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中小企業のインターンシップの始め方|オープン・カンパニーとの違い、タイプ3の5要件、賃金・労災・学生情報の扱い

2022年6月の文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「三省合意」改正で、学生のキャリア形成支援の取組は4つのタイプに整理され、「インターンシップ」と呼べるのは就業体験を伴うタイプ3・4だけになりました。タイプ3の要件、取得した学生情報を採用に使える時期、学生が労働者にあたる場合の賃金と労災、受入れ前の準備を整理します。

対象読者
大学生向けのインターンシップや1日の会社説明プログラムを初めて企画する従業員30〜300名の企業の人事担当者
難易度
実務
所要時間
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この記事のポイント

  • 1日の会社説明・職場見学はタイプ1「オープン・カンパニー」で、インターンシップとは称さない。インターンシップ(タイプ3)は就業体験が必須で、汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上
  • タイプ3の基準(就業体験・指導・実施期間・実施時期・情報開示)を満たすと、取得した学生情報を広報活動・採用選考活動の開始時期以降に限り使える。募集要項に活用する旨を書いて公表する
  • 学生に業務をさせ、会社が指揮命令し成果を利用しているなど使用従属関係があれば労働者にあたり、最低賃金・労災保険などが適用される。安全とハラスメント対応は受入れ企業の責任

「うちもインターンシップをやった方がいいのか」「1日の説明会をインターンシップと呼んでよいのか」。新卒採用を始めた会社の人事担当者からよく聞く疑問です。学生と早く接点を持てる一方で、名前の使い方、学生情報の扱い、賃金や労災など、決めておくべきことが意外に多くあります。

この記事では、2022年に改正された三省合意の整理に沿って、プログラムの種類の選び方と、受け入れる前の準備を整理します。

4つのタイプと「インターンシップ」の範囲

三省合意では、学生のキャリア形成支援の取組が次の4つに整理されています。このうち「インターンシップ」と称するのはタイプ3とタイプ4です。

タイプ 名称 目的 就業体験 インターンシップと称するか
1 オープン・カンパニー 個社・業界の情報提供 必須ではない 称さない
2 キャリア教育 教育(大学等が行うキャリア教育など) 必須ではない 称さない
3 汎用的能力・専門活用型インターンシップ 自身の能力の見極め、評価材料の取得 必須 称する
4 高度専門型インターンシップ(試行) 博士課程などの高度な専門性 必須 称する

1日で行う会社説明や職場見学、社員との座談会は、タイプ1のオープン・カンパニーにあたります。学生向けの告知では「オープン・カンパニー」「仕事体験」など、内容に合った名称を使いましょう。

タイプ3の要件

タイプ3として実施し、取得した学生情報を採用活動に使うには、次の基準を満たす必要があります。

要件 内容
就業体験要件 必ず就業体験を行い、実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てる(テレワークが常態化している場合はテレワークを含む)
指導要件 職場の社員が学生を指導し、終了後に学生へフィードバックを行う
実施期間要件 汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上
実施時期要件 大学の正課・博士課程を除き、学部3年・4年または修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み・冬休み・入試休み・春休み)に実施する
情報開示要件 募集要項等に、趣旨、実施時期・期間・場所・募集人数・選抜方法・無給/有給、就業体験の内容、求められる能力、フィードバック、学生情報を活用する旨、実施計画、過去の実績概要などを記載し、ホームページ等で公表する

学生情報を使える時期

基準を満たしたタイプ3で取得した学生情報は、広報活動の開始時期以降(会社説明会の案内送付など)と、採用選考活動の開始時期以降(選考プロセスの一部免除など)に限って使えます。厚生労働省のリーフレットは、タイプ1〜4はあくまでキャリア形成支援の取組であって採用活動ではなく、学生は選考開始時期以降に改めてエントリーが必要としています。

政府が要請している就職・採用活動の日程と、専門活用型インターンシップを経た学生の扱いは、中小企業の新卒採用スケジュールと進め方を参照してください。

広報活動の開始時期より前に行う取組で得た学生情報は、タイプ3を除き、広報活動・採用選考活動に使えないのが基本です。オープン・カンパニーの参加者には、広報活動の開始後に改めて会社説明会などを案内する形にします。なお、学生が自ら提出したエントリーシートなどに参加の事実が書かれている場合は、他の書類と同様に使って差し支えないとされています。

学生が「労働者」にあたる場合

三省合意は、受け入れる企業と学生の間に使用従属関係があると認められる場合など、労働関係法令が適用される場合があることに留意するよう求めています。

実態 考え方
見学・説明・体験が中心で、会社の業務に直接従事していない 一般に労働者にはあたらないと考えられる
社員と同じように業務を担当し、会社が成果を利用している、指示で時間を拘束している 労働者と判断される可能性がある。最低賃金以上の賃金、労災保険、労働時間のルールが適用される

