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売掛金の督促メール・督促状をAIで段階別に下書きする:1回目の確認から内容証明の前まで、送る前の確認手順

売掛金の入金が遅れたときの督促は、1回目の確認メールから督促状、内容証明の前の最終通知まで、段階に応じて文面の強さを変える必要があります。生成AIで段階別の文面の型を作る手順と、プロンプト例、取引先名や金額を入力しない工夫、送る前に人が確かめる点(請求の特定・期限・時効・表現)を解説します。

対象読者
取引先からの入金遅れに対応することになり、督促の連絡文や督促状の書き方に迷っている、従業員30〜300名の企業の総務・経理担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • AIには、督促の段階(確認・依頼・督促・最終通知)ごとの文面の「型」を作らせる。会社名・金額・請求書番号は差し込み欄にして、実データは入力しない
  • 送る前に、請求書の送付・検収・支払条件など自社側の事実と、新しい期限、時効の状況を人が確かめる。威圧的な表現や根拠のない法的措置の予告は使わない
  • 分割払いの相談には支払計画書をもらうなど、文面だけで済まない判断は人が行う。争いがある取引や時効が近い債権は、早めに弁護士へ相談する

取引先からの入金が遅れたとき、最初の連絡は営業担当がメールで、2回目からは総務・経理が会社名義の書面で、という会社が多いはずです。ところが督促の文面は年に数回しか書かないため、毎回ゼロから考えることになり、丁寧すぎて伝わらない、逆に強すぎて関係がこじれる、ということが起こります。

この記事では、督促の段階ごとの文面の型を生成AIで作り、案件ごとに差し込んで使う手順を解説します。回収の全体の流れや時効の考え方は売掛金が未払いのときの回収手順を参照してください。

AIに任せること・任せないこと

区分 内容
AIに任せる 段階別の文面の型、件名の案、表現の強さの調整、敬語の点検、英文の督促メールの下書き
人が確認する 未払いの事実(請求書の到着・検収・支払条件)、請求の特定、新しい期限、時効、法的手続を予告するかどうか
AIに入力しない 取引先の会社名・担当者名、請求金額、請求書番号、振込先口座、取引の経緯の詳細

取引先の情報や金額は、AIに渡す必要がありません。文面は「〇〇株式会社」「金__円」のような差し込み欄で作り、送るときに人が埋めます。担当者の氏名やメールアドレスは個人情報に当たるため、個人情報保護委員会が注意を呼びかけているとおり、生成AIに入力しない運用にしておくのが安全です。

督促の段階と文面の強さ

文面の型は、段階ごとに目的と強さを決めてから作ります。

段階 目的 送る人・方法 文面の強さ
1 確認 請求書の到着や支払手続の状況を確認する 営業担当・メール 行き違いを前提にした問い合わせ
2 依頼 新しい期限を示して支払いを依頼する 総務・経理・メールと書面 丁寧な依頼
3 督促 再度の期限を示し、応じない場合の対応を伝える 会社名義・書面 事実を淡々と書く
4 最終通知 法的手続の検討を伝える 会社名義・書面(内容証明は弁護士に相談のうえ) 期限と次の手続を明記

段階3以降で「法的手続を検討します」と書く場合は、本当に支払督促や訴訟を検討する前提で書きます。実行する予定のない予告は、相手との関係を悪くするだけで効果が続きません。

手順1:自社の事実を整理する

文面を作る前に、次の事実を社内で確認します。未払いの原因が自社側(請求書の未着、宛先の誤り、検収の未了)にあることも珍しくありません。

  • 請求書の送付日・送付方法・宛先、請求金額、本来の支払期日
  • 納品と検収が終わっているか。相手から数量や品質への異議が出ていないか
  • 契約書や発注書の支払条件(締め日・支払日・振込手数料の負担)
  • これまでの連絡の記録(日時・相手・内容)

この段階はAIを使わず、社内の記録で確かめます。

手順2:段階別の文面の型を作らせる

売掛金の入金が遅れている取引先に送る督促の文面の型を作ってください。
段階は次の4つです。
1 確認(営業担当からのメール。行き違いを前提にした問い合わせ)
2 依頼(総務からのメール兼書面。新しい支払期限を示す)
3 督促(会社名義の書面。再度の期限と、応じない場合は対応を検討する旨)
4 最終通知(会社名義の書面。期限までに支払いがない場合は法的手続を検討する旨)
条件:
・会社名、担当者名、金額、請求書番号、期限、振込先は「____」の差し込み欄にする
・各段階に件名の案を2つ付ける
・「本状と行き違いでお支払い済みの場合はご容赦ください」の一文を入れる
・威圧的な表現、相手の信用を傷つける表現、第三者への連絡をほのめかす表現は使わない
・段階ごとに、送る前に確認すべき点を3つ挙げる

