総務 #防災・BCP#安否確認#リスク管理

Jアラート(弾道ミサイル)が鳴ったときの会社の対応|メッセージごとの行動、オフィス・工場・営業車での避難、社内ルールと訓練

弾道ミサイルが日本に飛来するおそれがあるとき、政府はJアラート(全国瞬時警報システム)で防災行政無線や緊急速報メールから情報を伝えます。内閣官房の国民保護ポータルサイトに沿って、「ミサイル発射」「直ちに避難」「ミサイル通過」などメッセージごとの行動、オフィス・工場・営業車での避難の仕方、会社として決めておく社内ルールと訓練、事後の安否確認を整理します。

対象読者
防災・BCPを担当する、従業員30〜300名の企業の総務担当者
難易度
基本
所要時間
読了7分
最終確認日

この記事のポイント

  • Jアラートは、ミサイル発射・落下予測・通過・避難解除などを、防災行政無線や携帯電話の緊急速報メールで伝える。弾道ミサイルは発射から10分もしないうちに到達する可能性があり、指示を待たずに各自が身を守る行動をとる
  • 屋外では近くの頑丈な建物か地下へ、建物がなければ物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守る。屋内では窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動する。車は止めて近くの建物か地下へ避難し、車外が危険な高速道路などでは車内で姿勢を低くして待つ
  • 会社は、オフィス・工場・店舗ごとに「どこへ逃げるか」を決め、機械の停止、来客の誘導、営業中の社員の行動、避難解除後の安否確認と事業再開の判断をルールにしておく

勤務中に、スマートフォンの緊急速報メールと屋外のスピーカーから「ミサイル発射。ミサイル発射。」と流れたら、社員はどう動けばよいでしょうか。地震や火災と違い、多くの職場では弾道ミサイルを想定した避難の決まりがありません。

内閣官房の国民保護ポータルサイトは、弾道ミサイルは発射からわずか10分もしないうちに到達する可能性があるとしています。会社の指示を待っていては間に合わないため、社員一人ひとりが取るべき行動を事前に知っておくことが大切です。この記事では、国民保護ポータルサイトの案内に沿って、職場で決めておくことを整理します。

Jアラートとは

Jアラート(全国瞬時警報システム)は、弾道ミサイルの情報などを国から瞬時に伝えるシステムです。国民保護ポータルサイトによると、Jアラートが使用されると、市町村の防災行政無線などが自動的に起動し、屋外スピーカーなどから国民保護に係る警報のサイレン音とともにメッセージが流れます。携帯電話には緊急速報メール(エリアメール)が配信されます。

メッセージごとの行動

国民保護ポータルサイトが示すメッセージと行動は次のとおりです。状況によって送信されるメッセージは変わり、すべてが送られるとは限りません。

段階 主なメッセージ とるべき行動
発射情報(避難の呼びかけ) 「ミサイル発射。ミサイル発射。」 屋外では近くのできるだけ頑丈な建物か地下へ避難。建物がなければ物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守る。屋内では窓から離れ、できれば窓のない部屋へ
落下予測情報(避難の呼びかけ) 「直ちに避難。直ちに避難。」と落下時刻・場所 直ちに近くの建物の中か地下へ避難
破壊措置情報 「迎撃により破壊されました。」 破片が落下するおそれがあるため、引き続き屋内に
落下推定情報 「ミサイル落下。ミサイル落下。」と落下時刻・場所 続報があるまで引き続き屋内に
通過情報(避難解除) 「ミサイル通過。ミサイル通過。」 屋内にとどまる必要はない。不審な物に近寄らず、警察・消防・海上保安庁に連絡
解除情報 「避難の呼びかけを解除します。」 屋内にとどまる必要はない

職場の場所ごとの避難

国民保護ポータルサイトの案内をもとに、職場の場面に当てはめると次のようになります。

場所 行動の目安
オフィス(屋内) 窓から離れる。窓のない会議室・倉庫・トイレ、建物の中心部の廊下などへ移動する。地下があれば地下へ
工場・倉庫 建物内の窓や外壁から離れた場所へ。屋外の作業者は近くの頑丈な建物に入る
屋外の現場・敷地内 近くの建物か地下へ。建物がなければ物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守る
営業車・社用車の運転中 国民保護ポータルサイトのQ&Aでは、車を止めて近くの建物(できれば頑丈な建物)の中か地下に避難するよう案内されている。高速道路など車外に出ると危険な場合は、安全な場所に止め、車内で姿勢を低くして行政からの指示を待つ
電車・バスで移動中 乗務員の指示に従う

ミサイルが近くに落下した場合は、屋外では口と鼻をハンカチで覆い、現場から直ちに離れて密閉性の高い屋内または風上へ避難する、屋内では換気扇を止め、窓を閉め、目張りをして室内を密閉する、とQ&Aで案内されています。

