機密書類・個人情報書類の廃棄方法|溶解処理・シュレッダーの使い分けと業者選び、廃棄記録と証明書
保存期間を過ぎた書類を廃棄するときは、個人情報保護委員会のガイドラインが示すとおり、焼却・溶解・適切なシュレッダー処理などの復元不可能な方法を選びます。廃棄対象の決め方、溶解処理とシュレッダーの使い分け、業者に委託するときの確認事項と証明書、マイナンバー関係書類の注意点、廃棄記録の残し方を整理します。
- 対象読者
- 文書管理を担当する従業員30〜300名の企業の総務担当者
- 難易度
- 実務
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- 最終確認日
この記事のポイント
- 個人データが記載された書類は、焼却・溶解・適切なシュレッダー処理などの復元不可能な手段で廃棄する。廃棄の記録を残し、委託した場合は委託先が確実に廃棄したことを証明書等で確認するのが重要とされている
- 少量・日常の書類はシュレッダー、保存期間を過ぎた大量の書類は溶解処理と使い分ける。業者の回収から処理完了までの流れと証明書の記載内容を確認する
- マイナンバーを含む書類は、事務の必要がなくなり法定の保存期間を過ぎたら、できるだけ速やかに廃棄・削除する。毎年度末にまとめて廃棄する方法も認められている
書庫がいっぱいになり、年に一度まとめて書類を処分する。そのとき、段ボールに詰めて古紙回収に出してしまう、シュレッダーにかけきれずに放置する、といった扱いは情報漏えいの原因になります。
この記事では、機密書類・個人情報を含む書類を安全に廃棄する方法と、残すべき記録を整理します。何年保存すればよいかは文書管理と保存期間の一覧を参照してください。
ガイドラインが求める廃棄の方法
個人情報保護法第23条の安全管理措置について、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人データが記載された書類等を廃棄する方法の例として次を挙げています。
焼却、溶解、適切なシュレッダー処理等の復元不可能な手段を採用する。
あわせて、廃棄した記録を保存すること、作業を委託する場合は委託先が確実に廃棄したことを証明書等により確認することも重要だとしています。業者に委託する場合は、委託先を監督する義務もあります(法第25条)。
個人情報を含まない社外秘の書類(経営資料、契約交渉の資料など)も、同じ方法で廃棄するのが安全です。
廃棄する書類を決める
いきなり捨て始めず、次の手順で対象を確定させます。
- 保存期間を確認する:文書ごとの保存期間と起算日を、文書管理規程(文書管理規程のひな形)や保存期間表で確認する
- 廃棄リストを作る:文書名、年度、箱番号、保存期間の満了日、数量を一覧にする
- 承認を得る:部門の責任者と総務責任者が確認する
- 訴訟・調査中のものを除く:紛争や税務調査、労働基準監督署の調査に関係する書類は、保存期間が過ぎても保留する
- 廃棄日を決めて実施する:年1回の「廃棄日」を決めておくと、毎年同じ流れで回せる
溶解処理とシュレッダーの使い分け
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| オフィスのシュレッダー | 日常的に出る少量の書類、誤印刷 | クロスカット・マイクロカットなど、復元しにくい細断方式を選ぶ。細断くずは事業系ごみとして出す |
| 溶解処理(業者) | 保存期間を過ぎた大量の書類、箱単位の廃棄 | 未開封のまま溶解する方式か、回収から処理までの保管・運搬の管理を確認する |
| 出張細断(業者) | 社外に持ち出したくない書類 | 車両で来社して細断する方式。立会いができる |
| 機密文書回収ボックス | 日常的に一定量が出る職場 | 鍵付きボックスの管理者と回収頻度を決める |
ホチキスやクリップ、ファイルの金具を外す必要があるかどうかは、業者や方式によって異なります。事前に確認しましょう。
業者に委託するときの確認事項
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 許可・登録 | 廃棄物の収集運搬・処分に必要な許可を持っているか(→オフィスのごみの出し方) |
| 運搬中の管理 | 施錠できる容器・車両か、途中で他の場所に保管しないか |
| 処理の方法 | 箱ごと溶解するか、処理工場で開封するか |
| 立会い | 処理工場での立会いや、処理の様子の確認ができるか |
| 証明書 | 証明書に、回収日、処理日、処理方法、数量(箱数・重量)、処理場所が記載されるか |
| 契約書 | 秘密保持、再委託の制限、事故時の報告が定められているか |
証明書は、廃棄リストとひも付けて保管します。保存期間は社内で決めますが、廃棄した書類の内容を後から問われることもあるため、数年は残しておくと安心です。
マイナンバーを含む書類の注意点
扶養控除等申告書など、マイナンバー(個人番号)が記載された書類には、特定個人情報のガイドライン(事業者編)が適用されます。
- 番号法で定められた事務を処理する必要がなくなり、所管法令で定められた保存期間を経過した場合は、できるだけ速やかに廃棄または削除する(Q&A A6-5も参照)
- 個人番号の部分を復元できない程度にマスキングすれば、それ以外の情報は保管を続けられる
- 廃棄までの期間は、安全性や事務効率を考慮して決めてよく、Q&Aでは毎年度末にまとめて廃棄する方法も示されている
- 廃棄・削除した場合は、その記録を保存する。委託する場合は、委託先が確実に廃棄したことを証明書等で確認する
年末調整の書類を受け取る前に、前年以前の書類の廃棄時期を確認しておくと、保管場所の整理にもなります(→年末年始の総務業務)。
廃棄記録の残し方
