2026年1〜9月の労災死傷者は9万1,642人で前年比4.8%増 転倒と腰痛など「動作の反動」が増加
厚生労働省は2026年10月28日、令和8年1〜9月の労働災害発生状況(速報)を掲載しました。休業4日以上の死傷者は91,642人で前年同期比4.8%増、死亡者は432人で9.1%減でした。転倒と「動作の反動・無理な動作」の増加が目立ちます。
- 対象読者
- 職場の安全衛生と労災対応を担当する、従業員30〜300名の企業の総務・労務担当者
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この記事のポイント
- 2026年1〜9月の休業4日以上の死傷者数は91,642人(前年同期比4,235人・4.8%増)。死亡者数は432人(43人・9.1%減)
- 事故の型別では転倒が26,363人で最多(1,263人増)。腰痛などの「動作の反動・無理な動作」は15,007人で1,866人増と最も増えた
- 第三次産業の死傷者は48,839人(7.4%増)で全体の5割超。社会福祉施設は9,273人(11.1%増)。60歳以上が死傷者の約3割を占める
厚生労働省は2026年10月28日、「令和8年における労働災害発生状況(速報)」を掲載しました。2026年1月1日から9月30日までに発生し、10月7日までに報告された労働災害の集計です。休業4日以上の死傷者数は91,642人で、前年同期より4.8%増えました。
主な数値
| 項目 | 2026年1〜9月 | 2025年1〜9月 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 死傷者数(死亡+休業4日以上) | 91,642人 | 87,407人 | 4,235人増(4.8%増) |
| 死亡者数 | 432人 | 475人 | 43人減(9.1%減) |
死亡者は建設業が140人で最も多く、次いで第三次産業112人、製造業78人、陸上貨物運送事業49人でした。事故の型別では、墜落・転落が113人、交通事故(道路)が90人です。
いずれも速報値のため、報告が追加されると数値は変わります。
増えているのは「転倒」と「動作の反動・無理な動作」
休業4日以上の死傷者を事故の型別に見ると、次のとおりです。
| 事故の型 | 2026年1〜9月 | 前年同期との比較 |
|---|---|---|
| 転倒 | 26,363人 | 1,263人増 |
| 動作の反動・無理な動作 | 15,007人 | 1,866人増 |
| 墜落・転落 | 13,750人 | 599人増 |
| はさまれ・巻き込まれ | 8,645人 | 53人減 |
| 切れ・こすれ | 4,862人 | 9人増 |
| 交通事故(道路) | 4,526人 | 128人増 |
「動作の反動・無理な動作」は、重い物を持ち上げたときのぎっくり腰など、体の動きそのものが原因になる災害です。転倒と合わせると死傷者全体の約45%を占めます。
業種別・年齢別の特徴
第三次産業の死傷者は48,839人(7.4%増)で、全体の53.3%を占めました。内訳では、商業15,639人(6.1%増)、保健衛生業12,990人(10.4%増)、うち社会福祉施設9,273人(11.1%増)、接客・娯楽7,073人(8.8%増)が増えています。製造業は18,100人(3.6%増)、陸上貨物運送事業は10,874人(4.3%増)、建設業は8,528人(3.0%減)でした。
年齢別では、60歳以上が28,283人で死傷者の約31%を占めます。2026年4月からは、高年齢者の労働災害防止のための措置が事業者の努力義務になっています(→改正労働安全衛生法の解説)。
担当者が押さえておきたいこと
オフィスや店舗、介護の現場でも起こりやすい転倒と腰痛は、業種を問わず対策が必要です。
- 通路の段差・濡れた床・配線など、転倒につながる場所を職場巡視で洗い出す
- 冬場は路面の凍結や日没の早さで転倒の危険が高まるため、出入口や駐車場の滑り止め・照明を点検する
- 重量物の取扱いや介助作業は、持ち方の教育や補助具の導入、2人作業のルールを決める
- 高年齢の従業員が多い職場は、体力や作業内容に合わせた配置を検討する
労災が起きたときの初動と労働者死傷病報告の手順は労災が起きたときの会社の対応、安全配慮義務の考え方は安全配慮義務とはで解説しています。