたら35%?
祝日を法定休日と定めていなければ、祝日は所定休日です。週40時間を超えた部分が時間外労働(25%以上)になります。就業規則で「祝日も法定休日とする」と定めている場合や、「休日出勤は35%」と定めている場合は、その定めに従います。
休日労働にも36協定は必要?
法定休日に働かせるには、36協定で休日労働の日数と始業・終業時刻を定め、労働基準監督署に届け出ておく必要があります。所定休日の勤務は、週40時間を超える部分が時間外労働として36協定の対象になります。
まとめ
- 法定休日の労働は35%以上、所定休日の労働は週40時間超部分が時間外として25%以上
- 深夜(午後10時〜午前5時)は25%以上。法定休日の深夜は60%以上。法定休日に時間外の上乗せはない
- 法定休日は就業規則で特定しておく。特定していないと、暦週で後の休日が法定休日と扱われる
- 振替休日は事前の入れ替えで休日労働にならない。代休では割増が残る
- 月60時間の算定に法定休日労働は含めない