第二種計画認定の申請方法|定年後再雇用者の無期転換を特例で外す手順と労働条件通知書の書き方
定年後に有期契約で再雇用した社員も、更新を重ねて通算5年を超えると無期転換申込権が発生します。有期雇用特別措置法の第二種計画の認定を受けると、定年後引き続き雇用されている期間は通算されません。対象者、雇用管理措置の選び方、様式第7号の書き方と添付書類、労働局への提出、認定後の労働条件の明示、認定前から再雇用している人の扱いを法令と厚生労働省の資料で整理します。
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- 定年後再雇用の有期契約を5年を超えて更新する可能性がある従業員30〜300名の企業の人事・労務担当者
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この記事のポイント
- 定年(60歳以上)後に引き続き同じ会社(またはグループの特殊関係事業主)に有期契約で雇用される人は、会社が第二種計画の認定を受けていれば、定年後の期間が無期転換の通算契約期間に算入されない(有期雇用特別措置法第8条第2項)
- 申請は様式第7号「第二種計画認定・変更申請書」に、雇用管理措置を実施することと高年齢者雇用確保措置を講じていることがわかる書類(就業規則など)を添えて、本社を管轄する都道府県労働局に提出する(施行規則第4条)。労働基準監督署経由・郵送・電子申請も可能
- 認定後は、対象者との契約の締結・更新時に「定年後引き続き雇用されている期間は無期転換申込権が発生しない」ことを書面で明示する必要がある。既に申込権を行使した人には特例は適用されない
60歳で定年を迎えた社員を1年契約で再雇用し、65歳まで、さらにその先も更新していく。こうした運用はよくありますが、有期契約を通算5年を超えて更新すると、定年後の再雇用者にも無期転換申込権が発生します。70歳近くになって「期間の定めのない契約」に転換されると、会社には定年に当たる終了時期がなくなってしまいます。
これを避ける制度が、有期雇用特別措置法(専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法)の「第二種計画認定」です。この記事では、申請から認定後の運用までを順に整理します。無期転換ルールそのものは無期転換ルールの実務、定年後再雇用の全体像は定年・継続雇用の実務を参照してください。
特例の内容:定年後の期間が通算されない
労働契約法第18条により、同じ会社との有期労働契約が通算5年を超えると、本人の申込みで無期労働契約に転換されます。有期雇用特別措置法第8条第2項は、第二種計画の認定を受けた事業主(第二種認定事業主)に雇用される対象者については、定年後引き続いてその事業主に雇用されている期間を通算契約期間に算入しないと定めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 定年(60歳以上のものに限る)に達した後、引き続いて同じ事業主に雇用される有期雇用労働者(法第2条第3項第2号) |
| グループ会社で再雇用する場合 | 高年齢者雇用安定法の特殊関係事業主(子会社・親会社など)に定年後引き続き雇用される場合は、その特殊関係事業主が認定を受ける |
| 対象外 | 特殊関係事業主以外の会社での継続雇用、定年後にいったん離れてからの再就職 |
| 効果が及ばない人 | 既に無期転換申込権を行使した人 |
パンフレットは、事業主が認定を受ける前から定年後引き続き雇用されている人も特例の対象になるとしています。ただし、労働者が既に無期転換申込権を行使している場合は除かれます。申込権が発生しているがまだ行使していない人がいる場合の扱いは、申請前に労働局に確認してください。
定年のない会社、定年後に一度退職する会社は注意
特例は「定年に達した後引き続いて雇用される」人が対象です。定年制がない会社で高齢者を有期雇用している場合や、定年退職後に期間を空けて再雇用する場合は対象になりません。また、定年前から有期契約で働いていた人(例:55歳で有期契約で入社)は、定年に達する前の有期契約期間は通常どおり通算されます。
申請に必要なもの
第二種計画は、会社が対象者の特性に応じて行う雇用管理措置の計画です(法第6条第1項)。認定の申請は、施行規則第4条により、申請書1通と写し1通を、主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出します。
申請書(様式第7号)の記載事項
様式第7号「第二種計画認定・変更申請書」は、次の3つの欄で構成されています。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 1 申請事業主 | 名称、代表者職氏名、住所・所在地、電話番号 |
| 2 雇用管理に関する措置の内容 | 実施する措置にチェック(下表) |
| 3 その他 | 高年齢者雇用確保措置を講じていること、その内容(65歳以上への定年の引上げ/継続雇用制度の導入)にチェック |
雇用管理措置は、次のうち少なくとも1つを実施することが必要です。パンフレットは各措置の内容を次のように説明しています。
| 申請書の項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 高年齢者雇用等推進者の選任 | 高年齢者雇用安定法第11条の推進者(努力義務)を選任する |
