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経費精算システムの選び方:電子帳簿保存法・インボイス制度への対応と、30〜300名企業の比較ポイント

経費精算システムを選ぶときの確認ポイントを、特定の製品に偏らずに整理します。電子取引データ・スキャナ保存の要件にどう対応しているか、インボイスの登録番号の確認、帳簿のみ保存の特例の扱い、承認フロー、会計・給与との連携、トライアルで確かめることをまとめました。

対象読者
紙やExcelの経費精算から、経費精算システムへの切り替えを検討している従業員30〜300名の企業の総務・経理担当者
難易度
実務
所要時間
読了9分
最終確認日

この記事のポイント

  • システム選びの前に、経費精算規程(対象経費・上限・申請期限・必要書類・承認者)を整える。規程どおりに設定できるかで比べる
  • 電子帳簿保存法では、電子取引データの保存要件(真実性・可視性)と、紙の領収書をスキャナ保存する場合の要件をシステムがどう満たすかを確認する
  • インボイス制度では、登録番号の確認方法と、公共交通機関・出張旅費等・少額特例など帳簿のみで足りる取引の区分ができるかを見る

経費精算は、申請する社員、承認する上司、確認する総務・経理の全員が関わる業務です。紙の領収書の糊付け、交通費の経路確認、差し戻しのやりとり。件数が増えるほど負担は大きくなります。

経費精算システムを使うと、申請から承認・支払い・保存までを電子化できます。この記事では、特定の製品に偏らずに選び方のポイントを整理します。規程のつくり方や電子帳簿保存法・インボイス制度の基本は、経費精算のルールづくりと電子化を先に読んでください。

選ぶ前に整えること

準備 内容
経費精算規程 対象経費、上限、申請期限、必要書類、承認者
件数の把握 月の申請件数、申請者数、承認者数
経費の種類 交通費・出張旅費・接待交際費・立替購入など、どれが多いか
支払いの方法 給与と一緒に支払うか、別に振り込むか
保存の方針 紙の領収書をスキャナ保存して原本を廃棄するか、紙も保管するか

申請書の様式は経費精算書のテンプレートも参考になります。

チェックポイント1:電子帳簿保存法への対応

電子取引データ

メールやWebで受け取った領収書・請求書(ECの領収書、交通系サービスの利用明細など)は電子取引データです。国税庁の資料では、次の2つを満たして保存することとされています。

要件 内容 システムで確認すること
真実性の確保 改ざんを防ぐ措置(タイムスタンプ、訂正削除の履歴が残るシステム、事務処理規程の制定と遵守のいずれか) どの方法で対応しているか。履歴が残る仕組みか
可視性の確保 ディスプレイ等の備付け、検索要件(取引年月日・金額・取引先で検索できる) 3項目で検索できるか。日付・金額の範囲指定ができるか

2課税年度前の売上高が5,000万円以下の場合などは、税務調査でデータの「ダウンロードの求め」に応じられるようにしておけば、検索要件が不要になります。ただし、システムを使う場合も検索できる方が実務上は便利です。

スキャナ保存

紙で受け取った領収書をスマートフォンなどで撮影して保存し、原本を廃棄したい場合は、スキャナ保存の要件を満たす必要があります。入力までの期間、解像度などの読み取りの条件、タイムスタンプまたは訂正削除の履歴などが定められています。

確認項目 見るポイント
スキャナ保存の要件 製品がどの要件にどう対応しているか、説明資料があるか
撮影の操作 スマートフォンでの撮影のしやすさ、ぶれ・読み取りの確認
入力期限の管理 受領から入力までの期限を過ぎそうな申請を知らせる機能
原本の扱い 原本を廃棄する前の確認の流れ

要件の詳細は国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで確認し、製品の対応状況は提供会社の資料で確かめてください。

チェックポイント2:インボイス制度への対応

確認項目 見るポイント
登録番号の確認 領収書の登録番号を読み取り、国税庁の公表情報と照合する機能があるか
区分の入力 適格請求書の有無、税率ごとの金額を入力・修正できるか
帳簿のみ保存の特例 公共交通機関の運賃(3万円未満)、出張旅費・日当などを区分して記録できるか
少額特例 自社が対象になる場合、税込1万円未満の取引を区分できるか
適格請求書以外の扱い 登録番号がない取引の区分(経過措置の扱い)ができるか

登録番号は国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認できます。特例や経過措置の対象・期間は、国税庁の最新の資料で確認してください。

チェックポイント3:申請・承認のしやすさ

確認項目 見るポイント
交通費の入力 経路検索との連携、定期区間の控除
法人カードとの連携 利用明細を取り込み、申請の手間を減らせるか
承認フロー 金額・経費の種類・部署で承認者を変えられるか。代理承認
規程のチェック 上限超過や申請期限切れを自動で知らせるか
差し戻し 理由をコメントで返せるか

通勤手当と出張の交通費を同じシステムで扱うかは、会社によって異なります。通勤手当の考え方は通勤手当の決め方を参照してください。

チェックポイント4:連携と費用

確認項目 見るポイント
会計ソフト 仕訳データを出力・連携できるか
給与計算 給与と一緒に支払う場合、支給データを渡せるか(→給与計算・労務管理クラウドの選び方)
振込 振込データの作成
従業員マスタ 入退社・異動を人事データと同期できるか
料金 ユーザー課金か、承認者も課金対象か、初期費用、オプション
データの持ち出し 解約後に証憑と申請データを取り出せるか。保存期間との関係

料金体系は製品ごとに異なり、変わることもあります。各社の最新資料と見積もりで比べてください。証憑は法人税法上、一定期間の保存が必要です。解約後も保存を続けられるかは必ず確認します。

比較表の例

項目 重要度 A B C
電子取引データの保存要件への対応 必須
スキャナ保存の要件への対応(原本を廃棄する場合) 必須
登録番号の確認・税区分の入力 必須
承認フローが規程どおりに設定できる 必須
会計ソフトとの連携 高
交通費の経路検索・定期区間控除 高
法人カード連携 中
解約後のデータの取り出し 高

トライアルで確かめること

  1. 申請者・承認者・経理の3役で、1か月分の実際の経費を通して処理する
  2. 紙の領収書を撮影し、読み取りの精度と修正の手間を見る
  3. 取引年月日・金額・取引先で検索してみる
  4. 差し戻しと再申請を試す
  5. 月末に仕訳データを出力し、会計ソフトに取り込む

切り替えの進め方

時期 やること
2〜3か月前 規程の見直し、事務処理規程の整備(必要な場合)、システムの決定
1か月前 承認フロー・勘定科目・部署の設定、申請者向けの説明資料の作成
切り替え月 月の初めから新しい方法に切り替える。紙の申請は前月分までとする
1〜3か月後 差し戻しの多い項目を確認し、説明資料や設定を直す

月の途中で切り替えると、同じ月の経費が紙とシステムに分かれ、締めの作業が複雑になります。月初や期首に合わせるのが無難です。紙で保存してきた過去の領収書は、これまでどおりの方法で保存期間まで保管します。

立替そのものを減らしたい場合は、備品の購入を法人向け購買サービスに一本化する方法もあります。

まとめ

  • 先に経費精算規程を整え、規程どおりに設定できるシステムを選ぶ
  • 電子取引データの真実性・可視性、スキャナ保存の要件にどう対応しているかを資料で確認する
  • インボイスの登録番号の確認と、帳簿のみ保存の特例の区分ができるかを見る
  • 承認・連携・解約後のデータの扱いまで含め、実際の経費で試してから決める

出典・参考資料

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