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育児休業の個別周知・意向確認の説明資料をAIで作る:妊娠・出産の申出時と3歳前面談の準備手順

育児・介護休業法で義務になっている、妊娠・出産等の申出時の個別周知・意向確認と、子が3歳になる前の柔軟な働き方の個別周知・意向確認。その説明資料と面談の進行表を、生成AIで自社の制度に合わせて作る手順を解説します。周知すべき事項との照合、妊娠や家族の情報を入力しない注意点もまとめます。

対象読者
従業員から妊娠・出産の申出を受けたときの説明や、子が3歳になる前の面談を、一人で準備している従業員30〜300名の企業の人事・労務担当者
難易度
実務
所要時間
読了9分
最終確認日

この記事のポイント

  • 妊娠・出産等の申出時には、育休制度・申出先・育児休業給付・休業中の社会保険料の4つを個別に知らせ、取得の意向を確認する。3歳前には会社が選んだ柔軟な働き方の措置などを知らせる
  • AIは、自社の規程の要点から「従業員向けのやさしい説明資料」と「面談の進行表」を作る下書きに使う。法令で求められる事項が入っているかは人が照合する
  • 申出をした従業員の氏名、出産予定日、配偶者や子の情報、健康状態はAIに入力しない。資料は個人の情報を含まない共通版として作る

従業員から「妊娠しました」「妻が出産予定です」と申出を受けたら、会社は育児休業などの制度を個別に知らせ、取得の意向を確認しなければなりません。さらに2025年10月からは、子が3歳になる前にも、柔軟な働き方の制度を個別に知らせることが義務になりました。

制度は複雑で、毎回一から説明を考えるのは大変です。この記事では、生成AIで自社の制度に合わせた説明資料と面談の進行表を作る手順を紹介します。法改正の全体像は「育児・介護休業法の改正(2025年4月・10月施行)」を参照してください。

まず義務の内容を押さえる

AIに頼む前に、法令で求められていることを確認します。

妊娠・出産等の申出時の個別周知・意向確認

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た従業員に対し、次の4つを個別に知らせ、育児休業・産後パパ育休を取得する意向を確認します。

周知する事項
①育児休業・産後パパ育休に関する制度
②育児休業・産後パパ育休の申出先
③育児休業給付に関すること
④育児休業・産後パパ育休の期間に、従業員が負担すべき社会保険料の取扱い

方法は、①面談(オンライン可)、②書面の交付、③FAX、④電子メール等のいずれかです。FAXと電子メール等は、従業員が希望した場合に限られます。取得を控えさせるような説明をしてはいけません。

子が3歳になる前の個別周知・意向確認

子が1歳11か月に達した日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日までの間に、次の事項を個別に知らせ、意向を確認します。

方法は、面談(オンライン可)、書面の交付、従業員が希望した場合のFAX・電子メール等です。あわせて、勤務時間帯や勤務地などについての意向を聴き、配慮することも求められています。

給付金の詳しい内容は「育児休業給付の手続き」、夫婦で取る場合の特例は「パパ・ママ育休プラス」で解説しています。

入力しない情報

  • 入力しない:申出をした従業員の氏名・社員番号、出産予定日、配偶者や子の氏名・生年月日、妊娠経過や体調、家族の事情
  • 入力しない:給与額や個人の給付金の見込み額、マイナンバー
  • 入力してよい形:就業規則・育児介護休業規程の該当条文の要点、自社が選んだ措置の内容、申出先の部署名

妊娠や家族の情報は、本人にとって特に知られたくない情報です。AIで作るのは誰にでも渡せる共通版の資料までにし、個人ごとの日付や金額は人が書き込みます。

手順1:自社の制度の要点を整理する

まず、規程から説明に必要な要点を書き出します。

項目 書き出す内容
育児休業・産後パパ育休 対象者、期間、申出の期限、分割取得の扱い
申出先 部署名・連絡方法(個人名ではなく窓口名)
給付・社会保険料 給付の窓口(ハローワーク)、会社が行う手続き、保険料免除の手続き
柔軟な働き方の措置 自社が選んだ2つ以上の措置と、その利用方法
残業免除・制限 対象者と申出方法

規程そのものに不安がある場合は、先に育児・介護休業規程のひな形と見比べておきます。

手順2:従業員向けの説明資料を作る

要点をAIに渡し、やさしい言葉の資料にします。

あなたは中小企業の人事担当者を支援するアシスタントです。
次は当社の育児休業制度の要点です(個人の情報は含みません)。

これをもとに、妊娠・出産の申出をした従業員に渡す説明資料(A4・2枚程度)を作ってください。
条件:
- 次の4つを必ず見出しとして立てる
  ①育児休業・産後パパ育休の制度 ②申出先 ③育児休業給付 ④休業中の社会保険料の扱い
- 最後に「取得の希望を確認させてください」という意向確認の欄を設ける
- 取得をためらわせる表現(「繁忙期は避けて」など)は使わない
- 要点にない制度や金額は書かない。分からない部分は【要確認】と書く

