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人材開発支援助成金の使い方|人材育成支援コースの要件、訓練開始1か月前までの計画届、経費・賃金助成の考え方と不支給になる例

人材開発支援助成金は、雇用保険の被保険者に職務に関連した訓練を計画的に受けさせた事業主に、訓練経費や訓練中の賃金の一部を助成する厚生労働省の制度です。7つのコースの全体像、中小企業が使いやすい人材育成支援コースの要件、職業能力開発推進者と事業内職業能力開発計画、訓練開始日の6か月前から1か月前までの計画届、支給申請の期限と不支給になりやすい例を整理します。

対象読者
社員研修や資格取得の費用を助成金で補いたい、従業員30〜300名の企業の人事・教育担当者
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この記事のポイント

  • 人材開発支援助成金は、訓練を「計画どおりに」実施した後で申請する後払いの制度。訓練開始日の6か月前から1か月前までに職業訓練実施計画届を労働局に出していないと対象にならない
  • 前提として、職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定・周知が必要。対象者は雇用保険の被保険者で、訓練は職務に直接関連し、人材育成訓練なら10時間以上のOFF-JTであること
  • 助成率・助成額はコースや企業規模、訓練後の賃金上昇の有無で変わり、年度途中にも改正がある。申請前に厚生労働省の最新のパンフレットと支給要領で確認する

外部研修や資格講座に社員を通わせたいが、費用がネックになる。そんなときに検討したいのが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。訓練の経費と、訓練を受けている時間の賃金の一部が助成されます。

ただし、この助成金は「研修をした後に申請すればもらえる」ものではありません。訓練を始める前に計画届を出し、計画どおりに実施することが前提です。この記事では、制度の全体像と、中小企業が最初に使いやすい人材育成支援コースの流れを整理します。助成金全般の探し方は中小企業の雇用関係助成金、研修の組み立ては研修計画の立て方を参照してください。

制度の全体像

厚生労働省のページでは、令和8年度の人材開発支援助成金として次のコースが案内されています。

コース 概要
人材育成支援コース 職務に関連した訓練(10時間以上のOFF-JTなど)、厚生労働大臣認定のOJT付き訓練、有期契約労働者等の正社員化を目指す訓練、中高年齢者の実習型訓練
教育訓練休暇等付与コース 有給の教育訓練休暇制度を導入し、労働者が休暇を取って訓練を受けた場合
人への投資促進コース 高度デジタル人材の訓練、定額制(サブスクリプション型)研修、労働者の自発的な訓練、長期教育訓練休暇など
事業展開等リスキリング支援コース 新規事業・DX・GXなど事業展開に伴う新しい分野の訓練
建設労働者認定訓練コース・建設労働者技能実習コース 建設業の訓練・技能実習
障害者職業能力開発コース 障害者の職業能力開発施設の設置・運営

社員のリスキリング(学び直し)を進める考え方は中小企業のリスキリングの進め方、資格取得の支援制度は資格取得支援制度の作り方も参考にしてください。

前提となる2つの準備

人材育成支援コースのパンフレットのフローチャートでは、どのコースでも次の2点が前提とされています。いずれも、職業能力開発促進法に基づく事業主の努力義務でもあります。

準備 内容 期限
職業能力開発推進者の選任 研修や人事の担当課長などを、社内の能力開発の推進役として選ぶ(職業能力開発促進法第12条) 計画届を提出する日まで
事業内職業能力開発計画の策定・周知 会社の人材育成の基本方針、目指す人材像、教育訓練の体系などをまとめ、従業員に周知する(同法第11条) 計画届を提出する日まで

一人人事の会社では、人事担当者自身を推進者にするのが現実的です。事業内計画は、労働局でも作成の相談を受け付けています。

人材育成支援コースの主な要件

パンフレットのフローチャートでは、業務命令で訓練を受けさせる場合の主な要件として次を挙げています。

  • 申請事業主が雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 対象労働者が、その事業所の雇用保険被保険者であること
  • 訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に計画届を労働局に提出すること
  • 訓練期間中も適正に賃金を支払うこと
  • 支給申請日までに訓練経費を全額事業主が負担していること
  • 対象労働者の職務に直接関連する訓練であること
  • (人材育成訓練の場合)実訓練時間数が10時間以上であること

