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社内の「人事・総務FAQ」をAIで作る:問い合わせ対応を減らす方法

「有給はあと何日?」「住所が変わったら?」といった社内の問い合わせは、FAQを整えるだけで大きく減らせます。生成AIを使って問い合わせ履歴からFAQを作り、運用・更新していく手順を、個人情報の注意点とあわせて解説します。

対象読者
社内からの問い合わせ対応に時間を取られている、従業員30〜300名の企業の人事・総務担当者
難易度
実務
所要時間
読了9分
最終確認日

この記事のポイント

  • 問い合わせの多くは同じ質問の繰り返し。まずは履歴を集めて上位20〜30問を特定する
  • AIには質問の分類・回答案の下書き・言い換え表現の追加を任せ、回答の正しさは担当者が規程と照合する
  • 個人の状況に関わる質問(残日数・給与額・健康)はFAQの対象外とし、窓口に案内する

一人人事・兼任総務の仕事を圧迫するものの一つが、社内からの細かな問い合わせです。「慶弔休暇は何日?」「扶養に入れたいときは?」「交通費の申請方法は?」。一つひとつは短くても、作業のたびに手が止まります。

この記事では、生成AIを使って社内FAQを作り、問い合わせを減らす手順を紹介します。いきなりチャットボットを導入するのではなく、まず正確なFAQ文書を作ることから始めるのがポイントです。

なぜ「FAQ文書」から始めるのか

AIチャットボットを導入しても、元になる情報が古かったり、あいまいだったりすれば、誤った回答を返します。逆に、整理されたFAQ文書があれば、社内ポータルに載せるだけでも効果があり、将来チャットボットにする際の土台にもなります。

段階 やること 必要なもの
1 FAQ文書を作る 問い合わせ履歴、就業規則・社内規程
2 社内ポータル・共有フォルダで公開する 既存のグループウェアなど
3 必要ならAIチャットボットにする FAQ文書、社内向けAIツール

ステップ1:問い合わせ履歴を集める

過去3〜6か月分の問い合わせを集めます。メール、チャット、口頭で受けたもののメモなどです。完璧でなくてかまいません。

集めたら、AIに渡す前に個人情報を取り除きます。

  • 氏名・社員番号・部署名を削除する
  • 「私の妻が出産予定で…」のような個別事情は「配偶者が出産する場合」と一般化する
  • 健康状態、家族の事情、給与額などは削除する

問い合わせ原文には、思った以上に個人の事情が含まれています。原文をそのまま生成AIに貼り付けるのは避け、質問の「型」だけを抜き出してから使いましょう。

ステップ2:質問を分類し、上位を特定する

匿名化した質問リストをAIに渡し、分類させます。

以下は社内の人事・総務への問い合わせを匿名化したリストです。
内容が同じ質問をまとめ、次の形式の表にしてください。

列:カテゴリ(休暇/給与・手当/社会保険/入退社・異動/福利厚生/備品・施設/その他)、
代表的な質問文、件数、言い換え例(社員が使いそうな別の言い方を2つ)

件数の多い順に並べてください。

(質問リストを貼り付け)

上位20〜30問をカバーできれば、問い合わせの大部分に対応できることが多いです。

ステップ3:回答の根拠を集める

回答の根拠は、必ず自社の規程です。質問ごとに、根拠となる就業規則・社内規程の条文、社内手続きの手順書、申請フォームの場所を確認します。社内規程が整理されていない場合は、この機会に一覧を作っておくと便利です。

法律に関わる質問(育児休業、社会保険の扶養など)は、自社の規程に加えて、厚生労働省・日本年金機構などの公表資料も確認します。

ステップ4:AIで回答案を作る

根拠となる条文と手順を添えて、回答案を作らせます。

あなたは社内の人事・総務FAQの回答を作るアシスタントです。
以下の【質問】に対し、【根拠】の内容だけを使って回答を作成してください。

条件:
- 【根拠】に書かれていないことは書かない。不明な点は「人事・総務へお問い合わせください」とする
- 回答は3〜5文。最初の1文で結論を書く
- 手続きがある場合は「いつ・どこで・何を」を箇条書きにする
- 回答の最後に根拠(規程名と条番号)を記載する

【質問】
慶弔休暇は何日取れますか?

