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安全管理者の選任と安全委員会|製造業・運送業など50人以上の事業場の義務、資格・14日以内の選任と報告

製造業・運送業・建設業など一定の業種で常時50人以上の労働者を使用する事業場は、衛生管理者・産業医に加えて安全管理者の選任が必要です。対象業種、資格要件、14日以内の選任と労基署への報告、安全委員会の設置基準と運営、10〜49人の安全衛生推進者まで、労働安全衛生法・施行令・規則の条文で整理します。

対象読者
製造業・運送業・建設業・卸小売業などで、事業場の人数が50人前後になってきた企業の労務・総務担当者
難易度
実務
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読了8分
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この記事のポイント

  • 安全管理者は、林業・建設業・運送業・清掃業・製造業・卸小売業の一部・旅館業・自動車整備業など(施行令第2条第1号・第2号の業種)で常時50人以上の事業場に必要。事務中心のその他の業種では不要
  • 選任すべき事由が発生した日から14日以内に、資格を持つ事業場専属の者を選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ電子申請で報告する。資格には、学歴と産業安全の実務経験に加えて厚生労働大臣が定める研修の修了が必要
  • 安全委員会は業種により常時50人以上または100人以上で設置。毎月1回以上開き、議事の概要を周知し、記録を3年間保存する。衛生委員会とあわせて安全衛生委員会にしてもよい

従業員が50人を超えると、衛生管理者と産業医の選任は意識されやすい一方で、安全管理者と安全委員会は見落とされがちです。製造業や運送業などでは、衛生面の体制に加えて「安全」の体制も法律で求められます。

この記事では、労働安全衛生法・同施行令・同規則の条文をもとに、安全管理者が必要な事業場、資格、選任と報告の期限、安全委員会の設置と運営を整理します。衛生管理者・産業医の選任は衛生管理者・産業医の選任義務、衛生委員会は衛生委員会の設置と運営を参照してください。

安全管理者が必要な事業場

安全管理者は、施行令第3条により、施行令第2条第1号・第2号に掲げる業種で、常時50人以上の労働者を使用する事業場に必要です。人数はパート・アルバイトも含め、本社・工場・営業所など事業場ごとに数えます。

区分 業種(施行令第2条) 安全管理者 総括安全衛生管理者
第1号 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 50人以上 100人以上
第2号 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 50人以上 300人以上
第3号 その他の業種(事務所中心の業種など) 不要 1,000人以上

IT・サービス・士業事務所などの「その他の業種」は、安全管理者の選任義務はありません。ただし衛生管理者・産業医は業種を問わず50人以上で必要です。

業種は、会社全体の登記上の目的ではなく、事業場ごとの実態で判断します。本社は事務所でも、工場は製造業として安全管理者が必要、ということがあります。判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。

安全管理者の資格

規則第5条は、安全管理者になれる人を次のように定めています。

区分 要件
学歴+実務経験+研修 大学・高専の理科系統の課程を卒業し、その後2年以上産業安全の実務に従事した人/高校等の理科系統の学科を卒業し、その後4年以上産業安全の実務に従事した人で、厚生労働大臣が定める研修を修了した人
労働安全コンサルタント 研修の修了は不要
その他厚生労働大臣が定める者 東京労働局の案内では、理科系以外の大学卒業後4年以上・高校卒業後6年以上、または7年以上の実務経験がある人などが挙げられている(研修の修了が必要)

社内に該当者がいない場合、現場の経験が長い社員に研修(安全管理者選任時研修)を受けてもらうのが一般的です。研修は登録教習機関や労働基準協会などが実施しているので、日程を早めに押さえます。

選任と報告の期限

項目 内容 根拠
選任の期限 選任すべき事由が発生した日から14日以内 規則第4条第1項第1号
誰を選ぶか その事業場に専属の者(2人以上選任し、その中に労働安全コンサルタントがいる場合は1人は専属でなくてよい) 同第2号
専任の要否 建設業・有機化学工業製品製造業・石油製品製造業は300人以上など、業種と規模により1人は専任が必要 同第4号
報告 選任後遅滞なく、研修修了等を証明する書類を添えて所轄労働基準監督署長へ報告 規則第4条第3項
報告の方法 電子情報処理組織(e-Govの電子申請)による 同上

規則第4条第3項は、報告を電子情報処理組織によって行うと定めています。電子申請の義務化の詳細は東京労働局の案内などで確認してください。安全管理者が退職・異動したときも、新たに選任すべき事由が発生したことになるため、14日以内の選任と報告が必要です。

選任しないことは罰則の対象です(法第120条で第11条第1項違反は50万円以下の罰金)。

安全管理者の職務と権限

安全管理者は、作業場等を巡視し、設備や作業方法に危険のおそれがあるときは直ちに必要な措置を講じなければなりません(規則第6条第1項)。会社は、安全に関する措置をなし得る権限を与える必要があります(同第2項)。名前だけ置いて権限がない状態は、条文の趣旨に合いません。

