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ビジネスチャットツールの選び方:管理機能・データ保存・外部連携と、勤務時間外の連絡ルールで比べる

ビジネスチャットツールを選ぶときの比較ポイントを解説します。個人向けメッセージアプリを業務で使うリスク、アカウント管理・退職者の停止・ログの保存といった管理機能、外部ユーザーとのやりとり、ファイル共有と電子取引データの扱い、勤務時間外の連絡ルール、導入の進め方まで整理します。

対象読者
社内の連絡手段をメールや個人のメッセージアプリからビジネスチャットに切り替えたい、従業員30〜300名の企業の総務・情報システム担当者
難易度
基本
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 比較の中心は「会社がアカウントとデータを管理できるか」。管理者によるアカウント停止、多要素認証、ログの保存・出力、外部共有の制限を確認する
  • チャットで請求書などを受け取ると電子取引データの保存が必要になる場合がある。チャットに置いたままにせず、保存場所を決めておく
  • 導入前にチャンネルの作り方、外部ユーザーの招待ルール、勤務時間外の連絡の考え方を決める。ツールより運用ルールで使いやすさが決まる

社内の連絡を、メールや従業員個人のメッセージアプリで済ませている会社は少なくありません。しかし、個人のアカウントでのやりとりは、退職者の手元に情報が残る、誤送信を取り消せない、会社が記録を確認できないといった問題を抱えています。

この記事では、特定の製品をすすめるのではなく、ビジネスチャットツールを選ぶときに確認するポイントと、導入前に決めておくルールを整理します。

個人向けメッセージアプリを業務で使うリスク

まず、なぜ会社として管理できるツールが必要かを確認しておきます。

起きやすい問題 内容
退職後も情報が残る 個人のアカウントにある顧客情報や社内資料を、会社が削除できない
誤送信 似た名前の家族・友人に業務の情報を送ってしまう
記録が残らない トラブルや問い合わせがあったとき、やりとりを会社が確認できない
端末の紛失 個人のスマートフォンの紛失時に、会社が利用を止められない

個人情報を扱う会社は、個人情報保護法に基づいて安全管理措置(漏えいなどを防ぐための組織的・技術的な対策)を講じる必要があります。連絡手段を会社の管理下に置くことは、その基本的な対策の一つです。私物の端末で使う場合のルールは「BYOD(私物端末の業務利用)のルール」も参考にしてください。

比較のチェックポイント

1. アカウントと端末の管理

確認すること 見るポイント
アカウントの発行・停止 管理者が一括で作成・停止できるか。退職日にすぐ利用を止められるか
認証 多要素認証を必須にできるか。シングルサインオン(1つのIDで複数サービスにログインする仕組み)に対応するか
端末の制限 会社支給の端末だけで使えるよう制限できるか。紛失時にログアウトさせられるか
権限の段階 管理者・一般・外部ユーザーなど権限を分けられるか

退職時のアカウント停止は、入退社の手続きと連動させないと漏れます。SaaSアカウントの棚卸しには「IT資産・SaaSアカウント管理台帳」が使えます。

2. データの保存と出力

確認すること 見るポイント
メッセージの保存期間 プランによって閲覧できる期間が限られることがある。必要な期間を決めてから比べる
ログの出力 管理者がやりとりやファイルを出力できるか(調査・監査のとき)
削除の扱い 送信者がメッセージを消した場合に、管理者が記録を確認できるか
データの保存場所 保存場所や、契約終了時のデータの扱いが利用規約などで示されているか

3. 外部とのやりとり

取引先や社労士・税理士など社外の人とやりとりする場合は、外部ユーザーの招待や共有チャンネルの機能を確認します。外部ユーザーを誰が招待できるか、招待の承認を管理者が行えるかがポイントです。

4. ファイル共有と電子取引データ

チャットで請求書や領収書のPDFを受け取った場合も、電子取引にあたり、電子帳簿保存法に沿った電子データの保存が必要になることがあります。チャット上に置いたままにすると、検索や保存期間の要件を満たせないおそれがあります。

