事業所のNHK受信契約|部屋・社用車ごとの契約単位、申込期限と割増金、解約届と総務の棚卸し手順
会社の事務所も、NHKの放送を受信できるテレビ等を設置すれば受信契約が必要です(放送法第64条)。事業所契約は部屋や自動車など設置場所ごとが単位で、設置月の翌々月末までに申し込まないと割増金の対象になりえます。2025年10月施行の改正による配信の扱い、割引、解約届、総務の棚卸し手順を整理します。
- 対象読者
- 事務所のテレビや社用車のカーナビの受信契約を管理する、従業員30〜300名の企業の総務担当者
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この記事のポイント
- 放送法第64条により、NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は受信契約を結ばなければならない。2025年10月からは、NHKの必須業務となった配信の受信を開始した者も対象に加わった
- NHKの受信規約では、事業所契約は「部屋、自動車またはこれらに準ずるもの」の単位で、設置場所ごとに1件。同じ部屋に何台あっても1件。申込期限は設置した月の翌々月の末日
- 期限を過ぎた場合や虚偽の解約届の場合は、受信料に加えて2倍相当の割増金を請求されうる。テレビの撤去や車両の売却では、解約の届出をしないと受信料が止まらない
会議室に置いたテレビ、来客ロビーのモニター、社用車のカーナビ。NHKの受信契約は家庭だけの話だと思われがちですが、会社の事務所や車両も対象になります。担当者が替わって、どの部屋・どの車で契約しているのか誰も分からない、という会社も少なくありません。
この記事では、放送法の定めと、NHKの受信規約が決めている事業所契約の単位、申込期限と割増金、解約の届出を整理し、総務が年1回行う棚卸しの手順を示します。
法律が定めていること
受信契約の義務は、放送法第64条第1項に定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 放送法第64条第1項 |
| 契約が必要な者 | ①特定受信設備を設置した者、②特定必要的配信の受信を開始した者 |
| 特定受信設備 | NHKの放送を受信できる受信設備。ただし、放送の受信を目的としない受信設備と、ラジオ放送(多重放送)だけを受信できる受信設備は除く(同条第8項第3号) |
| 契約の内容 | 総務大臣の認可を受けた受信規約(認可契約条項)で定める |
| 割増金 | 不正な手段で支払を免れた場合と、正当な理由なく期限までに申し込まなかった場合の割増金を受信規約で定める(同条第5項第4号・第6項) |
②の「配信」は、2024年の放送法改正(令和6年法律第36号)で加わったものです。総務省の概要によると、改正によりNHKの同時配信・見逃し配信などがNHKの必須業務になり、テレビを設置した人と同等の受信環境にある人として、配信の受信を開始した人も受信契約の義務の対象になりました。改正法は2025年10月1日に施行されています。
事業所契約の単位は「設置場所ごと」
具体的な契約の単位は、NHKの受信規約が定めています。法律ではなく規約のルールですが、放送法に基づき総務大臣の認可を受けたものです。
| 場面 | 受信規約・NHKの案内での扱い |
|---|---|
| 事業所にテレビを置いた | 受信機の設置場所ごとに1件(規約第2条第2項) |
| 同じ部屋に2台以上置いた | 台数にかかわらず1件 |
| 設置場所の単位 | 部屋、自動車またはこれらに準ずるもの。社長室・事務室など部屋ごと、社用車は自動車ごと |
| 大きなホールに複数台 | 部屋に準ずる一定の区域ごとに必要(NHKの案内) |
| 事業目的でNHKの配信を利用し始めた | 「配信の受信の本拠」を設置場所とみなし、端末の数にかかわらず設置場所ごとに1件 |
| 同じ部屋でテレビ設置と配信の受信開始の両方 | 1件 |
| 住居に接続した小規模な事務所・店舗 | 世帯で受信契約があれば別の契約は不要(NHKの案内) |
NHKの案内では、スマートフォンやパソコンを持っているだけでは受信契約の対象にならないとされています。配信の受信開始は、端末を操作してNHKの配信の視聴・閲覧を始めることをいい、利用開始時に意思を確認する操作が求められます。ラジオ関連のサービスは対象外です。
契約の種別は、地上放送だけを受信できる受信機なら地上契約、衛星放送も受信できる受信機なら衛星契約です。受信規約に定める月額は地上契約1,100円、衛星契約1,950円(税込、沖縄県を除く)で、支払方法により前払額が異なります。
