総務 #業務効率化#文書管理#電子申請

郵送コストを減らす方法|料金別納・料金後納の使い分け、書留と特定記録の選び方、電子交付への切り替え

郵便料金の改定で、請求書や社内書類の郵送費は以前より重くなっています。郵送費の棚卸し、料金別納・料金後納の条件と使い分け、書留・特定記録などオプションの選び方、源泉徴収票や行政手続きの電子化で郵送そのものを減らす方法を整理します。

対象読者
従業員30〜300名の企業で、郵便物の発送と郵送費の管理を担当する総務担当者
難易度
基本
所要時間
読了7分
最終確認日

この記事のポイント

  • まず1か月分の発送を棚卸しし、「書類の種類×通数×オプション」で郵送費の内訳をつかむ。削減効果が大きいのは、定期的に大量に出している書類の電子化
  • 同時に10通以上なら料金別納、毎月50通以上なら料金後納(郵便局の承認が必要)を使うと、切手を貼る手間と切手の在庫管理がなくなる
  • 「届いた記録」だけが必要なら特定記録、紛失時の補償も必要なら簡易書留や一般書留、と目的でオプションを選ぶ。源泉徴収票などは従業員の承諾を得て電子交付に切り替えられる

請求書、契約書、年末調整の書類、退職者への源泉徴収票。総務から出ていく郵便物は意外に多く、料金改定のあとは郵送費が目に見えて増えた、という会社も多いはずです。

郵送費の削減は、「安い送り方を探す」より「送る量を減らす」「まとめて出す」のほうが効果が大きくなります。この記事では、その順番で整理します。

まず郵送費を棚卸しする

1か月分の発送記録(郵便物の差出簿、切手の受払簿)から、次の表を作ります。

書類 宛先 月の通数 送り方 1通あたり 月額
請求書 取引先 120 定形・普通 110円 13,200円
契約書の返送 取引先 15 定形外・特定記録 ― ―
社会保険・労働保険の届出 年金事務所・ハローワーク 10 定形外・普通 ― ―
退職者への書類 退職者 5 簡易書留 ― ―

表にすると、「請求書が全体の半分以上」「書留を必要以上に使っている」といった傾向が見えます。郵便物の受け取り側の運用は郵便物・宅配便の受け取りルールを参照してください。

現在の主な料金

日本郵便の料金表(2026年10月時点)では、主な料金は次のとおりです。最新の料金は日本郵便のサイトで確認してください。

種類 料金
定形郵便物(50g以内) 110円
定形外郵便物・規格内(50g以内) 140円
定形外郵便物・規格内(100g以内) 180円
通常はがき 85円
スマートレター(A5・1kgまで) 210円
レターパックライト(A4・厚さ3cmまで) 430円
レターパックプラス(A4・対面でお届け) 600円

A4の書類を折らずに送ると定形外になり、定形より高くなります。三つ折りで長形3号の封筒に入る書類は定形で送る、というルールだけでも差が出ます。

「送る量」を減らす

削減効果が最も大きいのは、定期的に大量に出している書類を郵送以外に切り替えることです。

書類 切り替え先 注意点
請求書 メール添付・請求書発行サービス 取引先の同意を取る。電子で受け取った請求書は電子帳簿保存法の電子取引として保存(→FAX・紙の申請をなくす手順)
契約書 電子契約 相手方の対応状況を確認(→契約書の管理)
社会保険・労働保険の届出 e-Govの電子申請 GビズIDの取得が必要(→電子申請を始める手順)
源泉徴収票・給与明細 電子交付 従業員の承諾が必要(次項)
社内の書類(本社⇔支店) 社内便、スキャンして共有 社内便で信書を送る範囲に注意

源泉徴収票の電子交付

給与所得の源泉徴収票や給与等の支払明細書は、受給者の承諾を得れば、書面に代えて電磁的方法で提供できます。国税庁のQ&Aによると、この2つについては、「期限までに回答がなければ承諾したものとみなす」旨をあらかじめ通知し、期限までに回答がなければ承諾があったものとみなされます。ただし、受給者から請求があれば書面で交付する必要があります。退職者への源泉徴収票も、在職中に承諾を得ておけば電子で渡せます(→退職手続きの流れ)。

「まとめて出す」:料金別納と料金後納

切手を1枚ずつ貼る作業と、切手の在庫管理は、総務の手間と不正のリスクの両方を生みます(切手は換金性があるため、受払簿で管理が必要です)。一定数以上を出すなら、料金をまとめて払う方法に切り替えます。

項目 料金別納 料金後納
条件 同時に10通(個)以上。原則として同一料金 毎月50通(個)以上
事前手続き 不要(取扱郵便局に差し出す) 取扱郵便局で承認を受ける。担保の提供を求められることがある
支払 差出時に現金・切手など 1か月分をまとめて翌月末までに振込(口座振替も可)
表示 封筒の左上に「料金別納郵便」の表示 封筒の左上に「料金後納郵便」の表示
向いている会社 月に数回、まとまった数を出す 毎日・毎週、継続的に出す

