サービス比較 #電子帳簿保存法#文書管理#外部委託#システム選定

書類のスキャン代行サービスの選び方|電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件、委託先の確認、原本の廃棄までの流れ

紙の書類を電子化する方法として、スキャン代行(電子化代行)サービスがあります。国税関係書類を電子帳簿保存法のスキャナ保存で扱う場合の解像度・入力期間・タイムスタンプ・検索の要件、委託先に確認すること、原本を廃棄するまでの流れを、国税庁の一問一答に沿って特定の事業者に寄らずに整理します。

対象読者
紙の請求書・領収書や社内の保管書類を電子化したいが、自社でスキャンする人手がない企業の総務・経理担当者
難易度
基本
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 国税関係書類をスキャナ保存するには、200dpi以上・赤緑青各256階調以上での読取り、入力期間内の入力(受領後おおむね7営業日以内、または事務処理規程を定めて最長2か月とおおむね7営業日以内)、タイムスタンプ等、検索機能の確保などの要件がある
  • スキャン代行は、自社の受領から代行業者での読取りまでの日数が入力期間に収まるかが重要。要件を満たす保存ができれば、同等確認の後に紙の原本を廃棄できる
  • 委託先を比べるときは、要件への対応、受け渡しと輸送の方法、作業場所の管理、個人情報・マイナンバーを含む書類の扱い、原本の返却・廃棄の方法を確認する。料金や機能は各社の最新の案内で確認する

キャビネットに積み上がった請求書や領収書、保存期間の残る契約書の控え。電子化すれば場所も探す手間も減りますが、自社でスキャンするには人手が足りません。そうしたときの選択肢が、スキャン代行(電子化代行)サービスです。

この記事では、国税関係書類を電子帳簿保存法のスキャナ保存で扱う場合の要件と、スキャン代行の委託先を比べるときの確認点を、特定の事業者に寄らずに整理します。電子化した書類を保管するシステムは文書管理システムの選び方、届いた請求書を受け取る段階からの電子化は請求書受領サービスの選び方で解説しています。

スキャナ保存の主な要件

電子帳簿保存法では、取引先から受け取った請求書・領収書などの国税関係書類を、一定の要件のもとでスキャンした画像で保存できます(スキャナ保存)。決算関係書類(貸借対照表・損益計算書・棚卸表など)は対象外です。国税庁の一問一答に沿って、主な要件をまとめます。

要件 内容
読取りの解像度 25.4ミリメートル当たり200ドット以上(200dpi以上)
階調 赤・緑・青それぞれ256階調以上。一般書類はグレースケールでもよい
入力期間 受領後、速やかに(おおむね7営業日以内)。事務処理の規程を定めている場合は、業務の処理に係る通常の期間(最長2か月)を経過した後おおむね7営業日以内
タイムスタンプ等 入力期間内にタイムスタンプを付す。訂正・削除の履歴が残るシステムなどで入力期間内の保存が確認できる場合は、それに代えられる
検索機能 取引年月日その他の日付、取引金額、取引先で検索できる
帳簿との相互関連性 契約書・領収書などの重要書類について、帳簿の記録との関連を確認できるようにする
見読可能装置 ディスプレイ・プリンタで、4ポイントの文字が認識できる状態で速やかに出力できる

2024年1月1日以後に保存する書類からは、解像度・階調・大きさの情報の保存や、入力者等の情報の確認の要件が廃止され、帳簿との相互関連性は重要書類に限られました。

入力期間の「最長2か月」は暦の上での2か月です。国税庁の一問一答は、4月21日に受け取った書類なら、最長2か月は6月20日で、そのおおむね7営業日後までに入力すればよいという例を示しています。

スキャン代行で特に確認すること:入力期間

スキャン代行を使うと、「社内で受け取る→まとめて発送する→業者で読み取る→データが戻る」という流れになります。この日数が入力期間に収まるかが、いちばんの確認点です。

流れ 確認すること
社内での受領・回収 各部署から総務・経理へ書類が集まるまでの日数
発送・回収 業者への発送の頻度(週1回、月2回など)と輸送の日数
読取り・タイムスタンプ 業者が書類を受け取ってから、読取りとタイムスタンプ等が済むまでの日数
業務処理サイクル 最長2か月の方式を使う場合、事務処理の規程を定めているか

月に1回まとめて送る運用なら、規程を定めて業務処理サイクルの方式を使うことになります。規程の内容は、税理士とも相談して決めます。

委託先を比べるときのポイント

料金の決め方(枚数・箱数・書類の種類など)や対応範囲は事業者によって異なり、変わることもあります。必ず各社の最新の案内と見積りで確認します。

要件への対応

確認点 見るところ
読取りの設定 200dpi以上・カラー(256階調以上)で読み取るか。書類の種類で設定を変えられるか
タイムスタンプ等 業者側でタイムスタンプを付すか、自社のシステムに取り込んでから付すか
検索項目の入力 取引年月日・金額・取引先の入力(データ化)まで引き受けるか、自社で行うか
納品の形式 自社の文書管理・会計システムに取り込める形式で納品されるか