廃棄記録には、次の項目を入れます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 廃棄日 | 2026年11月10日 |
| 文書名・年度 | 2018年度 賃金台帳、2019年度 扶養控除等申告書 など |
| 数量 | 段ボール12箱 |
| 方法 | 溶解処理(業者名) |
| 承認者・確認者 | 総務部長、総務担当 |
| 証明書番号 | 業者発行の証明書番号 |
個人情報を含む書類は、個人情報管理台帳の該当項目にも廃棄日を記入しておくと、保有している個人情報の範囲が分かりやすくなります。日常の書類管理はオフィスのセキュリティ対策、個人情報全体の管理は個人情報の管理を参照してください。
よくある質問
電子化した書類の原本は捨ててよいか
税法上の書類をスキャンして保存する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たしているかが前提です。要件を満たさないまま原本を廃棄すると、保存義務を果たしていないことになるおそれがあります。電子化のルールは文書管理と保存期間の一覧と契約書管理を参照してください。
退職者の書類はいつ捨てるか
労働者名簿や賃金台帳などの法定帳簿は、労働基準法で保存期間が決まっています(→法定三帳簿)。採用時に預かった履歴書のコピーなども、保存の必要がなくなったら機密書類として廃棄します。
シュレッダーの細断くずは古紙回収に出してよいか
細断くずの出し方は、自治体や回収業者のルールによって異なります。事業所から出るごみは事業系ごみとして扱うのが原則です。分別の方法はオフィスのごみの出し方で確認してください。
まとめ
- 個人情報を含む書類は、焼却・溶解・適切なシュレッダー処理などの復元不可能な方法で廃棄する
- 保存期間を確認して廃棄リストを作り、承認を経てから廃棄する。紛争・調査に関わる書類は保留する
- 業者に委託するときは、運搬中の管理、処理方法、証明書の記載内容を確認する
- マイナンバーを含む書類は、保存期間経過後できるだけ速やかに廃棄し、記録を残す
この記事で使えるテンプレート
総務 文書管理規程(保存期間表つき) 文書の定義と分類、管理責任者、保管と保存、電子化と電子データの管理、持出し、廃棄の手続と記録を条文にした文書管理規程のひな形です。会社法・法人税法・労働基準法・労働安全衛生規則・社会保険関係の法令にもとづく主な書類の保存期間表を別表として付けています。 総務 個人情報 管理台帳 社内で扱う個人データ(従業員名簿、給与データ、応募者情報、顧客名簿など)を一覧にする台帳です。個人情報保護委員会のガイドラインが例示する項目に、保管場所・保存期間・委託先・廃棄方法などを加えています。この記事に出てくる用語
- 安全管理措置
- 個人データの漏えい・滅失・毀損を防ぐために会社が講じる措置です。基本方針の策定、規律の整備、組織的・人的・物理的・技術的な措置などがあり、規模にかかわらずすべての会社に義務づけられています。
- 個人データ
- 検索できるように体系的に整理された個人情報の集まり(個人情報データベース等)を構成する個人情報のことです。社員名簿や顧客台帳、名刺管理ソフトの中の情報などが該当します。
- スキャナ保存
- 紙で受け取った・作成した請求書や領収書などの国税関係書類を、スキャナやスマートフォンで読み取って電子データで保存する方法です。要件を満たせば、紙の原本を廃棄できます。
- 賃金台帳
- 労働者ごとに賃金計算の基礎となる事項や支払額を記録する帳簿で、労働基準法で作成と保存が義務づけられています。法定三帳簿の一つです。
- 電子帳簿保存法
- 税務上保存が必要な帳簿や書類を、電子データで保存するときのルールを定めた法律です。「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データの保存」の3つの区分があります。
- 特定個人情報
- マイナンバー(個人番号)をその内容に含む個人情報のことです。番号法により、利用目的や提供、保管について、通常の個人情報より厳しいルールが定められています。
- 年末調整
- 会社が、1年間に給与から源泉徴収した所得税の合計額と、その年の給与総額にもとづく本来の年税額との過不足を、年末に精算する手続です。
- 扶養控除等申告書
- 給与を受ける人が、扶養控除や障害者控除などを源泉徴収で受けるために、勤務先に提出する申告書です。正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といいます。
- 文書管理規程
- 社内の文書・記録について、種類ごとの保存期間、保管場所、責任者、廃棄の方法などを定めた社内規程です。法令で決まった保存期間を守り、不要な書類を計画的に廃棄するための土台になります。
- 法定三帳簿
- 労働基準法で作成・保存が求められる労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の3つの帳簿の総称です。
- マイナンバー
- 住民票を持つすべての人に1人1つ指定される12桁の番号です。会社は社会保障・税・災害対策の法定の手続に限って従業員などのマイナンバーを取り扱えます。
- 溶解処理
- 機密書類を箱ごと専門業者が回収し、製紙工場などで水と薬品で溶かして処理する廃棄方法です。大量の書類を開封せずに復元不可能な形で廃棄できます。
- 労働基準監督署
- 労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。
- 労働者名簿
- 事業場ごとに、労働者の氏名・生年月日・履歴などを記録する名簿で、労働基準法で作成と保存が義務づけられています。法定三帳簿の一つです。