入社オリエンテーション資料・業務マニュアルをAIで作る:構成案・下書き・更新の手順
入社オリエンテーションの資料や業務マニュアルは、生成AIに構成案と下書きを任せると短時間で整えられます。元にする資料の集め方、プロンプト例、AIの下書きで人が確認すべき点、入社のたびに更新する仕組みまで、個人情報の注意点とあわせて解説します。
- 対象読者
- 入社のたびにオリエンテーション資料を作り直している、従業員30〜300名の企業の人事・総務担当者
- 難易度
- 実務
- 所要時間
- 読了8分
- 最終確認日
この記事のポイント
- AIに任せるのは「構成案」「既存資料の要約・言い換え」「チェックリスト化」。規程の内容や手続きの期限は人が原本と照合する
- 元にする資料は就業規則・社内規程・過去の案内文など社内の正式な文書に限る。社員の氏名・住所・マイナンバーは入力しない
- 資料は「全員共通」と「部署別」に分け、改定日と担当者を入れて、入社のたびに見直す
入社日の午前中に行うオリエンテーション。勤怠の付け方、経費精算、社内システムのログイン、休暇の申請方法など、伝えることは多いのに、資料は古いままだったり、担当者の頭の中にしかなかったりします。
この記事では、生成AIを使ってオリエンテーション資料と業務マニュアルを整える手順を紹介します。入社後90日の育成計画そのものは少人数の会社でもできるオンボーディングで解説しているので、ここでは「初日〜1週間で渡す資料づくり」に絞ります。
AIに任せること・任せないこと
| 作業 | AIに任せる | 人が行う |
|---|---|---|
| 資料の構成(目次)を考える | ○ | 自社に必要な項目かを判断する |
| 就業規則・規程の要約、やさしい言い換え | ○ | 原文と照合し、意味が変わっていないか確認する |
| 手順書(システムの操作など)の下書き | ○ | 実際に操作して手順が合っているか確かめる |
| 理解度チェックの問題づくり | ○ | 正解が規程と合っているか確認する |
| 労働時間・休暇・賃金のルールの決定 | × | 就業規則・労使協定に基づき人が決める |
| 手続きの期限・提出先の確定 | × | 一次情報と社内規程で確認する |
AIは、それらしい「一般的な会社のルール」を書いてしまうことがあります。たとえば慶弔休暇の日数や、残業申請の締め切りを、自社の規程と違う内容で書くことがあります。規程に関わる記述は、必ず原本と照合することを前提にしてください。
ステップ1:元にする資料を集める
AIに渡すのは、社内の正式な文書です。
- 就業規則と主な社内規程(休暇、旅費、経費精算、情報セキュリティなど)
- 過去の入社案内メール、社内通知
- 社内システムの操作手順(画面の項目名が分かるメモ)
- よくある質問とその回答(→社内の「人事・総務FAQ」をAIで作る)
規程そのものが古い場合は、資料より先に規程を整えます(→社内規程の体系と管理)。
入力しない情報:社員の氏名・住所・生年月日・マイナンバー、給与額、健康状態、取引先の機密情報は、AIに入力しないでください。手順書に例が必要なときは「山田太郎」「社員番号 0000」のような架空の値を使います。利用してよいツールは生成AIの社内利用ガイドラインで決めておきましょう。
ステップ2:構成案を作らせる
まずは目次をAIに出させ、自社に合わせて削ったり足したりします。
従業員80名の会社で、中途入社者向けの入社初日オリエンテーション資料を作ります。
所要時間は2時間です。次の条件で目次案を作ってください。
・対象:全部署共通の内容のみ(部署ごとの業務説明は含めない)
・項目ごとに「説明の目安時間」と「使う資料(規程名など)」を書く
・会社のルールの具体的な数字(日数・金額・時刻)は書かず、【規程で確認】と書く
・最後に、理解度を確認する質問を5問入れる
「具体的な数字は書かせない」のがポイントです。数字は人が規程から転記します。
目次の例
| 項目 | 内容 | 根拠となる資料 |
|---|---|---|
| 会社の紹介 | 理念、組織図、主な取引 | 会社案内 |
| 働き方のルール | 始業・終業、休憩、残業の申請、休日 | 就業規則、36協定 |
| 休暇 | 年次有給休暇、特別休暇、申請方法 | 就業規則、休暇届 |