会社として決めておくこと

避難場所の割り当て

事業所ごとに、どの部屋・どの場所に避難するかを決め、図面に書き込んでおきます。窓の少ない部屋、建物の中心部、地下の駐車場などが候補です。国民保護ポータルサイトのQ&Aは、避難施設として指定されているかどうかにかかわらず、近くの建物(できれば頑丈な建物)の中か地下施設に避難するよう案内しています。屋外の作業場や営業ルートの近くで逃げ込める建物も、あらかじめ確認しておきましょう。

作業の止め方

工場では、避難の前に機械を安全に停止する手順を決めておきます。ただし、時間がない場合は身の安全を優先することを明記します。火気を使う作業は、可能な範囲で火を止めてから避難します。

来客・顧客の誘導

店舗や受付では、来客を窓から離れた場所に誘導する担当を決めます。

社外にいる社員

営業・出張中の社員は、その場で身を守る行動をとり、避難解除の後に会社へ連絡するルールにします。会社への連絡を避難より優先させないことを明記します。

避難解除後の対応

やること 内容
安否確認 安否確認システムや連絡網で全員の状況を確認する(→BCPと安否確認、安否連絡網)
情報収集 テレビ・ラジオ・政府の発表で、落下場所や被害の情報を確認する
不審物の扱い 落下物を見つけても近寄らず、触らずに警察・消防に連絡する
事業再開の判断 被害がなければ通常業務に戻る。交通機関の運休などで帰宅や出社が難しい場合の扱いを決める(→台風・大雪の日の出社と賃金)

社内ルールの例(1ページ版)

ルールは長くすると読まれません。次のような1ページにまとめ、各フロアに掲示します。

場面 ルール
Jアラート・緊急速報メールを受信したら 作業を止め、指示を待たずに身を守る行動をとる
オフィスにいるとき 窓から離れ、指定の避難場所(例:○階中央会議室・地下駐車場)へ
工場・倉庫にいるとき 機械の非常停止ボタンを押せる場合は押し、窓や外壁から離れた場所へ
来客がいるとき 受付担当が来客を避難場所へ案内する
社外にいるとき 近くの建物か地下へ。会社への連絡は避難解除の後
避難解除の後 安否確認システムに回答する。不審物には近寄らない

あわせて、自治体の防災行政無線が聞こえにくい建物では、緊急速報メールを受信した社員が周囲に声をかけることもルールに入れておきます。地震を想定した既存の訓練と同じ流れで運用できるよう、避難場所や安否確認の手順はできるだけ共通にします(→南海トラフ地震臨時情報への備え)。

訓練と周知

  • 年1回の防災訓練の中に、Jアラートを想定した「窓から離れて身を守る」訓練を数分組み込む。自治体がミサイル避難訓練を行う場合は参加も検討する
  • 社員の携帯電話で緊急速報メールが受信できる設定になっているかを周知する
  • 防災マニュアルやBCPに、ミサイル飛来時の行動を1ページ加える(→BCPの作り方、防災チェックリスト)
  • 外国人社員にも伝わるよう、行動のポイントをやさしい日本語や母国語で示す

まとめ

  • Jアラートは防災行政無線や緊急速報メールで伝わる。到達まで10分もかからない可能性があり、各自がすぐに行動する
  • 屋外は頑丈な建物か地下へ、屋内は窓から離れる。車は停車して建物か地下へ。高速道路などでは車内で姿勢を低くする
  • 事業所ごとに避難場所、機械の停止、来客の誘導、社外の社員の行動を決めておく
  • 避難解除の後に安否確認と情報収集を行い、事業再開を判断する。訓練で一度は体を動かしておく

この記事で使えるテンプレート

CSV 総務 緊急連絡網・安否確認 連絡先一覧 地震・台風などの災害時に従業員の安否を確認するための連絡先一覧です。連絡網の順番、複数の連絡手段、緊急連絡先、帰宅・出社の目安、安否確認の結果欄までを1行にまとめています。 DOCX 総務 防災・BCP 備えチェックリスト 地震・風水害などの災害に備えて、総務が点検すべき項目をまとめたチェックリストです。体制・連絡網、防火管理、オフィスの安全対策、備蓄品、事業継続(BCP)、訓練までを確認できます。

この記事に出てくる用語

安否確認
地震などの災害が起きたとき、従業員とその家族の安全や出社の可否を会社が確認することです。連絡網や安否確認サービスを使い、発動基準と手順を事前に決めておきます。
BCP
「Business Continuity Plan」の略で、地震・水害・感染症・システム障害などの緊急事態が起きても、重要な業務を止めない、または早く再開するための計画です。

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出典・参考資料

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