労務 #安全衛生#産業医#労働安全衛生

衛生委員会の設置と運営|委員の構成・毎月の議題例・議事録3年保存・オンライン開催

常時50人以上の労働者を使用する事業場は、衛生委員会を設けて毎月1回以上開催する義務があります。委員の構成と労働者側委員の推薦、調査審議する事項、年間の議題例、議事概要の周知と議事録の3年保存、オンライン開催の留意点を、労働安全衛生法・規則に沿って整理します。

対象読者
従業員50人以上になった、またはなる見込みの事業場の労務・総務担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 常時50人以上の事業場は業種を問わず衛生委員会が必要。議長を除く委員の半数は、過半数労働組合または過半数代表者の推薦に基づいて指名する
  • 毎月1回以上開催し、開催のつど議事の概要を労働者に周知する。委員会の意見と講じた措置、重要な議事は記録して3年間保存する
  • 50人未満の事業場でも、安全・衛生について関係労働者の意見を聴く機会を設ける必要がある

従業員が50人に達すると、衛生管理者と産業医の選任に加えて、衛生委員会の設置が必要になります。選任の手続きは済ませたものの、「委員会で毎月何を話せばいいのか分からない」という声はよく聞きます。

この記事では、衛生委員会の法律上のルールと、一人で事務局を担当する人でも回せる運営の方法を整理します。選任の期限や報告の手続きは衛生管理者・産業医の選任義務を先に確認してください。

衛生委員会が必要な事業場

委員会 設置が必要な事業場
衛生委員会 業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場(安衛令第9条)
安全委員会 建設業・製造業の一部・運送業の一部などは常時50人以上、製造業(前記以外)・小売業の一部などは常時100人以上(安衛令第8条)
安全衛生委員会 両方が必要な場合は、まとめて1つの委員会にできる(安衛法第19条)

人数は会社全体ではなく事業場ごとに数えます。パート・アルバイトも常態として使用していれば含めます。設置しなかった場合は、50万円以下の罰金の対象になります(安衛法第120条)。

委員の構成

衛生委員会の委員は、次の人で構成します(安衛法第18条第2項)。

区分 誰を選ぶか
議長(1人) 総括安全衛生管理者、または事業の実施を統括管理する人(工場長・支店長など)か、これに準ずる人
衛生管理者 選任している衛生管理者から事業者が指名
産業医 選任している産業医から事業者が指名
労働者 衛生に関し経験を持つ労働者から事業者が指名

半数は労働者側の推薦で

議長以外の委員の半数は、労働者の過半数で組織する労働組合、組合がなければ過半数代表者の推薦に基づいて指名します(安衛法第18条第4項による第17条第4項の準用)。

たとえば議長以外の委員が4人なら、2人は推薦に基づく委員です。会社が一方的に全員を決めることはできません。過半数代表者の選び方は、36協定などと同じく、管理監督者でない人を投票や挙手などの民主的な方法で選びます(会社が結ぶ労使協定の一覧)。

調査審議する事項

衛生委員会は、次の事項を調査審議し、事業者に意見を述べる場です(安衛法第18条第1項、安衛則第22条)。

  • 労働者の健康障害を防止するための基本的な対策
  • 労働者の健康の保持増進を図るための基本的な対策
  • 衛生に関する労働災害の原因と再発防止対策
  • 衛生に関する規程の作成
  • 衛生教育の実施計画
  • 定期健康診断などの結果と、それに対する対策
  • 長時間労働による健康障害の防止対策
  • 労働者の精神的健康の保持増進(メンタルヘルス)の対策
  • 行政から文書で命令・指導を受けた事項のうち、健康障害の防止に関すること

ストレスチェックの実施方法や、長時間労働者の面接指導の対象者の基準なども、衛生委員会で審議して決める事項です(ストレスチェックの実施手順、長時間労働者への医師の面接指導)。

