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国の統計調査の調査票が会社に届いたら|基幹統計の報告義務、オンライン回答、かたり調査の見分け方

会社には、経済センサス、賃金構造基本統計調査、毎月勤労統計調査など、国の統計調査の調査票が届くことがあります。統計法の基幹統計調査の報告義務と罰則、それ以外の統計調査との違い、回答内容の秘密の保護、政府統計オンライン調査総合窓口での回答、社内の担当の決め方、統計調査を装った「かたり調査」の見分け方を整理します。

対象読者
経済センサスや賃金構造基本統計調査などの調査票が届き、誰がどう回答するか迷っている従業員30〜300名の企業の総務担当者
難易度
基本
所要時間
読了7分
最終確認日

この記事のポイント

  • 国の統計調査のうち「基幹統計調査」は、統計法第13条で報告を拒んだり虚偽の報告をしたりしてはならないとされ、違反には50万円以下の罰金の定めがある(第61条)。基幹統計の一覧は総務省が公表している
  • 回答された調査票の情報は、統計の作成など定められた目的以外に使うことが禁じられ、調査に従事する職員などには守秘義務がある(第40条・第41条)。税務調査や監督指導に使われるものではない
  • 統計調査を装って情報を取る「かたり調査」は統計法第17条で禁止されている。統計局は、職員や調査員が電話や電子メールで調査を依頼したり情報を聞き取ったりすることはないと案内している

総務の郵便物の中に、総務省や厚生労働省、都道府県からの「調査票」が入っていることがあります。「答えなければならないのか」「誰が書くのか」「本物か」と迷いやすい書類です。

国の統計調査には、法律で報告が義務づけられているものと、協力をお願いしているものがあります。この記事では、統計法の仕組みと、会社としての受け付けから回答までの手順、統計調査を装った「かたり調査」の見分け方を整理します。

基幹統計調査には報告義務がある

統計法は、国の行政機関が作る統計のうち、特に重要なものを「基幹統計」と定めています(第2条第4項)。基幹統計を作るための調査が「基幹統計調査」です(同条第6項)。

区分 根拠 報告の扱い
基幹統計調査 統計法第9条の総務大臣の承認に基づいて行う 報告を求められた個人・法人は、拒んだり虚偽の報告をしたりしてはならない(第13条第2項)
一般統計調査(基幹統計調査以外の国の統計調査) 第19条の総務大臣の承認 第13条のような報告義務・罰則の定めはない。協力のお願い

基幹統計調査の報告を拒んだり、虚偽の報告をしたりした個人・法人は、50万円以下の罰金の対象になります。法人の場合は、その行為をした役職員が対象です(第61条第1号)。実際に罰則が適用されるかどうかより、「法律で回答が求められている調査」だと理解して、期限内に回答することが大切です。

一般統計調査には報告義務の定めはありませんが、行政の政策づくりに使われる調査です。回答の負担と内容を見て、できる範囲で協力するのが一般的な対応です。

会社に届きやすい主な統計調査

総務省の基幹統計一覧(令和7年1月21日現在)には、会社に関係する統計として、経済構造統計、毎月勤労統計、賃金構造基本統計、法人企業統計、民間給与実態統計などが載っています。調査票に調査名が書かれているので、一覧と照らし合わせれば基幹統計調査かどうかを確認できます。

調査 実施 対象・時期の概要 社内で答える部署
経済センサス‐活動調査 総務省・経済産業省 全国のすべての事業所・企業(一部を除く)。令和8年調査は2026年6月1日現在 総務・経理
賃金構造基本統計調査 厚生労働省 常用労働者5人以上の民営事業所などから抽出。毎年6月分の賃金等(賞与は前年1年間)を7月に調査 人事・給与
毎月勤労統計調査 厚生労働省 常時5人以上を雇用する事業所から抽出。毎月末現在(給与締切日があれば最終締切日現在) 人事・給与

経済センサス‐活動調査(2026年)

経済センサス‐活動調査は5年ごとの調査で、令和8年(2026年)が実施年です。統計局は、2026年は経済センサス‐活動調査の年のため、経済構造実態調査は実施しないと案内しています。

仙台市の案内では、支所のない比較的小規模な単独事業所には4月上旬にインターネット回答用の書類(緑色の封筒)が郵送され、未回答の事業所には5月上旬ごろから調査員が紙の調査票(青色の封筒)を配り、支所のある企業や大規模な事業所には5月ごろから本社に書類(黄色の封筒)が郵送される流れでした。売上(収入)金額や費用、設備投資などの経理項目を答えるため、決算資料を手元に用意して回答します。