出てきた型は、そのまま使わずに次の点を見直します。

観点 確認の例
請求の特定 請求書番号・請求日・品名・金額・本来の支払期日が欄として入っているか
期限 新しい期限が具体的な日付になっているか(「至急」だけにしない)
表現 「必ず」「直ちに法的措置」など、段階に合わない強い言葉が入っていないか
連絡先 担当部署・担当者・電話番号の欄があるか
段階3・4 次の手続を予告する場合、社内で判断が済んでいるか

手順3:案件ごとに調整する

型ができたら、案件の事情に合わせて調整させます。このときも、相手の名前や金額は伏せたまま、状況だけを伝えます。

次の状況に合わせて、段階2の文面を調整してください。
・取引は3年続いており、これまで遅れはなかった
・先方の経理担当が交代したと聞いている
・関係は維持したいので、請求書の再送も申し出たい
差し込み欄は残したままにしてください。

調整した文面に人が実データを差し込み、上長の確認を経てから送ります。送った日時と方法、相手の反応は、督促の記録として残します。回収できなかった場合の税務処理(貸倒損失)を判断するときにも使います。

手順4:時効と次の手続を人が確かめる

文面とは別に、次の点は人が確認します。

  • 売掛金は、権利を行使できることを知った時から5年で時効にかかるのが原則です(民法第166条)。古い債権は日付を確かめます
  • 内容証明郵便などの催告は、時効の完成を6か月猶予するだけです(第150条)。その間に支払督促や訴えの提起を検討します
  • 相手が分割払いを求めてきたら、支払計画を書面でもらいます。債務の承認として時効が更新されます(第152条)
  • 相手が支払いを争っていなければ支払督促、60万円以下で争いがあれば少額訴訟という使い分けがあります。手続は裁判所の案内で確認します

内容証明郵便の文面は、督促状の型を流用せず、弁護士に確認してもらうと安心です。内容証明の出し方は内容証明郵便の出し方を参照してください。

社内の運用ルールにしておくこと

文面の型を作っても、誰がいつ送るかが決まっていないと、督促は後回しになります。型と一緒に、次の点を社内のルールにしておきます。

項目 決めておく内容の例
未入金の確認 入金予定日の翌営業日に、経理が未入金の一覧を営業と総務に回す
段階を上げる基準 1回目の連絡から1週間入金がなければ段階2、新しい期限を過ぎたら段階3
送る人と承認 段階1は営業担当、段階2以降は総務が作成し、部長が承認する
文面の保管 型は共有フォルダの決まった場所に置き、改訂した日を書く
出荷の扱い 段階3に進んだ取引先への新たな出荷は、上長の判断を経る

型は、実際に使って相手の反応が良かった言い回しを反映しながら、年1回見直します。見直しのときも、取引先名を伏せたまま「この表現で返事が早くなった」という形でAIに伝えれば、型の改善に使えます。

よくある失敗

  • 1回目から「督促状」の件名で送り、請求書の未着だったことが後でわかる
  • AIの出した「法的措置を講じます」をそのまま使い、実際には何もしないまま時効が近づく
  • 取引先名と金額を入れたままのプロンプトを、共有のAIアカウントで使い回す
  • 送った文面と日付の記録を残さず、後で催告の時期を証明できない

まとめ

  • AIには督促の段階別の文面の型を作らせ、会社名・金額・請求書番号は差し込み欄にする
  • 未払いの事実、請求の特定、新しい期限は社内の記録で人が確かめる
  • 法的手続の予告は実行する前提で書く。時効の管理と内容証明・裁判所の手続は人が判断し、必要に応じて弁護士に相談する
  • 送った文面・日時・相手の反応を記録に残す

督促や請求の事務にAIをどう組み込むか相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

この記事で使えるテンプレート

DOCX 総務 売掛金の督促状(文例)─ お支払いのお願い・督促状・最終のご通知の3段階 売掛金の入金が遅れている取引先に送る書面の文例です。1回目の「お支払いについてのお願い」、2回目の「督促状」、法的手続の検討を伝える「最終のご通知」の3段階と、督促の記録表を収めています。請求の特定、新しい期限、行き違いへの配慮を必ず書く形にしています。 DOCX 総務 内容証明郵便 受領時の対応記録(受領日時・回答期限・報告先・弁護士への相談・回答までの経過) 会社あてに内容証明郵便が届いたときに、受領日時と受け取った人、差出人と請求の内容、回答期限、社内の報告先、保全した資料、弁護士への相談、回答までの経過を1枚に記録する様式です。受領を拒否しない、当日中に責任者へ回すといった初動の確認項目もつけています。

この記事に出てくる用語

内容証明郵便
いつ、どんな内容の文書を、誰から誰あてに差し出したかを日本郵便が証明する郵便です。契約の解除通知や未払代金の督促など、通知した事実を証拠に残したいときに使います。

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出典・参考資料

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