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稟議書・購入申請の文面をAIで整える:比較表・費用・リスクの書き方と、決裁権限表との照合手順

稟議書・購入申請の文面を生成AIで整える方法を解説します。決裁者が判断しやすい稟議書の構成、比較表と費用の書き方、リスクと代替案の整理、提出前の不足チェック、決裁権限表との照合の考え方、見積書や個人情報をAIに入力しない注意点までまとめます。

対象読者
稟議書の作成や差し戻し対応に時間を取られている、従業員30〜300名の企業の総務・管理部門の担当者
難易度
基本
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 稟議書は「目的・内容・費用・比較・リスク・決裁区分」の6項目をそろえると差し戻しが減る。AIは構成の整理、比較表の作成、不足項目の指摘に使う
  • 取引先の見積書・契約書の原文、従業員の個人情報はAIに入力しない。金額や条件は自分で要約し、取引先名は「A社」などに置き換える
  • 決裁者の判断はAIに任せない。金額と決裁区分が決裁権限規程に合っているかは、権限表を見て人が確認する

稟議書は、書く人によって内容のばらつきが大きい書類です。「なぜ必要なのか」「ほかの選択肢と比べたのか」が書かれていないと、決裁者から差し戻され、承認までに何日もかかります。総務担当者が自分で稟議を書く場面も、各部署の稟議を受け付けて確認する場面も多いはずです。

この記事では、稟議書・購入申請の文面を生成AIで整え、決裁者が一読で判断できる形にする方法を紹介します。決裁権限そのものの決め方は「稟議・社内申請のワークフローの作り方」で解説しています。

差し戻されにくい稟議書の6項目

まず、自社の稟議書に最低限そろえる項目を決めます。次の6つがあれば、多くの決裁者は判断できます。

項目 書く内容 よくある不足
目的・背景 なぜ今必要か、やらないと何が困るか 「業務効率化のため」だけで具体性がない
内容 何を・いつから・どれだけ 数量や期間が書かれていない
費用 初期費用、月額・年額、総額、予算内か 月額だけで年間の総額がない
比較 他の候補、比べた観点、選んだ理由 1社の見積もりしかない
リスク・代替案 導入しない場合、解約条件、問題が起きたときの対応 解約の条件や違約金に触れていない
決裁区分 決裁権限規程のどの項目にあたるか、決裁者 金額に対して決裁者が違う

AIが特に役立つのは、メモ書きの情報を6項目に整理する作業と、比較表を作る作業、そして提出前に不足を指摘させる作業です。

手順1:AIに入力してよい情報を決める

稟議の材料には、取引先の見積書や契約書のひな形、社内の予算資料が含まれます。AIに入力する前に、次のように扱いを決めておきます。

材料 扱い
見積書・提案書の原文 入力しない。秘密保持の約束がある場合もある。金額・条件を自分で要約して使う
取引先名 「A社」「B社」に置き換える
従業員の氏名・給与・評価 入力しない。人員の増減は「1名増」など人数で書く
社内の予算額・売上 社内ルールで入力してよいか確認する。迷う場合は「予算内」「予算超過」とだけ書く
製品・サービスの公開情報 入力してよい

個人情報保護委員会とデジタル庁は、生成AIを使うときに個人情報や機密情報の入力に注意するよう示しています。社内の生成AIのルールがまだない場合は、「生成AIの社内利用ガイドラインのつくり方」を先に確認してください。

手順2:メモから稟議書の下書きを作る

プロンプト例

あなたは中小企業の総務担当者が稟議書を作るのを手伝うアシスタントです。
次のメモをもとに、稟議書の本文を作ってください。

項目:目的・背景/内容/費用/比較/リスク・代替案
(決裁区分は空欄にする。こちらで記入する)