料金後納は、月の郵送費が請求書1枚にまとまるので、経理処理も楽になります。表示を印刷した封筒を作っておくと、差し出しのたびに表示を押す手間もなくなります。

オプションは目的で選ぶ

「大事な書類だからとりあえず書留」にすると、1通あたりの料金が数倍になります。必要なのが「記録」なのか「補償」なのかで選びます。

オプション 加算額 記録 補償 主な用途
特定記録 +210円 引受の記録。郵便受けに配達 なし 契約書の返送、重要な通知(受領印は不要)
簡易書留 +350円 引受・配達の記録。対面で受け取り 5万円まで 退職者への書類、本人確認書類など重要書類の返送
一般書留 +480円 送達の全過程を記録 10万円まで(加算で増額可) 有価証券、高額の書類
配達証明(一般書留に付加) +350円 配達した事実を証明 ― 解雇通知など、到達の証明が必要なとき
速達 +300円(250gまで) ― ― 期限の迫った書類

到達の事実を証明したい書類(解雇予告や督促など)は、一般書留+配達証明、または内容証明を使います(→解雇予告の手続き)。

社内ルールにしておく

削減の工夫を担当者の判断に任せると、異動や引き継ぎで元に戻ります。次の項目を文書管理規程や発送マニュアルに書いておきます。

  • 書類ごとの標準の送り方(定形・定形外、オプションの有無)
  • 書留・速達を使う場合の承認者
  • 料金後納の差出票の作成と、月次の利用明細の確認者
  • 切手を使う場合の受払簿の記録(購入・使用・残数)
  • 年1回の郵送費の見直し

まとめ

  • 1か月分の発送を棚卸しし、書類別の通数と費用をつかむ
  • 効果が大きいのは、請求書・届出・源泉徴収票など大量に出す書類の電子化
  • 同時に10通以上なら料金別納、毎月50通以上なら料金後納を検討する
  • 記録だけなら特定記録、補償が必要なら書留と、目的でオプションを選ぶ
  • 送り方の標準と承認ルールを規程やマニュアルに残す

この記事で使えるテンプレート

DOCX 総務 文書管理規程(保存期間表つき) 文書の定義と分類、管理責任者、保管と保存、電子化と電子データの管理、持出し、廃棄の手続と記録を条文にした文書管理規程のひな形です。会社法・法人税法・労働基準法・労働安全衛生規則・社会保険関係の法令にもとづく主な書類の保存期間表を別表として付けています。

この記事に出てくる用語

解雇予告
会社が労働者を解雇するときに、少なくとも30日前に解雇することを予告する義務です。予告しない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払います。
源泉徴収
給与や報酬などを支払う人が、支払の際に所得税を差し引いて国に納める仕組みです。差し引いた税額は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。
源泉徴収票
会社が1年間に支払った給与・賞与の額と、源泉徴収した所得税の額などを記載した書類です。従業員に交付するほか、法定調書として税務署に提出します。
GビズID
1つのIDとパスワードで、社会保険・労働保険の電子申請や補助金の申請など、複数の行政サービスにログインできる法人・個人事業主向けの共通認証の仕組みです。
電子契約
紙の契約書に署名・押印する代わりに、PDFなどの電子データに電子署名などを付けて契約を結ぶ方法です。印紙税がかからず、締結までの時間と郵送コストを減らせます。
電子帳簿保存法
税務上保存が必要な帳簿や書類を、電子データで保存するときのルールを定めた法律です。「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データの保存」の3つの区分があります。
電子取引
請求書・領収書・契約書・注文書などの取引情報を、メール、Webサイト、クラウドサービス、電子契約などの電子データでやり取りすることです。受け取ったデータは電子のまま保存する義務があります。
内容証明郵便
いつ、どんな内容の文書を、誰から誰あてに差し出したかを日本郵便が証明する郵便です。契約の解除通知や未払代金の督促など、通知した事実を証拠に残したいときに使います。
年金事務所
日本年金機構の地域の窓口で、健康保険(協会けんぽ)・厚生年金保険の加入や保険料に関する会社の届出を受け付けます。
年末調整
会社が、1年間に給与から源泉徴収した所得税の合計額と、その年の給与総額にもとづく本来の年税額との過不足を、年末に精算する手続です。
ハローワーク
厚生労働省の公共職業安定所の愛称です。職業紹介や求人の受付のほか、雇用保険の加入・喪失や給付の手続きの窓口になっています。
労働保険
労災保険と雇用保険をまとめた呼び方です。労働者を1人でも雇うと加入が必要で、保険料は年度更新でまとめて申告・納付します。

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出典・参考資料

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