手形・小切手の電子交換所での交換が2027年3月31日で廃止|でんさい・振込への切り替えと総務の準備
全国銀行協会は、電子交換所での手形・小切手の交換を2027年3月31日で廃止すると明確にしました。取適法では2026年1月から対象取引の手形払いが禁止されています。自社の手形・小切手の棚卸し、でんさいや振込への切り替え、取引先への案内の進め方を整理します。
- 対象読者
- 支払や入金に紙の手形・小切手がまだ残っている従業員30〜300名の企業の総務・経理担当者
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この記事のポイント
- 電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止。その日から手形が法的に無効になるわけではないが、銀行での取立てが難しくなるため、それまでに支払・受取の方法を切り替える
- 取適法の対象取引では2026年1月1日から手形払いが禁止。電子記録債権も、支払期日までに満額の現金を得にくいものは使えない
- 総務は「自社が振り出す」「取引先から受け取る」の両面で棚卸しし、取引銀行への相談、取引先への案内、社内の支払規程の改定を年明けまでに進める
紙の約束手形や小切手で支払ったり、取引先から受け取ったりしている会社は、2026年度中に切り替えの準備が必要です。銀行界は電子交換所(手形・小切手を銀行間で交換する仕組み)での交換をやめる時期を決めており、残りは半年を切りました。総務・経理が年末までに何を確認し、どう切り替えるかを整理します。
何が、いつ変わるのか
金融庁「手形・小切手機能の電子化について」によると、銀行界は「2027年度初から電子交換所における手形・小切手の交換を廃止する」方針を示しています。その後、全国銀行協会の2026年6月18日の発表で、交換を廃止する時期は「2027年3月31日」と明確にされました。
| 時期 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026年1月1日 | 取適法(旧下請法)の対象取引で手形払いが禁止 | 公正取引委員会「取適法・振興法」 |
| 2027年3月31日 | 電子交換所での手形・小切手の交換を廃止 | 全国銀行協会 |
| 2027年4月1日以降 | 手形・小切手そのものは使えなくなるわけではないが、取立ては電子交換所を通さない方法になり、扱いは金融機関ごとに異なる | 同上 |
全国銀行協会は「2027年4月1日から手形・小切手が使用できなくなるものではありません」としています。ただし交換の仕組みがなくなるため、各銀行が手形・小切手を取り扱うかどうかを見直す可能性があります。実務上は「2027年3月までに紙の手形・小切手を使わない状態にする」と考えて準備するのが安全です。
金融機関によっては、手形用紙・小切手帳の交付の終了日や、振り出してよい期限を独自に案内しています。取引銀行からの通知を必ず確認してください。
取適法で禁止されている支払い方
2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)では、公正取引委員会の説明のとおり、支払手段として手形払いが禁止されました。電子記録債権やファクタリングも、「支払期日までに代金に相当する金銭(手数料等を含む満額)を得ることが困難であるもの」は禁止です。
自社が発注者(委託事業者)として取適法の対象取引をしている場合、紙の手形はもちろん、満期が長いでんさいなども見直しが必要です。取適法の対象になるかどうかの確認方法は業務委託契約書を総務がチェックする観点で整理しています。
代わりの支払・受取方法
金融庁のページでは、代わりの手段として電子記録債権(でんさい等)とインターネットバンキングによる振込が挙げられています。
| 方法 | 向いている場面 | 総務・経理の準備 |
|---|---|---|
| 振込(インターネットバンキング) | 支払サイトを短くできる取引、少額・多数の支払 | 承認者の設定、振込先の登録手順、なりすまし対策 |
| 電子記録債権(でんさい等) | 支払期日を設けたい取引、受け取った債権を分割して譲渡したい場合 | 取引銀行での利用申込み、取引先の利用登録の確認 |
| 小切手の代わりの振込・口座振替 | 家賃・会費など定期的な支払 | 口座振替依頼書の提出、引落日の管理 |
振込に切り替えると、送金の権限管理が重要になります。承認者の分け方は法人口座のインターネットバンキング管理を参照してください。
総務が進める切り替えの手順
1. 自社の手形・小切手を棚卸しする
まず、手形・小切手がどこで使われているかを一覧にします。
