複合機の入れ替えと保守契約の選び方|リース・購入・レンタルの違い、カウンター料金、返却時のデータ消去まで
複合機は、本体の契約と保守の契約が組み合わさった、総務にとって分かりにくい買い物です。リース・購入・レンタルの違い、印刷枚数に応じたカウンター料金の考え方、見積もりで条件をそろえる項目、セキュリティ設定、返却時のデータ消去まで、特定の製品に寄らずに選ぶための確認ポイントを整理します。
- 対象読者
- 複合機のリース満了や入れ替えを任された、従業員30〜300名の企業の総務担当者
- 難易度
- 実務
- 所要時間
- 読了8分
- 最終確認日
この記事のポイント
- 複合機の費用は「本体(リース・購入・レンタル)」と「保守(カウンター料金など)」に分けて比べる。総額は月間の印刷枚数とカラー比率で大きく変わる
- リースは原則として中途解約ができない。期間・満了時の扱い・残期間の精算を契約前に確認し、契約管理台帳で満了日を管理する
- 複合機には読み取った文書のデータが残ることがある。初期パスワードの変更、ファームウェアの更新、返却・廃棄時のデータ消去と証明書の受け取りを手順にする
複合機は、コピー・プリント・スキャン・FAXを1台でこなすオフィスの基本の設備です。数年に一度のリース満了のたびに「同じ会社で更新するか、他社も比べるか」を決めることになりますが、前回の契約を誰がどう決めたかが分からない、という総務担当者は少なくありません。
この記事では、複合機の入れ替えを担当するときに、特定のメーカーや販売店に寄らず比較するための確認ポイントを整理します。費用の数字は機種や契約で大きく違うため、ここでは考え方と見積もりで確認する項目に絞ります。
費用は「本体」と「保守」に分けて考える
複合機の費用は、大きく2つに分かれます。
| 区分 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 本体 | リース料、購入代金、レンタル料 | 期間、月額、満了時の扱い |
| 保守 | 故障時の修理、定期点検、トナーの供給など | 料金の方式、対応の範囲、駆けつけの時間 |
保守の料金は、印刷した枚数に応じて支払うカウンター料金の方式が多く見られます。モノクロとカラーで単価が違い、月の最低料金が決まっていることもあります。本体の月額が安くても、カウンター料金が高ければ総額は上がります。必ず、自社の月間の印刷枚数とカラーの比率をもとに、総額で比べます。
リース・購入・レンタルの違い
| 方式 | 特徴 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| リース | 数年の期間を決めて、リース会社から借りる。原則として中途解約ができない | 同じ台数を長く使う見込みがある |
| 購入 | 自社の資産になる。保守は別に契約する | 長く使い、印刷量も安定している |
| レンタル | 短期間でも借りられ、途中で返せることが多い。月額は割高になりやすい | 移転や増員の予定が近い、期間が決まった利用 |
リースは、途中で解約すると残りの期間のリース料を一括で支払う契約が一般的です。オフィスの移転や人員の増減の予定があるときは、期間の設定に注意します(→オフィス移転の進め方)。会計・税務上の扱いは契約の内容で変わるため、税理士に確認してください。
見積もりで条件をそろえる項目
複数社から見積もりを取るときは、条件をそろえないと比べられません。
- □ 台数と設置場所、必要な機能(カラー・FAX・ステープル・両面スキャンなど)
- □ 月間の印刷枚数(モノクロ・カラー別)と、直近1年の推移
- □ 契約期間と、満了時の扱い(再リース・返却・入れ替え)
- □ カウンター料金の単価、月の最低料金、トナーなど消耗品の費用の扱い
- □ 保守の範囲(部品・出張・休日の対応)と、故障時の駆けつけの目安
- □ 今の機器の撤去・データ消去の費用と、今の契約の残期間の扱い
- □ ドライバーの導入、スキャンの保存先の設定など、初期設定の範囲
印刷枚数は、今の機器のカウンターや保守会社の請求書で確認できます。見積もりの依頼書と比較表は「相見積もりの依頼書と比較表をAIで作る」の方法で作れます。
セキュリティで確認すること
複合機はネットワークにつながった機器で、読み取った文書やFAXの受信データ、アドレス帳を内部に保存していることがあります。IPAのガイドラインも、IT機器の設定やデータの管理を対策の項目に挙げています。
| 項目 | 確認・設定の例 |
|---|---|
| 管理者パスワード | 初期のパスワードを変更する |
| ファームウェア | 更新の方法と、保守会社が更新してくれるか |
| 外部からのアクセス | インターネットから管理画面に入れない設定になっているか |
| 印刷物の放置 | 本人が操作パネルで認証してから出力する機能を使うか |
| スキャンの保存先 | 共有フォルダのアクセス権、メール送信の宛先の制限 |
複合機もIT資産の一つとして台帳に載せ、設置場所・管理番号・契約・保守会社をまとめておきます(→IT資産管理台帳、IT資産管理の進め方)。
返却・廃棄のときのデータ消去
リース満了や入れ替えで機器を返すときは、内部の記憶装置に残ったデータの消去を確認します。
- 消去を誰が行うか(保守会社・リース会社・自社)を契約で確認する
- 消去の方法と、消去を証明する書類(データ消去証明書など)が出るかを確認する
- アドレス帳や設定の情報を、新しい機器に移すか、消去するかを決める
- 消去と返却の日を、IT資産管理台帳に記録する
PCの返却と同じ考え方で手順にしておくと、担当者が替わっても漏れません(→PC返却とデータ消去)。
FAXの使い方も見直す
入れ替えは、FAXの使い方を見直す機会でもあります。受信したFAXを紙に出さず、電子データとして保存先に送る設定にすると、紙の量と放置のリスクが減ります。電子で受け取った取引の書類を保存するときは、電子帳簿保存法の要件を確認します。FAXそのものをやめる進め方は「FAX・紙の申請をなくす手順」を参照してください。
契約後の管理
- 契約書・保守契約書を契約管理台帳に載せ、満了日の6か月前に検討を始める予定を入れる(→契約書管理台帳)
- 毎月の請求書で印刷枚数を確認し、カラーの比率が急に増えていないかを見る
- 故障や紙詰まりの頻度を記録し、次回の更新のときの判断材料にする
よくある質問
今の販売店から「入れ替えれば料金は変わらない」と言われたら
同じ月額でも、契約期間が延びている、カウンター料金の単価や最低料金が変わっている、ということがあります。新しい契約の期間・単価・最低料金・満了時の扱いを書面で確認し、今の契約と並べて比べます。他社からも見積もりを取ると、条件が妥当かを判断しやすくなります。
台数を減らしたいときは
部署ごとに1台置いている場合、印刷枚数を台ごとに確認すると、ほとんど使われていない機器が見つかることがあります。台数を減らすと、待ち時間や移動の手間が増えるため、配置と使う人数をあわせて検討します。プリンターだけの機器と組み合わせる方法もあります。
小規模な拠点ではどうするか
数人の営業所では、複合機ではなく小型のプリンターとスキャナーで足りることもあります。印刷枚数とFAXの必要性を確かめてから決めます。拠点ごとに別々の契約にすると管理が煩雑になるため、契約管理台帳にまとめて載せます。
まとめ
- 複合機の費用は本体と保守に分け、自社の印刷枚数とカラー比率をもとに総額で比べる
- リースは原則として中途解約ができない。期間と満了時の扱いを契約前に確認する
- 見積もりは条件をそろえて依頼し、撤去・データ消去・初期設定の範囲も含めて比べる
- 初期パスワードの変更や外部アクセスの制限を行い、返却時はデータ消去と証明書の受け取りを手順にする