| お金のこと | 給与日、経費精算、通勤手当 | 賃金規程、旅費規程 |
| 情報セキュリティ | パスワード、PCの持ち出し、メールの注意 | 情報セキュリティ規程 |
| 安全衛生 | 職場の安全、健康診断、相談窓口 | 安全衛生に関する社内ルール |
| ハラスメント | 方針と相談窓口 | ハラスメント防止規程 |
| 社内システム | 勤怠、経費、チャット、ファイル共有 | 各システムの手順書 |
労働安全衛生法では、労働者を雇い入れたときに安全衛生教育を行うことが定められています。業種や業務に応じた内容をオリエンテーションに組み込み、実施記録を残しておきましょう。
ステップ3:規程を「新入社員向けの言葉」に言い換える
規程の条文をそのまま読ませても伝わりません。条文を渡して、言い換えを頼みます。
次の就業規則の条文を、入社したばかりの社員向けに説明してください。
【条件】
・条文にないことを付け加えない
・数字・期限は条文のとおりに書き、言い換えない
・説明の後に「元の条文:第○条」と書く
・最後に、条文だけでは分からない点(運用で決まっていること)を
「人事に確認が必要な点」として箇条書きにする
【条文】
(ここに条文を貼る)
「人事に確認が必要な点」を出させると、規程に書いていない運用ルール(申請の締め日、承認者など)が見つかります。ここは担当者が書き足します。
ステップ4:業務マニュアルを手順書にする
勤怠や経費精算など、社内システムの操作手順も、メモからAIで整えられます。
次のメモをもとに、経費精算システムの申請手順書を作ってください。
・番号付きの手順にし、1手順に1つの操作だけ書く
・画面のボタン名は「」で囲み、メモにない名前を作らない
・よくある間違いを最後に3つ書く(メモに根拠がないものは書かない)
手順書ができたら、実際の画面で最初から最後まで操作して確認します。ボタン名や画面の流れは、システムの更新で変わります。
ステップ5:人が確認して公開する
| 確認項目 | 見るところ |
|---|---|
| 規程との一致 | 日数・金額・時刻・期限が規程の原本と合っているか |
| 古い情報 | 廃止した手当、旧システムの名前が残っていないか |
| 断定の誤り | 「必ず」「できません」など、規程より強い表現になっていないか |
| 機微な情報 | 個人名、社内の機密が入っていないか |
| 分かりやすさ | 入社1年目の社員に読んでもらい、分からない言葉を直す |
入社のたびに更新する仕組み
資料は作って終わりではありません。次のルールで更新します。
- 資料の表紙に改定日と担当者を書く
- 「全員共通」と「部署別」に分け、部署別は各部署の担当者が更新する
- 規程を改定したら、関連する資料をすぐ直す(社内規程 一覧・改定管理表に「関連資料」の列を作ると漏れません)
- 入社者に初週の終わりに「分かりにくかった点」を聞き、次回に反映する
入社前後の手続きは入社手続きの全体像と入社手続きチェックリスト、名刺やアカウントの準備は入社時の名刺・社員証・アカウント発行の段取り、入社前後の連絡の自動化は入退社手続きを自動化するを参照してください。
まとめ
- AIには構成案・言い換え・手順書の下書き・確認問題づくりを任せ、規程の内容と期限は人が原本で確認する
- 元にするのは社内の正式な文書だけ。個人情報やマイナンバーは入力しない
- 具体的な数字はAIに書かせず、【規程で確認】として人が転記する
- 手順書は実際の画面で操作して確かめる
- 改定日・担当者を入れ、規程改定や入社者の声で更新する
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この記事で使えるテンプレート
人事 入社オンボーディング計画表(30-60-90日) 入社後30日・60日・90日の到達目標と、やること・担当者・期限・完了状況を管理する計画表です。人事・上長・メンター(育成担当)で役割分担を共有し、中途入社者の早期定着を支えます。 人事 入社手続きチェックリスト 雇用契約、社会保険・雇用保険の資格取得届、マイナンバー、扶養控除等申告書、PC・アカウント・備品・名刺の準備まで、人事・労務・総務の入社手続きを時系列で確認できるチェックリストです。出典・参考資料
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