人材紹介会社の上手な使い方|選び方、手数料・返戻金の確認、契約前のチェックと依頼の出し方
人材紹介(有料職業紹介)は、採用が決まったときに手数料を払う成功報酬型の採用手段です。厚生労働省の人材サービス総合サイトでの事業者の確認方法、手数料と返戻金制度の見方、2025年に強化された転職勧奨の禁止や手数料率実績の公開、契約前に確認したい項目、紹介会社への依頼の出し方を整理します。
- 対象読者
- 中途採用を担当する従業員30〜300名の企業の人事担当者
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- 実務
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- 最終確認日
この記事のポイント
- 紹介会社は厚生労働大臣の許可を受けた事業者。人材サービス総合サイトで、許可の有無、手数料、返戻金制度、紹介による就職者数と6か月以内の離職状況を確認できる
- 紹介会社は求人者に手数料・返戻金制度などを明示する必要があり、2025年4月からは違約金規約がある場合の明示も加わった。紹介で無期雇用として就職した人に、就職日から2年間転職を勧めることも禁止されている
- 依頼時は、求める人物像・労働条件・選考の流れを1枚にまとめ、選考結果は理由を添えて早めに返す。紹介会社への情報の質が、紹介の質を左右する
専門職や管理職の採用で、ハローワークや求人媒体では応募が集まらないとき、人材紹介会社は有力な選択肢です。採用が決まったときに手数料を払う「成功報酬型」が一般的で、初期費用をかけずに始められます。
一方で、手数料は採用1件あたりの金額が大きく、契約内容をよく見ないまま依頼すると、早期退職時の返金や違約金で思わぬトラブルになることがあります。この記事では、紹介会社を選び、契約し、うまく使うための手順を整理します。採用手段全体の使い分けは中途採用の求人の出し方を参照してください。
人材紹介の仕組み
人材紹介は、職業安定法上の「有料職業紹介事業」で、厚生労働大臣の許可を受けた事業者だけが行えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 採用(入社)が決まったときに、求人者(会社)が手数料を払うのが一般的。求職者からは原則として手数料を取らない |
| 手数料の種類 | 法令で上限が決まった「上限制手数料」と、事業者が手数料表を届け出る「届出制手数料」がある。届出制の場合は、事業者ごとの手数料表(年収に対する割合など)で決まる |
| 返戻金制度 | 紹介した人が短期間で離職した場合に、手数料の一部を返す制度。設けることが望ましいとされている |
| 向いている職種 | 専門職、管理職、経験者採用など母集団が小さい職種 |
紹介会社の選び方
人材サービス総合サイトで確認する
厚生労働省の「人材サービス総合サイト」では、許可を受けた職業紹介事業者を検索できます。宮城労働局は、次の情報を確認して事業者を選ぶよう案内しています。
- 紹介による就職者数
- そのうち6か月以内に離職した人の数(早期離職の状況は職種・業界で異なる点に注意)
- 手数料に関する情報
- 返戻金制度の有無と内容
2025年4月からは、紹介会社が紹介手数料率の実績(職種別の平均手数料率)をこのサイトに掲載することも求められています。複数社の手数料水準を比べる材料になります。
得意分野を確認する
紹介会社には、幅広い職種を扱う総合型と、特定の業界・職種に絞った特化型があります。地方の中小企業では、地域に強い会社のほうが母集団を持っていることもあります。初回の打合せで、次を聞いておきましょう。
- 自社と同じ職種・地域での紹介実績
- 担当者が企業側と求職者側を兼ねるか(両面型)、分かれているか
- 想定される紹介人数と期間の見込み
契約前に確認すること
紹介会社は、求人の申込みを受けるときに、手数料に関する事項や返戻金制度に関する事項などを求人者に明示しなければなりません。2025年4月からは、違約金規約を設けている場合、違約金の額や発生条件、解除方法を含む契約の内容も明示事項に加わりました。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 手数料の計算基準 | 「理論年収」に含めるもの(賞与、固定残業代、各種手当)の範囲 |
| 支払時期 | 入社日基準か、内定承諾日基準か |
| 返戻金 | 退職時期ごとの返金割合(例:1か月未満、3か月未満、6か月未満)と、対象外になる退職理由 |
| 違約金 | 紹介された人を、紹介会社を通さずに採用した場合などの扱い |
| 個人情報の取扱い | 推薦書類の管理、不採用時の返却・削除 |
| 契約期間・解約 | 自動更新の有無、解約の予告期間 |
