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有期契約の更新手続きをAIで整える:更新面談の案内・労働条件通知書の明示事項チェック・無期転換の案内文の下書き手順

有期契約の更新では、更新面談の案内、労働条件通知書、無期転換申込権が発生する人への案内など、同じ型の文書を何度も作ります。2024年4月からの労働条件明示のルールに沿って、生成AIで下書きできる文書と、更新するかどうかの判断や雇止めの予告など人が行うことを分けて整理します。

対象読者
パート・契約社員の契約更新を毎月のように処理している、従業員30〜300名の企業の人事・労務担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 2024年4月から、有期契約の締結時と更新時には更新上限の有無と内容、無期転換申込権が発生する更新時には無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示が必要になった。AIの文案がこれらを含んでいるかを人が確認する
  • AIに任せるのは更新面談の案内、通知書の記載漏れチェックの観点、無期転換の案内文の型。氏名・評価・更新しない理由はAIに入力しない
  • 更新するかどうか、雇止めの予告(3回以上更新または1年を超えて継続勤務している人は30日前まで)、更新上限を新設・短縮する理由の説明は、人が判断して行う

パートや契約社員が多い会社では、毎月のように誰かの契約期間が終わります。そのたびに、更新面談の案内を送り、労働条件通知書を作り直し、通算5年が近い人には無期転換の案内を出します。文書の型はほぼ同じですが、明示事項の漏れは許されません。

この記事では、有期契約の更新に関わる文書を生成AIで下書きする手順と、更新の判断や雇止めの手続など人が行うことを整理します。制度の詳細は無期転換ルール、雇止めの判断と手続を参照してください。

更新時に明示が必要なこと

厚生労働省のリーフレットによると、2024年4月から労働条件の明示事項が次のように追加されました。

明示のタイミング 追加された明示事項
すべての労働契約の締結時と、有期契約の更新時 就業場所・業務の変更の範囲
有期契約の締結時と更新時 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容
無期転換申込権が発生する契約の更新時 無期転換を申し込めること(無期転換申込機会)と、無期転換後の労働条件

あわせて、最初の契約より後に更新上限を新しく設ける場合や短縮する場合は、その理由をあらかじめ説明することが必要になりました。無期転換申込権が発生する更新のたびに、無期転換後の労働条件を決めるにあたって正社員等とのバランスを考慮した事項(業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)を説明するよう努めることも求められています。

初めて無期転換申込権が発生した契約が満了した後も有期契約を更新する場合は、更新のたびに無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示が必要です。

AIに任せること・任せないこと

区分 内容
AIに任せる 更新面談の案内文、面談で確認する項目のメモ、通知書の記載漏れチェックの観点表、無期転換の案内文の型、更新対象者の一覧の列の構成
人が決める 更新するかどうか、更新後の労働条件、更新上限を設けるかどうか、雇止めの予告
AIに入力しない 氏名・社員番号、評価や勤怠の個別の記録、更新しない理由、健康や家庭の事情

更新するかどうかの判断材料は、個人の評価や事情そのものです。AIに渡すのは文書の型と自社の制度の一般的な内容にとどめます。個人情報の置き換え方は生成AIに入力する前の個人情報の置き換え手順にまとめています。

手順1:更新対象者の一覧を作る

まず、契約満了日が近い人を一覧にします。一覧の列の構成をAIに相談し、データの作成は社内の表計算ソフトで行います。

列 内容
契約満了日 期限の60日前・30日前に気づけるように並べる
更新回数・通算期間 雇止めの予告や無期転換申込権の発生の判断に使う
無期転換申込権の発生 通算5年を超える契約かどうか(労働契約法第18条)
更新上限 契約書に定めがあるか
面談日・通知書の交付日 手続の記録

関数の作り方をAIに聞くときは、ダミーデータで試します。

手順2:更新面談の案内と確認項目を作る

パートタイマーとの契約更新面談の案内メールを作ってください。
条件は次のとおりです。
・宛名は「社員A」とする
・現在の契約期間が_月_日で満了すること、更新についての面談をしたいことを伝える
・更新するかどうかはまだ決まっていない段階なので、結果を予告する表現は使わない
・本人の希望(勤務日数・時間、更新の希望)を事前に考えておいてほしいと伝える
・候補日を3つ示す

面談で確認する項目のメモもAIで作れます。本人の希望、勤務条件の変更の希望、無期転換の制度の説明の要否などです。

手順3:労働条件通知書の記載漏れをチェックする

通知書の文案ができたら、明示事項のチェック表と照らし合わせます。AIには「チェック表の観点」を作らせ、照合は人が行うか、氏名などを消した文案で行います。

観点 確認すること
契約期間・更新の有無 「更新する場合がある」なら判断の基準が書かれているか
更新上限 有無と内容(通算_年、更新_回まで)が書かれているか
就業場所・業務 雇い入れ直後と「変更の範囲」の両方が書かれているか
無期転換申込機会 申込権が発生する更新では、申し込めることが書かれているか
無期転換後の労働条件 同上。別紙で示す場合は別紙が添付されているか

