消耗品の在庫と発注をAIとスプレッドシートで整える:購入履歴から品名をそろえ、発注点と発注日を決める手順
コピー用紙が切れてから慌てて注文する、同じ物を別々の人が重ねて買う。消耗品の発注は小さな業務ですが、毎月の手間と無駄が積み重なります。購入履歴をAIで整理して品名をそろえ、月ごとの使用量から発注点と発注日を決め、スプレッドシートで在庫を見える化する手順を解説します。
- 対象読者
- コピー用紙・トナー・衛生用品などの消耗品の発注を、気づいたときに手作業で行っている従業員30〜300名の企業の総務担当者
- 難易度
- 基本
- 所要時間
- 読了7分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 購入履歴(ECサイトの注文データや請求書の明細)をAIに渡して品名の表記ゆれをそろえ、品目ごとの月平均の使用量を出す
- 発注点(在庫がこの数を下回ったら注文する数)は、月平均の使用量と届くまでの日数から決める。AIの計算結果は元のデータで検算する
- 注文データに含まれる担当者の氏名・個人のメールアドレス・カード番号などは削ってから渡す。個人情報やマイナンバーは入力しない
コピー用紙、トナー、ゴミ袋、ハンドソープ、来客用のお茶。消耗品の発注は、総務の仕事の中でも「気づいた人がやる」になりやすい業務です。切らしてから急いで注文すると送料がかさみ、逆に買いだめをすると保管場所を圧迫します。複数の拠点や部署が別々に注文して、同じ物が重なることもあります。
この記事では、購入履歴をAIで整理し、スプレッドシートで在庫と発注のタイミングを管理する手順を紹介します。購入の承認ルールは「備品購入・発注ルール」、購買サービスの選び方は「備品・消耗品の購買サービスの選び方」を参照してください。
AIに任せること・任せないこと
| 作業 | AIの使い方 | 人が行うこと |
|---|---|---|
| 品名の表記ゆれの整理 | ○ 同じ物をまとめ、標準の品名を提案させる | まとめ方が正しいか確認する |
| 月ごとの使用量の集計 | ○ 集計の式や手順を作らせる | 元のデータで数か所を検算する |
| 発注点・発注量の計算 | 案出し | 保管場所や予算に合わせて決める |
| 購入先・定期便の選択 | 使わない(比較の観点出しのみ) | 見積もりと社内の購買ルールで決める |
| 発注依頼の文面 | ○ | 送信前に数量と宛先を確認する |
入力しない情報
ECサイトからダウンロードした注文データには、物の情報以外も入っています。AIに渡す前に、次の列を削ります。
- 削る列:注文者の氏名、個人のメールアドレス、配送先の担当者名、電話番号、クレジットカードの下4桁、アカウントID
- 残す列:注文日、品名、型番、数量、単価、購入先、配送先の拠点名(「本社」「工場」など)
- 入力しない:社員の個人情報やマイナンバーなど(個人情報保護委員会の注意喚起も参照)。消耗品の管理で必要になることはありません
社内のAI利用ルールに沿って使います(→社内の生成AI利用ガイドライン)。
手順1:購入履歴を集める
過去6か月〜1年分の購入履歴を集めます。
- 法人向けECサイトの注文履歴(CSVでダウンロードできることが多い)
- 文具店や業者の請求書の明細
- 経費精算で立て替え購入された消耗品の明細(→経費精算のチェックをAIで補助する)
電子で受け取った請求書や領収書は、電子帳簿保存法に沿って保存します。整理のためにコピーしたデータとは別に、元のデータを残しておきます。
手順2:品名をそろえる
同じコピー用紙でも、「A4コピー用紙 500枚×5冊」「コピーペーパーA4 2500枚」のように、購入先や注文した人によって表記がばらばらです。
次は当社の消耗品の購入履歴です(列:注文日、品名、型番、数量、単価、購入先、拠点)。
同じ物を指している行をまとめ、「標準品名」「数量の単位(箱・本・冊など)」を
付けた対応表を作ってください。
- 型番が同じなら同じ物として扱う
- 型番がない行は、品名と単価から判断し、判断に自信がない行には「要確認」と書く
- 入数の違い(500枚×5冊と500枚×10冊など)は、単位をそろえて換算する
「要確認」の行は、人が実物や商品ページを見て判断します。表記をそろえる考え方は「台帳の表記ゆれと重複をAIで整理する」も参考になります。
手順3:月ごとの使用量と発注点を出す
