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1年単位の変形労働時間制の年間カレンダーをAIで下書きする:休日の配置案から、280日・週52時間などの限度の点検まで

1年単位の変形労働時間制では、対象期間の労働日と労働時間をカレンダーで定め、年280日・1日10時間・1週52時間などの限度を守る必要があります。生成AIに休日の配置案を作らせる手順とプロンプト例、限度を表計算で点検する方法、AIに任せてはいけない確認を解説します。

対象読者
1年単位の変形労働時間制の年間カレンダー(労働日・休日・労働時間の表)を毎年作っている、従業員30〜300名の企業の労務担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • AIには、祝日・会社の休日・繁忙期の条件から休日の配置案と月別の集計表の形を作らせる。祝日の日付や集計の数値は、内閣府の祝日一覧と表計算の式で人が確かめる
  • 点検するのは、週平均40時間以内、労働日数(年280日)、1日10時間・1週52時間、48時間を超える週の回数、連続労働日数の5点。数え方は労働局の案内で確認する
  • 社員の氏名やシフトの実データは入力しない。カレンダーは労使協定に添付して労働基準監督署へ届け出る書類なので、確定版は人が作る

1年単位の変形労働時間制を使っている会社では、毎年、翌年度の年間カレンダー(労働日・休日と各日の労働時間の表)を作り、労使協定に添えて労働基準監督署に届け出ます。祝日や連休の配置を考えながら、労働日数や週の労働時間の限度を満たすように組むのは手間がかかる作業です。

この記事では、休日の配置案と集計表の形を生成AIに作らせ、限度の点検は表計算と人の目で行う手順を解説します。制度の仕組みは変形労働時間制の種類と導入手順を参照してください。

AIに任せること・任せないこと

区分 内容
AIに任せる 休日の配置案(連休・繁忙期を考慮した複数案)、月別の集計表の列の設計、表計算の式の案、社内向けの説明文
人が確認する 祝日の日付、各日の労働時間、限度を満たしているかの最終判断、労使協定の内容
AIに入力しない 社員の氏名・シフト・勤怠の実データ、労使協定の過半数代表者の氏名

カレンダーの下書きに必要なのは、所定労働時間や休日の条件だけです。社員個人の情報は要りません。個人情報保護委員会も、生成AIに個人データを入力する場合の注意を呼びかけています。

先に確認しておく限度

労働基準法第32条の4と施行規則第12条の4により、1年単位の変形労働時間制には次の限度があります(兵庫労働局の案内で数え方を確認できます)。

項目 限度
週平均の労働時間 対象期間を平均して1週40時間以内(総労働時間は「40時間×暦日数÷7」以内)
労働日数 1年当たり280日(対象期間が3か月を超える場合)
1日・1週の労働時間 1日10時間、1週52時間
48時間を超える週 連続3週以下。対象期間を3か月ごとに区分した各期間で3回以下(対象期間が3か月を超える場合)
連続して労働させる日数 原則6日。特定期間は1週間に1日の休日が確保できる日数

前年度にも協定があり、1日や1週の最長労働時間を前年より延ばす場合などは、労働日数の限度がさらに厳しくなることがあります。前年の協定書を手元に置いて確認します。

手順1:条件を整理する

AIに渡す前に、社内で次の条件を決めます。

  • 対象期間(例:4月1日〜翌年3月31日)と、週の起算日(何曜日から数えるか)
  • 1日の所定労働時間(通常日と繁忙期で変えるか)
  • 必ず休みにする日(年末年始・夏季休業・会社の創立記念日など)
  • 繁忙期と閑散期の時期、土曜を出勤日にしてよい時期

手順2:休日の配置案を作らせる

1年単位の変形労働時間制の年間カレンダーの下書きを作ってください。
条件:
・対象期間は2027年4月1日から2028年3月31日まで。週は日曜始まり
・1日の所定労働時間は8時間。12月と3月は9時間の日を設けてよい
・日曜と国民の祝日は休日。年末年始は12月29日〜1月3日、夏季は8月13日〜16日を休日
・労働日数は年間260日前後、総労働時間は2,085時間以内に収める
・連続して働く日は6日以内にする
出力:
・月ごとの労働日・休日の一覧(日付と曜日)
・月別の労働日数と労働時間の合計の表
・各週の労働時間の合計の表(52時間・48時間を超える週に印)
・祝日の日付は、内閣府の公表で確認が必要である旨を明記する

