10月1日、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務に 求職者等へのセクハラ防止も
改正労働施策総合推進法等により、2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策と、就職活動中の学生など求職者等へのセクシュアルハラスメント防止対策が、規模・業種を問わずすべての事業主の義務になりました。ポイントと、まず取り組むことをまとめます。
- 対象読者
- ハラスメント対策を担当する、従業員30〜300名の企業の人事・労務・総務担当者
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この記事のポイント
- 2026年10月1日から、カスハラから従業員を守るための雇用管理上の措置が、すべての事業主の義務になった
- カスハラは「顧客等の言動」「社会通念上許容される範囲を超える」「就業環境が害される」の3要素をすべて満たすもの。正当なクレームは含まれない
- 同じ日から、面接やインターンシップなどでの求職者等へのセクハラ防止措置も義務に。方針の明確化と相談窓口の整備から始める
2026年10月1日、改正労働施策総合推進法等が施行され、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が事業主の義務になりました。あわせて、就職活動中の学生など求職者等へのセクシュアルハラスメント防止対策も義務化されています。いずれも、会社の規模や業種を問わず、すべての事業主が対象です。
何が変わったか
| 項目 | これまで | 2026年10月1日から |
|---|---|---|
| カスタマーハラスメント | マニュアル等による取組の推奨 | 雇用管理上の措置が義務 |
| 求職者等に対するセクハラ | 望ましい取組 | 雇用管理上の措置が義務 |
パワハラ・セクハラなどの職場のハラスメントと同じように、会社には従業員を守るための体制づくりが求められます。
カスハラとは
次の3つの要素をすべて満たすものが、カスタマーハラスメントです。
- 顧客、取引の相手方、施設の利用者など、事業に関係する人の言動であること
- 業務の性質などに照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものであること
- それにより従業員の就業環境が害されること
対面だけでなく、電話やメール、インターネット上の言動も含まれます。厚生労働省のWebマガジンでは、サービスと関係のない要求や内容が不当な要求、暴力・暴言・威嚇・執拗な言動・長時間の居座りなどを、範囲を超える言動の例として挙げています。一方で、正当なクレームや要望はカスハラに当たりません。
会社に求められる措置
厚生労働省の解説では、主に次の措置が求められています。
- 方針の明確化と周知:従業員をカスハラから守る方針を決め、カスハラの内容や対応の手順とあわせて周知する
- 相談体制の整備:相談窓口を設けて周知し、担当者が適切に対応できるようにする
- 事後の迅速・適切な対応:事実関係を確認し、被害を受けた従業員に配慮し、再発防止に取り組む
- 悪質な場合の対応方針:特に悪質なケースへの対応方針を決め、対応できる体制を整える
- プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止:相談者のプライバシーを守り、相談したことを理由に不利益な扱いをしないことを定めて周知する
求職者等へのセクハラ防止では、面接、OB・OG訪問、インターンシップなどの場面を想定し、採用に関わる社員への方針の周知や相談体制の整備が必要です。
まず取り組むこと
- カスハラに対する会社の基本方針を決め、社内に周知する
- 相談窓口(担当者・連絡方法)を決め、既存のハラスメント相談窓口と一体で運用する
- 現場向けに、初期対応(複数で対応する、記録を残す、対応を打ち切る基準)を1枚にまとめる
- 面接官・採用担当者に、求職者等へのセクハラ防止の方針を伝える
- 就業規則のハラスメント規定を見直す
相談を受けたときの記録には、ハラスメント相談記録票が使えます。面接の進め方の注意点は中小企業の面接の進め方と評価シートで解説しています。
改正の詳しい内容と会社がやることのチェックリストは、カスタマーハラスメント対策・求職者等へのセクハラ防止措置の義務化にまとめています。厚生労働省は企業向けのマニュアルや研修資料も公開しているので(労働局の解説資料なども参照)、あわせて確認してください。
この記事で使えるテンプレート
労務 ハラスメント相談記録票 社内のハラスメント相談窓口で使う相談記録票です。相談内容を5W1Hで整理し、相談者の意向、説明した事項(プライバシー保護・不利益取扱いの禁止)、事実確認と対応の経過までを記録できます。2026年10月施行のカスハラ対策義務化にも対応しています。この記事に出てくる用語
- カスタマーハラスメント
- 顧客や取引先などの言動のうち、社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されることです。2026年10月1日から、すべての事業主に防止措置が義務づけられました。
- 就業規則
- 労働時間・賃金・退職などの労働条件や職場のルールを定めた規則です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。
- セクシュアルハラスメント
- 職場で行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働条件で不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることです。男女雇用機会均等法により、事業主に防止措置が義務づけられています。
- パワーハラスメント
- 職場で優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によって、労働者の就業環境を害することです。労働施策総合推進法により、すべての事業主に防止措置が義務づけられています。
- 労働施策総合推進法
- 国の労働施策の基本を定める法律で、事業主には、パワハラ・カスハラの防止措置、外国人雇用状況の届出、募集・採用時の年齢制限の禁止などを義務づけています。