所定労働時間外や休日に行った訓練の時間は、賃金助成の対象になりません。「業務命令で受けさせる研修」として、勤務時間内に実施する形に整えることが基本です。

助成額の考え方

パンフレットの助成額は、おおむね次の3つで構成されています。

項目 内容
経費助成 受講料・入学料・教材費など訓練経費の一定割合。1人1訓練あたりの限度額は実訓練時間数に応じて変わる
賃金助成 OFF-JTを受けている時間の賃金について、1人1時間あたりの定額
OJT実施助成 認定実習併用職業訓練・有期実習型訓練などのOJTについて、1人1コースあたりの定額

助成率・助成額は、中小企業か否か、正規雇用か有期契約か、訓練修了後に一定以上の賃金上昇(または資格手当の支給)があるかによって変わります。例えば令和8年度のパンフレットでは、人材育成訓練の経費助成率は中小企業の正規雇用労働者等で45%(賃金要件等を満たす場合は60%)、賃金助成は1人1時間800円(同1,000円)などと示されています。

支給要領やパンフレットは年度途中でも改正されています(令和8年度も4月と5月、8月に改正版が出ています)。申請前に、必ず厚生労働省のページで最新版を確認してください。

申請の流れ

時期 やること 提出先
訓練開始の6か月前〜1か月前 職業訓練実施計画届と添付書類を提出(訓練コースを追加する場合もその都度提出) 管轄の都道府県労働局(雇用関係助成金ポータルから電子申請も可)
訓練期間中 計画どおりに実施し、出欠・受講時間・賃金の記録を残す。変更があれば変更届 同上
訓練終了日の翌日から2か月以内 支給申請書、訓練の実施を証明する書類、経費の支払を証明する書類、賃金台帳・出勤簿など 同上

パンフレットでは、計画届を期間内に出していない場合、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請をしない場合、実訓練時間数が10時間未満の場合などが、助成の対象とならない例として挙げられています。

準備のチェックリスト

  • 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を作って周知した
  • 受講させる社員が雇用保険の被保険者であることを確認した
  • 訓練の内容が職務に直接関連していることを、職務内容と結びつけて説明できる
  • 訓練の開始日から逆算して、1か月前までに計画届を出すスケジュールにした
  • 受講時間を勤務時間内に設定し、賃金を通常どおり支払う
  • 受講料は会社が全額負担し、領収書・振込記録を保管する
  • 修了後の賃金改定や資格手当を検討する場合は、就業規則・賃金規程の定めを確認した
  • 出勤簿・賃金台帳・受講記録を、支給申請時に提出できる形で整理した

年間の研修計画は研修計画表で一覧にしておくと、計画届の期限管理がしやすくなります。

注意点

  • 不正受給は、支給済み額の返還に加えて事業主名などが公表される。受講時間や経費を実態と違う内容で申請しない
  • 研修会社の「実質無料」などの勧誘には注意する。厚生労働省は訓練経費が無料にはならないことを注意喚起している。受講料の価格設定に関する疎明書の提出を求める改正も行われている

まとめ

  • 人材開発支援助成金は、計画届を出して訓練を計画どおりに行った後で申請する制度
  • 職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定・周知が前提
  • 計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前まで、支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内
  • 助成率・額は年度途中でも変わる。申請前に厚生労働省の最新のパンフレットと支給要領を確認する

この記事で使えるテンプレート

CSV 人事 年間研修計画表 1年間の社内研修・外部研修を一覧で計画し、実施結果まで記録できる表です。法定の教育と任意の研修を分け、対象者・時期・講師・費用・助成金の活用予定・受講実績を1行で管理できます。

この記事に出てくる用語

技能実習
開発途上地域などへの技能移転による国際協力を目的に、外国人を実習生として受け入れる制度です。2027年4月1日に育成就労制度へ移行します。
雇用保険
労働者が失業したときや、育児・介護で休業したときなどに給付を行う公的保険です。週20時間以上働き、31日以上雇用見込みがある人が原則として加入します。
就業規則
労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
出勤簿
労働者ごとの出勤日や始業・終業時刻を記録する書類で、賃金台帳・労働者名簿とあわせて「法定三帳簿」と呼ばれます。
所定労働時間
就業規則や労働契約で会社が決めた、始業から終業までの時間から休憩時間を除いた労働時間です。法定労働時間の範囲内で定めます。
賃金台帳
労働者ごとに賃金計算の基礎となる事項や支払額を記録する帳簿で、労働基準法で作成と保存が義務づけられています。法定三帳簿の一つです。
適用事業所
健康保険・厚生年金保険の加入が義務づけられた事業所です。法人は従業員が1人でも、社長1人でも適用事業所になります。

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出典・参考資料

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