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是正勧告を受けたあとの是正報告書をAIで下書きする:指摘事項の整理、是正内容の書き方、添付資料の一覧づくり

労働基準監督署の調査で是正勧告書や指導票を受け取ったら、期日までに是正し、是正報告書を提出します。指摘事項の整理、是正内容の書き方、添付資料の一覧づくりを生成AIで下書きする手順と、AIに任せてはいけない判断、従業員の個人情報を入力しない注意点を解説します。

対象読者
労働基準監督署の調査で是正勧告書や指導票を受け取り、期日までに是正報告書をまとめる必要がある、従業員30〜300名の企業の労務担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 是正勧告書・指導票を受けたら、指摘事項ごとに「何を・いつ・どう是正したか」と、それを確かめられる資料をそろえて是正報告書にまとめる
  • AIには、勧告書の指摘事項を一覧にする作業、是正内容の文章の下書き、添付資料のチェックリストづくりを任せる。是正の方法そのものと、未払賃金の計算は人が決めて確かめる
  • 従業員の氏名、個別の労働時間や賃金額、申告をした人を推測できる情報はAIに入力しない

労働基準監督署の調査が終わり、是正勧告書と指導票を受け取った。期日は1か月後。何をどこまで書けばよいのか分からず、社内の調整に追われて報告書が後回しになる。一人で労務を担当する人にとって、よくある場面です。

この記事では、是正報告書の作成を生成AIで下書きする手順を紹介します。調査の流れや確認される帳簿は労働基準監督署の臨検(定期監督)への備えで解説しています。

是正報告書とは

厚生労働省のパンフレットによると、労働基準監督官は、調査で法違反を確認すると是正勧告書を、改善が望ましい事項については指導票を交付します。会社は指定された期日までに是正し、その内容を是正報告書で労働基準監督署に報告します。

富山労働局は、是正勧告または指導を受けた際に提出する報告書の様式を掲載しています。勧告の内容によっては、賃金の遡及支払いや時間外・休日労働の削減について、別の報告書を求められることもあります。様式や書き方が分からない点は、所轄の労働基準監督署に確認するのが確実です。

書くこと 内容
指摘事項 勧告書・指導票の番号と、違反・指導の内容
是正の内容 何を、いつ、どのように改めたか
是正の完了日 完了した日。未完了なら理由と完了予定日
添付資料 是正を確かめられる書類の写し

AIに任せること・任せないこと

作業 AIの使い方 人が行うこと
指摘事項の一覧 ○ 勧告書・指導票の文面を表に整理させる 原本と番号・内容が一致しているか確認する
是正内容の文章 ○ 社内で決めた是正内容を、報告書の文章に整えさせる 事実と違う表現、できていないことが書かれていないか確認する
添付資料の一覧 ○ 指摘ごとに必要になりそうな資料の候補を挙げさせる 監督官の指示と照らし、実際にそろえる
是正の方法を決める 参考の案のみ 経営者・現場と話し、実行できる方法に決める
未払賃金の計算 使わない 勤怠データと賃金台帳から人が計算し、二重に確認する
法令の解釈 使わない 監督官、社会保険労務士・弁護士に確認する

AIの文章は読みやすく整いますが、実際に行っていない是正を書くことは絶対に避けます。報告書は事実の報告です。

入力しない情報

  • 入力しない:従業員の氏名・社員番号、個別の労働時間や残業時間、個別の賃金額、健康状態
  • 特に注意する:労働者の申告がきっかけの調査で、申告した人を推測できる情報
  • 入力してよい形:「36協定の特別条項の上限を超えて時間外労働をさせていた(対象者数名)」のような、人を特定しない記述

是正のために従業員ごとの数字を扱う作業は、社内の表計算で行います。個人情報保護委員会も、生成AIサービスに個人情報を入力する際の注意を呼びかけています。社内のAI利用ルールも確認してください(→社内の生成AI利用ガイドライン)。

手順1:指摘事項を一覧にする

あなたは中小企業の労務担当者を支援するアシスタントです。
次は労働基準監督署から受け取った是正勧告書と指導票の内容です
(個人名は削除済み)。
「番号」「種類(是正勧告・指導)」「指摘の内容」「関係する書類・制度」
「是正期日」の列の表にしてください。原文にないことは書かないでください。

(勧告書・指導票の記載を書き写す)

