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新卒社員の配属の決め方|配属面談と希望調査、労働条件通知書の「就業場所・業務の変更の範囲」、本人への伝え方と配属後のフォロー

4月入社の新卒社員の配属は、早期離職にも関わる大事な判断です。配属方針の決め方、希望調査と配属面談の進め方、2024年4月から明示が必要になった「就業場所・業務の変更の範囲」との関係、職種限定合意に関する最高裁判決、配属理由の伝え方と配属後3か月のフォローまでを整理します。

対象読者
2027年4月に新卒社員を受け入れる従業員30〜300名の企業の人事担当者
難易度
基本
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 配属は「会社の必要」と「本人の希望・適性」をすり合わせる作業。方針・候補部署・決定時期を年明けまでに決め、希望調査と面談で材料を集める
  • 労働条件通知書には雇入れ直後の就業場所・業務と、その変更の範囲を書く。職種を限定する合意があると、本人の同意なく別職種へ配置転換できない
  • 配属理由と期待する役割を本人に言葉で伝え、配属後3か月は上司・人事が定期的に面談する

4月に入社する新卒社員の配属先は、遅くとも入社前の研修期間中には決める必要があります。配属は本人のその後の仕事を大きく左右し、「希望と違った」「理由が分からない」という不満は早期離職のきっかけにもなります。厚生労働省の公表では、2023年3月卒業の大卒者の就職後3年以内の離職率は31.2%で、事業所規模30〜99人では39.7%でした。この記事では、中小企業の人事が配属を決める手順を整理します。

配属を決めるまでのスケジュール

4月入社の例です。研修後に配属する会社は、研修期間に合わせて後ろにずらします。

時期 やること
12月〜1月 配属方針を決める。各部署から受入れ人数・育成担当者の案を集める
1月〜2月 内定者に希望調査票を送る。内定者面談・懇親会で関心や不安を聞く
2月〜3月 配属面談を行い、案を作る。受入れ部署の上司と調整
3月 労働条件通知書の内容を確定する
入社日〜研修終了 研修中の様子も踏まえて配属を確定し、本人に理由とあわせて伝える
配属後3か月 上司・人事による定期面談

内定者との接点づくりは内定者フォローの進め方、入社後研修は新入社員研修のカリキュラムの作り方を参照してください。

配属方針の決め方

最初に、会社として何を優先するかを決めます。

方針の型 向いている会社 注意点
職種別採用(入社時から職種が決まっている) 専門職・技術職の採用が中心 採用時の説明と配属先が一致しているかを確認
総合職採用+研修後に配属 複数の部署・事業所がある 配属の基準と決定時期を内定者に説明しておく
ジョブローテーション前提 若手に幅広く経験させたい ローテーションの期間と次の異動の考え方を示す

どの型でも、受入れ部署に「誰が育成担当になるか」「最初の3か月で何をさせるか」を事前に出してもらいます。育成体制が決まらない部署には配属しない、という基準を置く会社もあります。

希望調査と配属面談

希望調査票で聞くこと

  • 関心のある仕事・部署(第1〜第3希望)とその理由
  • 勤務地についての事情(通勤・家族の事情など、本人が伝えたい範囲で)
  • 学生時代に取り組んだことのうち、仕事に活かしたいこと
  • 配属について不安なこと

健康状態や家族構成など、就職差別につながるおそれのある事項を一律に記入させる設問は避けます。勤務地の事情は、本人が任意で書けるようにします。

配属面談の進め方

面談は30分程度で、人事と、可能なら受入れ候補部署の上司が同席します。希望をそのまま約束しないこと、決定の時期と方法を伝えることがポイントです。「希望どおりにならない場合もあるが、理由は必ず説明する」と最初に伝えておくと、決定後の納得感が違います。

労働条件通知書との関係

雇入れ直後の就業場所・業務と「変更の範囲」

2024年4月から、すべての労働契約の締結時に、雇入れ直後の就業場所・業務に加えて、これらの変更の範囲も明示することが必要になりました(労働基準法施行規則第5条、厚生労働省リーフレット)。

