サービス比較 #採用#システム選定#公正採用選考#個人情報

採用の適性検査サービスの選び方:能力・性格検査の種類、公正な採用選考と個人情報で確認すること

採用選考で使う適性検査サービスを選ぶときの比較ポイントを、特定の製品をすすめずに整理します。能力検査・性格検査などの種類、受検方法、結果の見方と使い方、公正な採用選考の観点で確認すべき質問項目、障害のある応募者への配慮、受検データの管理と委託先の確認までまとめます。

対象読者
中途・新卒採用で適性検査の導入や見直しを検討している、従業員30〜300名の企業の人事担当者
難易度
基本
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 適性検査は「何を測るか(能力・性格・職務適性)」と「どこで受けるか(自宅のWeb・会場・社内)」で選ぶ。検査の結果だけで合否を決めず、面接の材料として使う前提で選定する
  • 公正な採用選考の観点から、本籍・家族・思想・信条など適性と能力に関係のない事項を尋ねる設問がないかを確認する。障害のある応募者からの配慮の申出への対応方法も確認しておく
  • 受検データは応募者の個人情報。利用目的の通知、保存期間と削除、委託先の安全管理を契約前に確認する

面接だけでは応募者の得意・不得意が分かりにくい、面接官によって評価がばらつく。こうした悩みから、採用選考に適性検査を取り入れる会社は多くあります。一方で、「導入したものの、結果をどう使えばいいか分からない」という声もよく聞かれます。

この記事では、特定の製品をすすめるのではなく、適性検査サービスを選ぶときの比較の軸と、公正な採用選考・個人情報の観点で確認すべきことを整理します。選考全体の設計は「採用面接の進め方」も参照してください。

適性検査の主な種類

製品によって名称や組み合わせは異なりますが、おおむね次のように分けられます。

種類 測るもの 使い方の例
能力検査 言語(読解・語彙)、非言語(計算・推論)など基礎的な能力 職務に必要な基礎力があるかの確認
性格検査 行動の傾向、対人関係の特徴、意欲の方向など 面接で深掘りする質問の材料
職務適性検査 事務処理の正確さ・速さ、営業や技術職に関わる特性など 職種ごとの向き・不向きの参考
その他 ストレスへの対処の傾向、価値観、組織との相性など 配属や受け入れ準備の参考

最初に、「自社の選考で何が分からなくて困っているのか」を決めます。基礎学力を確かめたいのか、面接で聞くべき点を見つけたいのかで、選ぶ検査は変わります。

受検方法と運用のしかた

受検方法 特徴 確認すること
自宅などでのWeb受検 応募者が時間と場所を選べる。日程調整が不要 本人以外が受ける不正への対策、通信環境のトラブル時の対応
専用会場での受検 本人確認がしやすい 会場の場所・日程、応募者の負担
自社内での受検(PC・紙) 面接と同じ日に実施できる 試験監督の手間、採点・結果が出るまでの時間

中途採用では、応募者が在職中のことが多いため、受検の手間が少ない方法が選ばれやすくなります。Web受検の場合は、面接で検査結果と矛盾する点がないかを確かめるなど、運用でも補います。

比較のチェックポイント

1. 結果の見やすさと使い方の支援

結果の報告書が、面接官にとって読みやすいかを確認します。

  • 結果が数値の羅列ではなく、面接で確認すべき点や質問例として示されるか
  • 自社の社員に受検してもらい、自社の基準(活躍している社員の傾向など)と比べられるか
  • 結果の読み方について、面接官向けの説明資料や研修があるか

検査の結果だけで合否を決めるのは避けます。検査は応募者の一面を示すもので、面接や職務経歴と合わせて判断します。面接官の評価のばらつきを抑えるには「面接評価シート」もあわせて使います。

2. 公正な採用選考の観点

厚生労働省は、応募者の適性と能力に関係のない事項で採否を決めないよう求めています。本籍・出生地、家族の状況、住宅状況、思想・信条、宗教、支持政党などを尋ねたり把握したりすることは、就職差別につながるおそれがあります。また、職業安定法第5条の5と関連する指針では、思想・信条や社会的差別の原因となるおそれのある事項などの個人情報は、原則として収集してはならないとされています。

検査を選ぶときは、次の点を確認します。

  • 設問に、家族構成・生まれ育ち・宗教・政治的な考えなど、適性・能力と関係のない事項を尋ねるものが含まれていないか
  • 設問の内容や測定の考え方について、サンプルや説明資料を事前に見られるか
  • 結果の表示に、性別・年齢などによる決めつけにつながる表現がないか