賃金構造基本統計調査と毎月勤労統計調査

どちらも抽出された事業所に届きます。賃金構造基本統計調査は、労働者ごとの賃金・労働時間などを答える調査で、その結果は初任給や中途採用の賃金水準を確認する資料にも使われています(新卒の初任給の決め方)。毎月勤労統計調査は、抽出された事業所が一定期間継続して毎月回答する仕組みです。結果は毎月公表されています(8月の毎月勤労統計の結果)。

給与計算ソフトから賃金台帳を出力して転記することが多いので、給与担当者が回答し、総務が期限を管理する分担にするとスムーズです。

回答の流れと社内の担当

手順 やること ポイント
1. 受付 調査票・依頼文を総務で受け付け、受付簿に記録 調査名、実施機関、期限、問合せ先を控える
2. 本物か確認 調査名を基幹統計一覧や実施機関のサイトで確認 依頼文に書かれた番号ではなく、公式サイトに載っている番号に問い合わせる
3. 担当を決める 経理項目は経理、賃金・労働時間は給与担当 社長名での回答が必要な場合は決裁を取る
4. 回答 オンラインまたは紙で提出 回答に使った資料と控えを保存する
5. 問合せ対応 記入内容の確認の電話に答える 提出後の確認の電話は正規の手続きとしてありうる

オンライン回答

多くの国の統計調査は、「政府統計オンライン調査総合窓口(e-survey.go.jp)」から回答できます。調査票に同封されたID・パスワード(調査対象者ID)を使ってログインします。体験版も用意されています。経済センサスなど、調査ごとの専用回答サイトが案内されることもあるので、同封書類の指示に従ってください。

回答内容は他の目的に使われない

統計法は、調査を行った行政機関が、調査票の情報を統計調査の目的以外に使ったり提供したりすることを禁じています(第40条)。調査票の情報を扱う職員や委託先の従事者には守秘義務があり(第41条)、漏らせば2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(第57条第1項第2号)。

「税務署や労働基準監督署に知られるのでは」と心配する声もありますが、統計調査の回答は統計を作るためのものです。事実のとおりに回答しましょう。

統計調査を装った「かたり調査」に注意

国勢調査などの基幹統計調査であると誤認させるような表示や説明をして、個人や法人の情報を取ることは禁止されています(統計法第17条)。違反は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、未遂も罰せられます(第57条)。

総務省統計局は、かたり調査を見分けるポイントとして次のことを示しています。

  • 国や地方公共団体の職員、統計調査員が、電話や電子メールで統計調査を依頼したり、情報を調査したりすることはない
  • ただし、提出後に記入内容を確認する場合や、期限までに提出がなく再度お願いする場合は、職員・調査員・受託した民間の調査機関から電話があることがある(その場合も電話で情報を聞き取ることはない)
  • 統計調査員は常に調査員証を携帯している

仙台市の経済センサスの案内でも、調査員は調査員証を身に着けていること、調査員が金品を請求することは絶対にないことが示されています。

不審なサイン 対応
電話やメールで、売上や取引銀行、従業員の個人情報を聞かれる 答えずに、実施機関の公式サイトの問合せ先に確認する
回答に手数料や会費を求められる 応じない
メール本文のリンクから回答させようとする リンクを開かず、同封書類や公式サイトから回答する
調査員証を見せない訪問 調査員証の提示を求め、市区町村の統計担当に確認する

メールの見分け方はなりすましメール・ビジネスメール詐欺の対策、外部から従業員の情報を聞かれたときの考え方は外部からの照会への対応も参考にしてください。民間の調査会社や業界団体のアンケートは統計法の報告義務の対象ではないので、回答するかどうかは会社が判断します。

まとめ

  • 基幹統計調査は、統計法第13条で報告を拒むこと・虚偽の報告が禁じられ、罰則(50万円以下の罰金)もある。それ以外の国の統計調査は協力のお願い
  • 会社に届きやすいのは、経済センサス‐活動調査(2026年6月1日現在で実施)、賃金構造基本統計調査、毎月勤労統計調査など。調査名を総務省の基幹統計一覧で確認する
  • 受付簿で期限を管理し、経理項目は経理、賃金項目は給与担当が回答する。政府統計オンライン調査総合窓口からオンラインで回答できる
  • 回答は統計作成以外の目的に使われず、従事者には守秘義務がある
  • 電話・メールで情報を聞く、金品を求めるといった「かたり調査」に注意し、公式の問合せ先で確認する

この記事に出てくる用語

賃金台帳
労働者ごとに賃金計算の基礎となる事項や支払額を記録する帳簿で、労働基準法で作成と保存が義務づけられています。法定三帳簿の一つです。
労働基準監督署
労働基準法・労働安全衛生法などが守られているかを監督する厚生労働省の機関です。36協定や就業規則の届出先で、労災保険の給付の窓口でもあります。

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