冬のオフィスの火災予防|電気ストーブ・石油ストーブの点検、たこ足配線とほこり、灯油の保管量
暖房器具の製品事故は11月ごろから増え、12月にピークを迎えます。NITE(製品評価技術基盤機構)が示す電気・石油暖房器具の点検ポイント、消防が呼びかけるコンセント周りの注意、灯油を200リットル以上置くときの届出、秋の全国火災予防運動に合わせた社内点検の進め方を整理します。
- 対象読者
- 事務所・倉庫・工場で暖房器具を使う従業員30〜300名の企業の総務担当者
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この記事のポイント
- 暖房器具の事故は11月ごろから増え12月がピーク。使い始める前に、コード・プラグの傷み、転倒時オフ機能、リコール対象かを確認する
- たこ足配線とプラグ周りのほこりは出火の原因になる。机の下・複合機の裏など見えない場所を年末の大掃除で点検する
- 灯油は指定数量1,000リットルの5分の1(200リットル)以上を貯蔵すると、市町村の火災予防条例による届出が必要になる
寒くなると、足元の電気ストーブや倉庫の石油ストーブなど、オフィスでも暖房器具を使う場面が増えます。暖房器具による事故は毎年冬に集中しています。使い始める前の点検と、置き場所・配線のルールを総務が決めておくと、事故の多くは防げます。
冬は暖房器具の事故が増える
NITE(製品評価技術基盤機構)の2025年10月30日の発表によると、2020年から2024年までの5年間にNITEに通知された主な暖房器具の事故は596件で、電気ストーブ・ファンヒーターと石油ストーブ・ファンヒーターの事故が約8割を占めました。事故は11月ごろから大きく増えて12月がピークになり、4月にかけて収まっていきます。毎年、事故の8割以上が火災です。
2026年の秋の全国火災予防運動は、11月9日から15日までの7日間です。この週に合わせて社内点検を行うと、周知もしやすくなります。
暖房器具の使い始めの点検
NITEは、電気と石油の暖房器具それぞれに「4つの点検ポイント」と、使用中の「1つの注意ポイント」を示しています(NITE発表資料)。
| 種類 | 点検ポイント |
|---|---|
| 電気ストーブ・電気ファンヒーター | 電源コード・プラグが変形・破損していないか、たこ足配線になっていないか |
| 本体に変色・変形などの異常がないか | |
| 転倒時オフ機能(転倒時オフスイッチ等)が正常に作動するか | |
| リコール対象製品ではないか | |
| 石油ストーブ・石油ファンヒーター | ほこりがたまっていれば取り除く |
| 対震自動消火装置が正しく作動するか | |
| 昨シーズンの灯油を使わない。灯油とガソリンは別の場所で保管し誤給油を防ぐ | |
| カートリッジタンクの給油口のふたが確実に閉まり、漏れがないか | |
| 使用中(共通) | 壁や可燃物との距離を十分にとる。洗濯物を乾かさない |
社員が私物の電気ストーブや電気毛布を持ち込んでいる職場もあります。持ち込みを認めるなら、「総務に申告し、上の点検をしたものに限る」などのルールにしておくと、台数と置き場所を把握できます。
オフィスで起きやすい場面
- 机の下の電気ストーブに、書類・段ボール・ひざ掛けが触れる
- 退社時にストーブの電源を切り忘れる
- 更衣室や休憩室で、ストーブの近くに衣類を干す
- 倉庫で、石油ストーブの近くに梱包材や在庫を置く
「最後に退室する人が暖房器具の電源を切り、プラグを抜く」ことを退室時のチェック項目に入れておくと確実です。
コンセント・配線の点検
東京消防庁「電気器具からの火災を防ごう!」では、次の点を呼びかけています。
- コンセントにほこりがたまると火災の原因になることがあるので、定期的に掃除する
- 冷蔵庫やテレビの裏など、普段見えない場所も掃除する
- たこ足配線は絶対にしない
- 電気製品のコードを束ねたまま使用しない
- 普段使わない電気製品のプラグは抜いておく
- 電気コードが家具などの下敷きにならないようにする
オフィスでは、複合機・サーバー・給湯室の電気ポットや冷蔵庫の裏、机の下の延長コードが要注意です。暖房器具は消費電力が大きいため、パソコンやモニターと同じテーブルタップにつながないよう周知します。