要件を満たすかどうかは、業者のサービスだけでなく、納品された後に保存するシステムも含めて判断します。

書類の受け渡しと作業場所

確認点 見るところ
受け渡し 宅配便か専用便か、施錠できる箱を使うか、受け渡しの記録
作業場所 作業を行う拠点、入退室の管理、作業者への教育、再委託の有無
原本の扱い 読取り後に返却するか、保管するか、溶解などで廃棄するか。廃棄証明が出るか
事故時の対応 紛失・誤送付があったときの連絡と補償の範囲

個人情報・マイナンバーを含む書類

請求書や領収書のほか、社内の書類を電子化する場合は、従業員の個人情報が含まれることがあります。個人データの取扱いを委託する場合、会社には委託先を監督する義務があります(個人情報保護法第25条、ガイドライン)。

  • 委託する書類に個人情報が含まれるかを事前に仕分ける
  • マイナンバーが記載された書類(扶養控除等申告書など)は、委託してよいか、委託する場合の安全管理措置を確認する。迷う場合は委託の対象から外す
  • 契約書に、目的外利用の禁止、再委託の条件、事故時の報告、データと原本の返却・廃棄を入れる

原本を廃棄するまでの流れ

国税庁の一問一答は、要件に沿って保存した後、電子データと紙の記載が同じであること(折れ曲がりがないかなども含む)を確認すれば、紙の原本を即時に廃棄して差し支えないとしています。ただし、入力期間を過ぎてしまった場合などは、紙の保存が必要になることがあります。

段階 やること
納品後 枚数と読取りの状態(欠け・折れ・ぼやけ)を確認する
同等確認 データと原本が同じであることを確認する
廃棄 溶解などで廃棄し、廃棄の記録を残す

社内書類の廃棄の方法は機密書類の廃棄も参照してください。税務以外の法令で紙の保存が求められる書類がないかも、廃棄の前に確認します。

依頼する前に社内で決めること

決めること 内容
対象の書類 国税関係書類か、社内書類か。スキャナ保存の対象か、単なる電子化か
対象の期間 これから受け取る書類か、過去に受け取った書類も含めるか
保存先 納品されたデータをどのシステムで保存し、だれが検索するか
規程 業務処理サイクルの方式を使う場合の事務処理の規程、文書管理の規程の改定

過去に受け取った重要書類をスキャナ保存する場合は、所轄税務署長への適用届出書の提出など、別の要件があります。

まとめ

  • スキャナ保存は、200dpi以上・256階調以上の読取り、入力期間内の入力、タイムスタンプ等、検索機能などの要件を満たす必要がある
  • スキャン代行では、社内の受領から業者での読取りまでの日数が入力期間に収まるかを最初に確認する
  • 委託先は、要件への対応、受け渡しと作業場所の管理、原本の扱い、個人情報・マイナンバーの扱いで比べる
  • 料金や機能は各社の最新の案内と見積りで確認し、規程の内容は税理士とも相談する

この記事で使えるテンプレート

DOCX 総務 文書管理規程(保存期間表つき) 文書の定義と分類、管理責任者、保管と保存、電子化と電子データの管理、持出し、廃棄の手続と記録を条文にした文書管理規程のひな形です。会社法・法人税法・労働基準法・労働安全衛生規則・社会保険関係の法令にもとづく主な書類の保存期間表を別表として付けています。

この記事に出てくる用語

安全管理措置
個人データの漏えい・滅失・毀損を防ぐために会社が講じる措置です。基本方針の策定、規律の整備、組織的・人的・物理的・技術的な措置などがあり、規模にかかわらずすべての会社に義務づけられています。
個人情報保護法
個人情報を扱う事業者が守るべきルール(利用目的の特定、安全管理措置、第三者提供の制限、漏えい時の報告など)を定めた法律です。従業員数にかかわらず、個人情報を事業に使うすべての会社が対象です。
個人データ
検索できるように体系的に整理された個人情報の集まり(個人情報データベース等)を構成する個人情報のことです。社員名簿や顧客台帳、名刺管理ソフトの中の情報などが該当します。
スキャナ保存
紙で受け取った・作成した請求書や領収書などの国税関係書類を、スキャナやスマートフォンで読み取って電子データで保存する方法です。要件を満たせば、紙の原本を廃棄できます。
タイムスタンプ
電子データが「その時刻に存在し、その後改ざんされていない」ことを証明する技術です。電子帳簿保存法のスキャナ保存や電子取引データの保存要件で使われます。
電子帳簿保存法
税務上保存が必要な帳簿や書類を、電子データで保存するときのルールを定めた法律です。「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データの保存」の3つの区分があります。
扶養控除等申告書
給与を受ける人が、扶養控除や障害者控除などを源泉徴収で受けるために、勤務先に提出する申告書です。正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といいます。
マイナンバー
住民票を持つすべての人に1人1つ指定される12桁の番号です。会社は社会保障・税・災害対策の法定の手続に限って従業員などのマイナンバーを取り扱えます。

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出典・参考資料

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