サービス比較 #システム選定#文書管理#電子帳簿保存法#契約書管理

文書管理システムの選び方:電子帳簿保存法の3つの区分、検索と権限、保存期間の管理で比べる

共有フォルダに書類を置いているだけでは、探せない、誰が見られるか分からない、保存期間が管理できないといった問題が残ります。文書管理システムを選ぶ前に整理すること、電子帳簿保存法の3つの区分と確認すべき要件、検索・権限・保存期間の比べ方を、特定の製品に寄らずに解説します。

対象読者
契約書・請求書・社内規程などの書類を電子で管理したい、従業員30〜300名の企業の総務・管理部門担当者
難易度
基本
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 電子帳簿保存法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分がある。電子取引データの保存はすべての事業者の義務
  • 電子取引データの保存では、検索(取引年月日・金額・取引先)と、訂正削除の防止(システムの機能または事務処理規程)を確かめる
  • 税務以外の書類も含めて、文書の種類ごとの保存期間・閲覧権限・廃棄の手順をシステムで管理できるかで比べる

契約書はキャビネット、請求書のPDFはメールの受信箱、社内規程は共有フォルダ。書類の置き場所がばらばらだと、必要なときに探せず、誰が見られるのかも分かりません。保存期間が過ぎた書類を捨てる判断もできなくなります。

文書管理システムは、書類を1か所に集め、検索・権限・保存期間を管理する仕組みです。この記事では、特定の製品をすすめるのではなく、電子帳簿保存法の確認ポイントと比較の軸を紹介します。書類ごとの保存期間は文書管理と保存期間の一覧で整理しています。

導入前に整理すること

管理したい書類を分ける

書類の種類 例 関係する主なルール
税務の書類(取引関係) 請求書、領収書、見積書、注文書 法人税法・電子帳簿保存法
契約書 取引基本契約、業務委託契約、賃貸借契約 契約の管理、印紙税(→契約書管理の基本)
会社法の書類 株主総会・取締役会の議事録 会社法(→取締役会議事録の作り方)
労務の書類 労働者名簿、賃金台帳、雇用契約書 労働基準法など
社内文書 社内規程、マニュアル、稟議の記録 社内の文書管理規程

税務の書類だけなら、経理のシステムや経費精算システムで足りる場合もあります。どの書類をどのシステムに置くかを先に決めると、システムを重複して契約せずに済みます。

電子帳簿保存法の3つの区分

区分 対象 義務か任意か
電子帳簿等保存 会計ソフトなどで作った帳簿・書類を電子のまま保存 任意
スキャナ保存 紙で受け取った・渡した書類をスキャンして保存 任意
電子取引データ保存 メール・ウェブ・クラウドでやり取りした請求書などのデータを保存 すべての事業者の義務

電子取引データの保存

2024年1月から、電子でやり取りした請求書・領収書などのデータは、印刷して紙で保存するのではなく、データのまま保存する必要があります。国税庁の案内では、次の2つを満たすことが求められています。

要件 内容 システムで確かめること
真実性の確保 不当な訂正・削除を防ぐ 訂正削除の履歴が残る、または削除できない機能。システムがなくても、事務処理規程を定めて守る方法がある
可視性の確保 画面で見られる、説明書を備える、検索できる 取引年月日・取引金額・取引先で検索できるか

国税庁の案内では、2課税年度前の売上高が5,000万円以下の事業者などは、税務調査のときに電子取引データの「ダウンロードの求め」に応じられるようにしておけば、検索の要件が不要になるとされています。自社が当てはまるかは、国税庁の資料で確認します。

スキャナ保存

紙の請求書や領収書をスキャンして原本を捨てたい場合は、スキャナ保存の要件を満たす必要があります。入力の期限、読み取りの解像度などの要件、訂正削除の扱い、検索などの要件があります。要件の詳細は国税庁の「電子帳簿等保存制度特設サイト」の一問一答で確認し、システムがどの要件を機能で満たすのか、どこを社内の手順で補うのかを販売元に確かめます。

JIIMA認証の見方

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)は、電子帳簿保存法の機能要件を満たすソフトの認証を行っており、国税庁のサイトから認証製品の情報を確認できます。認証の種類(電子取引ソフト、スキャナ保存ソフトなど)が、自社の使い方と合っているかを確かめます。ただし、認証は機能面の確認です。社内の手順や規程など、機能以外の要件は自社で整えます。

比較のポイント

1. 検索のしやすさ

確かめること 理由
取引年月日・金額・取引先の入力方法 手入力か、ファイル名・読み取りで自動か
書類の種類・部署・契約期間などの項目を追加できるか 税務以外の書類の検索に使う
全文検索ができるか PDFの中身で探したいとき

2. 閲覧・編集の権限

確かめること 理由
フォルダ・書類の種類ごとに権限を設定できるか 人事書類や役員会の資料を限られた人だけにする
閲覧・ダウンロードの記録が残るか 誰が見たかを後から確かめる
社外との共有を制限できるか 誤った共有を防ぐ

労働者名簿や賃金台帳など個人情報を含む書類を置く場合は、閲覧できる人を絞ります(→人事データの一元管理、個人情報・マイナンバー管理の基本)。

3. 保存期間と廃棄

書類の種類ごとに保存期間を設定し、期限が来たら知らせる機能があると、年1回の廃棄の作業が楽になります。保存期間の起算日(作成日・事業年度末・退職日など)を書類ごとに設定できるかも確かめます。

4. 取り込みと連携

連携先 確かめること
メール 受け取った請求書を取り込みやすいか
電子契約 締結済みの契約書を自動で保存できるか(→電子契約サービスの選び方)
ワークフロー 稟議と添付書類を結び付けられるか(→ワークフロー(稟議)システムの選び方)
会計・経費精算 二重に保存しなくて済むか

5. データの出力と移行

解約するとき、書類と検索項目を一括で出力できるかを確かめます。電子取引データは保存期間中ずっと要件を満たして保存する必要があるため、乗り換えのときに検索項目が失われないことが大切です。

費用とトライアル

料金は、ユーザー数・保存容量・機能の範囲で変わるのが一般的です。最新の料金は各社の公式資料や見積もりで確認します。トライアルでは次を確かめます。

  1. 実際の請求書PDFを10件取り込み、検索項目の入力にかかる時間
  2. 取引年月日・金額・取引先での検索
  3. 権限の設定と、権限のない人から見えないこと
  4. 保存期間の設定と通知
  5. 一括出力の形式

まとめ

  • 管理したい書類を分け、どのシステムに置くかを先に決める
  • 電子取引データの保存は義務。検索と訂正削除の防止を、機能または事務処理規程で満たす
  • スキャナ保存は任意で、要件を国税庁の資料で確認する。JIIMA認証は機能面の確認にとどまる
  • 検索・権限・保存期間・連携・データ出力で比べ、料金・機能は公式資料で確認する

出典・参考資料

無料メルマガ

法改正アラート:改正の1ヶ月前に「やることリスト」が届く

月1回の定期号と、施行直前号でお届けします。今月やること・新着テンプレートもまとめて確認できます。