記載項目 書き方の例
雇入れ直後の就業場所 本社(〇〇市)。研修後の配属先は、研修終了時に決定する
就業場所の変更の範囲 会社の定める全事業所(〇〇市、△△市、□□市)
雇入れ直後の業務 新入社員研修、その後は営業・製造・管理のいずれかの業務
業務の変更の範囲 会社の定める業務

研修後に配属する場合でも、将来配属する可能性がある事業所・業務は「変更の範囲」に含めておく必要があります。書き方の詳細は労働条件通知書の書き方、求人票の内容から変える場合は変更明示を確認してください。

職種を限定する合意がある場合

最高裁判所は令和6年4月26日の判決で、労働者と使用者の間に職種・業務内容を特定のものに限定する合意がある場合に、本人の同意を得ずに行った異なる職種への配置転換命令について、命令権限があることを前提に濫用に当たらないとした原審の判断には違法があるとしました。

「技術職として採用」「〇〇職限定」と約束した新卒社員を、本人の同意なく別の職種に配属・異動させることはできない可能性があります。求人票・内定通知・労働条件通知書で、職種を限定するのか、会社の定める業務全般に就くのかを一致させておきます。

配属の伝え方

配属先は、辞令や一覧の掲示だけでなく、本人に直接伝えます。

  1. 配属先と、そこで期待する役割
  2. その配属にした理由(研修中の様子、本人の強み、部署の状況)
  3. 希望どおりでない場合は、その理由と、今後の異動の考え方(社内公募やローテーションの有無)
  4. 最初の上司・育成担当者の名前と、最初の1か月の予定

配属後3か月のフォロー

時期 内容 担当
配属1週目 育成担当者との顔合わせ、業務の全体像の説明 上司
1か月後 困っていること、仕事の量と難しさを確認 人事
3か月後 期待役割の達成状況、次の3か月の目標 上司・人事

人事との面談は、上司に言いにくいことを話せる場にします。定着策の全体は若手の早期離職を防ぐ定着施策、受入れ計画はオンボーディングを参照してください。

まとめ

  • 配属方針・候補部署・決定時期を年明けまでに決め、希望調査と面談で本人の希望と適性を把握する
  • 労働条件通知書には雇入れ直後の就業場所・業務と、その変更の範囲を書く
  • 職種を限定する合意があると、本人の同意なく別職種へ配置転換できない。求人から通知書まで記載をそろえる
  • 配属理由と期待役割を直接伝え、配属後3か月は上司・人事が定期的に面談する

この記事で使えるテンプレート

CSV 人事 入社オンボーディング計画表(30-60-90日) 入社後30日・60日・90日の到達目標と、やること・担当者・期限・完了状況を管理する計画表です。人事・上長・メンター(育成担当)で役割分担を共有し、中途入社者の早期定着を支えます。 DOCX 人事 労働条件通知書(パート・有期雇用用) パートタイム・有期雇用の従業員向け労働条件通知書です。2024年4月改正の明示事項(変更の範囲・更新上限・無期転換)と、パートタイム・有期雇用労働法で求められる昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口、2026年10月から追加された「待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」を盛り込んでいます。

この記事に出てくる用語

採用内定
会社が応募者に採用を約束することです。多くの場合、内定通知の時点で「始期付・解約権留保付の労働契約」が成立したと考えられます。
就業場所・業務の変更の範囲
雇い入れた後に、就業場所や従事する業務が変わりうる範囲のことです。2024年4月から、労働条件の明示事項に加わりました。
配置転換
同じ会社の中で、職務の内容や勤務場所を変えることです。勤務地が変わるものを特に転勤といいます。
労働条件通知書
会社が労働者を雇い入れるときに、賃金・労働時間・就業場所などの労働条件を書面で知らせるための文書です。労働基準法の「労働条件の明示」を果たすために使います。

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出典・参考資料

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