| 職業訓練の実施 | 業務の遂行の過程外での教育訓練の実施、受講機会の確保 |
| 作業施設・方法の改善 | 作業補助具の導入、作業の平易化、照明などの作業環境の改善 |
| 健康管理、安全衛生の配慮 | 職場の安全性の確保、事故防止への配慮、健康状態を踏まえた配置 |
| 職域の拡大 | 高年齢者の能力・経験を生かせる職務の再設計 |
| 職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度等の整備 | 知識・経験を活用できる配置・処遇の仕組み |
| 職務等の要素を重視する賃金制度の整備 | 能力・職務などを重視した賃金制度 |
| 勤務時間制度の弾力化 | 短時間勤務、隔日勤務、フレックスタイム制など |
実際に行っている(または認定後に行う)措置だけにチェックします。認定後に措置をやめると、変更申請や認定の取消しの問題になります(後述)。
添付書類
施行規則第4条第2項と様式の添付書類欄では、次の書類を求めています。
- 雇用管理措置を実施することがわかる資料(就業規則、再雇用者の契約書のひな形、推進者の選任を示す書類など)
- 高年齢者雇用確保措置を講じていることがわかる資料(定年・継続雇用制度を定めた就業規則など)
- 変更申請の場合は、認定されている計画の写し
パンフレットでは、申請書と添付書類を原本と写しの合計2部提出するよう案内しています(写しは認定通知書の交付時に返却されます)。
提出から認定までの流れ
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 書類の準備 | 様式第7号は各労働局のサイトなどからダウンロードできる。就業規則に措置の規定がなければ先に整える |
| 2. 提出 | 本社・本店を管轄する都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))へ。来庁・郵送・電子申請のほか、本社を管轄する労働基準監督署経由でも提出できる。事業場ごとではなく本社で一括して申請する |
| 3. 審査 | 書類の不備や記載内容に疑問があると労働局から問い合わせがある |
| 4. 認定通知書の交付 | 原則として申請先の労働局で交付(監督署経由なら監督署)。郵送での交付も希望できる。再発行されないため保管する |
ここでいう「本社・本店」は、登記上の住所ではなく、実質的に本社機能を持つ事業所の所在地とされています。就業規則を変更して措置を定める場合は、通常の就業規則の変更・届出の手順も必要です。審査にかかる期間は労働局によって異なるため、対象者の通算契約期間が5年を超える前に余裕をもって申請します。
認定後にやること
労働条件通知書への明示
認定を受けた会社は、対象者と有期労働契約を締結・更新するとき、通常の明示事項に加えて、**特例の内容(定年後引き続き雇用されている期間は無期転換申込権が発生しないこと)**を明示しなければなりません。この事項は書面の交付で示すのが原則で、本人が希望すればFAXや電子メールなどでも構いません(特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令第2条)。
記載例は次のようになります。
【有期雇用特別措置法による特例の対象者の場合】無期転換申込権が発生しない期間:定年後引き続いて雇用されている期間
厚生労働省のパンフレットに掲載されている労働条件通知書の記載例にも、この欄が設けられています。2024年4月からの明示事項全般は労働条件通知書の書き方で確認してください。
計画どおりに措置を続ける
- 申請書でチェックした措置をやめる場合や、高年齢者雇用確保措置の内容を変える場合(継続雇用制度から65歳定年への変更など)は、変更の認定を受ける(法第7条第1項)
- 労働局長は実施状況の報告を求めることができ(法第11条)、計画が適合しなくなったときは認定を取り消すことができる(法第7条第2項)
- 認定が取り消されると通常の無期転換ルールが適用され、定年後の期間も含めて5年を超えていれば申込権が発生する
特例があっても変わらないこと
パンフレットは、特例の対象者も有期雇用労働者であり、雇止め法理(労働契約法第19条)やパートタイム・有期雇用労働法第8条・第9条の対象になることに留意するよう求めています。認定を受ければ自由に契約を終えられるわけではありません。更新の判断基準を明示し、有期契約の更新・雇止めのルールに沿って運用します。再雇用後の賃金の考え方は60代社員の活躍と処遇を参照してください。
まとめ
- 定年後再雇用の有期契約も、通算5年を超えると無期転換申込権が発生する
- 第二種計画の認定を受けると、定年後引き続き雇用されている期間は通算されない。グループ会社で再雇用するなら、その会社が認定を受ける
- 申請は様式第7号に、雇用管理措置と高年齢者雇用確保措置がわかる就業規則などを添え、本社管轄の労働局へ。監督署経由・郵送・電子申請も可能
- 認定後は契約の締結・更新のたびに、特例の内容を書面で明示する
- 措置をやめるときは変更申請が必要。雇止め法理や不合理な待遇差の禁止は特例の対象者にも適用される
この記事で使えるテンプレート