チェックの進め方は労働条件通知書の記載漏れチェックにAIを使うで詳しく解説しています。ひな形は労働条件通知書が使えます。

手順4:無期転換の案内文を作る

無期転換申込権が発生する人には、申込みができることと、転換後の労働条件を案内します。AIには、自社の制度を一般化して伝え、やさしい言葉の案内文を作らせます。

  • 申込みの期限(現在の契約期間が満了する日まで)
  • 申込みの方法と提出先(無期転換申込書)
  • 転換後の労働条件(別紙)と、正社員等とのバランスを考慮した事項の説明
  • 申込みをしなくても、これまでどおり更新の判断が行われること

AIの文案に「申し込むと正社員になる」のような不正確な表現が入っていないかを確かめます。無期転換後の労働条件は、別段の定めがない限り、現在の有期契約と同じ労働条件(契約期間を除く)になるのが原則です(労働契約法第18条)。

人が判断・実行すること

場面 人が行うこと
更新しない場合 3回以上更新されている人や1年を超えて継続勤務している人は、30日前までに予告する(労働局の案内)
雇止めの妥当性 反復更新されてきた場合や、更新を期待する合理的な理由がある場合は、雇止めが認められないことがある(労働契約法第19条)
更新上限の新設・短縮 理由をあらかじめ本人に説明する
無期転換を避ける目的の雇止め 労働契約法第18条の趣旨に照らして望ましくないと厚生労働省は示している

AIの文案は「更新する場合の手続」を前提にしていることが多く、更新しない場合の予告や理由の伝え方までは含まれていません。逆に、AIに雇止めの通知文を作らせると、理由の書き方が断定的になったり、事実と違う理由が入ったりすることがあります。雇止めの通知は、理由を人が整理したうえで、自社の様式で作ります。

月次の運用の例

時期 やること AIの使いどころ
満了の90日前 対象者の一覧を確認し、無期転換申込権の発生と更新上限を確かめる 一覧の列・関数の相談
満了の60日前 更新面談の案内を送り、面談を行う 案内文・確認項目のメモ
満了の30日前まで 更新の可否を決め、更新しない場合は予告する ―
満了の前 労働条件通知書を交付し、無期転換の案内を渡す 記載漏れチェックの観点、案内文の型

更新しない判断が必要なときは、AIで文書を作る前に、経緯と理由を人が整理し、必要に応じて社会保険労務士や弁護士に相談してください。

まとめ

  • 有期契約の更新時には、更新上限、就業場所・業務の変更の範囲、無期転換申込機会と転換後の労働条件の明示が必要
  • AIには面談の案内、確認項目、通知書のチェック観点、無期転換の案内文の型を任せる
  • 氏名・評価・更新しない理由はAIに入力しない
  • 更新の判断、雇止めの予告、更新上限の理由の説明は人が行う

有期契約の更新管理のように件数の多い定型業務を、AIとスプレッドシートでどう回すかを相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

この記事で使えるテンプレート

DOCX 人事 労働条件通知書(パート・有期雇用用) パートタイム・有期雇用の従業員向け労働条件通知書です。2024年4月改正の明示事項(変更の範囲・更新上限・無期転換)と、パートタイム・有期雇用労働法で求められる昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口、2026年10月から追加された「待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」を盛り込んでいます。 DOCX 人事 無期労働契約転換申込書 有期契約の従業員が無期労働契約への転換を申し込むための申込書と、会社が受理したことを伝える受理通知書のセットです。申込日・転換日・転換後の労働条件を書面で残せます。 DOCX 人事 雇用契約書(正社員用) 正社員の採用時に使う雇用契約書のひな形です。労働基準法で書面明示が必要な事項と、2024年4月から追加された「就業場所・業務の変更の範囲」を盛り込み、労働条件通知書を兼ねる形にしています。

この記事に出てくる用語

就業場所・業務の変更の範囲
雇い入れた後に、就業場所や従事する業務が変わりうる範囲のことです。2024年4月から、労働条件の明示事項に加わりました。
無期転換ルール
同じ会社との有期労働契約が通算5年を超えたとき、労働者の申込みによって期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールです。
雇止め
有期労働契約の期間が満了したときに、会社が契約を更新せずに終了させることです。更新の実態や期待によっては、雇止めが認められないことがあります。
労働契約法
労働契約の成立・変更・終了についての基本的なルールを定めた法律です。解雇権濫用の禁止、就業規則による労働条件の変更、無期転換ルール、雇止め法理などを定めています。
労働条件通知書
会社が労働者を雇い入れるときに、賃金・労働時間・就業場所などの労働条件を書面で知らせるための文書です。労働基準法の「労働条件の明示」を果たすために使います。
労働条件の明示
労働契約を結ぶときに、会社が賃金・労働時間などの労働条件を労働者に示す義務です。主な事項は書面で示さなければなりません。

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出典・参考資料

この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。

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