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相見積もりの依頼書と比較表をAIで作る:清掃・保守・印刷などの業者選定で条件をそろえる手順

業者の相見積もりで「条件がそろっていないので比べられない」を防ぐために、生成AIで見積依頼書と比較表を作る方法を解説します。要件の洗い出し、見積依頼書のひな形、届いた見積もりを比較表に整理する手順、確認質問の作り方、見積書の原文や取引先情報を入力しない注意点までまとめます。

対象読者
オフィス清掃、複合機の保守、印刷、什器の購入などで業者の相見積もりを取ることが多い、従業員30〜300名の企業の総務担当者
難易度
実務
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 相見積もりで比べにくいのは、依頼の条件がそろっていないから。AIは「要件の洗い出し」と「見積依頼書のひな形」づくりから使う
  • 届いた見積書の原文や取引先名、担当者の氏名はAIに入力しない。人が数字と条件を比較表の型に書き写し、AIには記号化した表だけを渡す
  • 比較表は価格だけでなく、範囲・品質・契約条件・サポートの観点で作り、選定理由を稟議にそのまま使える形で残す

オフィス清掃の業者を見直す、複合機の保守契約を更新する、会社案内を印刷する。総務は年に何度も相見積もりを取ります。ところが、届いた見積書を並べてみると、作業の範囲も単位もばらばらで、「結局どこが安いのか分からない」ということがよくあります。

この記事では、生成AIを使って見積依頼書と比較表を作り、条件をそろえて比べる手順を紹介します。AIの出力の確かめ方はデジタル庁のガイドブックも参考になります。決裁を取るための稟議書の書き方は「稟議書・購入申請をAIで整える」とあわせて使ってください。

比べにくい原因は「依頼の仕方」にある

相見積もりがうまくいかない原因は、多くの場合、依頼の段階にあります。

よくある状態 起きること
電話や口頭で「だいたいこんな感じで」と依頼する 業者ごとに想定する作業範囲が違う
数量・頻度・期間を伝えていない 単価と総額のどちらで比べるか決まらない
必須の条件と、あればよい条件を分けていない 高機能な提案ばかり届く
回答の形式を指定していない 見積書の項目名がそろわず、転記に時間がかかる

AIは、この「依頼の段階」で使うと効果が大きくなります。

入力しない情報

  • 入力しない:届いた見積書・提案書の原文、取引先名、担当者の氏名・連絡先、見積書に書かれた秘密の条件
  • 入力しない:オフィスの住所やセキュリティ設備の詳細(入退室の方法など)、従業員の個人情報、マイナンバー(個人情報保護委員会の注意喚起も参照)
  • 置き換えて入力する:業者は「A社・B社・C社」、拠点は「本社(3フロア、延べ約○㎡)」のように概要だけにする

見積書には、業者が他社に知られたくない価格や条件が書かれています。秘密保持の約束がなくても、原文はAIに貼り付けないのが基本です。

手順1:要件を洗い出す

まず、何を頼むのかをAIと一緒に整理します。

あなたは中小企業の総務担当者を支援するアシスタントです。
オフィスの定期清掃を外部業者に委託するため、相見積もりを取ります。
見積もりを依頼する前に決めておくべき要件を、
「作業範囲」「頻度・時間帯」「品質・報告」「契約条件」「その他」に分けて
チェックリストにしてください。各項目に、決めていないと起きる問題を1行で添えてください。

出てきたリストを見ながら、社内で「必須」「あればよい」「不要」に分けます。現場の担当者や利用部署にも見てもらうと、見落としが減ります。

手順2:見積依頼書のひな形を作る

要件が決まったら、業者に渡す見積依頼書を作ります。

次の要件をもとに、業者に送る見積依頼書の本文を作ってください。

条件:
- 「依頼の概要」「作業範囲と数量」「必須条件」「任意の提案」
  「回答期限と提出方法」「回答してほしい項目」の順にする
- 「回答してほしい項目」は表にし、全社が同じ項目で回答できるようにする
  (例:初期費用、月額、単価の根拠、契約期間、解約条件、追加料金が出る条件)
- 金額は税抜・税込のどちらで書くか指定する
- 丁寧だが簡潔なビジネス文書にする

依頼書は、全社に同じものを同じ日に送ります。質問が来たら、回答を全社に共有するのが公平です。

手順3:届いた見積もりを比較表に整理する

見積書が届いたら、人が手順2の「回答してほしい項目」に沿って数字と条件を比較表に書き写します。業者名は記号にしておきます。

項目 A社 B社 C社
初期費用 ○円 0円 ○円
月額(税抜) ○円 ○円 ○円
作業範囲 共用部+トイレ 共用部のみ 共用部+トイレ+窓
契約期間・解約 1年・3か月前通知 1年・1か月前通知 2年・途中解約は違約金
追加料金が出る条件 臨時作業 臨時作業、資材の値上げ 記載なし
報告方法 作業報告書(月1回) なし アプリで写真報告