AIは、祝日の日付や曜日を誤ることがあります。特に春分の日・秋分の日は前年に官報で公表されるため、内閣府の「国民の祝日について」で確認してから使います。

手順3:表計算で限度を点検する

AIの出した集計の数値は、そのまま使いません。日付・曜日・労働時間を1日1行の表にして、表計算の式で数え直します。式の書き方もAIに尋ねられます。

1日1行で「日付」「曜日」「区分(労働日/休日)」「労働時間」の列がある表があります。
次を求める表計算の式を教えてください。
・月別の労働日数と労働時間の合計
・日曜始まりの週ごとの労働時間の合計
・労働日が連続する日数の最大値
・48時間を超える週が連続する回数
点検項目 確かめる方法
総労働時間 合計が「40×暦日数÷7」以下か(365日なら2,085.71時間)
労働日数 区分が「労働日」の行数が上限以内か
1日・1週 最大値が10時間・52時間以内か
48時間超の週 連続回数と、3か月ごとの回数
連続労働 最大の連続日数が6日以内か(特定期間を除く)

対象期間の途中の週(4月1日や3月31日をまたぐ週)の数え方は、労働局の案内や所轄の労働基準監督署で確認します。

期間を区分して定める場合

対象期間のすべての日を協定の時点で決めるのが難しい場合は、対象期間を1か月以上の期間に区分し、最初の期間だけ日ごとの労働時間を定め、残りの期間は労働日数と総労働時間だけを協定で決める方法もあります。この場合、2番目以降の期間の労働日と労働時間は、その期間の初日の少なくとも30日前に、過半数代表者などの同意を得て書面で定めます。AIに区分期間ごとの下書きを作らせるときも、30日前の期限を社内の予定表に入れておきます。

手順4:確定と社内への周知

点検が済んだカレンダーを、労使協定(様式第4号で届出)に添付します。協定の当事者である過半数代表者の選び方は過半数代表者の選出も参考にしてください。社員向けの説明文はAIに下書きさせてかまいません。

次の条件で、社員向けに来年度の年間カレンダーを案内する文を作ってください。
・繁忙期の12月と3月に9時間の日があること
・その分、8月と1月に休日を増やしたこと
・カレンダーは社内ポータルに掲載すること
・質問の窓口は総務部

カレンダーを決めた後に会社の都合で労働日や休日を入れ替えることは、原則として予定されていません。急な振替が多い職場では、制度が合っているかも見直します。カレンダーどおりに働いても、限度を超えた時間や週40時間を超える部分には割増賃金が必要になる場合があるため、勤怠の集計方法も合わせて確認します。

よくある失敗

  • AIが出した祝日の日付を確かめずに使い、春分の日が1日ずれる
  • AIの集計表の合計を信じ、実際には総労働時間が上限を超えている
  • 1日の時間を延ばした年に、前年の協定との関係で労働日数の限度が変わることを見落とす
  • 社員ごとのシフト表をそのまま入力して、個人の勤務情報を外部に渡してしまう

まとめ

  • AIには休日の配置案、集計表の形、表計算の式、社内向けの説明文を作らせる
  • 祝日は内閣府の公表で、限度は表計算の式で人が確かめる。点検は週平均40時間、労働日数、1日・1週、48時間超の週、連続労働日数の5点
  • 社員の氏名やシフトの実データは入力しない
  • 確定したカレンダーは労使協定に添付して届け出て、社内に周知する

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この記事に出てくる用語

過半数代表者
労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場で、労使協定の締結や就業規則の意見聴取の相手方になる、労働者の過半数を代表する人です。
個人データ
検索できるように体系的に整理された個人情報の集まり(個人情報データベース等)を構成する個人情報のことです。社員名簿や顧客台帳、名刺管理ソフトの中の情報などが該当します。
所定労働時間
就業規則や労働契約で会社が決めた、始業から終業までの時間から休憩時間を除いた労働時間です。法定労働時間の範囲内で定めます。
変形労働時間制
一定期間を平均して週40時間以内であれば、特定の日や週に法定労働時間を超えて働かせても時間外労働にならない制度です。1か月単位・1年単位・1週間単位があります。
労使協定
会社と、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数代表者)との間で結ぶ書面の協定です。法律の原則を例外的に変える効果があります。
労働基準監督署
労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。
割増賃金
時間外労働・休日労働・深夜労働をさせたときに、通常の賃金に上乗せして支払う賃金です。率は労働基準法と政令で定められています。

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