給付金の支給率や保険料免除の条件などは、AIが古い情報や誤った情報を書くことがあります。金額や率はAIに書かせず、厚生労働省やハローワークの最新の案内を見て人が書き入れるのが安全です。

手順3:面談の進行表を作る

面談で行う場合は、進行表を作っておくと説明漏れを防げます。

上の説明資料をもとに、人事担当者が30分の面談で使う進行表を作ってください。
「冒頭のあいさつ」「制度の説明(4項目)」「本人の希望の確認」
「両立についての意向(勤務時間帯・勤務地など)の聴き取り」「今後の手続きと期限」
の順にし、各パートの目安時間と、聞き方の例を入れてください。
本人が答えたくないことは無理に聞かない旨を、冒頭に入れてください。

3歳前の面談も同じ手順で、会社が選んだ柔軟な働き方の措置と、残業免除などの制度を見出しにした進行表を作ります。

手順4:法令の事項と照合して記録を残す

AIが作った資料と進行表は、そのまま使わずに照合します。

  • □ 周知すべき事項(妊娠・出産時は4項目、3歳前は措置・申出先・残業免除等)がすべて入っている
  • □ 自社の規程と食い違う記述がない
  • □ 給付金や保険料の説明が最新の公的な案内と一致している
  • □ 取得をためらわせる表現がない
  • □ 書面で渡す場合、本人の希望を確認する欄がある

面談や書面で知らせた日と、本人の意向は記録に残します。個別周知・意向確認書の様式を使うと、記録の項目をそろえられます。育児休業の申出を受けたら、育児休業申出書で手続きを進めます。介護の申出があった場合の対応は「介護離職を防ぐ会社の対応」を参照してください。

よくある失敗と防ぎ方

失敗 起きること 防ぎ方
AIが書いた給付率をそのまま載せる 誤った説明で本人の計画が狂う 金額・率は公的な案内を見て人が書く
個人の予定日を入れて資料を作る 妊娠の情報がAIに入力される 共通版を作り、日付は人が書き込む
「繁忙期は避けてほしい」と書く 取得を控えさせる説明になる 表現を点検し、意向確認は中立に行う
3歳前の面談を忘れる 義務を果たせない 子の生年月日から対象時期を人事台帳で管理する

まとめ

  • 妊娠・出産等の申出時は4項目、子が3歳になる前は柔軟な働き方の措置などを個別に知らせ、意向を確認する
  • AIは、自社の規程の要点から説明資料と面談の進行表の下書きを作るのに使う
  • 氏名・出産予定日・家族や健康の情報、マイナンバーはAIに入力しない。給付の金額や率は人が公的な案内で確認する
  • 周知事項との照合と記録を、人が必ず行う

両立支援の説明資料や手続きの案内を、AIでどこまで効率化できるか相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

この記事で使えるテンプレート

DOCX 労務 育児・介護 個別周知・意向確認書 育児・介護休業法で義務づけられた個別周知・意向確認・意向聴取を、面談または書面で行うための確認書です。妊娠・出産等の申出時、子が3歳になる前、介護に直面したときの3場面に対応し、本人の回答欄も付けています。 DOCX 労務 育児休業申出書 従業員が育児休業を申し出るときの社内様式です。通常の育児休業、出生時育児休業(産後パパ育休)、1歳6か月・2歳までの延長に1枚で対応し、会社からの取扱通知欄も設けています。

この記事に出てくる用語

育児休業
子を養育するために、原則として子が1歳になるまで取得できる休業です。育児・介護休業法にもとづき、保育所に入れないなどの場合は最長2歳まで延長できます。
育児休業給付
雇用保険の被保険者が育児休業を取ったときに支給される給付です。休業開始から180日までは賃金の67%、それ以降は50%が目安です。
介護休業
要介護状態にある家族を介護するための休業で、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できます。
産後パパ育休
子の出生後8週間以内に、4週間(28日)まで取得できる育児休業です。法律上の名称は「出生時育児休業」で、通常の育児休業とは別に取得できます。
就業規則
労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
深夜業
午後10時から午前5時までの間の労働です。25%以上の割増賃金が必要で、深夜業に常時従事する人には6か月ごとの健康診断が義務づけられています。
時間外労働
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働のことです。36協定の締結・届出と、25%以上の割増賃金の支払いが必要です。
ハローワーク
厚生労働省の公共職業安定所の愛称です。職業紹介や求人の受付のほか、雇用保険の加入・喪失や給付の手続きの窓口になっています。
マイナンバー
住民票を持つすべての人に1人1つ指定される12桁の番号です。会社は社会保障・税・災害対策の法定の手続に限って従業員などのマイナンバーを取り扱えます。

用語集の一覧を見る →

出典・参考資料

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