この表をAIに渡し、比較の観点を整理させます。

次は、3社の見積もりを同じ項目で整理した比較表です(業者名は記号)。
①条件がそろっていない項目
②業者に確認すべき質問
③3年間の総額を比べるときの計算の前提
を挙げてください。どの業者がよいかの結論は書かないでください。

「C社は追加料金の条件が記載なし」「B社はトイレ清掃が範囲外なので、その分を足して比べる必要がある」といった指摘が出れば、確認の質問にして業者に送ります。

業種ごとに足しておきたい確認項目

総務がよく依頼する業種では、次のような項目を「回答してほしい項目」に加えておくと、後から追加費用が出にくくなります。

依頼の種類 追加しておきたい項目
オフィス清掃 作業する曜日・時間帯、使う資材の負担、休日・年末年始の扱い、作業員が変わるときの連絡
複合機の保守 カウンター料金の単価(白黒・カラー)、最低料金、故障時の駆けつけ時間、リース満了時の扱い
印刷 部数ごとの単価、色校正の回数、データ修正の費用、納品場所と分納の可否
什器の購入・設置 搬入・組立・古い什器の引取りの費用、ビルの搬入規則(時間帯・養生)への対応
システム・サービス 利用者数ごとの料金、最低契約期間、データの取り出し方法、解約後のデータの扱い

この表もAIに下書きさせ、自社で過去に追加費用が出た項目を人が書き足すと、次回から使える「依頼書の部品」になります。

手順4:選定理由を残す

業者を決めたら、選んだ理由と、選ばなかった理由を短く残します。

残すこと 例
比較の観点 3年総額、作業範囲、報告方法、解約条件
選んだ理由 3年総額は2番目だが、範囲が広く報告がある
選ばなかった理由 最安のB社はトイレ清掃が範囲外で、追加すると最も高くなった
確認した事項 資材の値上げ時の扱い(B社)、違約金の額(C社)

この記録は、稟議書の「比較」の欄にそのまま使えます。数年後に契約を見直すとき、前回なぜこの業者を選んだのかが分かるのも利点です。契約を結んだら、更新期限を契約書管理台帳に登録します。新しい取引先なら、反社会的勢力のチェックも忘れずに行います。

よくある失敗と防ぎ方

失敗 起きること 防ぎ方
見積書のPDFをAIに読み込ませる 取引先の価格や担当者の情報がAIに入力される 人が比較表に書き写し、業者名を記号にしてから使う
AIに「どこがよいか」を決めさせる 自社の事情が反映されない結論になる AIには論点と質問の洗い出しだけを頼む
月額だけで比べる 初期費用・違約金・追加料金で総額が逆転する 契約期間全体の総額で比べる
1社にだけ追加情報を伝える 比較が不公平になり、トラブルの原因になる 質問と回答は全社に共有する

まとめ

  • 相見積もりは依頼の段階で条件をそろえる。AIは要件の洗い出しと見積依頼書のひな形づくりに使う
  • 見積書の原文、取引先名、担当者の氏名、個人情報・マイナンバーは入力しない
  • 比較表は価格・範囲・契約条件・サポートで作り、AIには記号化した表から論点と確認質問を出させる
  • 選んだ理由と選ばなかった理由を残し、稟議と次回の見直しに使う

業者選定や購買の事務を、AIでどこまで効率化できるか相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

この記事で使えるテンプレート

CSV 総務 契約書管理台帳 取引先との契約書を一覧で管理する台帳です。契約期間・自動更新の有無・解約予告期限・保管場所(紙/電子)・印紙の有無・担当部署を記録し、更新や解約の判断漏れを防ぎます。 CSV 総務 備品管理台帳 パソコン・スマートフォン・机・複合機などの備品を1点ずつ管理する台帳です。管理番号、取得日・取得価額、会計処理区分、設置場所・使用者、貸与日・返却日、棚卸しの確認日まで記録できます。

この記事に出てくる用語

マイナンバー
住民票を持つすべての人に1人1つ指定される12桁の番号です。会社は社会保障・税・災害対策の法定の手続に限って従業員などのマイナンバーを取り扱えます。
稟議
担当者が案件を起案し、関係者の確認を経て、決裁権限を持つ人の承認を得る社内の意思決定の手続です。そのための書類を稟議書といいます。

用語集の一覧を見る →

出典・参考資料

この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。

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