判断の枠組みは労働基準法の「労働者」とはで解説しています。5日間以上の就業体験を設計する場合は、学生にどこまで実務を任せるかを先に決め、実務を担当させるなら有給(アルバイトとしての雇用契約)を前提に設計すると判断に迷いません。雇用する場合の手続きは大学生・専門学校生アルバイトの労務管理が参考になります。

安全・災害補償・ハラスメント

三省合意は、現場での安全の確保とハラスメントへの対応は企業が責任をもって行う必要があるとしています。

  • 安全:作業内容に応じた安全教育を行い、危険な作業はさせない(雇入れ時の安全衛生教育)
  • 災害補償:労働者にあたらない場合は労災保険の対象外になるため、大学等と事前に協議し、責任の範囲と補償(学生が加入する保険など)を確認する
  • ハラスメント:受入れ部署の社員に、インターンシップ生への言動の注意点を伝える。2026年10月からは求職者等に対するセクハラの防止措置も事業主の義務になっている(ハラスメント防止措置の総点検)

受入れ前の準備チェックリスト

  • □ プログラムのタイプを決め、名称を内容に合わせた
  • □ タイプ3なら、5要件を満たす日程と就業体験の内容を組んだ
  • □ 募集要項に、無給/有給、学生情報を活用する旨などの必要事項を書いた
  • □ 実務を担当させるか決め、担当させるなら雇用契約・賃金・労災の手続きを準備した
  • □ 指導役の社員を決め、フィードバックの方法と日程を決めた
  • □ 安全教育の内容、ケガをしたときの連絡先と補償の範囲を大学等と確認した
  • □ 受入れ部署にハラスメント防止の注意点を伝えた
  • □ 応募書類やエントリーシートで、本籍や家族のことなど就職差別につながる事項を聞いていない
  • □ 学生の個人情報の利用目的・保存期間を決めた
  • □ 交通費・昼食代などの支給の有無を決めた

応募書類や面談で聞いてはいけない事項は、厚生労働省の公正採用選考特設サイトにまとめられています(中小企業の面接の進め方と評価シート)。

中小企業ならではの工夫

社員数が少ない会社では、5日間以上の就業体験を毎年組むのは負担が大きいこともあります。最初はオープン・カンパニーで会社を知ってもらい、手応えがあればタイプ3に広げる、という段階的な進め方が現実的です。

  • 1日のオープン・カンパニーでも、若手社員との座談会や実際の仕事場の見学を入れると、会社の雰囲気が伝わりやすい
  • 地域の大学のキャリアセンターや、自治体・商工団体が行うインターンシップのマッチング事業を活用すると、学生と接点を作りやすい
  • 終了後のアンケートで、学生が知りたかったことを集め、採用ページや会社説明に反映する(小さな会社の採用広報)

まとめ

  • 1日の説明会・職場見学はタイプ1「オープン・カンパニー」で、インターンシップとは称さない
  • タイプ3は就業体験が必須で、汎用型5日間以上・専門型2週間以上。基準を満たせば、学生情報を広報・選考の開始時期以降に使える
  • 実務を担当させ指揮命令する実態があれば労働者にあたり、賃金・労災などが適用される
  • 安全とハラスメント対応は受入れ企業の責任。災害補償の範囲は大学等と事前に確認する

この記事で使えるテンプレート

DOCX 人事 学生アルバイト 雇用時チェックリスト(年齢確認・雇用保険・社会保険・税の扶養の確認) 学生をアルバイトとして雇うときの確認事項をまとめたチェックリストです。18歳未満の年齢証明書と深夜業・残業の制限、昼間学生の雇用保険の扱い、社会保険の加入判断、扶養控除等申告書と勤労学生控除、親の扶養への影響、卒業後も働く場合の切り替えまでを1枚で確認できます。 CSV 人事 入社オンボーディング計画表(30-60-90日) 入社後30日・60日・90日の到達目標と、やること・担当者・期限・完了状況を管理する計画表です。人事・上長・メンター(育成担当)で役割分担を共有し、中途入社者の早期定着を支えます。

この記事に出てくる用語

最低賃金
最低賃金法にもとづき国が定める賃金の最低額で、会社はこれ以上の賃金を支払う必要があります。都道府県ごとの地域別最低賃金と、特定の産業の特定最低賃金があります。
セクシュアルハラスメント
職場で行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働条件で不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることです。男女雇用機会均等法により、事業主に防止措置が義務づけられています。
労災保険
業務中や通勤中のけが・病気・障害・死亡に対して、治療費や休業中の所得補償などを給付する公的保険です。保険料は全額会社が負担します。

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出典・参考資料

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