人事 定年後再雇用 契約書(嘱託) 定年後に嘱託社員として再雇用するときの有期雇用契約書のひな形です。更新上限、無期転換の特例、待遇差の説明を求められる旨など、有期契約・パート有期法で必要な明示事項を盛り込んでいます。 人事 労働条件通知書(パート・有期雇用用) パートタイム・有期雇用の従業員向け労働条件通知書です。2024年4月改正の明示事項(変更の範囲・更新上限・無期転換)と、パートタイム・有期雇用労働法で求められる昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口、2026年10月から追加された「待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」を盛り込んでいます。この記事に出てくる用語
- 継続雇用制度
- 定年に達した社員を、本人が希望すれば引き続き雇用する制度です。定年でいったん退職して新たに契約を結ぶ「再雇用制度」と、退職せずに雇用を続ける「勤務延長制度」があります。
- 高年齢者雇用安定法
- 定年の年齢、65歳までの雇用確保措置、70歳までの就業確保措置などを定めた法律です。正式名称は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」です。
- 高年齢者雇用確保措置
- 65歳未満の定年を定めている会社が、65歳までの雇用を確保するために講じなければならない措置です。定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを選びます。
- 就業規則
- 労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
- 短時間勤務制度
- 3歳に満たない子を養育する労働者などが申し出たときに、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する制度です。育児・介護休業法で会社に義務づけられています。
- 定年
- 一定の年齢に達したことを理由に労働契約が終了する制度です。定年を定める場合は60歳以上にしなければなりません。
- 同一労働同一賃金
- 同じ会社の中で、正社員とパートタイム・有期雇用・派遣の労働者との間の不合理な待遇差をなくすためのルールです。基本給・賞与・手当・福利厚生など、すべての待遇が対象です。
- パートタイム・有期雇用労働法
- パートタイム労働者と有期雇用労働者の公正な待遇を確保するための法律です。正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」です。
- フレックスタイム制
- 清算期間(最長3か月)の総労働時間を決めたうえで、日々の始業・終業時刻を労働者が自分で決められる制度です。就業規則と労使協定で導入します。
- 無期転換ルール
- 同じ会社との有期労働契約が通算5年を超えたとき、労働者の申込みによって期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールです。
- 雇止め
- 有期労働契約の期間が満了したときに、会社が契約を更新せずに終了させることです。更新の実態や期待によっては、雇止めが認められないことがあります。
- 有期労働契約
- 「1年契約」のように、働く期間の終わりが決まっている労働契約です。契約社員・パート・アルバイトなどで多く使われます。
- 労働基準監督署
- 労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。
- 労働契約法
- 労働契約の成立・変更・終了についての基本的なルールを定めた法律です。解雇権濫用の禁止、就業規則による労働条件の変更、無期転換ルール、雇止め法理などを定めています。
- 労働条件通知書
- 会社が労働者を雇い入れるときに、賃金・労働時間・就業場所などの労働条件を書面で知らせるための文書です。労働基準法の「労働条件の明示」を果たすために使います。
出典・参考資料
- e-Gov法令検索「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(第2条 定義、第6条 第二種計画の認定、第7条 変更・取消し、第8条 労働契約法の特例)
- e-Gov法令検索「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則」(第4条 第二種計画に係る認定の申請、第6条 権限の委任)
- e-Gov法令検索「特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第五条の特例を定める省令」(第2条 計画対象第二種特定有期雇用労働者に係る労働条件の明示の特例)
- 厚生労働省・都道府県労働局「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」(パンフレット・PDF)
- 東京労働局「労働契約法(無期転換ルール等)、有期労働契約特措法、「多様な正社員」の普及・拡大等について」(申請書様式のダウンロード)
- 茨城労働局「様式第7号 第二種計画認定・変更申請書」(PDF)
- e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(第9条 高年齢者雇用確保措置、第11条 高年齢者雇用等推進者)