3. 障害のある応募者への配慮

障害者雇用促進法は、募集・採用の段階でも、障害のある応募者からの申出に応じて、障害の特性に配慮した措置(合理的配慮)を講じることを事業主に求めています。適性検査では、受検時間の延長、文字の拡大、紙での受検、休憩の追加などの申出が考えられます。

サービスとして対応できる配慮の範囲と、申出を受けてから準備にかかる日数を確認しておきます。配慮の進め方は「合理的配慮の提供」を参照してください。

4. 受検データの管理

適性検査の結果は、応募者の個人情報です。

確認項目 内容
利用目的 採用選考に使うことを、受検前に応募者に示しているか(募集要項や受検案内に書く)
アクセス権限 結果を見られる人を、人事と面接官などに限定できるか
保存期間と削除 不採用者のデータをいつ削除するか決められるか、削除の方法
委託先の安全管理 データの保管場所、暗号化、事故が起きたときの連絡体制
採用管理システムとの連携 結果を手作業で転記せずに取り込めるか

個人データの取扱いを外部に委託する場合、会社には委託先を監督する責任があります。契約前に、サービス事業者の安全管理の内容を書面で確認しておきます。採用管理システムとあわせて検討する場合は「採用管理システムの選び方」も参考になります。

5. 料金の体系

料金は、受検者1人ごとの従量課金、年額の定額、初期費用の有無など、製品によって体系が異なります。年間の受検者数の見込み(応募者全員か、一次面接通過者だけか)を決めてから見積もりを取ると、比べやすくなります。

よくある失敗と防ぎ方

失敗 起きること 防ぎ方
検査の点数だけで不合格にする 面接では評価が高い人を逃す。応募者に説明できない 検査は面接の材料と位置づけ、合否は面接・経歴と合わせて判断する
面接官が結果の読み方を知らない 報告書の一部の言葉だけで決めつける 面接官向けに読み方を説明し、確認すべき点を事前に共有する
受検案内に利用目的を書いていない 応募者が何に使われるか分からず不安になる 受検案内に「採用選考に使う」ことと保存期間を書く
不採用者のデータを残し続ける 不要な個人情報を抱え、漏えいのリスクが増える 保存期間を決め、期間が過ぎたら削除する
職種に関係のない検査まで課す 応募者の負担が増え、辞退につながる 目的に合う検査だけに絞る

導入の進め方

  1. 目的を決める:「基礎力の確認」「面接の質問材料」など、検査で知りたいことを1〜2つに絞る
  2. 対象と時期を決める:応募者全員か、書類選考の通過者か。選考のどの段階で受けてもらうか
  3. 2〜3サービスを比較する:サンプルの報告書を取り寄せ、面接官に読んでもらう
  4. 社員で試す:可能なら数名の社員に受検してもらい、結果の妥当性を確かめる
  5. 運用ルールを決める:結果の閲覧者、保存期間、配慮の申出の受付方法、合否判断での位置づけ

まとめ

  • 適性検査は「何を測るか」と「どこで受けるか」で選び、結果は面接の材料として使う
  • 適性・能力と関係のない事項を尋ねる設問がないか、公正な採用選考の観点で確認する
  • 障害のある応募者からの配慮の申出に、どこまで対応できるかを確認しておく
  • 受検データは応募者の個人情報。利用目的の通知、閲覧権限、保存期間と削除、委託先の安全管理を契約前に確認する

この記事に出てくる用語

公正採用選考
応募者の適性と能力だけを基準に採用を決める、という厚生労働省が示す採用選考の考え方です。本籍・家族・思想信条など、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項で判断しないことを求めています。
個人データ
検索できるように体系的に整理された個人情報の集まり(個人情報データベース等)を構成する個人情報のことです。社員名簿や顧客台帳、名刺管理ソフトの中の情報などが該当します。
合理的配慮
障害のある人が働くうえでの支障を取り除くために、障害の特性に応じて会社が講じる措置です。障害者雇用促進法で、募集・採用時と採用後の両方について義務づけられています。
障害者雇用促進法
障害者の雇用の促進と職業の安定を図るための法律です。法定雇用率による雇用義務、障害者雇用納付金、差別の禁止と合理的配慮などを定めています。正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」です。

用語集の一覧を見る →

出典・参考資料

無料メルマガ

法改正アラート:改正の1ヶ月前に「やることリスト」が届く

月1回の定期号と、施行直前号でお届けします。今月やること・新着テンプレートもまとめて確認できます。