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人事総務のAI導入効果の測り方:時間削減の記録方法と、経営層に説明するときのまとめ方

「AIを入れて楽になった気がする」を、数字で説明できるようにする方法を解説します。導入前後の作業時間の記録のしかた、時間以外に見るべき指標(ミス・問い合わせ件数・期限遅れ)、費用との比べ方、経営層への報告のまとめ方を、記録シートの例つきで紹介します。

対象読者
AIツールを導入した、または導入を提案したい従業員30〜300名の企業の一人人事・兼任総務・管理部門責任者
難易度
基本
所要時間
読了8分
最終確認日

この記事のポイント

  • 効果は「導入前の時間−導入後の時間(AIの結果を確認する時間を含む)」で測る。導入前の記録を2〜4週間とっておくことが前提
  • 時間だけでなく、ミスの件数、問い合わせの件数、期限遅れ、担当者の残業時間もあわせて見る
  • 記録シートには業務名と時間だけを書き、従業員の個人情報は書かない。効果がなかった業務も記録し、やめる判断に使う

AIツールを使い始めると、「前より楽になった」という感覚は得られます。しかし、感覚だけでは、有料プランを続けるか、ほかの業務にも広げるかを判断できません。経営層に説明するときも、数字がないと説得力に欠けます。

この記事では、人事総務のAI導入の効果を時間の記録を中心に測る方法を紹介します。どの業務にAIを使うかを決める段階は、業務棚卸しをAIで進めるを参照してください。

効果を測る基本の式

削減時間 = 導入前の作業時間 −(導入後の作業時間 + AIの結果を確認・修正する時間)

見落としやすいのが確認・修正の時間です。AIが下書きを1分で作っても、確認と修正に30分かかれば、削減は小さくなります。確認の時間を含めずに計算すると、効果を大きく見積もってしまいます。

ステップ1:導入前の時間を記録する

導入前の記録がないと、比べようがありません。対象の業務について、2〜4週間(月次業務なら1〜2か月)記録をとります。

列 記入例
日付 2026-10-05
業務名 社内からの問い合わせ対応(年末調整)
件数 6件
作業時間 75分
1件あたり 12.5分(自動計算)
使った道具 メール、社内規程
メモ 同じ質問が3件

記録シートには業務名と時間だけを書きます。「〇〇さんからの扶養の質問」のように個人が分かる書き方はしません。このシートをAIで集計・分析する場合も、個人情報を含まない形にしておけば安心です。

記録の方法は、担当者の負担が少ないものを選びます。

方法 向いている場面
カレンダーに業務名で予定を入れる まとまった時間をとる業務(給与計算、年度更新)
タイマーアプリで測る 細切れの業務(問い合わせ対応)
件数だけを数え、数件だけ時間を測る 件数が多い業務

ステップ2:導入後も同じ方法で記録する

導入後は、同じ列に「AIの結果の確認・修正時間」を加えます。

業務名 件数 作業時間 うち確認・修正 1件あたり
社内からの問い合わせ対応(年末調整) 6件 30分 12分 5分

導入直後は慣れていないため時間がかかります。最初の2週間は「慣らし期間」として別に記録し、効果の計算には慣れた後の期間を使うと実態に近くなります。

ステップ3:時間以外の指標も見る

AIの効果は時間だけに表れるわけではありません。

指標 測り方の例 関係するAIの使い方
ミスの件数 給与計算の訂正件数、書類の差し戻し件数 チェックの仕組み(→給与の前月比チェック)
問い合わせの件数 担当者に届いた質問の数 FAQ・チャットボット(→社内FAQをAIで作る)
期限遅れ 届出・支払いの期限を過ぎた件数 勤怠や手続きのアラート(→勤怠チェックの自動化)
担当者の残業時間 勤怠システムの記録 全体
待ち時間 質問してから回答が届くまでの時間 FAQ・チャットボット

担当者の残業時間は、勤怠システムなどの客観的な記録で確認します。ミスや期限遅れは件数が少ないため、月単位ではなく半年〜1年で比べます。

ステップ4:費用と比べる

項目 内容
直接の費用 AIツールの利用料(月額・年額)、関連するツールの追加費用
準備にかかった時間 設定、FAQの整備、社内ルールづくり、説明会
運用にかかる時間 FAQの更新、利用状況の確認
効果 削減時間 × 担当者の時間単価の目安、ミス・遅れの減少

時間単価は、社内で決めた目安を使います。正確な人件費を出す必要はありません。大事なのは、同じ方法で続けて比べることです。

ステップ5:結果を報告する

経営層への報告は、1枚にまとめます。

【AI導入の効果(2026年7〜9月)】
対象業務:社内問い合わせ対応、社内通知の作成、議事録の作成
月あたりの削減時間:約〇時間(確認・修正時間を差し引いた後)
時間以外の変化:問い合わせ件数 月〇件→〇件
費用:月〇円
課題:議事録は確認の手間が大きく、削減効果が小さい
次の3か月:議事録は対象の会議を絞る。年末調整の質問対応に広げる

AIに報告文の下書きを頼むときは、記録シートの集計結果(業務名・時間・件数)だけを渡します。

効果がなかった業務の扱い

測ってみると、効果が小さい、またはかえって時間が増えた業務も出てきます。

よくある原因 見直し方
確認の手間が大きい 下書きではなく「チェックリストの作成」など一部分だけに使う
毎回指示を書いている プロンプトをテンプレートにして共有する
元の業務の手順が決まっていない 先に手順を決める。AIの前にやり方を整える
そもそも件数が少ない AIの対象から外す

効果がない業務をやめるのも、立派な成果です。記録を残しておくと、次にどの業務を選ぶかの判断材料になります。

測定を続けるコツ

記録は、続かなければ意味がありません。一人で人事総務を担当していると、記録そのものが負担になりがちです。

コツ 内容
対象を絞る 最初は2〜3業務だけ記録する。全業務を記録しようとしない
期間を決める 「導入前4週間・導入後4週間」と区切り、終わったら記録をやめる
入力を簡単にする フォームで「業務名を選ぶ→分数を入れる」だけにする
半年後にもう一度測る 慣れによる効果、運用の手間の増加を確かめる
数字の目安を共有する 「月〇時間減れば続ける」という基準を、導入前に決めておく

導入前に「続けるかどうかの基準」を決めておくと、結果を見たときに判断がぶれません。たとえば「確認時間を含めて月5時間以上減れば継続」「問い合わせ件数が減らなければ3か月で見直す」といった基準です。

よくある質問

Q. 削減した時間はどう説明すればよいですか。 A. 「残業が減った」「ほかの業務(採用や制度づくり)に使えた」など、削減した時間を何に使ったかもあわせて報告すると、効果が伝わりやすくなります。

Q. 時間を測るのは労働時間の管理と関係がありますか。 A. 業務の時間の記録は効率化のためのものです。担当者自身の労働時間は、勤怠システムなどの記録で別に把握します。

Q. AIツールの費用が月によって変わる場合は? A. 3か月程度の平均で比べます。利用量に応じて課金されるサービスは、利用量の記録もあわせて残しておきます。

まとめ

  • 効果は「導入前の時間−(導入後の時間+確認・修正の時間)」で測る
  • 導入前に2〜4週間の記録をとり、導入後も同じ方法で記録する
  • ミス・問い合わせ件数・期限遅れ・残業時間もあわせて見る
  • 記録シートには個人情報を書かない。効果がなかった業務も記録し、やめる判断に使う

AI導入の効果の測り方や、次に取り組む業務の選び方を相談したいときは、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用ください。

出典・参考資料

この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。

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