安全委員会の設置

安全委員会は、施行令第8条により次の事業場に必要です。

規模 業種
常時50人以上 林業、鉱業、建設業、製造業のうち木材・木製品製造業・化学工業・鉄鋼業・金属製品製造業・輸送用機械器具製造業、運送業のうち道路貨物運送業・港湾運送業、自動車整備業、機械修理業、清掃業
常時100人以上 上記以外の施行令第2条第1号・第2号の業種(その他の製造業、その他の運送業、電気業、ガス業、卸小売業の一部、旅館業など)

委員の構成

法第17条第2項・第4項による構成は次のとおりです。

  1. 議長:総括安全衛生管理者、またはその事業場で事業の実施を統括管理する人などから会社が指名した人(1人)
  2. 安全管理者のうちから会社が指名した人
  3. その事業場の労働者で、安全に関し経験を有する人のうちから会社が指名した人

議長以外の委員の半数は、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の推薦に基づいて指名します。過半数代表者の選び方は過半数代表者の選び方を参照してください。

運営のルール

  • 毎月1回以上開催する(規則第23条第1項)
  • 開催の都度、遅滞なく議事の概要を掲示・書面交付・電子的方法のいずれかで労働者に周知する(同第3項)
  • 委員会の意見とそれを踏まえて講じた措置、その他重要な議事を記録し、3年間保存する(同第4項)

衛生委員会も必要な事業場では、両方を設ける代わりに安全衛生委員会を1つ設置できます(法第19条)。毎月の開催を1回にまとめられるため、中小規模の事業場ではこちらが現実的です。

10〜49人の事業場は安全衛生推進者

常時10人以上50人未満の事業場では、安全管理者に代わり安全衛生推進者(施行令第2条第1号・第2号以外の業種では衛生推進者)を選任します(法第12条の2、規則第12条の2)。

  • 選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任する
  • 登録講習の修了者など、必要な能力があると認められる人から選ぶ
  • 労基署への報告義務はないが、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして周知する(規則第12条の4)

委員会の設置義務がない事業場でも、安全・衛生に関する事項について関係労働者の意見を聴く機会を設けるようにしなければなりません(規則第23条の2)。

50人到達前に準備すること

時期 やること
40人台になったら 事業場ごとの人数と業種を確認し、安全管理者が必要かを判定する
候補者を決める 学歴と実務経験を確認し、研修の受講を手配する
50人に達したら 14日以内に選任し、電子申請で報告。衛生管理者・産業医も同時に進める
翌月から 安全委員会(または安全衛生委員会)を毎月開催し、記録を3年保存

雇入れ時の安全衛生教育など、選任後に安全管理者と進める業務は雇入れ時の安全衛生教育を参考にしてください。

まとめ

  • 安全管理者は、製造業・運送業・建設業・卸小売業の一部などで常時50人以上の事業場に必要。事務中心の業種では不要
  • 資格は学歴と実務経験+厚生労働大臣が定める研修の修了(または労働安全コンサルタント)。14日以内に事業場専属の者を選任し、遅滞なく労基署へ電子申請で報告する
  • 安全委員会は業種により50人以上または100人以上で設置し、毎月1回以上開催、議事概要の周知と記録の3年保存が必要。衛生委員会とまとめて安全衛生委員会にできる
  • 10〜49人の事業場は安全衛生推進者を選任し、氏名を掲示して周知する

この記事で使えるテンプレート

CSV 労務 安全衛生教育 実施記録 雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育や特別教育などを、受講者ごとに1行で記録する一覧表です。教育の種類、実施日、科目(雇入れ時教育の8項目)、時間、講師、確認方法、保存期限まで記録でき、特別教育の記録の3年保存にも使えます。 CSV 総務 社内規程 一覧・改定管理表 就業規則・賃金規程・育児介護休業規程・ハラスメント防止規程など、社内規程を一覧にして改定履歴を管理する表です。根拠法令、監督署への届出の要否、最終改定日、周知方法、次回見直し時期を記録できます。

この記事に出てくる用語

安全衛生教育
労働災害を防ぐために、雇入れ時や作業内容の変更時などに行う教育です。労働安全衛生法で、業種や規模にかかわらず会社に義務づけられています。
衛生委員会
常時50人以上の労働者を使用する事業場で設置が義務づけられた、労働者の健康障害の防止などについて労使で調査審議する委員会です。毎月1回以上開催します。
衛生管理者
常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が義務づけられた、職場の衛生管理を担当する人です。衛生管理者免許などの資格が必要です。
過半数代表者
労働者の過半数で組織する労働組合がない事業場で、労使協定の締結や就業規則の意見聴取の相手方になる、労働者の過半数を代表する人です。
産業医
労働者の健康管理について専門的な立場から指導・助言を行う医師です。常時50人以上の労働者を使用する事業場は選任が義務づけられています。
労働基準監督署
労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。

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出典・参考資料

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