年間の議題例

毎月の議題に困らないよう、年間計画をつくっておくと運営が楽になります。

月 議題例
4月 年間の衛生計画の確認、新入社員の衛生教育
5月 熱中症対策の確認(職場の熱中症対策)
6月 健康診断の実施計画、受診率の確認
7月 長時間労働者の状況、夏季の休暇取得
8月 職場巡視の結果と改善事項
9月 健康診断結果の集計(個人が特定されない形)と再検査の受診勧奨
10月 ストレスチェックの実施方法の確認
11月 感染症対策(インフルエンザ予防接種など)
12月 年末年始の過重労働防止、ストレスチェックの集団分析結果
1月 職場環境の改善計画
2月 メンタルヘルス研修の計画
3月 年間の振り返り、次年度計画案

毎月の固定議題として「前月の時間外労働の状況」「休業者・労災の発生状況」「産業医の職場巡視の報告」を入れておくと、議論の材料に困りません。

健康診断の結果やメンタルヘルスの情報は、個人が特定されないように集計して報告します。個人の健康情報を委員会資料に載せないでください。

開催・周知・記録のルール

項目 ルール(安衛則第23条)
開催頻度 毎月1回以上
運営のルール 委員会が定める(委員会規程をつくる)
議事概要の周知 開催のつど遅滞なく、掲示・書面の交付・社内システムへの掲載などで労働者に知らせる
記録と保存 委員会の意見と、それを踏まえて講じた措置の内容、その他の重要な議事を記録し、3年間保存する
産業医の関与 産業医は、健康確保の観点から必要な調査審議を委員会に求めることができる

議事録のひな形は「日時・場所・出席者・議題・意見・会社の対応・次回までの宿題」の項目でつくると、毎回の作成が数十分で済みます。議事概要は社内ポータルや掲示板に掲載し、掲載日を記録しておきます。

オンライン開催

衛生委員会は、テレビ会議システムなどの情報通信機器を使って開催することもできます。厚生労働省の通達(令和2年8月27日 基発0827第1号)で、委員が容易に利用できること、映像と音声が安定して即時に意見交換できること、個人情報の漏えい防止措置が取られていることなどの留意事項が示されています。チャットやメールだけのやり取りで済ませるのではなく、会議として審議が尽くされていることが必要です。

50人未満の事業場は「意見を聴く機会」

衛生委員会の設置義務がない事業場でも、安全や衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴く機会を設ける必要があります(安衛則第23条の2)。朝礼や定例ミーティングで安全衛生の議題を設ける、アンケートを取るといった方法があります。

50人未満の事業場の産業保健は、地域産業保健センターの使い方も参考にしてください。

始めるときの手順

  1. 事業場ごとの労働者数を確認する(50人到達の時点を把握)
  2. 衛生管理者・産業医を選任し、労働基準監督署に報告する
  3. 過半数代表者を選び、労働者側委員の推薦を受ける
  4. 委員会規程(目的、委員、議長、開催頻度、議事録、周知方法)を作成する
  5. 年間計画と議事録ひな形を準備し、第1回を開催する
  6. 議事概要を周知し、議事録を3年間保存する

まとめ

  • 常時50人以上の事業場は業種を問わず衛生委員会が必要。人数は事業場ごとに数える
  • 議長以外の委員の半数は、過半数労働組合または過半数代表者の推薦に基づいて指名する
  • 毎月1回以上開催し、議事概要を周知、意見と措置の内容などを記録して3年間保存する
  • オンライン開催も可能。50人未満の事業場でも労働者の意見を聴く機会を設ける

この記事で使えるテンプレート

CSV 労務 健康診断 受診管理表 従業員ごとの健康診断の受診予定・受診日・結果判定・再検査・医師の意見聴取・就業上の措置までを一覧で管理する表です。未受診者のフォローや、労働基準監督署への結果報告の準備に使えます。

出典・参考資料

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