手順2:是正内容を社内で決める

一覧をもとに、指摘ごとに是正の方法を決めます。ここはAIに決めさせず、経営者と現場の責任者と話し合います。

手順3:報告書の文章に整える

次は、指摘事項ごとに社内で決めて実施した是正の内容のメモです。
是正報告書に書く文章として、指摘事項ごとに
「是正の内容」「是正の完了日」「添付資料」の形に整えてください。
条件:
・メモにない対策や数字は書かない
・「今後気をつけます」のような抽象的な表現ではなく、変えた仕組みを書く
・完了していないものは「未完了」とし、理由と予定日の欄を空けておく

(是正内容のメモを貼る)

手順4:添付資料をそろえる

上の是正内容ごとに、是正を確かめられる資料の候補を一覧にしてください。
例:改定した36協定届の控え、差額を支払った賃金台帳の写し、
修正した就業規則の該当ページ。

候補の一覧は、そのまま提出するものではありません。監督官から指示された資料を優先し、足りないものを確認します。

社内の進め方の目安

是正期日までの時間は限られています。勧告を受けた日から、次のように進めると間に合わせやすくなります。

時期 やること AIの使い方
勧告を受けた週 指摘事項の一覧を作り、経営者に報告する 一覧の表づくり
2週目まで 指摘ごとに是正の方法と担当を決める 決めた内容の整理
期日の1週間前まで 是正を実施し、資料をそろえる 添付資料の候補づくり
期日まで 報告書を仕上げ、提出する 文章の下書きと読み合わせ

経営者への報告にもAIを使えます。「指摘の内容」「会社への影響」「是正にかかる費用と時間の見込み」の3点でA4・1枚にまとめさせると、判断を得やすくなります。ただし、費用の見込みの数字は人が計算して入れます。

提出前のチェック

  • □ 指摘事項の番号と内容が、勧告書・指導票の原本と一致しているか
  • □ 実際に行った是正だけが書かれているか
  • □ 未払賃金の金額を、人が二重に確認したか
  • □ 期日までに完了しない事項は、事前に担当の監督官に相談したか
  • □ 添付資料に、不要な個人の情報が含まれていないか(必要な範囲に絞る)
  • □ 提出した報告書と添付資料の控えを保存したか

よくある失敗

失敗 起きること 防ぎ方
AIの文章に、まだしていない対策が入る 事実と違う報告になる メモにないことは書かせず、1文ずつ確認する
未払賃金の計算をAIに任せる 金額の誤りで再度の是正が必要になる 勤怠と賃金台帳から人が計算し、二重に確認する
期日を過ぎてから連絡する 監督署との信頼関係が損なわれる 間に合わないと分かった時点で相談する
報告書を出して終わりにする 同じ違反が繰り返される 是正した仕組みを毎月の点検に組み込む

まとめ

  • 是正勧告書・指導票を受けたら、指摘事項ごとに是正の内容・完了日・添付資料をまとめて報告する
  • AIには、指摘事項の一覧、報告書の文章の下書き、添付資料の候補づくりを任せる
  • 是正の方法、未払賃金の計算、法令の解釈は人が行い、実際に行っていない是正は書かない
  • 従業員の氏名や個別の労働時間・賃金、申告者を推測できる情報はAIに入力しない

労務の点検や報告書の作成にAIをどう組み込むか相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

この記事で使えるテンプレート

DOCX 労務 36協定 作成・届出チェックリスト 時間外・休日労働に関する協定(36協定)を作成・届出するときのチェックリストです。上限規制(月45時間・年360時間、特別条項の上限)、過半数代表者の選出、本社一括届出、電子申請までを確認できます。

この記事に出てくる用語

36協定
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて残業させたり、法定休日に働かせたりするために、会社と労働者の過半数代表が結び、労働基準監督署に届け出る労使協定です。
時間外労働
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働のことです。36協定の締結・届出と、25%以上の割増賃金の支払いが必要です。
賃金台帳
労働者ごとに賃金計算の基礎となる事項や支払額を記録する帳簿で、労働基準法で作成と保存が義務づけられています。法定三帳簿の一つです。
労働基準監督署
労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。
割増賃金
時間外労働・休日労働・深夜労働をさせたときに、通常の賃金に上乗せして支払う賃金です。率は労働基準法と政令で定められています。

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出典・参考資料

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