テレビ機能付きのカーナビや、チューナー付きのモニターなど、個別の機器が受信設備にあたるか迷うときは、機器の仕様(テレビ放送を受信できるか)を確認したうえでNHKに問い合わせてください。チューナーのないモニターやチューナーレステレビは放送を受信できませんが、事業目的でNHKの配信を視聴すれば配信の受信開始にあたる可能性があります。
申込期限と割増金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申込期限 | 受信機を設置した月(配信の受信を開始した月)の翌々月の末日。両方行った場合は早い方の月の翌々月末日(規約第3条) |
| 例 | 4月に会議室へテレビを設置 → 6月末日までに申し込む |
| 期限を過ぎた場合 | 正当な理由なく期限までに申し込まなかったときは、設置月の翌月から契約月の前月までの受信料に加え、その2倍に相当する割増金を請求されうる(規約第12条) |
| 不正な手段の場合 | 虚偽の解約届や免除申請などで支払を免れたときは、免れた受信料に加え、その2倍に相当する割増金 |
| 対象期間 | 割増金の対象は2023年4月以降の期間分(NHKの案内) |
割増金の規定は2022年10月施行の放送法改正で設けられ、NHKは2023年4月1日から運用しています。NHKは、該当する場合に一律に請求するのではなく、個別の事情を総合的に勘案して運用するとしています。とはいえ、オフィス移転や車両の入替えのたびに申込みを忘れると、後でまとめて請求されるおそれがあります。移転時のチェック項目に入れておきましょう(→オフィス移転の段取り)。
割引と解約の届出
事業所向けの割引
| 割引 | 要件(NHKの案内) |
|---|---|
| 事業所割引 | 同一敷地内のすべての受信機・端末について必要な契約を結び、一括して支払う場合、2契約目以降の受信料が半額 |
| 多数一括割引 | 衛星契約または特別契約の合計が10件以上で、1つの契約者でとりまとめて支払う場合に割引(割引額はNHKの案内で確認) |
2つの割引は併用できます。部屋や車両が多い会社は、契約がばらばらの名義・支払方法になっていないかを確認し、まとめられるものはまとめると費用を抑えられます。申込みはNHKふれあいセンターで受け付けています。
撤去・売却したら解約を届け出る
受信規約第9条は、受信機の廃止などで契約を要しなくなったときは直ちに届け出るよう定めています。NHKが事実を確認できたときは、届出があった日に解約されたものとされます。届出をしないままでは、テレビを捨てても車を売っても受信料はかかり続けます。精算は、解約を受理した月以降の支払分が返金される扱いです。
解約届の内容に虚偽があると、割増金の対象となり、届出時にさかのぼって解約されなかったものとされることがあります。実際に撤去したことが分かる記録(廃棄の証明、車両の売却書類など)を残しておきましょう。
総務の棚卸し手順
年1回、または移転・レイアウト変更・車両入替えのタイミングで、次の順に確認します。
- 契約の一覧を作る:NHKからの請求書・口座振替の明細から、契約件数、契約種別(地上・衛星)、設置場所、支払方法を書き出す
- 現物を数える:部屋ごと(会議室・応接室・休憩室・ロビー・役員室)、車両ごとに、テレビ・チューナー付きモニター・テレビ機能付きカーナビの有無を確認する。備品管理台帳やIT資産管理、社用車の管理台帳と突き合わせる
- 差分を処理する:契約がない設置場所は申込み、撤去済みの場所は解約届、種別が違うもの(衛星アンテナ接続の有無など)は変更の手続きをする
- 割引を確認する:事業所割引・多数一括割引の要件を満たすのに適用されていない契約がないか確認する
- 記録を残す:確認日、担当者、手続きの内容を台帳に記録し、受信料を総務の年間予算に計上する
NHKから「設置・利用状況確認票」が郵送されてきたときは、この一覧をもとに記入して返送します。社員寮や社宅に会社がテレビを備え付けている場合の扱いは、住居か事業所かによって変わる可能性があるため、NHKに確認してください(→社員寮規程の作り方)。
まとめ
- 放送法第64条により、NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は受信契約が必要。2025年10月からは配信の受信を開始した者も対象
- 事業所契約は部屋・自動車など設置場所ごとに1件。同じ部屋なら台数にかかわらず1件
- 設置した月の翌々月末日までに申し込む。期限経過や虚偽の解約届は2倍相当の割増金の対象になりうる
- 撤去・売却したら直ちに解約を届け出る。届出をしないと受信料は止まらない
- 年1回、契約一覧と現物(部屋・車両)を突き合わせ、申込み・解約・割引を整理する