  • 請求書・契約書などは、決めた保存場所(文書管理システムや経理システム)へ移す
  • 人事書類やマイナンバーを含む書類は、チャットで送らないルールにする

保存の仕組みは「文書管理システムの選び方」で整理しています。

5. 他のツールとの連携

勤怠・ワークフロー・社内ポータルなどからの通知をチャットに集めると、確認漏れが減ります。連携できるサービスと、連携の設定に管理者の承認が必要かを確認します。社内ポータルとの使い分けは「社内ポータル・社内wikiツールの選び方」を参照してください。

導入前に決めておく運用ルール

ツールの使いやすさは、運用ルールで大きく変わります。導入前に、最低限次の点を決めます。

ルール 決める内容の例
チャンネルの作り方 部署別・プロジェクト別・全社連絡用。名前の付け方をそろえる
全社連絡 投稿できる人を限定し、重要な通知は既読確認の方法を決める
外部ユーザー 招待できる人、招待前の承認、プロジェクト終了時の削除
送ってはいけない情報 マイナンバー、健康情報、パスワードなど
勤務時間外の連絡 原則として送らない、送る場合は返信を求めない、予約送信を使う など

勤務時間外の連絡の考え方

チャットは手軽なため、夜間や休日の連絡が増えがちです。厚生労働省のテレワークガイドラインでは、長時間労働を防ぐ方法として、時間外・休日・深夜のメール送付の抑制などが挙げられています。返信を求める連絡が時間外に続くと、労働時間の把握の問題にもつながります。ルールは就業規則やテレワーク規程とあわせて周知します(テレワーク規程の作り方)。

費用の見方

ビジネスチャットは、利用者1人あたりの月額料金で提供されることが多いサービスです。比べるときは、表示された単価だけでなく次の点も確認します。

  • 無料プランや下位プランで、メッセージの保存期間・管理機能・外部ユーザーの機能が制限されていないか
  • 年払いと月払いで単価が違うか、途中で人数を増減できるか
  • 外部ユーザー(ゲスト)が課金の対象になるか
  • 多要素認証の強制やログの出力など、必要な管理機能がどのプランから使えるか

必要な管理機能が上位プランにしかない場合は、そのプランの料金で比べます。料金や機能は改定されることがあるため、最新の内容は各サービスの公式サイトで確認してください。

移行するときの注意

メールや個人アプリから切り替えるときは、一度に全部を移そうとしないことが大切です。

時期 やること
試験運用 1部署で使い、チャンネルの作り方と困った点を記録する
全社展開の前 運用ルールを1枚にまとめ、管理職に先に説明する
切り替え日 全社連絡の手段をチャットに統一する日を決めて告知する
切り替え後1か月 個人アプリでの業務連絡が残っていないか確認する

パソコンやスマートフォンの操作に慣れていない従業員がいる場合は、ログイン方法と基本操作を紙1枚にまとめて配ると、問い合わせが減ります。

比較と導入の進め方

  1. 今の連絡手段(メール・個人アプリ・電話)と困っていることを洗い出す
  2. 必須条件(アカウント停止、多要素認証、保存期間、外部ユーザー)を決める
  3. 2〜3製品を、1つの部署で2〜4週間試す
  4. 運用ルールをまとめ、全社説明のあとに切り替え日を決める
  5. 個人のメッセージアプリでの業務連絡をやめる時期を明確にする

まとめ

  • 比較の中心は、会社がアカウントとデータを管理できるか(停止・多要素認証・保存期間・ログの出力・外部共有の制限)
  • 請求書などのファイルはチャットに置いたままにせず、決めた保存場所へ移す。マイナンバーや健康情報はチャットで送らない
  • チャンネルの作り方、外部ユーザーの招待、勤務時間外の連絡のルールを導入前に決め、試験運用で確かめてから全社に広げる

出典・参考資料

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