条件:
- 決裁者が1分で読める長さ(800字程度)にする
- 費用は「初期費用」「年額」「3年間の総額」を表で示す
- メモにない数字や事実を追加しない。足りない情報は
  最後に「確認が必要な点」として箇条書きにする
- 誇張した効果(「劇的に」「大幅に」など)は書かない

メモ:
・勤怠管理を紙のタイムカードからクラウドに変えたい
・毎月の集計に担当者が約8時間かかっている
・A社:初期費用0円、1人月額300円、従業員60名
・B社:初期費用5万円、1人月額200円、従業員60名
・どちらも給与計算ソフトとCSV連携できる
・契約は1年単位、途中解約は不可(A社)、月単位(B社)

AIには「メモにない数字を追加しない」と指示します。効果を説明するために、根拠のない削減時間や割合を書き足すことがあるからです。効果の見積もり方は「人事総務のAI導入効果の測り方」の記録方法が参考になります。

比較表は観点を自分で決める

比較表の観点(費用・機能・サポート・解約条件・セキュリティなど)は、AIに決めさせず、自社が重視する観点を先に指定します。AIに任せると、一般的な観点が並ぶだけで、自社の判断のポイントが抜けることがあります。

手順3:提出前に不足をチェックさせる

下書きができたら、決裁者の立場で読ませ、不足を指摘させます。各部署から上がってきた稟議を総務が確認するときにも使えます(その場合も、取引先名や個人名は置き換えてから入力します)。

あなたは中小企業の社長です。次の稟議書を読んで、
決裁する前に質問したくなる点を5つ以内で挙げてください。
特に、費用の総額、他の選択肢との比較、解約条件、
導入後に誰が運用するか、が書かれているかを確認してください。

指摘された点は、AIに書き足させるのではなく、事実を確認して自分で追記します。取引先が初めての会社であれば、反社会的勢力のチェックなど社内の手順も済ませておきます(反社会的勢力の排除)。

手順4:決裁区分は権限表を見て人が確認する

稟議の金額と内容が、決裁権限規程のどの項目にあたるかは、AIに判断させません。権限表を開いて、次の点を人が確認します。

  • 金額は税込・税抜のどちらで判定するルールか
  • 年額か総額(複数年契約の合計)か
  • 分割して申請し、上位の決裁を避ける形になっていないか
  • 取締役会の決議が必要な事項にあたらないか

取締役会設置会社では、重要な財産の処分・譲受けや多額の借財などは取締役会で決める必要があり、取締役に委任できません(会社法362条4項)。どの金額から取締役会に上げるかは、会社ごとに決めておきます。権限表がない場合は「決裁権限規程(決裁権限表つき)」のひな形から作れます。

よくある失敗

失敗 起きること 防ぎ方
AIの文面をそのまま提出する 実際と違う効果や条件が書かれ、承認後に問題になる 数字・条件はすべて見積書や公開情報と突き合わせる
文章が長くなりすぎる 決裁者が読まずに差し戻す 字数を指定し、詳細は添付資料に回す
比較対象が形だけ 「最初から決まっていた」と受け取られる 比較の観点と、落とした候補の理由を1行ずつ書く
運用の担当者が書かれていない 導入後に誰も設定・管理をしない 「導入後の担当者と作業時間」を内容欄に入れる

稟議の型を社内で共有する

AIで整えた稟議書のうち、決裁がスムーズだったものは、種類ごと(物品購入、システム導入、外部委託、イベント開催など)に「良い例」として保存しておきます。

まとめ

  • 稟議書は、目的・内容・費用・比較・リスク・決裁区分の6項目をそろえる
  • AIはメモの整理、比較表の作成、決裁者目線での不足チェックに使う。メモにない数字は書かせない
  • 見積書の原文、取引先名、従業員の個人情報はAIに入力せず、要約や置き換えで使う
  • 決裁区分と取締役会の決議事項にあたるかは、権限表を見て人が確認する

稟議や社内申請の流れを、AIやワークフローでどこまで効率化できるか相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

出典・参考資料

この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。

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