| 点検場所 | 確認すること |
|---|---|
| 机の下 | 延長コードの連結、コードが椅子のキャスターや机の脚に踏まれていないか |
| 複合機・サーバーの裏 | プラグ周りのほこり、コードを束ねたまま使っていないか |
| 給湯室・休憩室 | 電気ポット・電子レンジ・冷蔵庫のプラグのほこり、水回りとの距離 |
| 倉庫 | 暖房器具と在庫・梱包材の距離、通路の確保 |
年末の大掃除のときにまとめて点検すると、手間が増えません。大掃除の安全な進め方は職場の年末大掃除を安全に進めるを参照してください。
灯油を保管するときの届出
石油ストーブ用の灯油を倉庫や工場にまとめて置く場合は、保管量に注意します。灯油は消防法上の危険物(第4類第2石油類)で、横浜市の案内では、指定数量は1,000リットルとされています。
| 保管量(灯油のみの場合) | 必要な手続き |
|---|---|
| 1,000リットル以上 | 消防法による許可 |
| 指定数量の5分の1以上〜指定数量未満(200リットル以上1,000リットル未満) | 市町村の火災予防条例による届出(少量危険物) |
軽油や重油など他の危険物と一緒に置く場合は、合算して判断します。基準や書式は市町村ごとに異なるため、管轄の消防署に確認してください。
社内で決めておくこと
- 暖房器具の台帳(設置場所・種類・持ち込みか会社所有か)をつくる
- 使い始める前に上の点検表で確認し、日付を記録する
- 退室時の電源オフ・プラグ抜きをチェック項目に入れる
- 消火器の位置を、暖房器具を置く場所の近くで確認する
- 火災予防運動の週に合わせて社内に周知する
暖房器具の管理台帳の例
| 管理番号 | 種類 | 設置場所 | 区分 | 使い始めの点検日 | 点検者 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| H-01 | 電気ストーブ | 2階 経理席 | 会社所有 | 11/10 | 総務 | 転倒時オフ機能OK |
| H-02 | 石油ファンヒーター | 第一倉庫 | 会社所有 | 11/10 | 倉庫長 | 昨シーズンの灯油を廃棄 |
| H-03 | 電気毛布 | 1階 受付 | 私物 | 11/12 | 総務 | 申告済み |
リコール対象かどうかは、型番を控えておけばメーカーのホームページや消費者庁のリコール情報で確認できます。台帳に型番の欄を設けておくと、確認の手間が省けます。
よくある質問
石油ストーブの使用を禁止すべきか
一律に禁止する必要はありませんが、オフィスビルではビルの管理規則で火気の使用が制限されていることがあります。テナントの場合は、入居時の使用細則や管理会社の案内を確認します。倉庫や工場で使う場合は、給油を屋外の決まった場所で行い、灯油とガソリンを分けて保管するルールを決めます。
ハロゲンヒーターやパネルヒーターも点検の対象か
NITEの発表資料では、電気ストーブにハロゲンヒーターやパネルヒーターを含めて集計しています。形が違っても、コード・プラグ、本体の変色・変形、可燃物との距離は同じように確認します。
退社後の見回りはだれがするか
最後に退室する人が確認するのが基本ですが、フロアが広い場合は、部署ごとに確認する人を決めて当番表にしておくと抜けが減ります。休日出勤の日も同じルールで運用します。
防火管理者の選任や消防訓練は防火管理者の選任と消防計画・消防訓練、消火器などの点検は消防用設備等の点検と報告で整理しています。
まとめ
- 暖房器具の事故は11月から増え、12月がピーク。使い始める前に点検する
- コンセント周りのほこり、たこ足配線、束ねたコードを大掃除の時期に確認する
- 灯油を200リットル以上置くときは、消防署への届出が必要になる
この記事で使えるテンプレート
総務 防災・BCP 備えチェックリスト 地震・風水害などの災害に備えて、総務が点検すべき項目をまとめたチェックリストです。体制・連絡網、防火管理、オフィスの安全対策、備蓄品、事業継続(BCP)、訓練までを確認できます。この記事に出てくる用語
- 防火管理者
- 一定の人数以上が出入りする建物で、消防計画の作成や消火・避難訓練の実施など、火災予防の業務を行う責任者です。消防法にもとづき、建物の管理権原者(所有者やテナント)が選任し、消防署に届け出ます。