事業継続力強化計画(ジギョケイ)の認定を受ける手順|書く項目、電子申請とGビズID、標準処理期間45日、税制・融資の支援
事業継続力強化計画(ジギョケイ)は、中小企業が防災・減災の事前対策をまとめた計画を経済産業大臣が認定する制度です。計画に書く4つの項目、GビズIDでの電子申請、標準処理期間45日、防災・減災設備の特別償却16%(認定は2027年3月31日まで)や低利融資などの支援、年度末に向けたスケジュールを整理します。
- 対象読者
- BCPを作りたいが何から手を付ければよいか迷っている従業員30〜300名の中小企業の総務担当者
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この記事のポイント
- ジギョケイは「簡易版BCP」とも呼ばれ、ハザードマップでのリスク確認、初動対応、人・設備・資金・情報の事前対策、訓練と見直しを書く
- 申請は電子申請システムのみで、GビズIDが必要(取得に原則2週間程度)。審査の標準処理期間は45日
- 防災・減災設備の特別償却16%は、2027年3月31日までに認定を受けることが前提。年度内の設備投資に使うなら、11〜12月に申請するのが目安
「BCP(事業継続計画)を作りたいが、分厚い計画書を作る余裕はない」という会社は多いはずです。事業継続力強化計画(通称ジギョケイ)は、中小企業向けに項目を絞った計画で、国の認定を受けると税制や融資の支援を使えます。総務が年度内に認定を受けるまでの段取りを整理します。
事業継続力強化計画とは
茨城県の案内によると、中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を、経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度で、令和元年度に始まりました。中小企業等経営強化法にもとづく制度です。
対象は中小企業者です。中小企業庁「認定制度の概要」では、業種ごとに次の規模が示されています(資本金か従業員数のどちらかを満たせばよい)。
| 業種 | 資本金 | 常時使用する従業員 |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
自社だけで作る「単独型」と、取引先やグループ会社と組む「連携型」があります。
計画に書く4つの項目
茨城県の案内では、計画に記載する主な項目として次の4つを挙げています。
| 項目 | 書く内容の例 | 総務が用意する材料 |
|---|---|---|
| 自然災害リスクの確認 | 拠点ごとの地震・洪水・土砂災害のリスク | ハザードマップの確認結果 |
| 発災時の初動対応 | 安否確認、避難の方法、対策本部の立ち上げ | 安否確認の手順、連絡網 |
| ヒト・モノ・カネ・情報の事前対策 | 要員の確保、建物・設備の保護、資金繰り、データのバックアップ | 備蓄、家具の固定状況、保険契約、バックアップ体制 |
| 平時の取組 | 訓練の実施、計画の見直し | 訓練の計画と記録 |
すでに防災マニュアルや安否確認の仕組みがあれば、その内容を当てはめるだけで多くの項目が埋まります。拠点のリスク確認はハザードマップで事業所の災害リスクを確認する方法、初動対応は安否確認の仕組みづくり、備蓄や体制は中小企業の防災・BCPが参考になります。
計画の作り方は、中小企業基盤整備機構の「BCPはじめの一歩」で手引きや記入例、無料のオンラインセミナーが案内されています。商工会・商工会議所でも策定の相談ができます。
申請の流れ
申請は、事業継続力強化計画電子申請システムから行います。認定制度の概要によると、令和6年4月からは原則として電子申請のみです。
- GビズIDを取得する:電子申請にはGビズIDプライムかGビズIDメンバーのアカウントが必要です。取得には原則2週間程度かかります。社会保険の電子申請などで取得済みなら、そのまま使えます(→社会保険・労働保険の電子申請を始める手順)
- 支援策を使うなら事前に相談する:低利融資や信用保証の特例を使う場合は、日本政策金融公庫や信用保証協会の審査が別に必要なため、計画を出す前に相談するよう案内されています
- 計画を作り、電子申請する:申請先は本社の所在地を担当する経済産業局です
- 認定通知を受け取る:審査の標準処理期間は45日です。認定を受けると、中小企業庁のホームページに事業者名などが公表されます
- 計画を実行する:訓練や見直しを行います。2回目以降の新規申請では、前回の計画の実施状況報告が必要です
認定で使える主な支援
認定制度の概要に記載されている支援のうち、中小企業が使いやすいものをまとめます。
| 支援 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 中小企業防災・減災投資促進税制 | 計画に書いた防災・減災設備を、認定日から1年以内に取得して事業に使うと特別償却16% | 認定対象期間は2027年3月31日まで。青色申告をする資本金1億円以下の法人などが対象 |
| 日本政策金融公庫の低利融資 | 計画にもとづく設備資金が基準利率から0.9%引下げ | 公庫の審査が別途必要 |
| 信用保証の特例 | 普通保険などで通常枠とは別枠の保証 | 信用保証協会の審査が必要 |
| 補助金の加点 | ものづくり補助金などで審査上の加点 | 公募ごとに要件を確認 |
税制の対象になる設備(自家発電設備、止水板、耐震装置など)は、施行規則で種類と金額の要件が決まっています。対象設備かどうかと適用の可否は、顧問税理士や経済産業局に確認してください。補助金の探し方は総務が使える補助金・助成金の探し方にまとめています。
年度末までのスケジュール
特別償却を使うには、2027年3月31日までに認定を受けることが前提です。標準処理期間45日と年末年始を考えると、次のような日程が目安です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 11月上旬 | GビズIDの取得(未取得の場合)、ハザードマップでのリスク確認 |
| 11月中 | 計画の作成、融資を使う場合は金融機関への相談 |
| 12月上旬 | 電子申請 |
| 1〜2月 | 認定通知の受け取り、設備の発注・取得 |
| 3月以降 | 訓練の実施、計画の見直し |
よくある質問
計画の実施期間はどのくらいか
計画には実施期間を書きます。認定後は計画にそって訓練や見直しを行い、期間が終わって2回目以降の認定を受けるときは、認定制度の概要のとおり、電子申請システムで「新規申請(2回目以降)」を選び、直近の計画の実施状況報告を出します。
代表者が交代したら変更の申請が必要か
認定制度の概要では、資金調達額の若干の変更や法人の代表者の交代など、計画の趣旨を変えないような軽微な変更は申請不要とされています。設備の追加など内容が変わる場合は変更申請をします。
認定を受ければ税制は自動的に使えるか
使えません。税制を使うには、認定を受けた後に設備を取得して事業に使い、税務申告のときに償却限度額の計算明細書を添付します。認定通知書と認定を受けた計画の写しは、税務調査のときに必要になるため保管しておきます。
まとめ
- ジギョケイは項目を絞った「簡易版BCP」。既存の防災マニュアルや安否確認の仕組みを当てはめて作れる
- 電子申請のみで、GビズIDが必要。審査の標準処理期間は45日
- 特別償却16%を使うなら2027年3月31日までの認定が前提。11〜12月の申請を目安に動く