手数料は採用予算に大きく影響します。年間の採用計画に合わせて、人件費予算と要員計画に見込んでおきましょう。
紹介会社への依頼の出し方
紹介の質は、会社から渡す情報の質でほぼ決まります。次の内容を1枚にまとめて渡すと、ミスマッチが減ります。
- 募集の背景:増員か欠員補充か、なぜ今採用するのか
- 仕事内容と期待役割:入社後半年〜1年で担ってほしいこと(→職務記述書の作り方)
- 必須条件と歓迎条件:必須は絞り込む
- 労働条件:給与レンジ、勤務時間、勤務地、試用期間、変更の範囲(→労働条件の明示)
- 選考の流れ:面接回数、面接官、結果を返すまでの日数
- 会社の魅力と弱み:弱みも正直に伝えるほうが定着につながる
給与レンジは、社内の等級と整合させておきます(→中途採用者の給与の決め方)。
選考中の対応
- 推薦を受けたら早く返す:書類選考は数営業日以内を目安に。遅れると候補者が他社に決まる
- 不合格の理由を具体的に返す:理由が分かると、紹介会社は次の推薦を修正できる
- 面接の評価をそろえる:面接評価シートで面接官の評価基準を統一する(→採用面接の進め方)
- 内定時は条件を書面で示す:内定通知書と労働条件通知書を交付する
知っておきたい紹介会社側のルール
紹介会社には、職業安定法と指針に基づく次のようなルールがあります。2025年1月からは、これらが許可の条件にも加えられました。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 転職勧奨の禁止 | 紹介により無期雇用で就職した人に対し、就職日から2年間は転職の勧奨をしてはならない |
| お祝い金等の禁止 | 「就職お祝い金」などの名目で、社会通念上相当な程度を超える金銭等を提供して求職の申込みを勧めてはならない |
入社した社員に紹介会社から転職の勧誘があった場合など、遵守事項に反する事例は労働局に相談できます。
よくある質問
複数の紹介会社に同じ求人を依頼してよいか
依頼先を1社に限るかどうかは、各社との契約内容によります。複数社に依頼する場合は、同じ候補者が複数社から推薦されたときの扱い(先に推薦した会社を優先するなど)を、契約や規約で確認しておきます。推薦を受けたら、推薦日と紹介会社を記録しておきましょう(→採用管理システムの選び方)。
入社後すぐに辞めた場合の返金はどうなるか
返戻金は法律で一律に決まっているものではなく、各社の返戻金制度と契約によります。返金の対象になる期間、自己都合退職に限るか、会社都合の解雇は対象外かなど、契約前に条件を確認します。早期離職を防ぐには、入社後の受け入れも大切です(→中途入社者の受け入れ方)。
まとめ
- 人材サービス総合サイトで許可・手数料・返戻金・早期離職の状況・手数料率の実績を確認して選ぶ
- 契約前に、手数料の計算基準、支払時期、返戻金、違約金、個人情報の扱いを確認する
- 依頼時は募集背景・期待役割・労働条件・選考フローを1枚にまとめ、結果は理由を添えて早く返す
- 紹介会社は2年間の転職勧奨やお祝い金での勧誘が禁止されている
この記事で使えるテンプレート
人事 面接評価シート 面接官ごとの評価を同じ基準でそろえるための面接評価シートです。評価項目・5段階評価・評価の根拠となった発言・総合判定を1行1候補者で記録でき、Excelで集計できます。 人事 内定通知書・内定承諾書 採用内定を伝える内定通知書と、内定者から返送してもらう内定承諾書のセットです。入社予定日、提出書類、内定取消事由、承諾期限を明記でき、労働条件通知書とあわせて送る前提で作っています。この記事に出てくる用語
- 固定残業代
- 一定時間分の時間外労働などの割増賃金を、実際の残業の有無にかかわらず定額で支払う仕組みです。実際の残業代が定額を超えたら差額を支払う必要があります。
- 採用内定
- 会社が応募者に採用を約束することです。多くの場合、内定通知の時点で「始期付・解約権留保付の労働契約」が成立したと考えられます。
- 就業場所・業務の変更の範囲
- 雇い入れた後に、就業場所や従事する業務が変わりうる範囲のことです。2024年4月から、労働条件の明示事項に加わりました。
- 職業安定法
- 求人の募集、職業紹介、求職者の個人情報の扱いなどのルールを定めた法律です。会社が求人を出すときの労働条件の明示や、虚偽の表示の禁止もここに定められています。
- 試用期間
- 入社後の一定期間、本人の適性や能力を見て本採用するかを判断する期間です。法律上は「解約権留保付の労働契約」と考えられ、本採用の見送りは解雇にあたります。
- ハローワーク
- 厚生労働省の公共職業安定所の愛称です。職業紹介や求人の受付のほか、雇用保険の加入・喪失や給付の手続きの窓口になっています。
- 労働条件通知書
- 会社が労働者を雇い入れるときに、賃金・労働時間・就業場所などの労働条件を書面で知らせるための文書です。労働基準法の「労働条件の明示」を果たすために使います。