AI活用 #AI活用#生成AI#社内文書#採用

AIで作った画像・文章を社内報や採用ページに使う前の著作権チェック:文化庁のガイダンスに沿った確認手順と記録の残し方

生成AIで作った画像や文章も、既存の作品に似ていれば著作権侵害になることがあります。文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」に沿って、社内報や採用ページに載せる前の確認手順、プロンプトの記録、社内ルールに入れる項目を整理します。

対象読者
社内報、社内ポスター、採用ページなどに生成AIで作った画像や文章を使う従業員30〜300名の企業の総務・人事・広報担当者
難易度
実務
所要時間
読了7分
最終確認日

この記事のポイント

  • 著作権侵害には既存の著作物との「類似性」と「依拠性」の両方が必要。AI生成物を使う前に、既存の作品と似ていないかをインターネット検索などで確かめる(文化庁)
  • 既存の作品そのものや作品名・キャラクター名をプロンプトに入れると、依拠性が認められやすくなる。社内ルールで避ける
  • 社内の検討段階での生成と、社外への公開とでは判断が異なる。公開する生成物は、使ったプロンプトと確認の結果を記録する

社内報の挿絵や、採用ページのイメージ画像を生成AIで作る会社が増えています。手軽に作れる一方で、「AIが作ったものだから著作権の心配はない」と考えるのは誤りです。

この記事では、文化庁のAIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンスのうち、AIを業務で利用する会社(AI利用者)向けの項目に沿って、生成物を社内外で使う前の確認手順を整理します。新聞記事やネット画像など、AIを使わない場合の社内利用は社内資料・研修での新聞記事・書籍・ネット画像の利用と著作権で扱っています。

AI生成物でも著作権侵害になる理由

チェックリスト&ガイダンスは、生成AIは仕組み上、学習データに含まれる既存の著作物と似た生成物を作ることがあり、利用者が既存の作品を知らなくても、生成・利用が著作権侵害になることがあると説明しています。

著作権侵害が成り立つには、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」の両方が必要とされています。

要件 意味 AIを使う場合の注意
類似性 既存の作品の表現上の特徴と似ている 似ていなければ、利用に特段の許諾は不要
依拠性 既存の作品をもとにして作った 作品そのものや作品名、キャラクター名をプロンプトに入れると認められやすくなる

生成と利用で判断が変わる

同じガイダンスは、生成すること自体は、私的使用の目的や、会社の内部で許諾を得て利用することを前提とした検討の過程(著作権法第30条の3)であれば、その範囲内で許諾なく行えるとしています。一方、生成物をインターネットで公開したり、印刷して配ったりする利用は、権利制限規定の範囲外となる場合が多いとしています。

場面 考え方
社内報のデザイン案をいくつか作って比べる 検討の過程の生成。ただし採用した案は次の確認へ
採用ページに画像を載せる 公開の利用。似た作品がないか確認が必要
社内ポスターを印刷して掲示する 複製物の利用。公開と同じく確認する
研修資料に挿絵として使う 社内でも配布・投影する利用。確認する

使う前の確認手順

手順1:プロンプトを点検する

生成の前に、プロンプトに次のものが入っていないかを確かめます。

  • 既存の作品の画像や文章そのもの
  • 作品名(題号)、キャラクター名などの特定の固有名詞

ガイダンスは、既存の画像などを入力して似た生成物を作らせる目的の場合は、入力に伴う複製について権利者の許諾が必要になる場合があるとしています。

手順2:似た作品がないか確かめる

ガイダンスは、AI生成物を使う前に、まず既存の著作物と類似していないかを確認することが必要とし、その方法としてインターネット検索(文章検索・画像検索)の活用を挙げています。

生成物 確認の方法
画像 画像検索で似た画像がないか見る。有名なキャラクターやロゴに似ていないか複数人で見る
文章 特徴的な一文を検索して、同じ文章が出てこないか見る
キャッチコピー 他社の広告や商品名と同じでないか検索する

手順3:記録を残す

ガイダンスは、依拠性がないことを説明できるよう、生成に用いたプロンプトなど生成過程を確認できる状態にしておくことが望ましいとしています。公開する生成物ごとに、次の項目を記録します。

・掲載先(社内報〇月号、採用ページ など)
・使ったサービス名
・生成した日、担当者
・使ったプロンプト(全文)
・似た作品がないかの確認日、方法、確認者
・修正した点

記録の書式づくりは生成AIに頼めます。

社内報や採用ページに生成AIで作った画像を載せるときの
「生成物の利用記録」の表の見出しを作ってください。
文化庁のガイダンスにある「プロンプトなど生成過程を確認できる状態にする」
「既存の著作物と類似していないかを確認する」ことが記録できるようにしてください。

社内ルールに入れる項目

ガイダンスは、AI利用者が生成AIの利用に関する内部ルールを作るなどの予防措置を講じること、侵害が生じた場合の対応(情報共有、権利者への対応、原因解明、再発防止など)をあらかじめ検討しておくことが望ましいとしています。また、従業員に著作権制度の理解を確認しておくことも必要としています。

ルールの項目 内容の例
プロンプトの禁止事項 作品名・キャラクター名などの指定、他人の作品の入力をしない
公開前の確認 社外に出す生成物は、類似の確認と記録を担当者が行う
規約の確認 使うサービスの利用規約で、生成物の商用利用が認められているか確認する
問題が起きたとき 掲載を止め、総務に報告し、権利者への対応を検討する

使うサービスの利用規約で、他人の著作物の入力が禁止されていることもあります。導入前の規約の確認は生成AIサービスを導入する前の確認表を参照してください。

社員の写真や名前を生成物に使う場合は、著作権とは別に、本人の同意や肖像の扱いの問題があります。社内報の掲載前の確認は社内報の記事をAIで作るを参照してください。

まとめ

  • AI生成物でも、既存の作品と類似し依拠していれば著作権侵害になり得る
  • 公開・配布する前に、プロンプトの点検とインターネット検索での類似確認を行う
  • プロンプトと確認結果を記録し、社内ルールと侵害時の対応を決めておく

出典・参考資料

この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。

無料で相談する

無料メルマガ

法改正アラート:改正の1ヶ月前に「やることリスト」が届く

月1回の定期号と、施行直前号でお届けします。今月やること・新着テンプレートもまとめて確認できます。