- 自社が振り出している手形・小切手(支払先、金額、頻度、支払サイト)
- 取引先から受け取っている手形・小切手(受取先、期日、銀行での取立て方法)
- 手元に残っている手形用紙・小切手帳の枚数と保管場所
- 期日が2027年3月以降になっている受取手形がないか
2. 取引銀行に相談する
でんさいの利用申込みや、手形用紙の取扱い終了日を確認します。金融庁のチラシでも、移行は「金融機関への相談・申込み」「取引先への連絡」「社内の準備」の3段階で進めるよう案内されています。
3. 取引先へ案内する
支払先には「○月支払分から振込(またはでんさい)に切り替える」と書面で通知します。受取側の場合は、手形で支払ってくる取引先に切り替えを依頼します。契約書や取引基本契約に「手形で支払う」と書かれている場合は、覚書で支払方法を変更します。契約書の所在は契約書管理の基本の台帳で確認すると漏れを防げます。
4. 社内の規程と事務を変える
- 経理規程・支払規程の「手形」「小切手」の記載を改める
- 手形帳・小切手帳、手形用の印鑑の保管ルールを廃止または見直す
- 未使用の手形用紙・小切手帳の扱い(銀行への返却など)を銀行の案内に従って決める
スケジュールの目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年11月 | 棚卸し、取引銀行への相談、でんさいの利用申込み |
| 2026年12月 | 支払先・受取先への案内文の送付、契約の変更 |
| 2027年1〜2月 | 新しい方法での支払・受取の開始、並行期間の確認 |
| 2027年3月 | 手形・小切手の振出・受取がゼロになっているかを最終確認 |
年末年始は銀行・取引先とも連絡がとりにくくなるため、11月中に棚卸しと銀行への相談を終えておくと安心です。
よくある質問
取引先から「今後も手形で払いたい」と言われたら
2027年4月以降も手形そのものが無効になるわけではありませんが、取立ての方法や手数料は銀行ごとに変わる可能性があります。受け取る側としては、取立てができるかを取引銀行に確認したうえで、振込かでんさいへの変更を依頼するのが現実的です。自社が取適法上の中小受託事業者にあたる取引であれば、相手方には公正取引委員会が示すとおり手形払いが禁止されている点も伝えられます。
でんさいに切り替えると、支払側の事務はどう変わるか
手形用紙への記入、収入印紙の貼付、郵送や持参がなくなり、インターネットバンキングなどの画面で発生記録の請求をする形になります。金融庁のページでも、電子化によってコストや事務負担の削減が見込まれるとされています。一方で、操作する担当者と承認者の権限設定が必要になるため、振込と同じように二人以上で確認する体制をつくります。
小切手で受け取っていた会費・代金はどうするか
小切手も手形と同じく電子交換所での交換が廃止の対象です。定期的に小切手で受け取っているものは、振込先口座を案内した文書を送り、振込に切り替えてもらいます。逆に、自社が小切手で支払っているもの(保証金、寄付金など)も、相手方に振込先を確認して切り替えます。
社内に残った手形用紙や小切手帳の保管は
未使用の用紙も悪用されると被害につながります。切り替えが終わるまでは金庫で保管し、使用枚数と残数を台帳で管理します。返却や処分の方法は銀行の案内に従ってください。
まとめ
- 電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止される
- 取適法の対象取引では、すでに手形払いが禁止されている
- 「振り出す側」「受け取る側」の両面で棚卸しし、銀行・取引先・社内規程の順に切り替える
取引先の経営状況が気になる場合の対応は取引先が倒産したときの対応もあわせて確認してください。
この記事で使えるテンプレート
総務 契約書管理台帳 取引先との契約書を一覧で管理する台帳です。契約期間・自動更新の有無・解約予告期限・保管場所(紙/電子)・印紙の有無・担当部署を記録し、更新や解約の判断漏れを防ぎます。 総務 法人ネットバンキングの利用者・権限管理表(管理者・申請者・承認者、振込限度額、認証手段、異動・退職時の停止) 法人向けインターネットバンキングの利用者ごとに、口座・権限(管理者・申請者・承認者・照会のみ)・振込限度額・認証手段の管理者・利用端末・最終確認日・停止日を1行で管理するCSVです。申請者と承認者の分離や限度額の見直しを、担当者が替わっても続けられるようにします。この記事に出てくる用語
- 取適法
- 下請法(下請代金支払遅延等防止法)を改正・改称し、2026年1月1日に施行された法律の略称です。発注側の会社に、発注内容の明示や60日以内の支払期日の設定などを義務づけています。