【根拠】
(自社の就業規則の該当条文を貼り付け)

「根拠に書かれていないことは書かない」と指示することで、AIが一般論や他社の例を混ぜるのを防ぎやすくなります。それでも混ざることはあるので、次のステップで必ず確認します。

ステップ5:担当者が確認して公開する

回答案を1問ずつ、根拠の条文と照らし合わせて確認します。

  • 日数・金額・期限が規程と一致しているか
  • 雇用形態(正社員・パート・契約社員)で扱いが違う場合、それが書かれているか
  • 「必ず」「いつでも」など、言い過ぎの表現がないか
  • 申請フォームやリンク先が最新か

確認が終わったら、社内ポータルや共有フォルダに公開します。各回答には「最終更新日」と「問い合わせ先」を入れておきましょう。

FAQに載せないもの

次のような質問は、FAQで一律に答えず、個別対応の窓口に案内します。

質問の例 理由
「私の有給はあと何日?」 個人の勤怠データが必要。勤怠システムの確認方法を案内する
「今月の給与が少ない気がする」 個人の給与データの確認が必要
「体調が悪く休職したい」 健康情報を含み、個別の配慮が必要
「上司からの言動がつらい」 ハラスメント相談窓口へ案内する

有給休暇の付与日数の目安は、有給休暇 付与日数計算ツールを案内するのも一つの方法です。

AIチャットボットにする場合の注意点

FAQ文書が整ったら、社内向けのAIチャットボットに読み込ませる方法もあります。その際は次の点を確認してください。

  • 入力内容の扱い:社員がチャットに個人的な事情を書き込む可能性があります。入力データが学習に使われない設定か、ログを誰が見られるかを確認する
  • 回答範囲の制限:FAQ文書以外の情報で答えないよう設定できるか
  • 誤回答時の責任:「回答は参考情報です。最終的な取扱いは人事・総務にご確認ください」と明示する
  • マイナンバー:「マイナンバーを入力しないでください」と画面に表示する

運用:更新のルールを決める

FAQは作って終わりではありません。法改正や規程改定のたびに更新が必要です。

  1. 規程を改定したら、関係するFAQを同時に更新する
  2. 四半期に1回、新しく増えた問い合わせを追加する
  3. 年1回、全回答を規程と照合する

月ごとの業務と合わせて、更新日をあらかじめ決めておくと忘れません(例:11月にやることの年末調整の時期に、年末調整FAQを見直す)。

読まれるFAQの書き方

せっかく作ったFAQも、探しにくければ問い合わせは減りません。次の点を意識すると、社員が自分で解決できる割合が上がります。

  • 質問は社員の言葉で書く:「慶弔休暇の付与日数」より「結婚・身内の不幸で何日休める?」
  • 結論を最初に書く:「最大○日です。詳しくは次のとおりです」
  • 手続きは「いつ・どこで・何を」:申請期限、申請先(システム名・フォームのリンク)、必要書類
  • 例外を明記する:雇用形態や勤続年数で扱いが違う場合
  • カテゴリを固定する:休暇/給与・手当/社会保険/入退社・異動/福利厚生/備品・施設

回答の例(形式のイメージ)

Q. 引っ越しをしました。何をすればいいですか? A. 引っ越し後2週間以内に、社内の「住所変更届」フォームから届け出てください。通勤経路が変わる場合は、通勤手当の申請もあわせて行います。(根拠:就業規則第○条、通勤手当規程第○条/最終更新日:____)

日数や期限は、必ず自社の規程に合わせて書き換えてください。入社時によく出る質問は、入社手続きの全体像を参考に、入社案内とセットで用意しておくと効果的です。

まとめ

  • 問い合わせ履歴を匿名化して集め、上位20〜30問からFAQを作る
  • AIには分類・回答案・言い換えを任せ、正しさは担当者が規程と照合する
  • 個人のデータや健康・ハラスメントに関わる質問は、FAQではなく窓口へ
  • 規程改定とFAQ更新をセットで運用する

社内FAQやチャットボットに使うツール選びで迷ったら、Otsumu株式会社のAIツール診断をご利用いただけます。

この記事で使えるテンプレート

CSV 総務 社内規程 一覧・改定管理表 就業規則・賃金規程・育児介護休業規程・ハラスメント防止規程など、社内規程を一覧にして改定履歴を管理する表です。根拠法令、監督署への届出の要否、最終改定日、周知方法、次回見直し時期を記録できます。

出典・参考資料

この業務、AIでどこまで減らせるか診断します。Otsumu の「AIツール診断」で、自社の業務フローから自動化できる作業を洗い出します。

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