品名がそろったら、品目ごとに月平均の使用量を出します。購入量を使用量の代わりにする場合は、買いだめした月があると多めに出るため、在庫の数を一度数えて補正します。
発注点は、次の考え方で決めると分かりやすくなります。
| 項目 | 考え方 | 例(コピー用紙) |
|---|---|---|
| 1日あたりの使用量 | 月平均の使用量 ÷ 営業日数 | 20冊 ÷ 20日 = 1冊 |
| 届くまでの日数 | 注文から納品までの日数 | 3日 |
| 予備 | 繁忙期や配送の遅れに備える分 | 5冊 |
| 発注点 | 1日の使用量 × 届くまでの日数 + 予備 | 1 × 3 + 5 = 8冊 |
AIには、この計算をスプレッドシートの関数で行う方法を作らせます。
品目ごとに「現在の在庫」「1日の使用量」「届くまでの日数」「予備」の列があります。
発注点を計算し、現在の在庫が発注点を下回ったら「発注」と表示する
Googleスプレッドシートの関数を作ってください。列の配置も提案してください。
出てきた関数は、2〜3品目を手で計算して結果が合うかを確かめます(→スプレッドシート関数・GASをAIに書かせるコツ)。
手順4:発注の運用を決める
計算の仕組みができても、在庫を数える人と日が決まっていなければ回りません。
- □ 在庫を数える日(例:毎週月曜日)と担当者を決めた
- □ 発注する人と、承認が必要な金額を購買ルールに合わせた
- □ 保管場所ごとに、品目と発注点を書いたラベルを貼った
- □ 定期便を使う品目と、都度注文する品目を分けた
- □ 拠点や部署が別々に注文しないよう、注文の窓口を決めた
発注依頼のメールやチャットの文面もAIで定型化できます。数量・型番・届け先を差し込む形にして、送信前に人が確認します。
よくある失敗
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 購入量をそのまま使用量とみなす | 買いだめした月の数字に引っぱられ、発注点が高くなる | 一度在庫を数え、期首と期末の在庫で補正する |
| 品名の対応表を作って終わる | 新しい購入先や新商品で、また表記がばらつく | 新しい品目を登録するときに標準品名を決める担当を置く |
| すべての品目を管理しようとする | 数える手間が増え、続かない | 使用量の多い品目や、切れると困る品目から始める |
| AIの関数をそのまま使う | 列がずれたときに誤った「発注」表示が出る | 数品目を手で検算し、列を追加したら再確認する |
まずは、コピー用紙・トナー・衛生用品など、切れると業務が止まる10品目ほどから始めると、手間をかけずに効果を確かめられます。
半年ごとに見直す
人数の増減、テレワークの割合、ペーパーレス化の進み具合で、使用量は変わります。半年に一度、購入履歴をもう一度AIで集計し、発注点を見直します。使わなくなった品目は在庫を使い切ってから一覧から外します。ペーパーレス化を進めている場合は、用紙やトナーの使用量の変化から、取り組みの効果も確認できます(→FAX・紙の申請をなくす手順)。
まとめ
- 購入履歴から品名の表記ゆれをAIでそろえ、品目ごとの月平均の使用量を出す
- 発注点は「1日の使用量 × 届くまでの日数 + 予備」で決め、関数の結果は手で検算する
- 在庫を数える日、発注の担当、注文の窓口を決めて、運用を回す
- 注文データから氏名・メールアドレス・カード情報を削ってから渡し、個人情報やマイナンバーは入力しない
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この記事で使えるテンプレート
総務 備品管理台帳 パソコン・スマートフォン・机・複合機などの備品を1点ずつ管理する台帳です。管理番号、取得日・取得価額、会計処理区分、設置場所・使用者、貸与日・返却日、棚卸しの確認日まで記録できます。 総務 共用備品 貸出簿 総務が保管している共用備品を一時的に貸し出すときの記録簿です。貸出日・返却予定日・返却日、借りた人、用途、持ち出し先、貸出時と返却時の状態、データ消去の確認まで1行で記録でき、返却遅れや紛失にすぐ気づけます。この記事に出てくる用語
- マイナンバー
- 住民票を持つすべての人に1人1つ指定される12桁の番号です。会社は社会保障・税・災害対策の法定の手続に限って従業員などのマイナンバーを取り扱えます。
出典・参考資料
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