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労政審で裁量労働制の見直しを議論 対象業務の在り方と濫用防止措置が論点に

厚生労働省は2026年10月23日、第213回労働政策審議会労働条件分科会を開き、裁量労働制の見直しを議論しました。日本成長戦略を受け、濫用防止措置を前提とした対象業務の在り方が論点として示されています。現時点で制度は変わっていません。

対象読者
裁量労働制やフレックスタイム制などの労働時間制度を運用・検討している、従業員30〜300名の企業の労務担当者
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この記事のポイント

  • 10月23日の労政審・労働条件分科会で、厚労省は裁量労働制の「濫用防止措置」と「対象の在り方」を論点として示した
  • 使用者側は非対象業務との兼務を認めるなどの拡充を求め、労働者側は2024年4月改正の適正運用の徹底を優先すべきとしている
  • 議論は始まった段階で、制度の変更は決まっていない。導入済みの会社は2024年4月改正後のルールでの運用を点検しておく

厚生労働省は2026年10月23日、第213回労働政策審議会労働条件分科会を開き、労働基準関係法制のうち裁量労働制を議題に議論しました。厚労省は「濫用防止措置」と「対象の在り方」の2つを論点として示しています。

議論の背景

2026年7月21日に閣議決定された日本成長戦略では、労働時間法制について2026年夏以降の労働政策審議会で議論するとされました。裁量労働制については次のように書かれています。

現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う。

同じ戦略では、変形労働時間制、連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」、副業・兼業時の健康確保、テレワークについても検討を進めるとしています。

示された論点

論点 厚労省資料の問いかけ
濫用防止措置 適用労働者の長時間労働を防ぐために、また、ふさわしい処遇が確保されない事態を防ぐために、どう考えるか
対象の在り方 濫用防止措置を前提に、対象業務の在り方をどう考えるか

対象の在り方については、意見が分かれています。

  • 使用者側:中小企業では複数の業務を兼ねることが多く、非対象業務が一部でもあると適用できない。主な業務が対象業務なら適用できるようにすべき。過半数労働組合との合意で対象業務の範囲を決められる仕組みも検討すべき
  • 労働者側:実態調査ではみなし労働時間より実労働時間のほうが長い傾向があり、2024年4月に施行された改正内容の適正運用を徹底すべき。対象業務の拡充や要件緩和は行うべきではない

公益委員からは、制度の適用の有無だけでなく、現場で実際に裁量がどの程度あるかに注目して議論すべきという意見も出ています。

現在の制度の利用状況

厚労省資料によると、令和7年就労条件総合調査で裁量労働制を導入している企業の割合は、専門業務型が2.1%、企画業務型が1.0%です。適用労働者の割合は、専門業務型1.1%、企画業務型0.3%にとどまります。

担当者が押さえておきたいこと

今回は論点が示された段階で、制度の変更は決まっていません。法改正には、審議会での取りまとめと国会での法案審議が必要です。

  1. 裁量労働制を導入している会社は、2024年4月改正のルール(専門業務型での本人同意、同意撤回の手続、健康・福祉確保措置)に沿って運用できているかを点検する(→裁量労働制の要件)
  2. 柔軟な働き方を検討している会社は、現行制度で使えるフレックスタイム制も比較する(→フレックスタイム制の導入手順)
  3. 勤務間インターバルなど、同時に検討される項目の動きも続けて確認する(→勤務間インターバル制度の導入手順)

この記事に出てくる用語

勤務間インターバル
前日の終業から翌日の始業までに一定の休息時間を確保する仕組みです。労働時間等設定改善法で、導入が事業主の努力義務とされています。
裁量労働制
業務の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ね、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間働いたものとみなす制度です。対象業務が法令で限られています。
副業・兼業
本業の会社で働きながら、ほかの会社に雇われたり、個人で事業を行ったりすることです。厚生労働省のガイドラインは、原則として認める方向で検討することを求めています。
フレックスタイム制
清算期間(最長3か月)の総労働時間を決めたうえで、日々の始業・終業時刻を労働者が自分で決められる制度です。就業規則と労使協定で導入します。
変形労働時間制
一定期間を平均して週40時間以内であれば、特定の日や週に法定労働時間を超えて働かせても時間外労働にならない制度です。1か月単位・1年単位・1週間単位があります。

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出典・参考資料

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